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■ 詩人と呼んだ女友達の命日が近づいたこのときに書く、死者たちに関する断章 「マダムNの神秘主義的エッセー(2019-02-27)」より

目次


(※mono....以下、詩一編転載)

行織沢子小詩集・作品 1 「あこがれ」

  あこがれ

あこがれの
はるか下界に
吹きあれていた
見えざる者の身ぶりは
いつもの
思わせぶりの突風か
出発の
支度づかれのあと
ホームの伝言板に置かれてあった
あこがれよ

雪解け水に映る
夕陽とわたしのすき間にも
おまえがひそんだものだ
身をかがめ覗きこんだ時の
おまえのまばゆさは
化粧する少年の
うすい唇に塗られた夕陽のかたちだった
すこやかにくれてゆく落日を背に
飴色の鞄をたずさえた わたしと夕陽のあいだを
遠く隔てた白い道 あこがれ

かれをかたどって
半透明の柱を建てたものよ
丘の上を焔白くするまで
幾柱も
幾柱も
だが
巷のさざめきにうたれたままでいた
あこがれを
握りしめた群れの手垢は
柱に怒りの深みを流し込むだろう


















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最終更新:2019年03月20日 23:25