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北朝鮮の今後の動向 - 鍵を握るのは軍ではなく周辺国
ずっと北朝鮮問題の報道が続いている。マスコミは、脱北者や元北朝鮮の幹部とかに動向と予測を語らせていて、今は朴斗鎮が北朝鮮関連の言論をリードしている。一つの見方として悪くはないが、どうも底が浅い感じがして、もう少しトータルで学問的な見解や分析を聞きたい不足感を否めない。和田春樹の解説を聞きたいが、新聞紙上にも姿を見かけない。右翼と「家族会」に睨まれている和田春樹は、この国のマスコミでは御法度の存在になっている。この問題では言論の自由はない。昨夜(12/23)、NHKの特集番組に小此木政夫が出演していたが、特に興味の惹く視点の提供はなく、退屈な議論に終始して眠気を誘われた。単なる視聴率稼ぎだ。マーケティング・オリエンテッドの制作。最近のNHKは、昔と逆で、空疎な報道特集で視聴率を稼ぐのが巧みな商売上手な局になった。番組の冒頭、国内経済の破綻と国民生活の窮状を示す映像が流され、親を失って農村を放浪する23歳の孤児の女性の姿が出た。彼女の姿は8月にテレ朝の報ステで紹介されていて、その後が気がかりだったが、撮影(5月)から5か月後(10月)に畑の中で遺体となっていたと高橋美鈴がナレーションで伝えた。アジアプレスのサイトに詳細が載っている。報ステで放送されたときも衝撃を受けたが、同じ映像が韓国や英国やドイツで流れ、人々の胸を痛めていた。


こういう映像を見ると、なぜ韓国は飢えに苦しむ同胞を見殺しにするのだろうと、痛切に思う。テレビで映像が流れ、ネットの掲示板でも話題になったのなら、そこから世論が盛り上がり、せめてこの女性だけでも助けようという運動になり、赤十字を通じて救出するという政治にならないのか。場所も特定されていて、その気になれば人道外交で動くことができたはずだ。それを契機に、孤児や浮浪児を支援する民間レベルの南北対話や人道交流という方向に道を開くことができただろう。もし、そのようにして彼女が救出されれば、南北を架け橋する人道援助のシンボリックな物語となり、民族の心を繋ぐヒロインになっていたに違いない。それが政治というものだ。どうして、今の韓国人はそういう政治を設計できないのか。発想をしないのか。砲撃を受けた延秤島の住民も、裸足で市場で物乞いする北朝鮮の孤児たちも、同じ犠牲者なのである。金正日の暴政の犠牲者なのだ。同じ民族であり、同じ韓国国民であり、韓国政府が責任を持って守り救うべき人々なのだ。韓国の国境は38度線ではなく、豆満江と鴨緑江の線である。今の韓国は北朝鮮に対してあまりに冷たく、無関心で、北朝鮮領内に住む同胞に思いを寄せていない。分断が永遠に固定され、北朝鮮が中国の一部(=「朝鮮族自治区」)になってもよいのか。そういう洞察と危機感を韓国の政治家や国民は持たないのか。

現在の韓国の姿勢は、お荷物の北朝鮮の世話を中国に任せきってしまっている。本来、韓国が行うべき食糧とエネルギーの支援を中国に面倒見させ、北朝鮮の中国へのマイグレーションを進めさせる結果に導いている。もし、このまま中国東北部がさらに経済発展し、ドイツと東欧のような関係で北朝鮮が中国東北経済の後背地となり、その一部に組み込まれる循環と構造が固定したとき、中国語が準公用語となってエリートの進学先が長春や吉林や瀋陽の大学となったとき、そして、北朝鮮の人々が自らの意思で延辺朝鮮族自治州との統合を求め、住民投票でDPRKの主権放棄を決したときは、その時点で韓国による半島統一は不可能になるのだ。無論、これは仮定の極論であって、中国がそれを志向したり牽引するわけではない。韓国も指をくわえて見ているはずはない。しかし、北朝鮮に住む一人一人にとっては、DPRKよりPRCの方がはるかに境遇がよく、延辺自治州との統合はアクセプタブルな選択だろう。命がけで渡河して逃げている現実があるのだから。こうした視角と試論で問題の構図を考えれば、現在の韓国がいかに民族統一について無責任で、国家百年の計を見失っているかかが分かる。イマジネーションはさらに広がる。例えば、将来の中国で民主化と分権化が進み、連邦制的環境になったとき、独立化する東北部(満州)の中で、北朝鮮はより緊密で重要な一部になるだろう。

日本のマスコミは、北朝鮮が韓国の弔問団を無条件に受け入れると表明した件について、それを「揺さぶり」だと言い、韓国の世論を分断する政治工作だと決めつけている。どうして、このような悪意に基づいたイデオロギッシュで視野狭窄な見方しかできないのだろう。韓国の保守派に迎合した報道に固めるのではなく、第三者の立場として、両国の和解と平和に繋がる柔らかな論調を示せばよいではないか。二国の対立と猜疑を深める方向ではなく、金正日の死を雪解けへの転機にするように両国に促し、周辺国として平和と安定を希求する眼差しを送るのが当然ではないか。日本のマスコミはまるで、北朝鮮と韓国の緊張のエスカレートを望み、両国に全面戦争を嗾けているような口振りだ。「揺さぶり」の政治を仕掛けているのは、客観的には日本のマスコミであり、こうした刺々しい情報の発信で韓国世論の対立を煽り、北朝鮮の態度を硬化させる思惑で刺激を与えている。同時に、これは日本国民内部に対する洗脳であり、戦意発揚のプロパガンダでもある。本来、金正日の死は、韓国と北朝鮮にとって統一に向けての好機到来であり、韓国としてはこの機を逃さず平和攻勢に出て、ポスト金正日の北朝鮮を韓国側に靡かせなくてはいけない。現在の北朝鮮は、権力の中心を失った真空状態であり、全てがリセットされた脆い政治力学の状況にある。ということは、この時点の周辺国の働きかけでどの方向にも転ぶのだ。

北朝鮮の今後について、マスコミはいろいろ観測情報を流しているが、どれも正鵠を射ていると思われる議論がない。金正恩への世襲と継承をもって、それをそのまま金正日の政策の踏襲だと言えるのかどうか、私には疑問がある。その点を冷静に見極めている論者が少ない。むしろ、今、周辺国(米韓日中)の対応如何で、北朝鮮は従来の金正日的な孤立と独善の方向を選ぶこともあるし、そこから離れて方針転換する可能性もあるのである。私から言わせれば、北朝鮮ウォッチャーは、あまりに軍の存在と役割を過大視している。今、北朝鮮の(暫定)権力中枢たる王朝宮廷は、この国の今後の舵取りについて、軍や党の動向に神経質になっているのではなく、そうではなく、韓国や米国や中国の反応に敏感になっているのである。内ではなく外を見ている。北朝鮮の政治を動かすキーは、軍や党など内部勢力ではなくて、外国のメッセージとアプローチなのだ。軍などどうにでもなるもので、宮廷から独立した権力主体ではない。誰かが長男や次男を担いでクーデターを起こすとか、現在の宮廷を転覆させるとか、そのような可能性は一切ないと断言できる。北朝鮮は、政治を動かす勢力に資源がなく、党も軍も弱く、一つに纏まらざるを得ず、物理的に分裂することができない。一つに纏まらざるを得ないときは、畢竟、金正恩を御輿にするしかなく、それ以外の選択の余地はないのだ。北朝鮮には余裕が全くなく、これ以外の選択肢は国家崩壊だけだ。

すなわち、北朝鮮という政治体を動かすのは、その影響力を最も持っているのは、周辺の外国なのである。外国からの関与と刺激で、北朝鮮は国家を成り立たせる支柱と軸心を得、ベクトルを生成できる。金正日後の北朝鮮は、外国の作用に対する反作用で国の政策を決めるのであり、米韓日中による北朝鮮政策へのリアクションで意思と合意を作り、導かれた指針を正当化するのである。改革開放に進むなら、金正日の路線を否定しなくてはいけないし、中国への依存を深めなくてはならない。宮廷や軍の中には、そのテイクオフに逡巡したり拒絶する者もいる。そのとき、米韓日が北朝鮮に圧力を強め、崩壊を目指して敵対と制裁の態度で臨めば、北朝鮮の中で保守派の声が台頭し、金正日の瀬戸際外交を正統の国策にせよという流れになる。すなわち、北朝鮮ウォッチャーが言うところの、「軍の強硬派」だの、「改革開放の穏健派」だのというのは、バーチャルな言葉の遊びであり、固定的な実体を伴った政治勢力ではないということだ。同じ人間が、例えば張成沢が、強硬派にもなれば穏健派にもなる。米韓日が国を滅ぼすべく攻撃を仕掛けているのに、そこで改革開放などというマイルドな選択はあり得ない。当然、核とミサイルを武器にした瀬戸際外交を選ぶ。北朝鮮の今後は、内政ではなく外交が政策のドライバーになる。外国が北朝鮮にどう向き合うかで、受動的パターンとして政治の論理と方向が決まる。内部の一致結束がスムーズなパターンが自然に型として定まる。

だからこそ、今、韓国が太陽政策に回帰することが重要なのだ。韓国は太陽政策の原点に戻り、北朝鮮に統一のコミットをし、呼びかけ、経済支援のアクセスとピストンを再開しなくてはならない。北を改革開放へ導くことができれば、必ず核とミサイルを放棄させられるし、それを持っていたままでも軍事独裁体制は瓦解する。金大中の判断は永遠に正しい。


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by thessalonike5 | 2011-12-24 23:30 | Trackback | Comments(0)
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