諸君! この二人の女の子をおぼえているだろうか!

「あーあ、困っちゃうなぁ」
「まったくよねー、困っちゃうわー」
「聖杯戦争なんて言われたって、こっちも叶えたい願いなんてないよぅ……」

 なんて、困っているの青い髪の女の子は森沢優ちゃん。
 そんなに困っていない方のピンクの髪の女の子はそのサーヴァントの≪キャスター≫ミンキーモモである。

 なんとなんと、この二人の乙女も、この聖杯戦争に巻き込まれてしまっていたのだっ!

 もし、知らないという人がいたら、その人たちの為に教えてあげよう。
 説明がいらないという人は、次のセリフのところまで飛ばしてほしい。

 森沢優は、東京都国立市くりみヶ丘でクレープ屋を営む森沢家の一人っ子である。
 私立セントレミー学園小等部に通っている、自由奔放を絵に描いたような女の子だ。
 ある日、魔法世界「フェザースター」の箱舟を見た優ちゃんは、な、な、な、なんと! 魔法のステッキを授かって、魔法が使えるようになってしまったのである!
 魔法の天使クリィミーマミとなった優ちゃんは、新宿でアイドルとしてスカウトされてしまう。
 アイドル・クリィミーマミと森沢優としての二重生活を送っている彼女は、時に悩みながらもたくさんの人に歌と希望を与えていくのが彼女の昨日までの物語。

 一方、ミンキーモモは、空にある夢の国「フェナリナーサ」から来たプリンセス。
 地球では、ペットショップ兼獣医さんの記憶を改竄して、その娘として暮らしている。
 でも、そうやって周囲を巻き込みながらも最後にはみんな笑顔にしちゃうのがこのモモという女の子なのだ。
 好奇心旺盛で元気爆発! 魔法の呪文で18歳の女の子になって色んな事件を解決して、夢を与えていくのが彼女の使命である。

 二人とも、たまに挫折したり、悩んだりするけど、前を向いて自分の持つ魔法と向き合っている。
 願いは自分の力で叶える物だっていう事を、誰よりもよく知ってるし、世の中がそんな魔法みたいにうまくいくものじゃないと誰よりもよーく知っているのだ。

 だから、二人は聖杯戦争なんて大っっっ嫌い! ニンジンよりも、ピーマンよりも、シイタケよりも、聖杯と戦争が嫌いだ。
 たまーに悲しい事もあるけれど、楽しくて楽しくてたまらないいつもの日常が、二人は大好きで、またそういう日常に帰りたいと思っているんだ。

「この聖杯戦争のお陰で原宿に引っ越す事になっちゃったし、しばらく好きな人とも会えないなぁ」
「へー、優ちゃん。好きな男の子いるの。ねえねえ、今度紹介してよ」

 二人は女の子同士の話を始める。
 まだ11歳だからね、仕方ないね。

「だめーっ! 俊夫の事なんてぜーったい教えてやんないっ!」
「えへへー、俊夫くんっていうんだ。優ちゃんの好きな子」

 聞いちゃった聞いちゃった、とはやしたてるキャスター。
 ついうっかり好きな人の名前を口にしてしまった優は、顔を真っ赤に染め上げて怒った。

「こらーっ! キャスター。そんな事言ってると、マリョクキョーキューしてやんないぞぉ」
「えー、それは困っちゃうなあー」
「えっへん! もしこれからもマリョクキョーキューして欲しければ、私の事は優さまと呼べ―っ」
「ははーっ、優さまーっ!」

 ……先が思いやられる二人である。
 でも、こんな事を言って、二人でえへへと笑って、また元の仲良しに戻るのが10歳の女の子だ。

「……あーあ。でも、俊夫だって、もうちょっと悲しそうな顔して見送ってくれたっていいのになぁ」

 優もちょっぴりセンチな気分になり始める。
 この間の引っ越しの日の事を思い出したのだ。

 彼女のブルーの原因は、幼馴染の大伴俊夫。
 優よりちょっと年上だけど、とっても優しい男の子だ。優をいつもからかっているけど、彼も本当は優しくて優の事が大好きなのだ。
 そんな彼が、引っ越しの日には、あんまりにも冷めた態度で優を見送った。優の事が大好きなはずの、俊夫のお友達のみどりくんも、そうだった。

 ……なんでだろう。
 そういう記憶が今の優の中にはあった。
 でも、不思議がるよりも怒りがこみあげてくる。

 確かに、優の家があったところから今の優の家は近いし、マミのコンサートがあれば俊夫は絶対に来るだろう。
 でも、いくら頻繁に会えるとはいっても、前みたいに毎日会って喧嘩したり遊んだりできなくなってしまうんだ。
 あんな形でお別れでいいのかな……。優は悩む。

「ねえ、優ちゃん。俊夫くんってそんなにヒドい奴なの?」
「そうなのっ! 俊夫って、 す っ っ っ ご い ヒドイヤツなの! この前だって、私の事、キュラソ星人って言ったのよー!」
「キュラソ星人! まあ、そんなヒドい事言ったの!?」

 キャスターも、髪型がビラ星人みたいだからって、ビラ星人だなんて言われたら顔を真っ赤にして怒るだろう。

「ね? ひどいでしょー」
「全く、優ちゃんにキュラソ星人なんてヒドすぎるんだわー! 抗議しましょう! 裁判所に訴えましょう! いっそもう別の男に乗り換えちゃえーっ!」

 男の子の話になると、だんだん、ヒートアップする二人だった。

「じゃあ、もういっそ、聖杯で俊夫をすっっっごい優しくてかっこいい男に変えてやっかー」
「そうしちゃえ、そうしちゃえーっ!」

 こうなったらもう二人は止められない。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆



「……キョーボーなヤツら」

 優のフードに潜っていたオスネコが、ひっそり愚痴を呟いた。
 優は二匹の猫の形をした妖精を飼って(?)いた。彼らも優のついでに連れて来られたのだ。
 一匹は、楽天的なメスネコのポジ、もう一匹がこの皮肉屋なオスネコのポジだ。

「ねえ、ネガ。本当に聖杯なんてあるのかしら?」

 ポジがネガにきいた。
 すると、ネガが答えた。

「あるわけねえだろ。そう簡単に魔法で願いが叶ったらこっちだって苦労しないの」
「そうよねぇ……本当ならロマンチックなんだけど……。でも、二人で戦わないといけないのは駄目ね」
「全く、聖杯だとか戦争だとか、厄介な事してくれるよな。……俺知ーらねっと」



◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 やっと落ち着いた優とキャスター。
 のんびりと、これからの方針を考える。

「……でも、やっぱり聖杯戦争なんてやりたくないよねぇ」
「魔法だって誰かの夢を叶える事はできないもん。聖杯なんて嘘だよ」
「そうだよねぇ。……やーっぱ、みんな自分の力で夢を叶えてるんだし」

 優とキャスターは、これまでにあった色々な出来事を思い出した。
 そう、二人は、「夢は自分自身の力で叶えるもの」である事も、「魔法も本当は全然役に立たない」という事もよく知っているのだ。

「ほらポジ、こいつらも意外とシビアだぞ」
「黙ってなさい!」

 ネガの皮肉とポジのつっこみが優のフードの中で行われた。
 しかし、そんな漫才にも優は気づかずに溜息をつく。

「あーあ、戦いたくないなぁ。くりみヶ丘に帰りたいよぉ……」

 優が少し項垂れた。
 そんな優の姿を見て、キャスターは黙り込む。
 こんな時、サーヴァントとしてどんな声をかけてあげればいいだろう。

 しかし、迷っていても仕方がない!
 根拠はないが、キャスターはすぐに優を慰めた。

「大丈夫! あたしがなんとかしたげる」

 どん! と胸を張ってキャスターが言う。
 そんなキャスターの姿を、優は心配そうに見つめた。

「本当に大丈夫かなぁ」
「大丈夫。このミンキーモモの手にかかれば、なるようになーる!」



【クラス】
キャスター

【真名】
ミンキーモモ@魔法のプリンセス ミンキーモモ(1982年版)

【属性】
混沌・中庸

【ステータス】
 筋力D 耐久D 敏捷D 魔力A+ 幸運E 宝具EX

【クラス別スキル】

陣地作成:B
 魔術師として自らに有利な陣地な陣地「工房」を作成可能。
 彼女の場合、民家に拠点を作っている様子も見られる。

道具作成:A+
 魔力を帯びた器具を作成可能。
 結構なんでもちょちょいのちょいで作っている様子が見られる。

【固有スキル】

情報抹消:B
 キャスター対戦が終了した瞬間に目撃者と対戦相手の記憶から、能力、真名、外見特徴などの情報が消失する。
 例え戦闘が白昼堂々でも効果は変わらない。これに対抗するには、現場に残った証拠から論理と分析により正体を導きださねばならない。

フェナリナーサ式魔法:B
 魔術よりも現実性が希薄な魔力運用方法。このスキルの魔力供給は人間の「夢」によって強度が変わる。
 現在の値はBであるが、NPCや参加者の「夢」の力が必要であり、上昇・下降も考えられる(本来ならば地球上の物が有効)。
 ただし、人の夢を叶えたり、生命の法則を覆したりはできない。

【宝具】

『魔法の装飾品(ミンキーモモペンダント)』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1~99
 キャスターの強力な魔力、及びそのスキルの供給源。
 この宝具がある限り、キャスターは通常の魔術師以上の魔力を使用でき、魔術の範疇を超えた運用も可能となる。
 キャスター自身も潜在的な魔力を有しているが、大部分はこの宝具に依る為、これが破壊されると魔法が使用できなくなってしまう。
 また、地球上に存在する「夢」によって、維持される為、「夢」の力が弱くなるほどその耐久性は脆くなる。

『大人の階段(アダルトタッチ)』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:─ 最大捕捉:─
 『魔法の装飾品(ミンキーモモペンダント)』を運用し、あらゆる能力を持つあらゆる職業を獲得する宝具。
 この宝具の使用によって身体年齢は18歳に変わる。その際に変身できる職業は任意。
 また、その職業によっては、一時的にパラメーターの上昇やスキルの増加が行われる。

『夢の国の車(グルメポッポ)』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1~5 最大捕捉:1~5人
 キャンピングカーを模した宝具。
 キャスターの移動手段であり、自動車としてもヘリコプターとしても使用できる。
 キャスターの外見年齢は10歳くらいのはずだが、キャスター自身の記憶操作によって、公道で平然と運転していても誰かに不審に思われる事はない。
 地球上に存在する「夢」によって作られている為、それが喪失されると消滅する。

【Weapon】
 『魔法の装飾品(ミンキーモモペンダント)』
 『夢の国の車(グルメポッポ)』

【人物背景】
 夢の国フェナリナーサから、地球に来たプリンセス。
 その出自から驚異的な魔力を先天的に持っており、指先一本で簡単に道具を出したり、人間の記憶を改竄したりできる。
 地球に来た際は、「どこかの国のどこかの町」でペットショップを営む子供のいない夫婦のもとに勝手に記憶を改竄して「娘」として介入。
 以後、その家で暮らす。

 主にヤクザや地上げ屋、暴走族、核攻撃などのやたら現実的な脅威と戦った逸話が有名。
 そんな日々の中で、「夢は与える物ではなく自分で持つ物だ」と気づき、モモ自身も成長していく。
 最終的には、魔法の限界にぶつかった挙句、ペンダントを銃撃されて破壊されて魔法を失い、交通事故で死亡する為、幸運値はとても低い。
 死後は、自分自身の本当の夢を抱きながら、地球での両親の本当の子として生まれ変わった。
 ちなみに、よく似ているハマーン・カーンとは関係ない。

【サーヴァントとしての願い】
 ない。願いや夢は自分の力で叶えていくもの、あるいは時として絶対に叶わないものだから。

【方針】
 なるようになーる!

【基本戦術、方針、運用法】
 キャスターの魔力は、人間の持っている夢によって供給されている。
 人々が夢を失ってしまうと、それと同時にキャスターのステータスはどんどん弱まってしまう。
 最終的には、宝具が銃器であっさり破壊されてしまったり、キャスター自身が車に撥ねられただけで消滅してしまうかも。
 マスターが、夢を失った人間には見えない「フェザースターの箱舟」が視える希少な人間である事から考えると相性は最高なのだが、やはりマスターを曇らせない事が大事。
 直接戦闘はどう考えても不利だが、『魔法の装飾品(ミンキーモモペンダント)』で大人になる事で上手に困難から解決していこう。
 また、マスターの優もクリィミーマミに変身すれば、多少魔力の加護が受けられる(戦闘向けではないが、高所から落下しても平気な描写や、超能力程度の不思議な力は使える)。


【マスター】
森沢優@魔法の天使クリィミーマミ

【マスターとしての願い】
 ない。願いや夢は自分の力で叶えていくもの、あるいは時として絶対に叶わないものだから。

【weapon】
 ポジ、ネガ
 ルミナスター

【能力・技能】
 クリィミーマミに変身できる(その際、肉体年齢は14歳になり、魔法の運用ができる)

【人物背景】
 私立セントレミー学園小等部。1973年10月10日生まれ。10歳→11歳。
 両親は東京都国立市のくりみヶ丘でクレープ屋「クリィミー」を経営しており、自身も店を手伝っている。
 魔法世界「フェザースター」の妖精・ピノピノが乗る箱舟を助けたことから1年間だけ魔法をもらい、クリィミーマミに変身する事になった少女。
 新宿で変身した際に芸能界にスカウトされ、歌手・クリィミーマミとしてデビューした後は、優とマミの二重生活が始まる。
 更に、優が好意を抱く幼馴染の俊夫がマミにメロメロになるという「二人だけの三角関係」が勃発。
 自由奔放で心優しい性格であるが、マミとして芸能界の仕事をする中で成長し、同世代の女の子よりも少し大人びている。
 夢を失った人間には見えない「フェザースター」が見える事から、強い「夢」の資質を持っていると推定され、キャスターとの相性は高い。

【方針】
 困っちゃうなぁ。元の生活に帰りたいよぉ。

【備考】
 くりみヶ丘から引っ越してきた事になっています。
 その為、両親はこちらにもいるようですが、敏夫やみどりなどの友人は来ていません。
 彼女の記憶上では、引っ越しの際の別れは少々そっけない物だったようです。

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最終更新:2015年12月14日 20:58