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お手紙捜索

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EV143 ”幸せってなんだっけ” 発表資料

お手紙捜索



私のお仕事は基本外回りである。

国民と会話し困っていることがあれば、そのお手伝いをすることを主としている。

今日も朝から政庁に顔を出したあと、住宅街へ…。

「おや、わたどりさんじゃないかい」

よく顔をあわせるおばさんから早速話しかけられる。

「あ、おばさん。いい天気だね」

「ほんと。洗濯物干すにはもってこい」

そんな立ち話をしていると、政庁より連絡が来る。

『わたどりさんすみません。森林エリアから応援の要請です』

「了解です。すぐ行きます」

「おばさんすみません。お仕事です」

「ああ、いってらっしゃい」


政庁より連絡があり、森林のエリアへ。

到着するともう数人の職員と近くを通りかかった人が何か探しものをしているようだった。

その近くには困った顔の女性が一人。

「どうされました?」

「父からの手紙を読もうとしたら風で飛ばされてしまって…」

「わかりました。ではもう少し具体的な状況をお聞きしてよろしいですか?・・・」

具体的な状況を聞くと、いつも日課にしている森の散歩をしている時、

休憩がてら今日届いた父からの手紙を読もうとしたら強風で飛ばされたとのこと。

早速、自分も捜索に加わる。

森の中ということもあり、木に登ったり、草をかき分けたり、よ~く目を凝らしつつ探す。

ついでに、ゴミを見つけたので拾っていくことにする。




お昼になろうとしているところまだ手紙は見つからない。

通りがかりに手伝ってくれた方たちにお礼を言って、これから先は職員だけで探す。

ゴミも袋一杯になろうとしているころ、一人の子どもに目が留まる。

その子どもの手には少し汚れた紙のようなものを持っている。

「ねぇ、君その手に持ってるのどうしたの?」

「ん?これ? さっき茂みでみつけた。 なんて書いてあるか読めないからお母さんに読んでもらうの」

「お兄さんにも見せてもらっていいかな?」

「うん。いいよ。 そのかわり読んで聞かせて」

「わかった」

「え~と・・・

≪ ひさしぶりだな。元気にしているか?

父さんと母さんは元気にしているから心配するな。

たまにはこっちにも顔を出せ。 母さんが心配してるからな。

これから雨が多くなる季節だ。

ちゃんとご飯食べて風邪なんかひかないように。

愛する娘へ   父 ≫ 」

間違いなくこの手紙だ。

「ふ~ん。 じゃあこれどっかのお姉ちゃんへの手紙なんだね」

「うん。そうだよ。 そしてそのお姉ちゃんはこの手紙をなくして困ってるんだ。」

「そっかぁ・・・」

「ねぇ、一緒にこの手紙をそのお姉ちゃんに渡しに行こっか? お姉ちゃんきっと喜ぶと思うよ」

その子は笑顔で「うん。いいよ。」と言ってくれた。

そして私は大声で「みつけたぞー!!」と叫んだ。


探してたみんなも女性の周りに集まっていた。

見つけた子どもがちょっと照れくさそうに「はい」って言って手紙を女性に渡す。

女性は子どもに向かってやさしく「ありがとう」と言って手紙をもらい目を通す。

周りの職員から拍手が沸き起こる。

そんな中、私は女性に話しかける。

「やさしそうなお父さんですね」

「えぇ。無口なんであまり会話はないんですけど」

そして女性はちょっと照れくさそうに

「今度、時間ができたら実家に遊びに行こうと思います。・・・お父さんが淋しがってるみたいなので。」


女性にお礼を言われた後、職員たちは個々の持ち場へ戻り、私は拾ってくれた子どもを家に送り住宅街の見回りに戻った。

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