────未明、ランサーが一人散った。



 ランサーのサーヴァントは、巨大な槍に心臓を貫かれて死亡した。
 彼及び彼の周囲に向けられた攻撃は、「槍」の連弾であった。
 ランサーが放った「槍」の攻撃が、そのまま、「槍」の雨となって、ランサーの周囲に返されたのである。

 その槍の雨が、偶然、降り注いだ先がランサーの心臓だった。
 膨大な鮮血とともに、哀れにも、自身の得意とする武器で、ランサーは散った。

 その時、ランサーの相対したサーヴァントに攻撃の意思はなく、そのマスターにも交戦の意思は無かった。
 ランサーが、それを見つけ、一方的に攻撃を仕掛けただけである。

 だが、ランサーは負けた。



 このサーヴァントに、攻撃を与えるという行為は、何よりも愚かな敗北への路に違いなかったのである。



 エクストラクラスで召喚されたそのサーヴァント──イフ。
 完全生命体の異名を持つイフを倒す術は、────"無い"。


 イフは如何なる攻撃を受けても、それで死ぬ事はなく──そして、それを何倍にもして返してくる。


 ミサイルも、光線も、何もかも。
 下手をすれば、マスターの令呪を用いた命令すらも、マスター自身に返してしまうかもしれない。
 それが、イフだった。
 いわば、彼を滅する方法は存在などしなかった。
 敵の持つ悪意や戦意を返し、敵にぶつける──その果てにあるのは、イフに愚かな感情を向けた者の死のみである。

 だが、それは、決してイフに勝てないという事であって、イフに負けない事そのものは容易であった。

 イフに、"障らなければ良い"のである。
 このサーヴァントは、例えマスターが令呪を以て命令しても敵を害する事はない。
 それだけがイフの弱点だった。



 ────そして。
 この最強のサーヴァントを召喚したマスターとは何者であったのか。



 マスターは、ある一家にいた。



 ……それもまた、聖杯戦争の意思を持つ者ではなかった。
 これからの出来事次第で如何様にも正しくなり、如何様にも悪しくなる。
 イフがこの世に現出した時、聖杯戦争を起こす意思も、聖杯を破壊する意思もなく──戦う意思すらない。
 彼女は、今、時折起こる謎の体調不良に、悩まされているだけだった。






 野原ひまわり──彼女は、無垢な"赤ん坊"であった。





【CLASS】

イフ(エクストラクラス)


【真名】

完全生命体イフ@ウルトラマンマックス


【パラメーター】
基本
 筋力- 耐久EX 敏捷- 魔力? 幸運- 宝具EX


【属性】

無・反射


【クラススキル】

完全生命体:EX
 自らに与えられた攻撃を無傷で防ぎ切る防御と、それらを学習して跳ね返すスキル。
 故に、イフを物理的に破壊する事は出来ず、イフを攻撃する事はイフの強化を手伝う事にしかならない。


【保有スキル】

単独行動:EX
 マスター不在でも行動できる能力。
 EXランクならば、マスター不在でも外宇宙でも行動できる。

反射:EX
 敵が持つスキルによって放たれた刺激を、そのまま反射できるスキル。
 つまり、相手が飛行して攻撃したならばイフも飛行して攻撃し、相手が加虐体質を伴って攻撃したならばイフも加虐体質を伴って攻撃を返す。

自己再生:EX
 攻撃を受けてバラバラに破壊されても再生してしまうスキル。
 EXランクは、分子レベルの分解を受けても即座に再生してしまう。


【宝具】

『総べてを反す生命(イフ)』
ランク:EX 種別:対全宝具 レンジ:∞ 最大捕捉:∞

 敵が放つ意思・攻撃を学習し、そのまま返すこの英霊の性質そのもの。
 何故このような性質を持ち、何故かつてこの英霊は地球に来たのか──それは一切明かされていない。

 この宝具はクラススキルと同質であり、如何なる攻撃・スキル・宝具を受けても再生し、それを学習して返してしまう。
 しかも攻撃をどれだけ受けても際限なく進化してしまう。要するに、まともに攻撃して倒そうとしても、イフが滅びる事がない。
 更に、敵の攻撃をそのまま返す行為は、敵サーヴァントの放った攻撃の魔力を返すだけである為、魔力は消費されず、マスターにとってもこの宝具による負担が起きない。

 ただし、これらの性質の代わりに、敵から攻撃を受けていない時は、令呪によって命令されてもイフ自身も敵を攻撃しない(令呪の命令さえも返してしまうかもしれない)。
 このサーヴァントには、マスターや如何なる相手にとっても、「触れない」事が得策である。


【weapon】

 なし


【人物背景】

 突如、宇宙から飛来した物体。
 受けた刺激を増幅し再現する能力を持ち、ウルトラマンすらも絶対に勝てない存在。
 つまり、敵の攻撃を受けても際限なく学習して、それを返してしまう。
 それに加えて、敵の攻撃でバラバラにされても即座に再生してしまい、形を変えて蘇える。
 このように、イフの「攻略法」はないのだが、「解決法」ならば幾つか存在する。

 現在は、そのサイズは2m大の繭のような姿(現世にいた頃よりも少し小さい)で、ランダムに霊体化や実体化を繰り返す。
 出現位置も完全にランダムで、どこに現れてもイフは、自ら攻撃や破壊行為を行う事はない。


【サーヴァントとしての願い】

 不明。



【マスター】

野原ひまわり@クレヨンしんちゃん


【マスターとしての願い】

 なし


【weapon】

 なし


【能力・技能】

 赤ん坊離れしたハイハイの速度や戦闘力。


【人物背景】

 「クレヨンしんちゃん」に登場する野原一家の赤ん坊。
 野原ひろしと野原みさえの間に生まれた長女で、野原しんのすけの妹にあたる。
 光りモノややイケメンが好き。しんのすけに次ぐ問題児。
 とはいえ、無垢で争いを好まず、敵に対して多くの人間が悪意を向けた時には泣き出してしまう心の優しい性格である。


【方針】

 そもそも聖杯戦争をよくわかってない。
 サーヴァント実体化に伴う魔力消費による「体調不良」が起こり、突然に泣きだす事が多々ある。

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最終更新:2015年12月08日 18:46