涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki
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涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki
ja
2024-03-16T04:46:23+09:00
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SS企画ページ用・感想所
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1588.html
- Short Summer Vacationで泣きそうです -- 禁則事項 (2006-09-12 21:44:23)
- 本スレで意見するのもなんでしたので、こちらで。良作品の数々、各作者さんにGJ! -- 名無しさん (2006-09-13 09:10:54)
- Short Summer Vacationで泣いてしまいました・・・&br()書いた人は神!&br()良作サンクスwww -- 名無しさん (2006-09-13 18:36:11)
- Short Summer Vacation を間違えてエピローグから読んだ俺は負け組。でも良かった -- 名無しさん (2006-09-14 01:38:24)
- Short Summer Vacationの作者GJ!&br()ただ、キーワードが意味なくね&br()「夏」って単語が入ってればそればいいの? -- 名無しさん (2006-09-15 00:46:39)
- お題は「夏」だけど、管理人さんも連想するものならOKとか&br()難しく考えるなって言ってたし。&br()S.S.Vも最後の短い夏休みを書いてたんだし良いんじゃない?&br()あまり季節に関係ない話だったとは思うけどな -- 名無しさん (2006-09-15 13:40:37)
- 俺の勝手な解釈だが、おそらく、セミの寿命とキョンの余命、&br()その余命の間の濃い生き方をシンクロ(?)させたんだと思う。&br()何かにつけてセミが出てくるし、作中でハルヒが&br()「セミは地上にいる2週間~」とも言ってるし、そう考えると&br()夏である必然性が出てくるのでは?&br()って、俺深読みしすぎだな・・・、吊ってくるわ。 -- 名無しさん (2006-09-15 14:13:02)
- SSV、どうせ死なないですむんだろとか思ってたんですけどね。 不覚にも泣いた -- 名無しさん (2006-09-18 21:24:30)
- 指輪物語も企画作品だったんですね!&br()これも自分が投票した他作品に負けない力作だと思いました。乙です。 -- 名無しさん (2006-09-19 11:32:16)
- 自分はSSVが好きですが、&br()ほかの作品も負けず劣らずよくできていますね。&br()職人の皆様、管理人さん、本当に乙です。 -- 名無しさん (2006-09-19 16:34:57)
- Short Summer Vacationはいろんな意味で&br()本作品よりも文才が感じられるかもしれません。&br()本業の方ですか?と思うほど感動する物語で&br()涙が出ました。お疲れ様です&br()ほかの職人さんの皆様もご苦労様です -- 名無しさん (2006-10-01 18:55:29)
- 遅まきながらすべて読みました。良作ばかりでよかったです -- 名無しさん (2006-10-12 22:02:59)
- 涼宮ハルヒの微笑はよかったと思うよ。アレは最近じゃ俺の中で1位だね。 -- 名無しさん (2006-10-13 01:06:00)
- ショートサマーバケーションがとても&br()感動できました。&br()神職人ですね。GJです! -- 名無しさん (2006-11-09 15:47:59)
- SSV見た。べ、別に泣いたんじゃないんだからね!目にゴミが…入っただけなんだから(´;ω;`) -- 名無しさん (2006-11-09 21:36:34)
- 涼宮ハルヒの微笑は本作の最終話にしても良いくらいの出来でとてもよかったです。&br()『Short Summer Vacation』はもう泣きすぎて目痛い。本心から幸せに逝ってほしいと願えた。 -- 名無しさん (2006-11-19 13:03:05)
- チャック谷口って「ナンパしようぜ!?」が元ネタ?&br()俺の中でかなりヒットしてるんだけど -- 名無しさん (2007-02-06 23:59:14)
- 違うよー。&br()どこが発祥だったかな、プリンやアナルではないと聞いた。 -- 名無しさん (2007-02-07 00:55:40)
- SSVはエピローグが泣ける -- 名無しさん (2007-02-19 01:08:33)
- SSVを何度も読み直しているが・・・絶対泣く。&br()すばらしい作品に出会えて感謝。&br() -- 名無しさん (2007-02-19 01:27:42)
- 朝比奈みくるのクーデター、読ませてもらいました。&br()相当のハラハラもので、2話連続位脳内再生したほど、ですね。&br()相変わらず機関は力が強いですが、&br()もし国内の大規模テロが起こるとしたら、とも思ったり。 -- 名無しさん (2007-02-19 02:57:42)
- ここは夏企画の感想用ページですぜ -- 名無しさん (2007-02-19 04:27:05)
- short Summer Vacation&br()ホントに最高。マジで泣ける -- 名無しさん (2007-02-19 07:57:27)
- SSVのキョンってなんで死んだの -- 名無しさん (2007-02-20 03:16:15)
- 死んだ理由はわかりません。そこが解決しないのが唯一の欠点だとも指摘されてたな -- 名無しさん (2007-02-20 03:34:52)
- すげぇ。ふつうに感動した。長門のとことか良いよね。&br()作者はまじで神。本当にGJ -- 名無しさん (2007-05-27 22:41:57)
- SSV読んだが、久し振りに悲しみで泣いたよ。&br()たぶん、耳元で『妹忘れちゃおしおきよ』が鳴らなかったら声出して泣いただろうな。 -- 名無しさん (2007-05-27 23:31:16)
- SSV見て久しぶりに泣いた・・・&br()キョンの死は心臓麻痺かなんかで解釈してる自分がいた。&br()しかし、このSSは神だと思う。マジでGJ!&br()書いてる人は本職でノベル出してるんじゃないかな?&br()板違いだけど、「悩みの種」「キョンの死」「10月8日曇りのち雨」?でも&br()泣いたけど、これはそれ以上だった&br()SSV書いた方に乾杯&br() -- 名無しさん (2007-05-28 00:13:26)
- ShortSummerVacation……。こんな良作SSを今の今まで知らなかったorz&br()涙を堪え切れないとかCLANNAD以来かも……。いやもう本当にいい作品ですね。 -- 名無しさん (2007-05-28 00:25:52)
- うーん&br()どうしてもメインキャラより谷口、&br()国木田あたりにいっちゃう俺って……&br()でも、面白かった&br()俺もあんな友達欲しいな〜&br()それで、一度はいってみたい&br()ナンパしようぜ! -- 名無しさん (2007-05-28 00:36:07)
- 企画部屋のSSを初めて読んだ。&br()罪と罰の後日談、罪と罰って完結してたっけとか思ってしまった&br()&br()しかしSSVは目に生理食塩水をためずにはいられない… -- 名無しさん (2007-05-28 22:15:12)
- たった今SSV読み終えた。最高の作品だと思う。本編のエンディングこれでいいんじゃね?&br()後半ほとんど泣きっぱなしで目がはれてしまった・・・ -- 名無しさん (2007-07-13 04:13:17)
- ↑のおかげで企画作品に気付くことができますた本当にありがとうございました -- 名無しさん (2007-07-14 19:42:03)
- 今SSV読み終えた&br()俺の読みでは、ハルヒが葬儀で泣かなかった理由は、キョンが『俺が死んでも泣かないでくれ』的なことを言い、キョンの死因はデスノート(平野絡みで)&br()&br()あれ?右目から生理食塩水が……? -- 名無しさん (2007-07-15 23:13:19)
- ↑ほんとに読んだのかよww本編で言ってるよ…&br()何はともあれShort Summer vacation泣けました。&br()でもこうはなって欲しくないです。 -- 名無しさん (2007-08-04 21:37:39)
- オレは一高校生ながらリアルで友人の死を体験してるわけだが…&br()なんか…よくワカランが…SSVには共感を覚えるなぁ。うん、みんなもダチは大切にしろ -- 名無しさん (2007-08-06 01:04:58)
- Ssvって長編?&br()短編?どこにあるんだ?みんなの感想みてもう一回見たくなったよ -- 名無しさん (2007-08-08 04:31:35)
- トップページ→メニュー→企画部屋→夏企画、だったかな? -- 名無しさん (2007-08-08 07:08:45)
- SSV見てみたけど…全く関係ないところだが古泉がガチである必要性はあったのか?いやいい作品だったけど。キョンの心理とか鬼気迫るものを感じたし -- 名無しさん (2007-08-08 07:22:50)
- ↑×2 サンクス、早速見てきた&br()いやー中編でもう涙でてたんだがwww -- 名無しさん (2007-08-08 16:07:22)
- 涼宮ハルヒシリーズには全く興味がなかったが、涼宮ハルヒの微笑を読んでから、涼宮シリーズに対する印象が変わった。&br()傑作だったと思う。素晴らしかった!&br()あれだけの物を書くのは大変だったと思います。お疲れ様、ありがとう! -- 篠崎 (2007-08-25 15:24:43)
- 俺は涼宮ハルヒの微笑が一番いいと思う。谷川顔負けのクオリティだと思うね。 -- 名無しさん (2007-08-25 16:12:51)
- Yも結構前に涼宮ハルヒの微笑を別西都(http://17.xmbs.jp/saw0ta/)で読んで面白かったんで原作の小説を読む気になりますた(`-●Д●-) -- 名無しさん (2007-08-25 16:25:36)
- ↑それ無断転載サイト&br()あとここは企画SSの感想を書く場所であって微笑信者の避難所じゃないんだがな -- 名無しさん (2007-08-25 16:37:57)
- 肉じゃがおもしろかった -- 名無しさん (2007-08-25 17:21:18)
- ↑あんたもっと違うよwww -- 名無しさん (2007-08-25 17:43:24)
- ボケか自演か天然か -- 名無しさん (2007-08-25 17:45:05)
- 無断転載とか言ってる輩&br()何故無断転載だと言い切れる?&br()なら此処はどうだ?&br() -- 名無しさん (2007-08-25 19:09:52)
- もちつけ。ここは議論する場でもない。 -- 名無しさん (2007-08-25 19:13:19)
- 古泉+長門とか見る気しね〜&br()古泉はガチホモ&報われないキャラでいいものを…&br()とアンチ古泉が申し上げます。 -- 名無しさん (2007-08-25 19:21:07)
- 死ね。とりあえずよそでやれ。ここはそういう場所じゃねえ。 -- 名無しさん (2007-08-25 19:40:10)
- 指輪物語も最高 -- 名無しさん (2007-08-28 16:53:45)
- SSVのラストのキョンのセリフを読むのと同時にGod Knows…聴くと切なくて泣かずにはいられなくなる…。 -- 名無しさん (2007-08-29 18:57:15)
- ↑そのコンボはまさに「神」 -- 名無しさん (2007-08-31 01:50:53)
- なんでかは知らないが古泉長門物が最近凄く多いな。&br() -- 名無しさん (2007-08-31 07:37:46)
- 微笑はいいんだけど&br()長門エンドが気に入らん キョンハル命ですから -- 名無しさん (2007-09-24 14:13:41)
- SSVは・・・無理。切ない。GJ。 -- 名無し (2007-09-24 16:15:05)
- SSV、微笑ともに最高だったマジ泣ける(;-;) &br()ところでSSVでのキョンの死因って実際なんだったんだろうな。 &br()長門に直せないってことは通常の病気とか怪我じゃないだろうし・・・ &br()あの状況で突然死ぬってのは一体・・・ -- 名無しさん (2007-11-30 23:26:09)
- やべ・・・ここがあったのに雑談所にSSV感想書いちゃったよ・・・ &br()しかしハルヒに超能力がらみの真相を告白したのだから死なないように出来たんじゃないかって思えてきたんだがどうなのかな。 -- 名無しさん (2007-12-01 00:06:56)
- ↑ &br()細かいことは気にしちゃダメだ。SSVは名作。それでいいじゃないか。 -- 名無しさん (2007-12-01 00:38:38)
- 微笑は大作 &br()すごい良く出来てると思う &br() &br()SSVは神 &br()本当に素晴らしかった &br()こんな感動できる作品に出合えて嬉しい &br()心より作者を尊敬します &br() -- 名無しさん (2007-12-01 00:52:30)
- ↑↑↑ &br()ハルヒの力が弱まったから長門が待機モードになったんじゃない? -- 名無しさん (2007-12-01 07:19:31)
- ↑×3&↑ &br()そうだね、その通りだ。オレってヤツは・・・名作を汚す所だったよ。 &br()気づかせてくれてありがとう!! &br()すまん、逝って来る(;´Д⊂ -- 名無しさん (2007-12-01 10:19:02)
- SSVは長門が長門っぽくなかったな。 &br() &br()勿論泣いたよ。すんげぇ泣いたよ -- 名無しさん (2008-05-14 18:13:57)
- やばい &br()SSVは神だ! &br()本気で号泣した(´;ω;`) &br() &br()あとは 涼宮ハルヒの微笑も良作!あれも泣いた -- 名無しさん (2008-09-14 20:39:56)
- 俺は人が死ぬ事で感動を呼ぶ話ってあんまり好きじゃないな。 &br()確かに切ない系の感動は演出し易いけど。 &br()映画やドラマとかでも誰かが死んだってなったら &br()またかって感じで一気に冷めちゃうんだよね。 &br()勿論、微笑なんかは原作に出てきてる部分を上手く使いながら &br()ストーリーを編み上げてる所が凄いとは思う。 -- 名無しさん (2008-09-14 21:48:54)
- ヤバい! &br()SSVマジ涙(ρ_;) -- 名無しさん (2011-04-08 20:05:25)
- 涼宮ハルヒの微笑・・・ &br()泣いた -- ななし (2011-04-16 19:41:24)
- レスポンスが不正と表示されて微笑とかShort Summer Vacationがみれないですorz -- 名無しさん (2011-04-17 02:24:40)
- ↑の続き &br()管理人さんどうか見れるようにしてください!SoftBankです。ページをもっと細かくわけることは出来ませんか?汗 -- 名無しさん (2011-04-17 02:26:37)
- PCで見ればいいじゃん -- 名無しさん (2011-04-17 14:35:33)
- めっちゃすごい -- akasa (2011-04-30 15:47:21)
- SSVは神作だがキョンの死因が分からないのが唯一の欠点(泣いたけど) &br() &br() &br()涼宮ハルヒの微笑は………正直あれが驚愕の変わりでもいいレベル -- 名無しさん (2011-08-08 21:23:29)
- 何でキョン死んだんだろ? &br()てっきり車にひかれるのかと... &br()でも面白い!泣ける!小説家いけるよあれ! -- キョン大好き (2012-03-19 18:31:39)
- 連続ごめん。 &br()SSV最高だよー! &br()ごめん、これ言いたかっただけ。 -- キョン大好き (2012-03-19 18:33:26)
- 久々にサイト来て、時間かけてここ最近上がってるやつ読んできたけど地味に面白かったのは分身かな。 &br()タイトルバレはアレだったけど -- 名無しさん (2012-06-04 00:14:58)
- ssvはネ申! &br()缶コーヒーふたつと10月8日も(・∀・)イイ! -- 名無しさん (2012-06-05 19:16:07)
- 上に書いてたてあるやついくつか読んだ。 &br()分身、指輪、缶コーヒーどれも面白かった! -- 名無しさん (2012-08-17 00:01:34)
- 缶コーヒー -- 名無しさん (2012-08-22 20:27:53)
- 長門有希の憂鬱シリーズがぱねぇっす -- 名無しさん (2012-08-27 11:20:22)
- Short Summer Vacationと微笑読みました。 &br()Short Summer Vacation、ぶっちゃけハルヒネタじゃなかった方が良かった気がする。 &br()ハルヒがキョンが死ぬ事を納得する流れが急すぎるのが残念。 &br()微笑はよく出来た話だったと思います。ストーリー的にはよくある展開な気もしますが &br()きれいに原作の複線を回収したのが凄い。 -- 名無しさん (2012-10-16 02:00:35)
- ハルヒが死なないでって &br()言うから死ななかった &br()的なオチを予想してたよ -- 名無しさん (2015-02-01 05:42:00)
- ここしか書くとこないから一言 &br()避難所落ちてる -- 名無しさん (2015-02-22 17:39:21)
- 落ちてるってか、わいわいKakikoが死んだからもう復活しない -- 名無しさん (2015-09-01 03:47:28)
- ここももう終わりってこと? -- 名無しさん (2015-11-15 14:21:45)
- 誰か見てる?ロダにトップ画像うpしといた -- 名無しさん (2015-12-15 03:26:51)
- 面白かったけどこんな辛気臭い結末ハルヒには似合わない。 &br()キョンがあまりに最強すぎたのも萎えた。矛盾点も多いし。 -- 名無しさん (2016-06-15 06:00:29)
- すげぇ良かったです。 &br()職人さん天才♪♪ -- フェンリル (2016-06-20 15:08:07)
- もう見てる人もほとんど居ないだろうし更新も一年全くないけど。 &br()微笑を筆頭として軌跡やら機械知性体たちの輪舞曲やら、他にもハルヒのSSは名作揃いでした。 &br()感動と興奮をありがとう。 -- 名無しさん (2018-09-10 01:24:46)
- カクヨムにいるよ -- 名無しさん (2018-09-16 23:41:40)
- 高校時代よく読んでました。26歳 -- 懐かしい (2018-10-28 21:53:40)
- だいぶ遅れてハルヒシリーズにハマった者だけどここにくれば沢山の名SSを読むことが出来て本当に感謝しています。ありがとう! -- 名無しさん (2018-11-25 03:12:17)
- まだ時たま動いてることに感動します。 &br()ここを見ると青春時代に戻れますね -- 名無しさん (2018-12-12 23:51:34)
- 新刊が出て、またブームが来ることを! -- 最近はまった高校生です。 (2019-01-25 01:59:18)
- ↑ここにハマるとは… &br()もはや逃れられんぞ -- 名無しさん (2019-08-22 06:51:58)
- topのgifが死んでるのを見て、ああほんとに色々と時間が流れたんだなって実感した。 &br()最高だったよ -- 名無しさん (2019-12-06 23:28:16)
- 上にもあったけど、ここに来ると青春を思い出すと同時に、止まってしまった時間に悲しくなる。 &br()あの頃はキョンやハルヒと同い年だったのに、気付けば30手前になってしまった。 -- 名無しさん (2020-01-06 00:31:29)
- すごく久々に消失を見て、ここのことを思い出して来ました &br()懐かしいSSを読んで当時を思い出して切なくなった &br()自分も年を取ったなあ -- 名無しさん (2020-01-10 00:14:59)
- まだここに人がいるとは…(困惑) -- 名無しさん (2020-01-23 23:57:02)
- SSの本文が全く読めなくなっていま。荒らしでしょうか? &br()残念… -- 名無しさん (2020-02-15 11:56:44)
- 数日前までは普通に読めてたのに、読めなくなってる。 &br()めっちゃショック。 -- 名無しさん (2020-02-16 10:52:53)
- Wikiなのでサーバにバックアップがありました。 &br()これから余裕を見つけてロールバックします。 -- 名無しさん (2020-02-29 00:01:28)
- 天才か???? &br()感謝しかない、ありがとう。 &br()楽しみにしてます。 -- 名無しさん (2020-02-29 15:46:48)
- 数ヶ月ぶりにのぞいたら貴重なSSが消えてて悲しかったです。 &br()SSの復旧楽しみに待ってます。 -- 名無しさん (2020-03-04 21:10:08)
- 数年ぶりに来たら読めなくなってるな &br()リンクは検索されるからデータ自体はあるんだろうけど、時の流れを感じるなぁ -- 名無しさん (2020-03-05 15:22:24)
- 読めないの俺だけじゃなかったのか。 &br()面白いSS多かったのに残念だ...。 -- 名無しさん (2020-03-05 21:56:11)
- えっ、まさか読めなくなってしまうなんて…ショックが大き過ぎる 復旧することを心の底から祈っています -- 名無しさん (2020-03-05 22:53:38)
- Wiki形式なので、サーバに過去の編集履歴が全て保存されています。 &br()1 PCのブラウザからアクセス &br()2 左上の「表示」タブから「編集履歴(バックアップ)」をクリック &br()3 「ソース|最新版」の「ソース」に遷移する &br()4 削除される直前の版のhtmlソースが読める &br()htmlが平文で保存されてるので、一枚ずつ再書き込みすると復活できるのかな、と。 &br() &br() &br()かなりの枚数なのでどうやって自動化したのもか… -- 名無しさん (2020-03-06 19:40:55)
- 自分お手伝いしてもいいですかね?メンバーじゃないんですけど... &br()編集履歴には載ってないけど消えているってのも多くありますが、ソース自体は見つけられたので &br()多分全部復元できますね。時間さえあれば -- 名無しさん (2020-03-07 00:56:44)
- よろしくお願いいたします。心強いです。 -- 名無しさん (2020-03-07 02:22:48)
- 空いた時間にちょこっちょこ(自分が読みたいものと、人気作を)復旧 &br()させていってます。 &br()管理人さんがいないと復旧できないとこもあるんですけどどうしましょう... -- 名無しさん (2020-03-07 23:30:30)
- SSの復活を・・・ -- 名無しさん (2020-03-10 01:45:30)
- ほんとや!見ようと思えば編集履歴からみれる… &br()復旧をお願いしますね… -- 名無しさん (2020-03-11 17:44:48)
- スマホでも復旧できますね。 &br()お手伝いします。 -- 名無しさん (2020-03-11 17:59:49)
- おおおお、だれか復旧手伝ってくれてるーーー。すごい勢いだ。 &br()1人で心細かった....ありがとうございますッ -- 名無しさん (2020-03-11 23:47:18)
- 共に頑張りましょう! &br()普通の短編のリンクを見つけたのでよかったら。 &br()https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/276.html -- 名無しさん (2020-03-11 23:51:40)
- これいちいち編集履歴からソース引っ張ってこなくても &br()編集モード切り替えるだけで復活しますね。それが救い -- 名無しさん (2020-03-11 23:55:05)
- 長編・涼宮ハルヒのリンクです。 &br()どうぞ活用してください。 &br()https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/510.html -- 名無しさん (2020-03-12 01:11:35)
- 長編のリンクです。編集画面ですがここから閲覧できます。 &br()https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/?cmd=backup&action=show&pageid=12&num=1 -- 名無しさん (2020-03-12 01:13:28)
- 短編のリンクです。 &br()https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/?cmd=backup&action=show&pageid=16&num=1 -- 名無しさん (2020-03-12 01:50:15)
- あげないと更新したページに埋もれちゃうので。 -- 名無しさん (2020-03-12 13:59:29)
- 長編 ハルヒ1 復旧終了 &br()ハルヒ2 現在復旧中 -- 名無しさん (2020-03-13 00:29:46)
- 甘い短編終了。 -- 名無しさん (2020-03-13 22:17:23)
- うおお… &br()ちょっと見てないうちに大変なことになってたんですね &br()手伝えるなら自分も手伝います -- 名無しさん (2020-05-17 01:00:52)
- これ、本格的にやるなら復旧方法に関するページを作ったほうがいいかもですね。 &br()そしたら自分みたいにふらっと立ち寄った人間も復旧作業に参加しやすくなるかも。 &br()明日以降暇なときにやってみます。 -- 名無しさん (2020-05-17 01:08:11)
- いや、違うな… &br()すでに避難所ができてるんですね。 &br()連投しまくってごめんなさい。 -- 名無しさん (2020-05-17 01:17:47)
- 短編・長編の最新版を編集履歴のソースからコピーして新規ページ化してみました。 &br()避難所ができていてもやっぱり本家の保守作業は続けていきたいな・・・。 -- 名無しさん (2020-05-23 09:52:40)
- いまageられてた古泉一樹の休日めっちゃいいですね。 &br()うなったわ -- 名無しさん (2020-06-09 15:51:42)
- 佐々木「憂鬱だ」の短編読んだけど本当に泣いた &br()これ原作超えたんじゃないか?と思うくらい良かったし凄い切ない気持ちになった &br()いくら頑張ってもキョンと結ばれる事がないのにそれを認められない佐々木が愛おしかった &br() &br() &br()作者さんいい作品を本当にありがとうございます -- 名無しさん (2020-06-15 02:05:20)
- 佐々木「憂鬱だ」を書いた作者さん。もし宜しければ私と同人誌を出してもらえませんか? &br()私はこの作品に感動しどうしてもこの作品を漫画にし世に出したいと思いました。作画は私がやりますのでどうか原作を書いていただけないでしょうか。 &br()私は美術大学に通うただの学生です。作画のクオリティに関しては保証できませんが精一杯努力します。 &br()ご興味があれば「minami@wanko.be」のメールアドレスにご一報ください。 &br()いつまでもお待ちしております。 &br() &br() &br()この場でこのような発言は不適切かもしれないので気分を害された方々には深くお詫び申し上げあげます。 -- 名無しさん (2020-06-15 02:44:18)
- 2月末に絶望して以来、久し振りに開いた。読みたかったSSの復旧方法が分かって感動した。ありがとう、復旧作業を続けてくれている方々。 -- 名無しさん (2020-06-25 23:40:08)
- そういや、長門有希の憂鬱シリーズの作者さんがカクヨムにおって、涼宮ハルヒの経営IIが読めるんよね &br()未だにこの時代のSS作家さんが動いてるのを見るとちょっと感動する。 &br() -- 名無しさん (2020-07-02 09:42:36)
- 今ここの作品を全て復旧させた避難所が作られています。もちろんここも復旧させたいですけどね -- 名無しさん (2020-07-13 21:47:50)
- 避難所すごいですよね、管理人権限のSSもすべて復旧されてる &br()ただ、色んな人の手でちょこちょこ復旧されていくこのサイトを見るのも、これはこれで楽しかったりw -- 名無しさん (2020-07-14 11:24:01)
- 避難所作る前はちょこちょこ復旧してたんですがね、サボっちゃうました。自分も復旧 &br()に微力ながら協力させてもらいます!! -- 名無しさん (2020-07-15 20:35:38)
- 避難所作ってくれた人もここを復旧してくれてる人たちも本当にありがとう。 &br()おかげで昔のSSを読むことができました &br()微笑は最高! -- 名無しさん (2020-07-17 07:08:49)
- こんなに最近のコメントがあって嬉しい!!涼宮ハルヒSS最高 -- 名無しさん (2020-07-17 23:19:34)
- https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/ &br()避難所のURLです -- 名無しさん (2020-07-27 21:19:16)
- これ、ちなみに避難所ってどうやって作ったのでしょう? &br()今後同じようなことがあった時のために、向こうの管理人さんがいらっしゃればよろしければ教えていただきたいのですが・・・。 -- 名無しさん (2020-08-15 10:12:10)
- 避難所を作ってくれた方を知ってるのでちょっと話してみます。 &br()教えてもらえるのかわかりませんが・・・ -- 名無しさん (2020-08-17 23:03:38)
- あげ -- 名無しさん (2020-08-21 02:44:22)
- 聞いてみた結果『使い回せない専用のプログラムを書いた』そうです。 &br()もともと自分ともう一人が手動でこのwikiの復旧をしていたところで &br()その方が避難所を作ってくれた &br()というのがことの経緯になります -- 名無しさん (2020-08-22 17:32:22)
- なるほど! そうだったんですね &br()ありがとうございます! &br() &br() &br()次回もし同様の事態に陥った際は、お二方が再臨されることを織姫と彦星に祈っておきます笑 -- 名無しさん (2020-08-22 23:28:58)
- 16年後に現れましょうかね笑 &br()まあ私はほぼ毎日このwikiにお世話になってるんですけどね -- 名無しさん (2020-08-23 19:43:59)
- ここのコメ欄歴史が詰まっててすげえ &br()未だに動いてんのもすげえ &br()何が言いたいかって言うと、ハルヒってすげえ -- 名無しさん (2020-08-25 22:50:01)
- それな -- 名無しさん (2020-08-30 22:38:21)
- 涼宮ハルヒの新刊きたーーーーーーー -- 名無しさん (2020-08-31 16:25:04)
- 直観キタアアアアアアアアアア!!! &br()驚愕以来の新刊だぞおめえらあああああああ!!!! -- 名無しさん (2020-08-31 20:17:55)
- 待ってた・・・待ってた・・・ -- 名無しさん (2020-08-31 23:05:53)
- 直観予約しましたか?私はしました -- 名無しさん (2020-09-05 20:48:08)
- ここ見てたら思うけど、この時代にSS書いたりしてたような層のオタクって今何をしてんだろうな。 &br()SS文化が下火になってるけど、その代わりに出てきたものが思いつかない。 &br()また流行ればいいんだけど・・・。 -- 名無しさん (2020-09-10 12:13:34)
- イラストなどは技術的にも発展してきたと思うのですがね、、、 &br()SSは減ったかもしれませんね。いわゆるなろうの登場で二次創作 &br()をするまでもなく自分の文学的な創作欲を満たせるようになったんですかねぇ -- 名無しさん (2020-09-12 18:18:01)
- 直観からSS増えてほしいなー -- 名無しさん (2020-09-16 23:29:52)
- ここのSS自分が生まれた時くらいに書かれたのもあるな。 &br()直観まじで楽しみ〜 -- 名無し (2020-09-21 09:58:09)
- 後1ヶ月ちょっとで発売だー -- 名無しさん (2020-10-09 22:27:23)
- ↑×2 &br()若い人も来てるんだなあ。これからも一緒に楽しもうぜ -- 名無しさん (2020-10-10 09:20:19)
- 自分はハルヒたちと同年代です!! -- 名無しさん (2020-10-15 23:51:52)
- 俺も同年代だったんだよなあ・・・。 -- 名無しさん (2020-10-18 10:05:06)
- いろんな作品の主人公たちを抜かしてきてしまった -- 名無しさん (2020-10-20 21:58:36)
- ハルヒたちももう30台ですもんねえ -- 名無しさん (2020-10-26 18:28:16)
- ↑やめ給へ -- 名無しさん (2020-10-28 13:41:56)
- この間なんかの動画でみたんだがキョンの語り口が全て過去を語ってる &br()ものだから壮大な叙述トリックなのではないか?っていうのがあったけど・・・ &br()まさか全て壮年キョンの思い出話か??? -- 名無しさん (2020-10-29 00:26:43)
- ハルヒでハロウィンって扱ってたっけ? -- 名無しさん (2020-10-31 23:24:48)
- ↑ ハルヒちゃんなら…。 &br()この10年で急速に流行ったイベントなので、本家では扱われてない希ガス &br()ハルヒちゃんでもハロウィンが何か鶴屋さん以外知らんかったし -- 名無しさん (2020-11-04 08:04:32)
- 今後に期待ってことか。本家は高二春だから登場するとしても &br()あと2、3巻待ちそう -- 名無しさん (2020-11-04 12:52:26)
- あと二週間ぐらいですねー楽しみ!! -- 名無しさん (2020-11-10 22:08:01)
- あと一週間で発売!!!!!!!!!!! -- 名無しさん (2020-11-17 23:19:28)
- 涼宮ハルヒの直観今日発売!! -- 名無しさん (2020-11-25 18:42:13)
- まだ届かない・・・ -- 名無しさん (2020-11-27 00:04:59)
- 直観いいねえ。ちまちま読んでいってる -- 名無しさん (2020-12-02 01:46:22)
- ああ……あの頃はよかった(遠い目 -- 名無しさん (2020-12-04 12:06:37)
- 最近復旧作業盛んね -- 名無しさん (2021-01-11 01:42:20)
- 久しぶりに昔読んだSS見返したくて来ました -- 名無しさん (2021-02-04 03:37:21)
- 結構最近も更新されてて嬉しい -- 名無しさん (2021-05-15 01:56:09)
- ノスタルジー凄いな。それぞれ独自の涼宮ハルヒの &br()世界観があって、よく読んでたわ...。 &br()佐々木「憂鬱だ」、微笑、分身読み直したけど &br()やっぱどれも面白い。 -- 名無しさん (2021-06-05 22:35:30)
- 佐々木のSSもっと欲しいなああ -- 名無しさん (2021-06-21 01:41:04)
- あけましておめでとう -- 名無しさん (2022-01-16 02:40:01)
- めちゃくちゃ好きなのにタイトルが思い出せないSSを探しに来ましたよっと でも見つからない… -- 名無しさん (2022-02-09 08:50:48)
- 復旧進んだなあ -- 名無しさん (2022-08-18 02:50:23)
- 以前、微笑が復旧作業すらできない状態になっててもう読めないのかと諦めてたんだけど、いつの間にか復活してた!本当にありがとう!! -- 名無しさん (2022-08-20 00:54:59)
- 数年ぶりに見にきた。復旧させてよかった〜。こんなに見てくれてる人がいる -- 名無しさん (2024-03-16 04:46:23)
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2024-03-16T04:46:23+09:00
1710531983
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鶴屋さんとキョン
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1424.html
<div class="main">
<div>ストーブを持って部室へ帰ると、そこには誰もおらず、机の上にメモと鍵が残されているだけだった。</div>
<div>
どうやら先に帰るから部室に鍵掛けてくれってことらしい…随分薄情な団長だな、おい。誰か一人くらい残って待っててくれてもいいじゃないか。まぁ雨足も強くなってきて、さっさと帰りたい気持ちはわからんでもないが。</div>
<div>と考えつつ、俺は下駄箱で靴を履き替え、外を見ていた。しまった!傘がない…。<br />
雨が止むまで待とうにも、いっこうに止む気配がない。むしろ激しくなってきている。</div>
<div>「参ったな……これじゃあ帰るに帰れないぜ…」</div>
<div>しかしずっと立ち往生しているわけにもいかないので、濡れるのを覚悟して学校を出ようとすると</div>
<div>「おやっ?そこにいるのはキョン君じゃないかい?」</div>
<div>振り返るとそこには、鶴屋さんがいた</div>
<div>『鶴屋さん?どうしてここに?』</div>
<div>鶴屋さん「ぐ~ぜんさ~。ところでキョン君、うszhぢおhうぃお傘がないみたいだねっ。よかったらあたしの傘に入ってくかい?」<br />
『いいんですか?でも、鶴屋さんまで濡れてしまいますよ?』</div>
<div>鶴屋さん「いいっていいって。そんなの全然気にしなくていいよっ。みくるがいつもお世話になってるし、そのお礼さっ!」</div>
<div>どちらかというと俺がお世話になってるほうだが…。</div>
<div>『それじゃあ、お言葉に甘えさせて頂きます』</div>
<div>鶴屋さん「おっけー。ささっ、入って入って~」<br />
もし朝比奈さんなら、顔を真っ赤にして終始もじもじしていただろうが、鶴屋さんは全くそんなことはなく、<br />
いつものハルヒに勝るとも劣らないハイテンション振りを発揮していた。<br />
これはこれで結構な魅力があった。</div>
<div>鶴屋さん「そういえばこれって相合い傘だよねっ!あっはっはっはっ!まるでカップルみたいさっ。<br />
もしかしてキョン君は、ハルにゃんやみくるのほうがよかったかなっ?」</div>
<div>『いえいえ、そんなことありませんよ。鶴屋さんでもOKです』</div>
<div>そう言うと鶴屋さんは、目を少し細めてにやりと笑いながら</div>
<div>鶴屋さん「おや~?つまり誰でもいいってことかな~?キョン君も見掛けによらず獣だったんだね。みくるやハルにゃんが可愛そう~」</div>
<div>『えっ!あっ、いや…そういう意味じゃなくて…!』</div>
<div>俺の反応に鶴屋さんは満足したのか、いつもの笑顔に戻り</div>
<div>鶴屋さん「あははははははは!冗談さ、じょ~だん。キョン君もなかなかかわいいところあるね~」</div>
<div>笑いながら本気だったりするからな、この人は…。まぁハルヒと違って、きちんとした常識を持ってる人だというのが救いだ。</div>
<div>そうこうしてるうちにあの映画撮影のときに訪れた、鶴屋家の大邸宅にたどり着いた。</div>
<div>鶴屋さん「それじゃあね、キョン君!その傘は持って帰っちゃっていいよっ!そのうち気が向いたら返してくれればいいさ。んじゃ、また明日ね~」</div>
<div>最初から最後までハイテンションな人だったな。鶴屋さんの傘のおかげでずいぶん助かった。傘は明日、ちゃんと返そう。</div>
<div>
次の日の放課後、鶴屋さんに借りた傘を返しに行こうとしたのだが、強制的に部活に参加させられたため、返すことができなかった。しかたない、帰りに鶴屋さんの家に寄るか。<br />
部活が終わって俺は、すぐに鶴屋家へ向かった。少々時間が遅くなってしまったが。</div>
<div>俺がインターホンを鳴らすと、少し間を置いてから鶴屋さんの声が聞こえた。</div>
<div>鶴屋さん「はいはぃ、おや?誰かと思えばキョン君じゃないか、どうしたんだい?」</div>
<div>『昨日お借りした傘を返しにきました、遅れてすみません』</div>
<div>鶴屋さん「あっ、わざわざありがとうのご苦労様だねキョン君!疲れたっしょ?上がってお茶でもどう?」</div>
<div>俺は再びお言葉に甘えることにした。</div>
<div>『それじゃあ、お邪魔してもよろしいですか?』<br />
鶴屋さん「りょうかいぃぃ!んじゃあ、ちょろっと待っててね!すぐ行くからさっ」</div>
<div>文化祭の「ちょろっと」とは違って、鶴屋さんは5分程でやってきた。</div>
<div>鶴屋さん「やあやあまた会ったね、キョン君!あっつ~いお茶用意してるから、存分にあったまっていくにょろ!<br />
それともお風呂に入ってくかい?さっきあたしが入ったばっかだから、冷めてないはずだよ!うん、それがいいね!」</div>
<div>鶴屋さんは俺の意見など聞かずに話を進めだした…こういうところはハルヒそっくりだな。<br />
そして俺はそのまま鶴屋さんに流され、鶴屋家の風呂を借りることになった。</div>
<div>鶴屋さん「服はささっと洗濯して、ぱぱっと乾燥させとくねっ。キョン君が帰るまでには乾いとくようにしとくよ!<br />
服の代わりに浴衣用意しといたから、それ着てて!通気性抜群で寒いだろうけど、部屋はちゃんと暖房ガンガン効かしてるから安心していいよっ。んじゃあごゆっくりぃ」</div>
<div>そう言うと鶴屋さんは手を振って部屋に戻って行った。着物姿は普段着なんだろうか、よく似合っている。</div>
<div>しばらくして風呂から上がり、浴衣に着替えて部屋に向かうと、鶴屋さんがお茶を入れて待ってくれていた。</div>
<div>鶴屋さん「おかえり!あったまったかな?」</div>
<div>ええ温まりましたよ、風呂の温度もいい感じでしたし、何せあなたの残り湯……いや、それは置いておこう。</div>
<div>鶴屋さん「ふぅ~~ん、へぇ~~~」</div>
<div>鶴屋さんはいつぞやの草野球のときみたいに、俺を上から下まで見つめて言った。</div>
<div>鶴屋さん「うん!めがっさ似合ってるね!!あたしの狙い通りさっ!」</div>
<div>『そうですか?ハルヒには似合わないだろうから、着るなって言われましたがね』</div>
<div>鶴屋さん「そんなことないっさ~。似合ってるよ、キョン君!ささっ、お茶飲んで飲んで!」</div>
<div>鶴屋さんの入れたお茶は、朝比奈さんの入れるお茶よりもはるかにおいしく感じた。<br />
朝比奈さんのお茶め充分上手いのだが、こちらはプロの味といったところか…鶴屋さんがプロかどうかはわからないが。</div>
<div>鶴屋さん「どうだいお茶の味は?みくるの入れるお茶のほうが、キョン君はよかったかな?」</div>
<div>『いえ、とてもおいしいですよ。それに鶴屋さんの着物姿もよくお似合いです』</div>
<div>鶴屋さん「そ、そそうかい?そう言われると入れた甲斐があったよ。キョン君もなかなかいいこと言うんだねっ」</div>
<div>鶴屋さんは照れているんだろうか、珍しくはにかんだ表情を見せ、顔をほんのり赤くしていた。</div>
<div>
それから俺と鶴屋さんは朝比奈さんの映画のこと、焼そば喫茶のこと、ハルヒと長門がステージで歌ったことやこれまでのSOS団について語り合っていた。</div>
<div>すると突然、部屋の電話が鳴った。鶴屋さんは電話を取り、チラッと俺の顔を見た。<br />
話によると服が乾いてアイロンもかけてくれたらしい。感動的なサービス精神である。</div>
<div>『じゃあそろそろ、俺も帰ります。服も乾いたようなんで』</div>
<div>鶴屋さん「そうだね、あんまり遅くなるとお家の人が心配しちゃうもんねっ。残念だけど仕方ないか」</div>
<div>帰り際、鶴屋家の立派な門をくぐったときのことだった。鶴屋さんは真面目な顔になり、朝比奈さん並の可細い声で言った。</div>
<div>鶴屋さん「キョンくん………」</div>
<div>『はい、何でしょうか?』</div>
<div>鶴屋さん「あのさ…もしよかったら……明日も…」</div>
<div>『すみません、最後の部分が聞き取れなかったんですが?』</div>
<div>鶴屋さん「えっ!?あっ、いいのいいの!気にしないで!それじゃ、また明日ねキョン君!!気を付けて帰るんだよっ!」<br />
そう言って鶴屋さんはいつもの調子に戻った。さっき何て言ったんだろうな…?</div>
<div>鶴屋さん「キョン君……できればもう少しお話したかったよ…でも仕方ないよね。また今度……来てね」</div>
<div>そうだ!朝、偶然を装って待ち伏せでもしちゃおっかな?帰りはタイミングずれちゃうし、一緒にお話できるのは朝くらいしかないもんね。</div>
<div>キョン君の迷惑じゃなければいいけど…</div>
<div>次の日の朝、俺がいつもの時間に登校していると、鶴屋さんに出会った。<br />
鶴屋さん「やぁキョン君っ!おっはよーー!こんなとこで会うなんて奇遇だねっ!」</div>
<div>『つ、鶴屋さんっ!?おはようございます!』</div>
<div>意外な人物の登場に、朝っぱらから俺は動揺してしまった。おかげで寝惚け眼だった俺の目は、完全に覚めていた。</div>
<div>鶴屋さん「おっ?キョン君、朝から元気一杯だね!元気なのはイイことだよっ!」</div>
<div>『はは、鶴屋さん程じゃありませんよ』</div>
<div>鶴屋さん「あたしだっていつもは、今よりもちょろっとテンション低めだよ。でも今日は特別なのさっ」</div>
<div>『何かいいことでもあったんですか?』</div>
<div>鶴屋さん「あったよ!だって…」</div>
<div>鶴屋さんは昨日のように途中で言いかけてやめ、少し考え込むような素振りをしていた。</div>
<div>『鶴屋さん?』</div>
<div>鶴屋さん「ん?あっ、早く行かないと遅刻したゃうよっ。ほらぁ~、ダッシュダッシュ!」</div>
<div>『えっ、ああ、はい!』</div>
<div>俺と鶴屋さんは学校まで走った。意外と速いんだな、鶴屋さん。</div>
<div>鶴屋さん『だって…朝からキミの顔が見れたんだから、嬉しいよ。たまにはこうやってキミと一緒に学校へ行きたいな…』</div>
<div>昨日といい今日といい、鶴屋さんの様子が少しおかしい。言いたいことははっきり言うタイプの人の筈なのに、<br />
二度も言いかけてやめるなんて…う~む、考えても全くわからん。<br />
自分で言うのも何だが、俺には非難されるべき点が見当たらない。これだけは断言できる。じゃあ何なんだ……わからん………。</div>
<div>その後も鶴屋さんは、ちょくちょく休み時間に俺のクラスを訪れ、俺たちは他愛のない会話を楽しんだ。</div>
<div>彼女の第一声は決まって<br />
鶴屋さん「やっほー!キョンく~ん!」に始まり、<br />
鶴屋さん「んじゃ、まぁた後でねぇ~」で終わっていた。</div>
<div>そんな様子を見ていたハルヒが、極一般的な疑問を投げ掛けてきた。</div>
<div>ハルヒ「ねぇ、あんたと鶴屋さん…付き合ってるの?」</div>
<div>まぁ、そう思うのも当然だよな。俺がお前なら、同じ質問をするだろう。<br />
『いいや、付き合っちゃいないよ』</div>
<div>ハルヒ「ふぅ~ん、ホントかしらねぇ?まっ、鶴屋さんならいいわよ。みくるちゃんや有希に手を出したらただじゃおかないけどね。<br />
鶴屋さんは我がSOS団の名誉顧問だし、あの人ならあんたを任せられるわ」</div>
<div>『どういう意味だよ、そりゃ』</div>
<div>ハルヒ「そのまんまの意味よ。さっ、部室行くわよ」</div>
<div>鶴屋さんと朝一緒に登校したり、休み時間に会話したりするのが日常になっていたある日のこと。<br />
いつかの雨の日のように、俺は再び下駄箱で鶴屋さんと出会った。<br />
しかし、今回は以前のような偶然と言えるものではなかった。</div>
<div>『鶴屋さん?前にも下駄箱で会いましたね、あのときは雨が降ってましたけど』</div>
<div>鶴屋さん「うん。あんときはたまたまだったけど、今日はキョン君のこと待ってたんだ」</div>
<div>『俺を待っていた?お気持ちは非常に嬉しいんですが…一体どうしてです?』</div>
<div>鶴屋さん「どうしてって……その……キョン君と一緒に帰りたいなぁ~って……思ったからだよ…」</div>
<div>このときの鶴屋さんの顔は、おそらく一生忘れないだろう。<br />
目を泳がせながらほんのり頬を染め、はにかんで見せたその笑顔は…まさに「女の子」だった。<br />
いや、たしかに鶴屋さんは女の子なのだが…いつもハイテンションであっけらかんとしているせいで、<br />
ハルヒと同じような感じで俺は彼女を見ていたのだ。<br />
若干の動揺はしたものの、俺は鶴屋さんのまたとない誘いに即答した。</div>
<div>『いいですよ、俺なんかでよければ』</div>
<div>すると鶴屋さんは満面の笑みを浮かべ</div>
<div>鶴屋さん「ホントかい!?いやぁ~よかったよかった。めがっさドキドキしちゃったよ~。よーし、そうと決まれば早速行くよ!キョン君!!」</div>
<div>今日の鶴屋さんの笑顔は、いつもとは違って見えた。具体的にどこがと聞かれてもわからん。ただ、なんとなくそう見えたんだ。</div>
<div>鶴屋さん「ってことがあってさ、今思い出すだけでも笑いが止まんないね!あっははははははは!」</div>
<div>鶴屋さんは本当に楽しそうに笑う人だ、この人の屈託のない笑顔には何度か救われてきたものだ。そんな鶴屋さんの笑顔をじっと見ていると</div>
<div>鶴屋さん「なにかなぁ~?さっきからじ~っと見つめて?」</div>
<div>『い、いや、別に深い意味は…』</div>
<div>鶴屋さん「えっへへ。ねぇ、キョン君?ちょっとお願いしてもいいかなっ?イヤなら断ってくれても全然オッケーだからさっ!」</div>
<div>『何ですか?大抵のことならOKしますよ?』</div>
<div>鶴屋さん「え~っとね…その~……手…繋いでもいい…かな?」</div>
<div>いつもSOS団で無茶な要求に応じてる俺からすると、このような申し出は文字通りお安い御用だった。</div>
<div>『構いませんよ、どうぞ』</div>
<div>そう言って俺は鶴屋さんに手を差しのべた。</div>
<div>鶴屋さん「へへっ!サンキュ、キョン君!!」</div>
<div>鶴屋さんは恥ずかしそうに微笑み、家につくまで俺の手をぎゅっと握り締めていた。指も少し絡めていた気がするな…。</div>
<div>鶴屋さん「今日はあたしのわがままに付き合ってくれてあんがとっ!もうお腹いっぱいさっ!んじゃね、ばいばいっ!」</div>
<div>鶴屋さんは門で大きく手を振り、それにつられて俺も大きく手を振っていた。</div>
<div>少し歩くと、鶴屋さんが走って近付いてきて</div>
<div>鶴屋さん「あのさキョン君、よかったらまた一緒に帰っちゃったりしてもらってもいいかなっ?たまにでいいんだっ、たまにで」</div>
<div>この笑顔が魅力な方の誘いを断る人間がどこの世界にいるだろうか、もしいたら来い。全力でぶん殴ってやる。</div>
<div>『もちろん構いませんよ。鶴屋さんの都合がいい日ならいつでも』</div>
<div>
鶴屋さん「ホントっ!?ありがとよっ、キョン君!やっぱりキミはあたしが見込んだ通りの、いい男だ!!あっ、もう帰るとこだったね。じゃねっ、また会おうキョン君っ」</div>
<br />
<br />
<div>
それからしばらくしてわかったことだが、鶴屋さんにとって都合のいい日とは「毎日」だったらしく、俺は毎日鶴屋さんと一緒に帰るようになっていた。</div>
<div>手を繋いでいたのは、言うまでもない</div>
<div>ある日の放課後のこと、まれにあるハルヒの気まぐれで今日は珍しく部活は休みだった。</div>
<div>『さて…どうしたもんかね……ん?』</div>
<div>ふと中庭に目をやると、鶴屋さんがベンチに座っている姿を見掛けた。</div>
<div>『鶴屋さん…何してんだ?………行ってみるか』<br />
中庭へ下りてみると、鶴屋さんは夕陽を見つめて何か考え事をしているようで、俺が近付いても無反応だった。</div>
<div>『鶴屋さん?何やってんですか、こんな時間にこんな所で?』</div>
<div>鶴屋さん「ひゃあっ!キョン君っ!いつのまに!?」</div>
<div>鶴屋さんは俺が話し掛けてやっと気付き、そしていつもの調子に戻った。<br />
『何かあったんですか?考え事してるように見えましたけど…』</div>
<div>鶴屋さん「そんな大したことじゃないよっ!心配ご無用さ」</div>
<div>いや、そうは見えねぇ。あれは確実に何かあった顔だ。</div>
<div>『鶴屋さんらしくありませんね。隠し事なんて、俺にはわかりますよ』</div>
<div>鶴屋さん「キョン君…そっか、キミにはお見通しか…」</div>
<div>『よかったら話してくれませんか?』</div>
<div>鶴屋さん「あのさ~、キョン君?ちょろっとお願いしてもいいかな?イヤだったら断ってくれて全然オッケーだからさっ」<br />
いつもはっきり物事を言う鶴屋さんが、もじもじして言いにくそうにする姿はかなり珍しかった。<br />
『何ですか?いつもSOS団で無理難題なことに応じてるんで、大抵のことならオッケーしますよ』<br />
鶴屋さん「ホントっ!?じゃあ~言っちゃうけど、今日…あたしと一緒に帰っちゃったりしてくんないかな?」</div>
<div>『構いませんけど、俺でいいんですか?朝比奈さんじゃなくて?』</div>
<div>鶴屋さん「いいのいいの!キョン君と帰りたいしさっ!んじゃ、校門前で待ってるねっ!バイバイ!!」</div>
<div>そう言うと鶴屋さんは大きく手を振って去っていった</div>
<div>放課後、校門前にいくと約束通り鶴屋さんが待ってくれていた。</div>
<div>鶴屋さん「おっす!キョン君っ!」</div>
<div>『すいません、待ちましたか?』</div>
<div>ベタベタな言葉だが、言わないわけにはいかないだろう。</div>
<div>鶴屋さん「んなことないっさ~。そんじゃっ、行こっか!」</div>
<div>鶴屋さんは普段通りのハイテンション振りを発揮し、笑い声が途切れることはなかった。しかし、急に黙りこんだかと思うと</div>
<div>鶴屋さん「ねぇねぇキョン君?その~………手…繋ぎたいな…」</div>
<div>正直に言おう、そのときの鶴屋さんはもんのすごく可愛かった。そして俺は黙って鶴屋さんの手を握った。</div>
<div>鶴屋さん「あ……うん……あんがと………へへっ///」</div>
<div>鶴屋さんも俺の手を握り締め、やや指を絡めてくれていた。<br />
そのはにかんだ笑顔を見ていると、抱き締めたくなるのは俺だけではないだろう。</div>
<div>しばらく沈黙が流れていたが、不思議と居心地はよかった。何気無く鶴屋さんの横顔を見ると、彼女も俺を見ていたのだろう…二人の視線が交差した。</div>
<div>鶴屋さん「あっ……」</div>
<div>小さく呟くとすぐに前を向いてしまったが、俺が構わず見続けていると</div>
<div>鶴屋さん「もうっ……そんなに見られると…何か恥ずかしいよ……」</div>
<div>いつも笑顔が魅力的な鶴屋先輩…彼女のこんな姿を見たのは初めてだったので、俺はこの人を一人の「女」として意識していた。<br />
それは朝比奈さんへ抱く気持ちとは全く異なるものだった……気付くのはもう少し後のことだが…</div>
<div>すると鶴屋さんは、無言で見つめる俺の視線に耐えきれなくなったのか、少し怒った顔をして言った。そう、まるでハルヒのように…</div>
<div>鶴屋さん「こらっ!キョンっ!いつまでじ~っと見てんの!?いい加減にしないと…え~っと…し、死刑だよっ!」</div>
<div>望むところですっ!!…と言いたくなったがやめといた。</div>
<div>『ははっ、ハルヒの口調にそっくりですね。最後が少し違ってましたが』</div>
<div>鶴屋さん「えっ?そうだったかな~?結構イイ線いってると思ってたんだけどねっ。やっぱ難しいや、あっはっはっはっ!!!」</div>
<div>気付けばもう鶴屋家は目の前だった。<br />
できればここで遠回りしたいと思っていたが、そういうわけにも行くまい。握っていた手を仕方なしに離そうとすると</div>
<div>鶴屋さん「待って!!」<br />
離れようとする手を鶴屋さんはギュッと握り締めて言った。その顔はいつになく真剣だ。</div>
<div>『ど、どうしたんです?急に改まって…』</div>
<div>鶴屋さん「ちょっとだけ…ほんのちょっとだけ、付き合ってもらっても…いい?」</div>
<div>願ってもいない申し出である。俺の答えは当然イエスだった。</div>
<div>『はい、俺でよければ喜んで』</div>
<div>鶴屋さん「じゃあ、あたしについてきてっ!」</div>
<div>鶴屋さん「あたしね、一度でいいから男の子と一緒に帰ったり、寄り道したりしたかったんだ」</div>
<div>『意外ですね、そういう経験なかったんですか?』</div>
<div>鶴屋さんは長門並に小さく頷いた。気付けるのは俺くらいだろう、たぶん。</div>
<div>鶴屋さん「あっ、ジュース買ってくんねっ!何がいい?ウーロン茶?麦茶?それとも渋い緑茶がいいかなっ?」</div>
<div>ジュースといいつつ選択肢が全てお茶になってますよ、鶴屋さん。まぁらしいといえばらしいですが。</div>
<div>『そうですね、じゃあウーロン茶をお願いします。あっ、いくらですか』<br />
俺が財布を出そうとすると、彼女はそれを遮るように</div>
<div>鶴屋さん「いいっていいって!あたしが連れて来たんだし、ここは奢ったげるよっ!ウーロン茶だね、ちょろっと待ってて!」</div>
<div>文化祭のときの「ちょろっと」とは違って、鶴屋さんはダッシュで自販機へ向かい、ダッシュで帰ってきた。<br />
息が全く乱れていないな、この人…。</div>
<div>鶴屋さん「あいよっ、お待たせキョン君!冷えたウーロン茶だよ!」</div>
<div>冷えたウーロン茶?温かいじゃなくて?</div>
<div>鶴屋さん「ごめんよ~、温かいウーロン茶をちゃんと選んだのに、冷たいのが出てきちゃったのさ。あたしのと交換しよっか?」</div>
<div>自販機この野郎、何ボケてやがる!…と、一時は憤慨した俺だが、これが実は神様からの一足早いお年玉だったということに気付く。<br />
俺と鶴屋さんはベンチに座り、お茶をずず~っとすすっていた。しばらくそうしていると鶴屋さんが</div>
<div>鶴屋さん「キョン君、これ飲みなよっ!あったか~い緑茶だよ、あたしもウーロン茶飲みたいしさっ」</div>
<div>『えっ?でもこれ、冷たいですよ?』</div>
<div>鶴屋さん「いやぁ~実はさ、舌を火傷しちゃったんだよねっ。だから冷やしたいのさ。あっははははは」</div>
<div>この人の笑う顔を見ていると、こっちまで笑ってしまうから不思議である。</div>
<div>『はははっ。わかりました、いいですよ』</div>
<div>鶴屋さん「おっ、そうかい?悪いねっ!」</div>
<div>鶴屋さんは俺が口をつけたウーロン茶を飲もうとしている、俺は鶴屋さんの…略</div>
<div>つまりこれはあれだよな、ああ……間接キスってやつだよな。なら迷う必要はない、俺は俺のすべきことをするだけだ!</div>
<div>鶴屋さん「ぷっはーーっ!このお茶結構おいしいねっ、ちょっと飲みすぎちゃったかも…ごめんよキョン君」</div>
<div>『この緑茶もおいしいですよ、おかげで温まりました』</div>
<div>鶴屋さん「そうかい?それはよかったよ!………ところでさ、キョン君……」</div>
<div>まさか俺のさっきの下心がバレたのか!?かなり動揺していたが、なるべく平静を保った顔で答えた。</div>
<div>『な、なんでしょう?』<br />
鶴屋さん「これってさ…間接キス……だよね?めがっさ照れちゃうよ……えへへっ///」</div>
<div>それから俺たちは何とも言えない雰囲気の中、お茶をすすって時間を過ごした。無論、二人とも顔は真っ赤で会話などなかった。</div>
<div>鶴屋さん「さてとっ!お茶も飲み終ったし、そろそろ帰ろっか!」</div>
<div>本音を言えばもっとこうしていたかったが、それ言うのも少し気が引けたので</div>
<div>『そうですね。暗くなって来ましたし、行きましょうか』</div>
<div>立ち上がり、空のカンを捨てて公園を跡にした。もちろん、手を繋いでな。</div>
<br />
<br />
<div>鶴屋さん「(ホントはね、キョン君。舌なんか火傷してなかったんだよ?)」</div>
<div>本日二度目の鶴屋家の門である。鶴屋さんは最初のハイテンションが嘘のように静かで、手を握る力も強くなっていた。</div>
<div>鶴屋さん「今日はあたしのワガママに付き合ってくれてあんがとっ!」</div>
<div>『俺のほうこそありがとうございました。楽しかったですよ』</div>
<div>鶴屋さん「ホントっ!?んじゃあさぁ~…キョン君の都合の良い日でいいから…また、一緒に帰ってくんない…かな?」</div>
<div>そんな遠慮がちに聞かないでくださいよ、俺の答えは決まっていますから。</div>
<div>『ええ、こちらこそお願いします、鶴屋さん』</div>
<div>鶴屋さん「うんっ!!」</div>
<div>鶴屋さんは今日一番の笑顔でそう答えた。笑顔が眩しいとはこの人のためにある言葉だろう。</div>
<div>鶴屋さん「そんじゃあねっ、また明日学校で会えるのを楽しみにしてるよっ!ばいば~い」</div>
<div>俺が角を曲がって見えなくなるまで、彼女は手を振り続けていた。</div>
<div>鶴屋さん「(えっへへっ///…今日は間接キス…しちゃったな…。あたしたち、周りからどう見られてたかな?恋人同士って思われたいな…)」</div>
<br />
<br />
<div>手を引っ張られて着いたところは、とある公園だった。辺りが夕陽の色に染まり、静かでいい雰囲気な場所だ。</div>
<div>その日を境に俺と鶴屋さんは、毎日一緒に登校し一緒に下校するようになっていた。昼休みになると弁当を持って、中庭で昼食をとっている。<br />
周りの男子、いや女子からの目も熱い。</div>
<div>そんな穏やかで幸せな日々が1ヶ月ほど続いた、ある日の放課後のこと。<br />
『あれは…鶴屋さん?』<br />
鶴屋さんは中庭のベンチに座り、夕陽を眺めていた。</div>
<div>俺は中庭へ下りて、ベンチに座る鶴屋さんに会いに行った。</div>
<div>『鶴屋さん?こんな時間にどうしたんですか?』<br />
鶴屋さんは俺が声を掛けるまで存在に気付いていなかったらしく、随分驚いているようだった。</div>
<div>鶴屋さん「キョ、キョン君っ!?もぅ~、びっくりさせないでよ~」</div>
<div>そんな気は全くなかったんだがな。</div>
<div>鶴屋さん「そんで?どうしたんだい?」</div>
<div>『鶴屋さん、先にその質問をしたのは俺なんですが…』</div>
<div>鶴屋さん「えっ?あ、ああ、そうだっけ?ん~っと…あたしはねぇ~…ちょっと考え事してたのさっ」</div>
<div>考え事?鶴屋さんが?<br />
『考え事って、何かあったんですか?』</div>
<div>鶴屋さん「うん…あったよ、いっぱい…いっぱいね…」</div>
<div>しんみりとした表情で言うもんだから、俺は少し心配になっていた。</div>
<div>鶴屋さん「キミのことを、考えてたんだ…」</div>
<div>俺…?俺はもしかして自分でも気付かないうちに、鶴屋さんを悩ますようなことを?落ち着け、よく考えるんだ俺。</div>
<div>俺が考え込んでいるのを察したのか、鶴屋さんが口を開いた。</div>
<div>鶴屋さん「ちょっとちょっと、キョン君ってば!何でそんなに難しい顔してるんだい?」</div>
<div>『俺が無意識のうちに、鶴屋さんを悩ますようなことしてしまったのかと思いまして…』</div>
<div>鶴屋さん「あっははははは!そんなことないっさ~。キョン君にはめがっさ感謝してるよっ!」</div>
<div>『じゃあ一体どうして俺のことを?』</div>
<div>そう言うと、鶴屋さんはほんの少しムッとした表情になって</div>
<div>鶴屋さん「あれれ~?ホントにわかんないのかなぁ~?」</div>
<div>鶴屋さんはいつかの草野球のときのように、俺の顔をじろじろ見始めた。</div>
<div>鶴屋さん「ふふっ。まっ、いっか。キミがちょっと鈍い性格だっていうのは、ここ一ヶ月でわかっちゃったしね」</div>
<div>『うっ、すみません…』<br />
鶴屋さん「あっはははははは」</div>
<div>それから鶴屋さんは一笑いすると、急に黙り込んでしまった。</div>
<div>やっぱり様子がおかしい…。</div>
<div>鶴屋さん「(こうやってキミとお喋りして、笑っているのが今はとっても苦しいよ…ねぇ、キョン君?キミは…あたしをどう思ってるの?)」</div>
<div>『鶴屋さん?』</div>
<div>鶴屋さん「(もうこれ以上は我慢できないよ…ううん、我慢したくない…。)」</div>
<div>『あの~鶴屋さん、聞こえてますか?』</div>
<div>鶴屋さん「(あたしは言っちゃうよっ!だから、そのあとはキミの声を聞かせて!)」</div>
<div>『つ…』</div>
<div>鶴屋さん「キョン君っ!!」</div>
<div>『は、はいっ!』</div>
<div>何度呼び掛けても無反応だった鶴屋さんが突然、初めて聞くような大声を出した。俺は驚きのあまり自分の声が裏返っているのに気付かなかった。<br />
鶴屋さん「あのね、あたしね…キミのことが大好きだよっ!」</div>
<div>好き…?今、好きって言ったのか?しかし鶴屋さん、その笑みはどう受けとればいいんですか?冗談……もしくは「友達」としてってことですか?<br />
鶴屋さん「(言っちゃった……でもどうしよう…笑いながら言っちゃったから、冗談って思われたかな…?真面目な顔してなんて言えないよ…恥ずかしくて)」</div>
<div>俺はどう言えばいい?いや、そもそも俺は鶴屋さんをどう思っている?<br />
たしかに俺も鶴屋さんのことは好きだ、でもそれはどっちの意味でだ?友達としてか?</div>
<div>いや、違う。</div>
<div>何故そう言い切れる?</div>
<div>俺はこの一ヶ月間、鶴屋さんと多くの時間を過ごした。登下校、昼休み、そして公園での寄り道と間接…いや、それは置いておこう。</div>
<div>
それらは全て俺にとって幸せな時間だった、おそらく鶴屋さんにも。そして毎日の登下校や昼休み…俺にとっては部活以上に楽しみな時間だ。そのために学校へ来てると言ってもいい。</div>
<div>そうだ…俺はいつも鶴屋さんと一緒にいたいと思ってる。その気持ちは決して「友達」レベルなんかじゃない…</div>
<div>好きなんだ</div>
<div>俺は</div>
<div>鶴屋さんのことが</div>
<div>もう言うべきことは決まった…すみません、鶴屋さん…俺はあなたに引っ張ってもらってばかりですね…次は俺が…あなたを……</div>
<div>『鶴屋さんっ!!!』</div>
<div>俺は彼女よりも大きな声を出した</div>
<div>『俺も…あなたのことが………好きです、大好きです…』</div>
<div>鶴屋さん「キョン君?………あっ、あたしが好きって言っちゃったからかな。ごめんねっ、気を遣わせちゃったねっ……」</div>
<div>『違います……今、気付いたんです。あなたへの気持ちに…』</div>
<div>鶴屋さん「キョン君…本気…なの?」</div>
<div>『本気ですよ…鶴屋さん』</div>
<div>鶴屋さん「(わかってる…彼の目はウソをついていない……)」</div>
<div>『鶴屋さん…?』</div>
<div>うつ向き加減の鶴屋さんの顔を覗き込むと、彼女は涙を流していた…。</div>
<div>鶴屋さん「キョン君っ……!」</div>
<div>泣きながら精一杯の声を出し、彼女は俺に抱きついてきた</div>
<div>鶴屋さん「ふふっ、こんな風になるのをずっと……待ってたんだよ…」</div>
<div>『すみません、気付きませんでした』</div>
<div>俺はゆっくり鶴屋さんの背中に手を回し、その細い体を包み込んだ。</div>
<div>鶴屋さん「もうっ!鈍いんだから…キミって人は…。」</div>
<div>鶴屋さんが俺の背中に手を回す……体温が伝わってくる…。</div>
<div>鶴屋さん「ねぇ?公園の間接キス、覚えてる?」<br />
『はい、もちろん』</div>
<div>鶴屋さん「あのときは舌が火傷したからって言ったけど、あれね…嘘だったんだよ……」</div>
<div>『そうだったんですか?まぁ俺は嬉しかったですけど』</div>
<div>鶴屋さん「あたしもだよっ。本当は間接じゃなくて直接がよかったけどね」</div>
<div>鶴屋さん「そだっ!ねっ、今してよっ!あたしの唇にチュッて」</div>
<div>『いいですよ。ただし、その前に条件があります』</div>
<div>鶴屋さん「条件?なになに?ささっとクリアしちゃうよっ!」</div>
<div>『笑わずに、真面目な顔で好きって言ってください』</div>
<div>鶴屋さん「えっ!?ど、どうしてさっ!?」</div>
<div>『最初、鶴屋さんが笑いながら言うもんだから、冗談かと思ってたんですよ?』</div>
<div>鶴屋さん「それは……照れ臭くて……///」</div>
<div>しばらく沈黙が流れた後、鶴屋さんはしぶしぶ承諾した。</div>
<div>鶴屋さん「もうっ!わかったよ~……」</div>
<div>鶴屋さんは上目遣いで俺を見つめ、そして言った</div>
<div>鶴屋「あたしは、あなたのことが……す、好きだよっ……これでいいっ?///」</div>
<div>そしてその瞬間、俺は鶴屋さんと口付けを交した</div>
<div>その後の俺たちはというと、今までと大して変わりはしなかった。変わったといえば、鶴屋さんが以前より大胆になったことくらいだな。</div>
<div>鶴屋さん「あっ、キョン君、帰ろ帰ろっ!!」</div>
<div>『今日は部活に出ろってハルヒが…』</div>
<div>鶴屋さん「いいじゃんいいじゃんっ!ハルにゃんにはあたしが話つけとくからさっ!それじゃあ、レッツゴー!!」</div>
<div>『えっ!?ちょっと、鶴屋さん!』</div>
<div>俺はこうして鶴屋さんに振り回されっ放しだ。まぁこれはこれでいいっちゃあいいが。</div>
<div>鶴屋さん「あっ、あの喫茶店で何かあったかいの飲まないかい?うん、それがいいね!行こう行こう!」</div>
<div>そう言うと組んでいた腕をぐいぐい引っ張り、俺を喫茶店へ連れ込んだ。</div>
<div>鶴屋さん「はいっ、あ~ん」</div>
<div>鶴屋さんは飲み物とホットケーキを頼んだようで、俺は今ムリヤリ食べさせられようとしている。</div>
<div>『つ、鶴屋さん、人がいますから…』</div>
<div>しかし鶴屋さんは聞く耳持たず</div>
<div>鶴屋さん「いいからいいから。早くっ、あ~んしてってばっ。」</div>
<div>しぶしぶ口を開け、鶴屋さんを受け入れる。実は鶴屋さんも少し恥ずかしいようで、俺はわざとイヤがる仕草をしている。</div>
<div>鶴屋さん「あれっ?口元に何かついてるよっ!とったげるっ!」</div>
<div>鶴屋さん、顔が近いです、近すぎます</div>
<div>チュッ</div>
<div>あろうことか鶴屋さんは、公衆の面前でキスをしてきた。</div>
<div>『鶴屋さん、もしかして…』</div>
<div>鶴屋さん「うんっ!口元にはな~んにもついてないよっ!へへへ…」</div>
<div>とまあ、最近はこんな感じだな。俺も振り回されるのも悪くないって思ってきているところだ。<br />
最初は俺が鶴屋さんを引っ張っていたんだがな…</div>
<div>話は変わるが俺たちは今、公園に向かっている。そう、間接キスをしたあの公園だ。</div>
<div>『行きましょう、鶴屋さん』<br />
鶴屋さん「うんっ!!」<br />
いつも通り、彼女の笑顔が眩しかった。</div>
<div>
鶴屋さん「(キョン君、ありがとう。今は毎日が楽しいよ、キミとこうやって腕を組んで歩けるから。だから、離しちゃイヤだよっ。もし浮気なんかしちゃったら、ハルにゃん達に言いつけてやるからねっ!<br />
ふふふっ、なんてね…あなたはそんなことしないよね。<br />
信じてるからね、キョンっ!)」</div>
<div>長門「……目標を補足した。目的地は〇〇公園と推測される」</div>
<div>古泉「だそうです、涼宮さん」</div>
<div>ハルヒ「OK、わかったわ!さっ、あたしたちも行くわよっ!!」</div>
<div>みくる「あのぉ~、ホントに行くんですかぁ~?二人きりのほうがぁ~?」</div>
<div>ハルヒ「大丈夫よ、みくるちゃん!鶴屋さんの許可はちゃ~んともらってるわ!」</div>
<div>古泉「そういうことです、問題ありませんよ」</div>
<div>長門「ない」</div>
<div>みくる「でも、キョン君がぁ~…」</div>
<div>ハルヒ「よーし!SOS団しゅっぱーつ!」</div>
<br />
<br />
<div>番外<br />
こうして僕達は涼宮さんの指揮により彼を尾行することになりました。厳密に言うと、これはちょっとしたドッキリなんですがね。<br />
鶴屋さんには涼宮さんが事前に伝えていたようですし、今日この日に二人がデートに行くように仕向けたのも涼宮さんなわけです。</div>
<div>長門さんの力で尾行は成功し、あとは二人のキスシーンをカメラで撮影するだけとなりました。<br />
二人がキスをするタイミングも、長門さんがいれば完璧に把握できます。</div>
<div>おっと、二人が目を閉じました。涼宮さんにも合図は送りましたし、あとは結果を待つだけですね。</div>
<div>彼の反応が非常に楽しみです。</div>
<div>ふふふ……まだまだ甘いわね、キョン。あんたは忘れてるようだけど、鶴屋さんはSOS団の名誉顧問よ。このデートは全てあたしの仕込みよ!<br />
まっ、あんたが誰かと付き合ってるって聞いたときは、はらわた煮えくりかえってたけど、鶴屋さんなら構わないわ。<br />
許しといてあげる…このドッキリが成功したらね!</div>
<div>ちゃんと捕まえとくのよ……もし他に女作ったりしたら即刻死刑よ!<br />
まぁ万が一あんたがフラレた場合は、仕方ないからあたしがその候補に入ってあげてもいいわ。その前にあんたの顔を一発ぶん殴ってやるけどね。</div>
<div>あんたたちが長く続くように、祈っといてあげるわ。</div>
<div>だから、幸せになんなさいよね……キョン……</div>
<br />
<br />
<div> 終わりっさ!!</div>
</div>
2022-11-22T13:24:15+09:00
1669091055
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長門有希の報告Report.1
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1231.html
<div style="line-height:1.8em;">
<div style="background:#eee;border:1px solid #ccc;padding:5px 10px;">
<strong>Report.01 長門有希の流血</strong></div>
<p> 観測経過を報告する。<br />
より正確に有機生命体の行動様態を把握するための試行の一環として、特定波形の音波(以下、『音声』という。)による意思疎通(以下、『会話』という。)の内容の表現を一部変更するようにとの要望が情報統合思念体からあったため、今回の報告では試験的に変更する。<br />
まず、今回の要望の背景を説明する。<br />
この惑星に生息する『人間』という有機生命体は、主に『言語』という、音声を用いた会話によって意思疎通を行うが、言語の種類は人間の生息する地域等により、複数の類型に分かれる。<br />
本報告は、より正確に観測対象の行動様態を把握するために、観測対象である『涼宮ハルヒ』らが使用する『言語』(以下、『日本語』という。)を用いて記述している。しかし、同じ言語でも、使用される地域によって『方言』と呼ばれる差異が複数存在することが確認されている。<br />
また、言語の多くには、『文字』と呼ばれる記号を用いて、本報告のように情報を記録する用途で使われる表現方法(以下、『書き言葉』という。)が通常の会話方法とは別に存在する場合もあり、日本語はその例に該当する。文字及び書き言葉の体系は、優勢な方言又は新たに作成した人工言語を元に整備されるため、その他の方言を再現し難い場合が多い。<br />
以上により、言語による会話を記録する際には、情報の一部変質は免れない。これは、音声を文字に置換する過程(以下、『文章化』という。)で特に顕著である。<br />
そこで情報統合思念体は、文章化の際に会話部分を可能な限り、元の音声を再現した形での報告を求めた。今回の報告は、その要望を受けて、当該方言の再現にはあまり適していない文章を使用して、元の音声会話を可能な限り再現し、記述しようとするものである。<br />
情報伝達に支障を来さないよう、会話以外の部分は従前通りの表記とする。<br />
なお、情報伝達に想定以上の齟齬が認められる場合は、別途、会話部分を従前通り表記した報告を行うものとする。</p>
<p><strong>【追記】</strong><br />
<strong> その後、従前通り表記した報告を行ったところ、現地語表記と一般表記を併記した形での報告を求められた。現在の形は、併記した形の報告に差し替えたものである。</strong></p>
<hr />
<p>「アルー晴レータ日ーノコト~♪ んんーんんーんんーんんん~♪」<br />
涼宮ハルヒが歌を口ずさみながら部室に入ってきた。普段の学生鞄(かばん)とは別に、大きな鞄を肩に掛けている。<br />
「んっん~♪ みくるちゃんっ! 今日も相変わらず可愛いなぁ~♪」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【んっん~♪ みくるちゃんっ!
今日も相変わらず可愛いわね♪】</strong></span><br />
笑顔、『彼』の表現を借りると『100Wの笑顔』で朝比奈みくるにそう声を掛けながら、団長席に着く。<br />
「おい、ハルヒ。今日はまた、えっらい御機嫌さんやな?」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【おい、ハルヒ。今日はまた、やけに御機嫌だな?】</strong></span><br />
『彼』、通称『キョン』は、眉を寄せながらそう問い掛けた。過去の情報を検索すれば、涼宮ハルヒがこのような表情をしているときは、彼女の発言を受けて必ず『彼』が東奔西走せざるを得ない状況が発生する。『彼』はそれを理解しているので、こんな表情をしている。この表情を『諦めた顔』というそうだ。<br />
「んっふっふ~。今日はねぇ、みくるちゃんのために、ええモン用意してきたんや~。」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【んっふっふ~。今日はね、みくるちゃんのために、いい物を用意してきたのよ。】</strong></span><br />
余談になるが、涼宮ハルヒたちの観測を続けるうちに、少しずつだが、表情等を観察して過去の情報と照合すると、その人間の思考内容が予測できることが分かってきた。<br />
その考察結果から今の涼宮ハルヒの思考を予測すると、『待ってました!』又は『よくぞ聞いてくれた!』である。<br />
「最近、ず~っと同(おんな)じメイド服やったやろ?
そろそろ新しいコスにいってみよかと思(おも)てん。とは言(ゆ)うても、今回は小物だけやねんけど。じゃじゃ~ん!」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【最近、ず~っと同じメイド服だったでしょ?
そろそろ新しいコスにいってみようかと思ったの。とは言っても、今回は小物だけなんだけどね。じゃじゃ~ん!】</strong></span><br />
そう言って涼宮ハルヒは、学生鞄の中からそれを取り出した。ある哺乳類の耳を模したヘアバンド。<br />
「ほほう、ある意味伝統と格式の、猫耳っちゅうわけですか。」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【ほほう、ある意味伝統と格式の、猫耳というわけですか。】</strong></span><br />
古泉一樹がいつもの微笑をたたえて言う。<br />
「ちっちっち。まだまだ甘いなぁ、古泉くんは。よぉ見てみ?
まぁ、耳だけやったら素人には分からへんか。用意したんは耳だけ違(ちゃ)うで、尻尾もセットや!」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【ちっちっち。まだまだ甘いなぁ、古泉くんは。よく見なさい?
まぁ、耳だけじゃ素人には分かんないか。用意したのは耳だけじゃないわ、尻尾もセットよ!】</strong></span><br />
涼宮ハルヒは更に別の物を取り出した。とてもふさふさした哺乳類の尻尾。<br />
「猫耳やったら、今日び、ガチの一般人でも知ってる人は多いやろ?
そんなん、普通でおもんないやんか。まぁ、みくるちゃんやったら猫耳付けても似合うやろけど、せっかくやから違う耳を用意してん。」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【猫耳だったら、今日び、ガチの一般人でも知ってる人は多いでしょ?
そんなの、普通で面白くないじゃない。まぁ、みくるちゃんなら猫耳付けても似合うでしょうけど、せっかくだから違う耳を用意したわ。】</strong></span><br />
「それは……アレか? うどんとかでおなじみの……」<br />
『彼』が問う。<br />
「そ。おっきな耳に、スマートでクールなフォルム。魅惑のふさふさ尻尾、狐セット~♪」<br />
そう言うや否や、涼宮ハルヒは朝比奈みくるの狐耳と尻尾の装着に取り掛かる。<br />
「あっ、あっ、あっ、そんな、無理やり頭飾り取らんとってぇ~、ああ~!? スカートの中に潜り込んだらあかん~ うわ!?
ちょ、何(なん)ちゅうとこ触ってんのぉ、あへぁ、わっ、わっ……」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【あっ、あっ、あっ、そんな、無理やり頭飾り取らないでぇ~、ああ~!?
スカートの中に潜り込んじゃダメぇ~うわ!? ちょ、</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>何</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>(</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>なん</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>)</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>て所触ってんのぉ、あへぁ、わっ、わっ……】</strong></span><br />
朝比奈みくるの嬌声をBGMに、程なくして狐耳メイド(しっぽ付き)が出来上がる。<br />
「よっしゃぁ♪ 思(おも)た通りめちゃめちゃ似合っとぉわぁ♪」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【できた♪ 思った通りめちゃ似合ってるわ♪】</strong></span><br />
「これはこれは……さすがは涼宮さんですなぁ。妙にそそられるモンがありまっせ。」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【これはこれは……さすがは涼宮さんですね。妙にそそられるものがありますよ。】</strong></span><br />
表情を変えずに古泉一樹は言う。わたしはまだ、古泉一樹の思考内容は全く予測できない。<br />
「さぁ、写真撮りまくるで! キョン! 古泉くん! あんたらは助手や! 早(はよ)、照明やらセットしてや!」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【さぁ、写真撮りまくるわよ! キョン! 古泉くん! あんたたちは助手!
さっさと照明とかセットしなさい!】</strong></span><br />
涼宮ハルヒは手際よく、大きな鞄から撮影機材を取り出していく。<br />
「って、おい! デジタル一眼レフやら照明機材やら、そんな物(もん)どっから調達してきたんや!?」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【って、おい!
デジタル一眼レフやら照明機材やら、そんな物どこから調達してきたんだ!?】</strong></span><br />
『彼』が目をむいて突っ込む。<br />
「ああ、コレ? 気にしたら負けや♪」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【ああ、コレ? 気にしたら負けよ♪】</strong></span><br />
「……もぉええわ。」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【……好きにしろよ、もう。】</strong></span><br />
やれやれ、と『彼』は肩をすくめた。<br />
わたしの記憶領域になぜか、涼宮ハルヒと『彼』が二人で『ありがと~ございました~!!』とお辞儀し、『以上、「涼宮ハルヒと愉快な仲間たち」のお二人でした~!!』という声を背に、舞台裏に下がっていく映像が展開された。このエラーの原因は不明。</p>
<p> 撮影中の様子は、特筆する事項はない。涼宮ハルヒの心理状態は高原状態だったと書けば足りる。<br />
一頻(ひとしき)り撮影を終えると、<br />
「ん~、狐耳のメイドさんも、なかなかええモンやね。今度は尻尾がよぉ見えるように、尻尾を通す穴があるスカートを用意した方がええかな。ああ~、今回は眼鏡を用意してへんかったことがごっつ悔やまれるわ。」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【うーん、狐耳のメイドさんも、なかなかいいものね。今度は尻尾がよく見えるように、尻尾を通す穴があるスカートを用意した方がいいかな。ああ~、今回は眼鏡を用意してなかったことがすごく悔やまれるわ。】</strong></span><br />
朝比奈みくるに頬ずりしながら、涼宮ハルヒは言った。<br />
「なかなか萌えの世界ってのは奥深いわ。」<br />
(……まさか、新たな属性に目覚めたん違(ちゃ)うか!?)<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>《……まさか、新たな属性に目覚めたんじゃないのか!?》</strong></span><br />
『彼』はそう言っているかのような顔で涼宮ハルヒを見つめていた。<br />
「そやなー。みくるちゃんだけやなくて、他の団員にも耳付けてみたいなぁ。」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【そうね。みくるちゃんだけじゃなくて、他の団員にも耳を付けてみたいわね。】</strong></span><br />
と言って、辺りを見渡す。<br />
「有希には……うーん、やっぱり猫耳か。あたしは……何がええやろな?」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【有希には……うーん、やっぱり猫耳か。あたしは……何がいいかな?】</strong></span><br />
「……女豹(めひょう)とかな……ハルヒらしいわ……」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【……</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>女豹</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>(</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>めひょう</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>)</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>とかな……ハルヒらしいぜ……】</strong></span><br />
『彼』がボソリと呟く。<br />
「ん? 何(なん)か言(ゆ)うた?」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【ん?</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>何</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>(</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>なん</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>)</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>か言った?】</strong></span><br />
「!? な、何(なん)も言(ゆ)うてへんぞ!!」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【!? な、何も言ってないぞ!!】</strong></span><br />
『彼』はよく、独白をうっかり声に出して言ってしまう。今回もそうだろう。<br />
「みくるちゃんは狐もええけど、やっぱり兎やな! ほんで、古泉くんは……何となく狸!」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【みくるちゃんは狐もいいけど、やっぱり兎ね!
それで、古泉くんは……何となく狸!】</strong></span><br />
最後に涼宮ハルヒは『彼』を見てこう言った。<br />
「あんたは迷いようがないな。あまりにもぴったり過ぎて、逆につまらんくらいやわ。」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【あんたは迷いようがないわ。あまりにもぴったり過ぎて、逆につまんないくらいだわ。】</strong></span><br />
「何(なん)や、言(ゆ)うてみぃ。」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>何</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>(</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>なん</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>)</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>だ、言ってみろ。】</strong></span><br />
「あんたは犬に決まっとぉやろ。」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【あんたは犬に決まってるじゃない。】</strong></span><br />
「理由は?」<br />
「何があっても尻尾振ってどこまでも御主人様に付いていく、忠実な僕! SOS団の雑用係、正にあんたそのものやんか!
よし、これからあんたはSOS団団長であるあたしの忠犬な!」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【何があっても尻尾振ってどこまでも御主人様に付いて行く、忠実な僕!
SOS団の雑用係、正にあんたそのものだわ! よし、これからあんたはSOS団団長であるあたしの忠犬ね!】</strong></span><br />
「何(なん)でやねんっ!!」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>何</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>(</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>なん</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>)</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>でそうなる!!】</strong></span><br />
『彼』の渾身のツッコミが涼宮ハルヒにヒットする。見事な形。『彼』のツッコミの腕は、これからも進化し続けるだろう。<br />
「ん~、あんたには耳付けて、尻尾付けて……っと、忘れたらあかんな、首輪!」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【ん~、あんたには耳付けて、尻尾付けて……っと、忘れちゃだめね、首輪!】</strong></span><br />
「何(なん)やと!?」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>何</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>(</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>なん</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>)</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>だと!?】</strong></span><br />
「首輪付けて、リード付けて……今度の罰ゲームはそれに決まりやね!」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【首輪付けて、リード付けて……今度の罰ゲームはそれに決まりね!】</strong></span><br />
「はっはっは、なかなか言いえて妙ですなぁ。さすがは涼宮さんですわ。」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【はっはっは、なかなか言いえて妙ですね。さすがは涼宮さんです。】</strong></span><br />
「コルァ、古泉……あんまり調子乗っとったら、イわすぞ?」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【こら、古泉……あんまり調子乗ってると、殴るぞ?】</strong></span><br />
「おっと、冗談でんがな。はっはっは。」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【おっと、冗談ですよ。はっはっは。】</strong></span><br />
古泉一樹は普段通りの微笑で言う。<br />
「フリスビー投げて、『そーら、キョン、取っといで!』とか言って遊んだり。あ、そうや! せっかくやから犬らしい名前で呼んだろか! ポチ、ポチ~」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【フリスビー投げて、『そーら、キョン、取っといで!』とか言って遊んだり。あ、そうだ!
せっかくだから犬らしい名前で呼びましょ! ポチ、ポチ~】</strong></span><br />
「じゃかましぃわぃ、あほんだらっ!」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【えーい、やかましい!】</strong></span><br />
『彼』は憮然とした顔で言う。<br />
「う~ん、何(なん)か、こう、しっくり来(こ)うへんなぁ? タマ……は猫やし……ペス、ペス~? んー、キョン、キョン、……ジョン……!! そや! ジョン!
あんたにぴったりの名前はジョンや!」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【う~ん、</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>何</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>(</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>なん</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>)</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>か、こう、しっくり来ないわね? タマ……は猫だし……ペス、ペス~? んー、キョン、キョン、……ジョン……!!
そうよ! ジョン! あんたにぴったりの名前はジョンよ!】</strong></span><br />
ひくぴきぴき、と『彼』の顔が引きつった。<br />
「ジョン、ジョン~。うん、何(なん)ていうか、あるべき所に収まったいう感じやな。ん? 何(なん)やろ、苗字まで思い浮かんだで? ジョン・スミス?
何(なん)やろ、この感覚……何(なん)ていうか、既定事項? みたいな……」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【ジョン、ジョン~。うん、</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>何</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>(</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>なん</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>)</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>ていうか、あるべき所に収まったっていう感じね。ん?</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>何</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>(</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>なん</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>)</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>だろ、苗字まで思い浮かんだわ? ジョン・スミス?</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>何</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>(</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>なん</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>)</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>だろ、この感覚……</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>何</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>(</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>なん</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>)</strong></span><span style="color:#A52A2A;"><strong>ていうか、既定事項? みたいな……】</strong></span><br />
「……それはお前の気のせいや……」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【……それはお前の気のせいだ……】</strong></span><br />
『彼』は震える声でやっと、搾り出すように言った。<br />
「キョンくん? 顔色悪いけど、どしたん?」<br />
<span style="color:#A52A2A;"><strong>【キョンくん? 顔色悪いけど、どうしたの?】</strong></span><br />
「……何゛でも゛あ゛り゛ま゛ぜん゛、朝゛比゛奈゛ざん゛」<br />
どう見ても何かあります。本当にありがとうございました。<br />
そんな一文が、わたしの記憶領域に展開された。<br />
しかし、この後彼らは思わぬ角度から大混乱に陥ることになる。</p>
<p> 『彼』が反応したのは、『ジョン・スミス』という単語。<br />
これは今から四年前の時点へ、『彼』が時間移動して涼宮ハルヒと出会った時に名乗った名前。『彼』曰く、涼宮ハルヒに自分の能力を自覚させる『禁断の言葉』。もし涼宮ハルヒが自らの能力を自覚したら、どのような事態になるかは情報統合思念体でも予測が困難。その単語を涼宮ハルヒ自ら口にした。『彼』が驚愕するのも無理はない。<br />
情報操作をすべきか、あるいは言語による操作、彼ら流に言うと『フォロー』をすべきか考え始めた時、異変が起きた。<br />
わたしの記憶領域に、ある映像が展開される。<br />
一戸建ての家、玄関の脇、犬耳を生やした『彼』が尻尾を振りながら『お座り』している。『彼』の前には小さな皿、『彼』の後ろには小さな犬小屋。皿と犬小屋には、それぞれ『ぢょんのえさ』『ぢょんのいえ』と書かれている。わたしは哺乳類の大腿骨の形を模したガムを手に持ち、『彼』に言う。<br />
『ジョン、お手。』<br />
『わん!』<br />
『お回り。』<br />
『わん、わん!』<br />
『チンチン。』<br />
『わおん!』<br />
『……いい子、いい子。』<br />
『くぅん。』<br />
わたしの中に得体の知れない『何か』が湧き上がる。発生した理由は不明。最近わたしは、この『何か』を人間で言うところの『感情』ではないかと考えている。<br />
今回の『何か』を人間の感情に近似して、合致するものはないか検索する。今回の『何か』は……『萌え』?</p>
<p> そのような『妄想』に囚われること数秒。エラー。平常状態に復帰する。<br />
気が付くと、わたし以外のSOS団全員の視線がわたしに集中していた。古泉一樹でさえ、驚愕の表情を浮かべている。もしわたしに表情を浮かべる機能があったなら、今の『妄想』のせいで、口に出すのも憚られるような『すごい顔』をしていたことだろう。でも、わたしにはその機能はないため、そんな心配はない。では、なぜ視線が?<br />
「……な、な、な……」<br />
朝比奈みくるが震えながら、わたしを指差している。涙目で。なぜ?<br />
「……なに。」<br />
と、わたしは問う。<br />
『長門さん!』<br />
「長門ー!」<br />
「有希ー!」<br />
わたし以外の四人の声が重なる。<br />
『鼻血、鼻血――――!!』</p>
<p> その日から『ジョン・スミス』は、わたしにとっても禁じられた言葉(ワード)となった。</p>
<hr />
<p align="right"><strong>【対訳版:<a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2250.html">Extra.6 長門有希の対訳</a>】</strong></p>
<hr />
<p align="center"><br />
<strong>|<a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1230.html">目次</a>|<a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1232.html">Report.02→</a></strong></p>
</div>
2022-09-28T00:47:44+09:00
1664293664
-
不思議探検組み合わせコンプリート計画 オマケ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3099.html
<p> </p>
<p>さてさて、今日もまた不思議探索ですよっと。<br />
もう慣れっこだね。土曜日に探索に狩り出されることも、俺がおごりになることも。<br />
今日はどのペアになるんだろうな。なんかもうほとんどの組み合わせ経験したしなあ。</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「今日はくじは無しよ!」</p>
<p> </p>
<p>ん?どういうことだ?</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「今日は5人一緒にやろうって言ってるの!たまにはいいでしょ?」</p>
<p> </p>
<p>なんと!その可能性は考えてなかった。<br />
しかしなあ、金を払うのは俺なんだぞ。<br />
5人一緒ならそれだけ俺の負担額が増えてだなあ……</p>
<p> </p>
<p>古泉「非常に良いアイデアかと。」<br />
みくる「いいと思いますよぉ~」<br />
長門「……行く。」</p>
<p> </p>
<p>はぁ……分かってるさ。ハルヒが言い出したことに、反対するヤツなんていないのさ。<br />
俺か?俺だってそうさ。ただこれぐらいは言わせてくれな</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>キョン「やれやれ。」</p>
<p><br />
終わり</p>
2022-02-11T20:48:25+09:00
1644580105
-
不思議探検組み合わせコンプリート計画 3人組編
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3098.html
<p><br />
『キョン&ハルヒ&長門』</p>
<p> </p>
<p>さて………どうしたものかね。目の前にある光景を。</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「だから!今日はショッピングに行くって行ってるでしょ!」<br />
長門「……図書館に行くべき。」</p>
<p> </p>
<p>見てのとおり、団長様と宇宙人様が喧嘩してるわけだ。<br />
ハルヒは絶対自分の意見を変えないし、長門もかなり負けず嫌いなとこあるしなあ。<br />
こりゃこのままほっといても絶対決まらない。やれやれ……</p>
<p> </p>
<p>キョン「まあまあ落ち付けよ。このまま言い争ってても決まらないだろ?」<br />
ハルヒ「何よ!じゃあどうしろってのよ!」<br />
キョン「いっそ今日は別行動にしないか?<br />
ハルヒはショッピングして、長門は図書館。俺は適当にそこらへんぶらつくから、さ。」<br />
ハルヒ・長門「駄目(!)」</p>
<p> </p>
<p>うお、ハモりやがった!なんでだ?</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「3人一緒に行かなきゃ、意味ないじゃないの!」<br />
長門「一人で行く図書館に、行く価値は見出せない。」</p>
<p> </p>
<p>嬉しいこと言ってくれるじゃないの。じゃあ分かった。前半はショッピング、後半は図書館な?</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「しょうがないわね。それで妥協してあげるわよ。」<br />
長門「……しょうがない。」</p>
<p> </p>
<p>ようやく決まったか。3人組ではこの組み合わせが1番疲れるな。まあ楽しい組み合わせでもあるけどさ。</p>
<p> </p>
<p>あ、そういや俺の行きたい場所とか完全スルーだよな。これがデフォルトか。やれやれ……</p>
<p> </p>
<p>――――――――――――――――――――――――――――――――――――――</p>
<p><br />
『キョン&ハルヒ&みくる』</p>
<p> </p>
<p>さてさて……参ったねえ。</p>
<p> </p>
<p>みくる「ふぇぇ~!!やめてくださいよぅ!」<br />
ハルヒ「何言ってるの!この婦警さんなんか似合いそうじゃない!それともこっちの女王様?」</p>
<p> </p>
<p>このやり取り、文字だけで見ればいつもの光景だ。朝比奈さんには申し訳ないが見なれてる。<br />
しかしだ、問題なのは今は不思議探索中ということであり、さらにここがお店であるということだ。<br />
恥ずかしい……ああ実に恥ずかしい…他人のフリ他人のフリ</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「ねえキョン!あんた、どっちがいいと思う?」</p>
<p> </p>
<p>他人のフリモードをしようとしてたことなど知ったことか!という感じでハルヒが訪ねてきた。<br />
ふむ……婦警と女王様か。<br />
婦警の朝比奈さん……くぅ~!たまらんね!逮捕されてぇ!<br />
朝比奈さんに説得されれば例えどんな重大犯罪を犯していてもすぐ白状してしまうだろうよ。<br />
でも女王様の朝比奈さんも捨てがたい。普段とは違う夜の強気な姿……<br />
ああ、あなたの前では俺なんて犬当然。謹んで罰を受けますよ女王様!<br />
……ってハルヒ、何睨んでるんだ。</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「何鼻の下伸ばしてるのよ。このエロキョン。」</p>
<p> </p>
<p>お前が聞いてきたんだろうが!<br />
朝比奈さんに目をやると苦笑いでこっちを見ている。なんなんだ、まったく。やれやれ……</p>
<p> </p>
<p>――――――――――――――――――――――――――――――――――――――</p>
<p><br />
『キョン&ハルヒ&古泉』</p>
<p> </p>
<p>今日の午後は涼宮さんと彼と僕の3人組です。</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「はぁ?キョンも一緒なの?古泉君だけで良かったのに!」<br />
キョン「悪かったな!俺だって長門と朝比奈さんのグループに行きたかったぜ。」<br />
ハルヒ「なんですってぇ!?」<br />
キョン「先に言ってきたのはそっちだろうが!」</p>
<p> </p>
<p>おやおや、どうやら喧嘩なさっているようです。<br />
しかし……彼らを見ていると、思わず笑みがこぼれてしまいます。</p>
<p> </p>
<p>キョン「おい古泉!何ニヤニヤしてるんだ!」</p>
<p> </p>
<p>おっと、表情に出てしまっていましたか。<br />
ここは素直に僕が感じたことを言わせてもらいましょう。</p>
<p> </p>
<p>古泉「いえね、あなた達を見ていると、口で言っている割には、とても楽しそうに見えますよ。<br />
実に生き生きとして、一緒になれたことを喜んでいるようにしか見えないのです。<br />
むしろお邪魔なのは僕では無いかと思うくらいですよ。」</p>
<p> </p>
<p>こう言うと二人は急にしおらしくなった。涼宮さんなんか顔が真っ赤です。わかりやすいお方だ。</p>
<p> </p>
<p>キョン「ばっ……バカなことを言うんじゃない!んなわけないだろう!<br />
ハルヒ「なっ……何言ってるのよ古泉君!……ああもう!さっさと行くわよ!!」</p>
<p> </p>
<p>願わくばもう少し、素直になっていただきたいものです。お二人とも……ね。</p>
<p><br />
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――</p>
<p> </p>
<p>『キョン&みくる&長門』</p>
<p> </p>
<p>今日は彼と朝比奈みくると私の3人。</p>
<p> </p>
<p>キョン「いやー、どうします?」<br />
みくる「今日は別に行きたいとこないかなあ……長門さんは?」</p>
<p> </p>
<p>私は今日、彼についてある発見をした。<br />
彼はこの組み合わせの際、私よりも朝比奈みくるに視線を向ける回数の方が多い。<br />
更によく観察した結果、朝比奈みくるの更に一部分、主に胸部に視線を向ける確率が高い。</p>
<p> </p>
<p>みくる「長門さん?」</p>
<p> </p>
<p>すなわち彼は朝比奈みくるの平均よりも大きな胸に興味を示しているものと考えられる。<br />
……理解不能。大きな胸のどこに彼をひきつける要素があるのだろうか。<br />
胸が大きいことにおけるメリットを私は見出せない。むしろデメリットの方が多いはず。<br />
だからこそ私という固体はデメリットの少ない身体にした。本当。信じて。</p>
<p> </p>
<p>キョン「おーい長門―?」</p>
<p> </p>
<p>なのに何故彼は朝比奈みくるばかりを見るのか?明らかにデメリットの多い方を選ぶのか?<br />
本で見たことがあるが、大きい胸の方が男性の性欲をそそるという説もあるらしい。認めたくないが。<br />
彼もその部類に属するのだろうか。所詮は性欲の塊。失望した。情報統合思念体は失望した。</p>
<p> </p>
<p>長門「……けだもの。」<br />
キョン・みくる「!?」</p>
<p> </p>
<p>――――――――――――――――――――――――――――――――――――――</p>
<p><br />
『キョン&みくる&古泉』</p>
<p> </p>
<p>今日は古泉君とキョン君が一緒です。<br />
そして今、私の買い物に付き合ってもらっています。</p>
<p> </p>
<p>みくる「良かったんですか?私の買い物に付き合ってもらっちゃって。<br />
皆さんにはあまり興味の無いところじゃないかなあ……」</p>
<p> </p>
<p>そう、私が今いるのは食品売り場。お茶の葉が安売りしてたんで来てもらったんです。</p>
<p> </p>
<p>キョン「全然大丈夫ですよ。朝比奈さんが一緒ならどこだって楽しいです。」<br />
古泉「僕らは特に行きたい場所もなかったわけですし、どうかお気になさらずに。」</p>
<p> </p>
<p>二人とも私に優しくしてくれます。古泉君は基本的に誰にでも優しいけど、<br />
キョン君の場合こういう風にしてくれるのは私だけです。<br />
涼宮さんや長門さんと違って丁寧です。ちょっと寂しい気も……しますけどね。<br />
長門さんや涼宮さんがいる組み合わせの場合、彼女達の希望の場所に行くことが多いので、<br />
今の組み合わせが唯一私がちょっとワガママ言える組み合わせだったりします。</p>
<p> </p>
<p>たまには、いいですよね♪</p>
<p> </p>
<p>――――――――――――――――――――――――――――――――――――――</p>
<p><br />
『キョン&長門&古泉』</p>
<p> </p>
<p>今日の午後の組み合わせは俺と長門と古泉だ。<br />
はっきり言って、何かあった時1番安心できる組み合わせと言えるだろう。<br />
なんだかんだで俺が頼りにしているツートップだからな。<br />
もっとも、長門はともかく古泉の前でそんなことは口にしたくないが。</p>
<p> </p>
<p>古泉「最近はすっかり閉鎖空間も減りまして、平和ですよ。<br />
むしろ敵対勢力の動きの方が機関では重要視されてまして……<br />
天蓋領域の方はどうですか?」<br />
長門「目だった動きは見せていない。しかし、情報統合思念体も警戒を強めている。<br />
対策用に新たなインターフェイスの配置も検討されている。」<br />
古泉「そうですか。こちらも橘さんの組織の動向は常にチェックをしていますよ。<br />
佐々木という女性についても……」</p>
<p> </p>
<p>しかし、二人の性格からかね、会話のレベルが高すぎる。<br />
はっきり言う、ついていけん。なんだこのものすごーい置いてけぼり感は。</p>
<p> </p>
<p>キョン「な、なあ。はっきり言って置いてかれているんだが。<br />
そういう話は今はいいんじゃないか?」<br />
古泉「おっと失礼。そうでしたね、今は不思議探索を楽しむべき時間ですね。<br />
どこか行く場所の希望はありますか?」<br />
長門「図書館。」</p>
<p> </p>
<p>即答しやがった!まあいい、今は暑いからな。さっさと涼みに行くか……</p>
<p>――――――――――――――――――――――――――――――――――――――</p>
<p> </p>
<p>『ハルヒ&みくる&長門』</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「絶対これが似合うって!有希!これ着なさい!」<br />
長門「コクン」<br />
みくる「この服もいいと思いますよぉ~!その次はこれ着てください!」<br />
長門「コクン」</p>
<p> </p>
<p>今私達は女ものの洋服売り場にいる。<br />
今回の探索のテーマは『有希におしゃれをさせる!』<br />
ちょっと子供っぽいけど有希もみくるちゃんに負けないぐらいかわいいからね!<br />
無限の可能性が広がってるはずだわ!これこそ不思議だと思わない?</p>
<p> </p>
<p>長門「……着た。」<br />
ハルヒ「有希!最高に似合ってるわ!」<br />
みくる「かわいすぎですー!じゃあ次はこれを!」</p>
<p> </p>
<p>みくるちゃんもはしゃいでるわね。まあ当然ね。何を着せてもかわいいもの!</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「いやーかわいかったわね。有希!なんか気に入ったのある?あったら買うわよ!」<br />
長門「……全部買う。」<br />
ハルヒ・みくる「「マジで!?」」</p>
<p> </p>
<p>――――――――――――――――――――――――――――――――――――――</p>
<p><br />
『ハルヒ&みくる&古泉』</p>
<p> </p>
<p>今日の午後は古泉君とみくるちゃんと一緒だった。<br />
そして今は、終わって喫茶店でキョンと有希を待ってる。<br />
にしても……</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「ねえ、キョンと有希遅くない?」<br />
みくる「え?そうですかぁ?」<br />
ハルヒ「そうよ!!古泉君、今何時?」<br />
古泉「3時45分。集合時間には、まだ15分余裕がありますね。<br />
僕等が早く来過ぎただけでしょう。」</p>
<p> </p>
<p>あ、あらそう。まだそんな時間なのね。<br />
確かに今日は成果も今1つだったし暑くて疲れてたから早めに切り上げたんだけど、<br />
まだそんな時間なんだ。</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「でもやっぱ遅いわよ、まったく……」<br />
古泉「彼のことが気になりますか?」<br />
ハルヒ「ちょ……!」</p>
<p> </p>
<p>何言ってるのよ!私は別にキョンのことなんか……<br />
そう、私が気にしてるのは有希よ!エロキョンに変なことされてないか心配だわ!<br />
団長として有希の心配をしてるだけよ!</p>
<p> </p>
<p>古泉「ふふ、ではそういうことにしておきましょうか。」</p>
<p>そういうことも何もそれが事実よ!コラ!何みくるちゃんもクスクス笑ってるのよ!<br />
ほんとにキョンのことなんかどうでもいいんだからね!</p>
<p> </p>
<p>――――――――――――――――――――――――――――――――――――――</p>
<p> </p>
<p>『ハルヒ&長門&古泉』</p>
<p> </p>
<p>さて……困ったことになってしまいました。今僕達はファミレスにいます。<br />
涼宮さんが「小腹がすいたわ!」と言って、長門さんも頷いたなら、僕に断る理由はありません。<br />
しかしまさか……「小腹」でこんなに食されるとは思いもよらず……</p>
<p>予想される金額を払えるほど、サイフにお金が入っていません。<br />
普段彼が奢ってくれますからね、完全に油断していました。</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「あー食べた食べた!ちょっとトイレ行ってくるわね!」</p>
<p> </p>
<p>涼宮さんが席を立ちました。今がチャンスです!</p>
<p> </p>
<p>古泉「あのー長門さん?」<br />
長門「何?」<br />
古泉「実は……お金が足りないかもしれないのです。少しだけ負担してくださいませんか?」<br />
長門「私も今はほとんど持ち合わせていない。」<br />
古泉「そうですか……しかたない、涼宮さんに……」<br />
長門「でも大丈夫。情報操作は得意。」<br />
古泉「え?」</p>
<p> </p>
<p>長門さんは例の高速呪文を唱えました。<br />
するとびっくり!僕の財布の中に新たな諭吉さんがいるじゃありませんか!</p>
<p> </p>
<p>古泉「あ、ありがとうございます!ほんとにいいんですか?」<br />
長門「いい。」</p>
<p> </p>
<p>涼宮さんが戻ってきました。</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「こんだけ食べて古泉君一人に払わせるのもアレだからね!私も少し出すわよ。」</p>
<p> </p>
<p>おや、彼女がこのようなことを言ってくださるとは。僕一人で払うことになるかと思ってました<br />
先ほどまでなら神の言葉ですが、今は大丈夫です。</p>
<p> </p>
<p>古泉「結構ですよ。僕が全部お支払いさせて頂きます。」<br />
ハルヒ「いいの?」<br />
古泉「女性にお金を払わせるのは僕のマナーに反しますので。」</p>
<p> </p>
<p>さっきまで長門さんにたかってたのは誰だよ!というツッコミは受けつけません。<br />
僕はお金を一人で支払い、さらにその後の買い物でも調子に乗って全額負担しました。<br />
ありがとう長門さん!</p>
<p> </p>
<p>1ヶ月後、機関からの給料が一万円少なくなってたのは別の話です。<br />
ああ、そういうことだったんですね……orz</p>
<p> </p>
<p>長門「ユニーク」</p>
<p> </p>
<p>――――――――――――――――――――――――――――――――――――――</p>
<p><br />
『みくる&長門&古泉』<br />
<br />
今日は涼宮さんとキョン君がペアになりました。<br />
だから私は古泉君と長門さんと一緒です。<br />
特に行くところが無かった私達は、河辺を散歩しています。</p>
<p> </p>
<p>古泉「いやはや、実に嬉しそうでしたねえ。涼宮さん。」<br />
みくる「ホントですよね。口では悪口言ってたけど、顔はにやにやしっぱなしでしたよ?」<br />
長門「……わかりやすい。」</p>
<p> </p>
<p>涼宮さんがキョン君と一緒のペアだと知った瞬間の笑顔、私は見逃しませんでした。<br />
その後すぐに照れ隠しで不機嫌なフリをしてましたけどね。バレバレです。</p>
<p> </p>
<p>古泉「彼の方もまんざらでも無さそうでしたね。」<br />
みくる「私には嬉しそうに見えましたよ。涼宮さんよりは分かりにくいけど。」<br />
長門「私もそう見えた。」<br />
古泉「本当に素直では無いですね、あの方々は。僕個人としては早くくっついてほしいのですが。」<br />
みくる「どちらが先に素直になれるかですよね。えっと、こういうのなんていうんでしたっけ…?」<br />
長門「ツンデレ。」<br />
みくる「それです!二人ともそうだと大変ですよね。」<br />
古泉「いっそ僕らでそのきっかけを作ってしまいましょうか。<br />
実はまだ涼宮さんには内緒ですが新たなサプライズを考えているのです。<br />
その内容は……」</p>
<p> </p>
<p>古泉君が企画の説明をしています。<br />
でも、やっぱり最後は二人自身が歩み寄らないといけないと思うんです。<br />
お似合いのカップルだから、一緒になってほしいなあ、と思います。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p> </p>
2022-02-11T20:48:16+09:00
1644580096
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不思議探検組み合わせコンプリート計画 2人組編
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3097.html
<p>『キョン&ハルヒ』</p>
<p> </p>
<p>今日の午後はハルヒとペアになった。<br />
持つかな~俺の体力。</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「はぁ!?キョンと二人?勘弁してよ!」<br />
キョン「勘弁してほしいのはこっちだよ、まったく。」<br />
ハルヒ「何よ!私と二人がイヤなワケ?」<br />
キョン「だってお前とだとどんな風に振りまわされるかわかったもんじゃないからな。」<br />
ハルヒ「分かってるじゃない!じゃあ早速行くわよ!<br />
あ!行っとくけど代金は全部あんた持ちだから!罰金よ罰金!」<br />
キョン「へいへい、どこへでも連れってってください、団長様。」<br />
ハルヒ「よろしい!じゃあ、行くわよー!」</p>
<p> </p>
<p>満面の笑みで俺の手を引っ張って走り出すハルヒ。<br />
この顔を見せられると、どんな扱いを受けても腹が立たなくなるのが不思議だ。<br />
俺も奴隷体質が身についてしまったってことなのかね。</p>
<p> </p>
<p>キョン「やれやれ。」</p>
<p> </p>
<hr />
<p> </p>
<p>『キョン&長門』</p>
<p> </p>
<p>今日の午後は長門とペアになった。<br />
まあこの組み合わせの場合、行くとこは決まってるんだけどな。</p>
<p> </p>
<p>キョン「よし、行くか、図書館。」<br />
長門「いく。」</p>
<p> </p>
<p>そんなこんなで図書館に到着、いやー夏場は天国だねここは!<br />
長門はもう本を探しに行ったらしい。さて俺は昼寝でも…と思いソファーに座ろうとしたら、</p>
<p> </p>
<p>長門「……。」</p>
<p> </p>
<p>長門が俺の袖をつかんでいた。どうした?</p>
<p> </p>
<p>長門「とって。」</p>
<p> </p>
<p>そう言って本棚の上段を指差す長門。ああ、届かないのか。<br />
これでいいんだな?よいしょっと。</p>
<p> </p>
<p>キョン「ほらよ。」<br />
長門「……ありがとう。」</p>
<p> </p>
<p>長門は礼を言うと別の本を探しに行ってしまった。頬を染めたりしてくれるとよりいいんだけどなー。<br />
でも長門が頼ってくれたというのは嬉しかった。今日の昼寝はいい夢が見られそうだ。</p>
<p> </p>
<hr />
<p><br />
『キョン&みくる』</p>
<p> </p>
<p>今日の午後はキョン君とペア。涼宮さんの機嫌が心配だけど……<br />
でもくじの結果だからしょうがないですよね。</p>
<p> </p>
<p>キョン「どうしますか?朝比奈さん。」<br />
みくる「う~ん、私は特に行きたい場所は…キョン君どこか行きたいとこありますか?」<br />
キョン「俺も特に無いですよ。じゃあ……散歩でもしますか?」<br />
みくる「いいですね~お散歩しましょう。」</p>
<p> </p>
<p>こんな流れでキョン君とお散歩することになった。<br />
キョンさんと歩くと言えばここ。未来人だという告白をうけたこの道。</p>
<p> </p>
<p>みくる「キョンくん、いつもごめんね。」<br />
キョン「いきなりなんですか?」<br />
みくる「いっつも奢ってもらってるでしょ?お金大丈夫?」<br />
キョン「大丈夫って言ったらウソになりますね。でも気に病まないでくださいよ。<br />
朝比奈さんは悪くないですから。でも、なんでみんな早く来てるんですか?」<br />
みくる「涼宮さんがそう望んでるからです。だから長門さんも古泉くんも私も、早く来てるんですよ。」<br />
キョン「まったくあいつはそんなに俺に奢らせたいのか……やれやれ。」</p>
<p> </p>
<p>違うよキョン君。涼宮さんはあなたとより多く話したいと思ってるからなんだよ。<br />
彼が涼宮さんの気持ちに気付くのはいつなんだろう。</p>
<p> </p>
<p>キョン「朝比奈さん?何か考え事でも?」<br />
みくる「ふふ……禁則事項です♪」</p>
<p> </p>
<p> </p>
<hr />
<p><br />
『キョン&古泉』</p>
<p>午後の不思議探索は古泉と二人っきり。わーい!最悪だ!</p>
<p> </p>
<p>古泉「おや、僕はこの組み合わせも結構好きですが?」<br />
キョン「気色悪いこと言うな!ホモかお前は!」<br />
古泉「いえいえ、そういうことではありませんが、今の高校生活の中で、1番親しい友人となると、<br />
やはりあなたということになりますからね。」<br />
キョン「俺にとってもそうなるのかな。忌々しいことだが。」<br />
古泉「おや?あなたにとっては涼宮さんでは?<br />
おっと失礼、彼女はもう友人ではなくそれ以上の関係ということですね。」<br />
キョン「しばくぞ。」<br />
古泉「割と本気で言っていますよ。あなたと彼女の関係はもはや友人以上のものです。<br />
願わくばこのまま生涯と共にする仲になってほしいものです。」<br />
キョン「一生あいつに振りまわされろってか!死刑判決よりキッツいぞそれ!」<br />
古泉「と言うわりには、まんざらでも無い顔をしているようですが?」<br />
キョン「言ってろ!まったく何を言っているんだか…」<br />
古泉「お二人が素直になることを祈ってますよ、僕個人としても、ね♪」</p>
<p> </p>
<p>相変わらずムカつくニヤケ顔だ。しかし確かにまんざらでもないと思う自分もいる。<br />
まあ、そんなことハルヒやコイツの前じゃ絶対に言えないがな。</p>
<p> </p>
<hr />
<p> </p>
<p>『ハルヒ&長門』</p>
<p> </p>
<p>今日は有希といっしょ。この組み合わせって珍しいわね?<br />
あまり有希を引っ張りまわす気にはなれないわ。有希の希望を</p>
<p>聞いてみよう</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「有希、どっか行きたいとこある?」<br />
有希「……あれ。」</p>
<p> </p>
<p>有希が指差したのは……カレー屋。<br />
なになに?「特別企画!超盛りカレー!全部食べれたら賞金が!」</p>
<p> </p>
<p>有希「あれに挑戦したいと思う。……あなたは?」<br />
ハルヒ「上等よ!どっちが早く食べれるか勝負よ!!」</p>
<p> </p>
<p>……そんな感じで始めたはいいんだけど、正直キツくなってきた……<br />
ああ、有希は開始3分で全てたいらげたわ。どんな胃袋してるのよ、あの子</p>
<p>うっぷ、もうダメだわ、限界……でも失敗したらお金払うことに……<br />
……ん?有希、どうしたの?私のお腹に手を当てて……</p>
<p> </p>
<p>長門「……@@@@」</p>
<p> </p>
<p>早口で何か言ってる。なんなのかしら……ってあれ?急に調子戻ってきたわ!まだまだ食べれる!</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「……終わったわ!!ごちそうさま!!!」</p>
<p><br />
ハルヒ「いやー結構ギリギリだったわね。でも有希、さっき何してたの?」<br />
長門「………おまじない。」</p>
<p> </p>
<hr />
<p> </p>
<p>『ハルヒ&みくる』</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「この組み合わせになったからには!行くとこ分かってるわよね!?」<br />
みくる「え?どこですかぁ?」<br />
ハルヒ「コスプレショップよ!新たな可能性を模索しに行くわよ!」<br />
みくる「ひぇ~……」</p>
<p> </p>
<p>そして私達はコスプレショップに着いた</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「さあみくるちゃん!今日はこれよ!アフリカンスタイル!!」<br />
みくる「露出多すぎですぅ~!恥ずかしいですよぉ!」<br />
ハルヒ「いいから!さっさと試着してきなさい!」<br />
みくる「ひぇ~!」</p>
<p> </p>
<p>みくるちゃんを無理矢理試着室に押しこんだ。どんだけ似合うのかしら、楽しみだわ!<br />
……ん?あれは婦警さんのコスプレ?次はこれね!<br />
……わたしにも似合うかな。そう思って鏡の前に立ってみる。キョンはこれを見たらどう……</p>
<p> </p>
<p>みくる「涼宮さん?」<br />
ハルヒ「え?あ、み、みくるちゃん、ステキじゃない!つ、次はこれよ!」</p>
<p> </p>
<p>慌てて鏡から離れる私。でもみくるちゃんは何かニヤニヤしてる。</p>
<p> </p>
<p>みくる「その服は涼宮さんの方が似合うと思いますよ。キョン君も気に入ってくれると思います。」<br />
ハルヒ「キョ、キョンは関係無いじゃない!何言ってるの!!」</p>
<p> </p>
<p>まああの時キョンのことを考えてたのは事実だけど、別にやましい気持ちがあったわけじゃないわよ!<br />
……本当だってば!だからそのニヤニヤをやめなさーい!</p>
<p> </p>
<hr />
<p> </p>
<p>『ハルヒ&古泉』</p>
<p>今日の午後は涼宮さんとペアです。おや、これは割と珍しい組み合わせではないでしょうか。</p>
<p> </p>
<p>古泉「どこか希望の場所はありますか?僕はどこでもいいですよ。」<br />
ハルヒ「ん~……それはそうと、ちょっと聞きたいことがあるのよね。」</p>
<p> </p>
<p>おや?僕に聞きたいこと?一体なんでしょうか……</p>
<p> </p>
<p>古泉「なんですか?」<br />
ハルヒ「古泉君ってさ、いつも私の言うことに賛成してくれるじゃない?<br />
それは嬉しいんだけどさ、たまに思うのよね、もしかして無理してるんじゃないかって。」</p>
<p> </p>
<p>少々びっくりしましたね。彼女がそのように思っていてくれたとは。<br />
しかし……ふふ</p>
<p> </p>
<p>ハルヒ「何笑ってるのよ!」<br />
古泉「失礼。いや、まさかそんな心配をしてくださってるとは思わなかったもので。<br />
しかし、別に無理しているわけではないですよ。嫌だと思ったら断ります。」<br />
ハルヒ「じゃあなんでいつも賛成してるのよ。」<br />
古泉「簡単です。嫌だと思うことがほとんど無いからですよ。<br />
あなたの提案はいつもサプライズに満ちていて、興味深い。<br />
僕自身、どんなことを提案するのか楽しみにしてるんですよ?断る理由なんてありません。」<br />
ハルヒ「そう?ならよかった。実はちょっと心配してたのよね。」</p>
<p> </p>
<p>これは半分ウソで半分本当です。もちろん閉鎖空間を生まないためにイエスマンになっている部分もあります。<br />
でも、それ以上に彼女に楽しませてもらっているのも事実。苦痛に感じることはありません。</p>
<p> </p>
<p>しかし、彼女がこんなことを言うとは。この一年で彼女は大きく変わられた。<br />
僕個人としても、とても嬉しいことですね。これもきっと、彼のおかげでしょう……</p>
<p> </p>
<hr />
<p> </p>
<p>『みくる&長門』</p>
<p>午後のペアは……長門さんです。<br />
正直、ちょっと困ってます、会話持つかな……</p>
<p>みくる「長門さん、どこか行きたいとこありますか?」<br />
長門「……」<br />
みくる「と、図書館にしますかぁ?」<br />
長門「いい。あなたの行きたいところに行きたい。」<br />
みくる「私の、ですか?いいんですか?」<br />
長門「いい。私という固体はあなたともっと親密になることを望んでいる。」<br />
みくる「長門さん……」</p>
<p> </p>
<p>驚きました。まさかそんなことを言われるなんて。</p>
<p> </p>
<p>長門「あなたには申し訳無いと思っている。私は気持ちを上手く言語化することが苦手。<br />
そのことが結果的にあなたの私に対する苦手意識を生んでしまっていると判断した。<br />
でも、私という固体はあなたを嫌っているわけではない。信じて。」<br />
みくる「長門さん……」<br />
長門「このことを彼に相談したら、彼女と一緒に行動すべきとの解答を得た。<br />
……実はこの結果も私が操作した。もっとあなたと仲良くなりたい、これが私の今の感情。」</p>
<p> </p>
<p>私は最初に「困った」とか思ったことを後悔しました。<br />
こんなにも私のことを考えていてくれたなんて。</p>
<p> </p>
<p>みくる「いえ、私も勝手に苦手に思っていてすいませんでした。でも、それは今日までです。<br />
……もっと、仲良くなりましょうね!」</p>
<p> </p>
<p>そう言うと長門さんは頷いてくれました。<br />
その後は私が長門さんを引っ張って長門さんに似合いそうな服を買ったりしました。彼女も楽しそうでした。<br />
もう彼女に苦手意識なんて持ちません、絶対に。</p>
<p> </p>
<hr />
<p><br />
『みくる&古泉』</p>
<p>おやおやこれは……あまり無い組み合わせですね。<br />
午後のパートナーは、朝比奈さんです。</p>
<p> </p>
<p>みくる「古泉君は、どこか行きたいところありますかぁ?」<br />
古泉「いえ別に……あなたにお任せしますよ。」<br />
みくる「じゃあ、買い物に付き合ってもらってもいいですか?今日はお茶が安いんです!」</p>
<p> </p>
<p>特に断る理由も無かったので、彼女に付き合うことにしました。<br />
デパートにてお茶の種類を鼻歌まじりに選ぶ彼女。<br />
もうすっかり身も心もSOS団のメイドとなっているようですね。</p>
<p> </p>
<p>みくる「ごめんなさい遅くなっちゃいました。」<br />
古泉「いえいえいいですよ。しかしお茶の葉を選んでるときのあなたは、かなり楽しそうでしたよ。」<br />
みくる「そうですか?最近はお茶を煎れるのも趣味の1つになっちゃって……結構こだわってるんですよぉ。」<br />
古泉「わかりますよ。最初に比べて、おいしくなっているのがわかります。」<br />
みくる「分かってもらえますか?嬉しいです。涼宮さんも長門さんもキョンくんも、<br />
そういうのには詳しくないから、古泉君が居てくれて嬉しいです。」</p>
<p> </p>
<p>彼女からそんな言葉が聞けるとは、少々照れますね。</p>
<p> </p>
<p>古泉「そう言っていただけると嬉しいです。明日、楽しみにしてますね。」</p>
<p> </p>
<hr />
<p> </p>
<p>『古泉&長門』</p>
<p> </p>
<p>古泉「長門さん、今日は僕にお付合い願いますか?」<br />
長門「構わない。……でもどこに行くの?」<br />
古泉「ふふ、ついてからのお楽しみ、ではダメですか?」</p>
<p> </p>
<p>そう言うと古泉一樹はいつもの微笑を見せた。彼はどちらかというと他人の意見に合わせるタイプ。<br />
このように彼が行きたい場所をいうのは結構稀。少し楽しみ。</p>
<p> </p>
<p>古泉「着きましたよ、ここです。」<br />
長門「これは?」<br />
古泉「古本屋です。結構大きいでしょう。<br />
この前偶然見つけまして、機会があれば長門さんに紹介しようかと。どうです?」<br />
長門「……興味深い。」</p>
<p> </p>
<p>私達は古本屋を見て回った。図書館には無いような古い書籍もある。<br />
多少傷がついていたりもするが値段が安く、買いやすい。<br />
私は興味を引かれた本をいくつか買って、古泉一樹と共に店を出た。</p>
<p> </p>
<p>古泉「気にいって頂けましたか?」<br />
長門「コクン。……また来たい。」<br />
古泉「それは何よりです。またペアになった時にでも来ましょうか。」</p>
<p> </p>
<p>そのつもり。彼とペアになった時は図書館に行くように、<br />
古泉一樹とペアになった時はこの場所に来ることになるだろう。<br />
また私に、特別な場所が1つできた。</p>
2022-02-11T20:48:03+09:00
1644580083
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不思議探索組み合わせコンプリート計画
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3100.html
<p><a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3097.html">2人組編</a></p>
<p><a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3098.html">3人組編</a></p>
<p><a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3099.html">オマケ</a></p>
2022-02-11T20:47:40+09:00
1644580060
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しん・せかいに君と
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4658.html
<p> </p>
<p> 人払いを終えた、淀んだ茜色に染まった部室で、俺はある作業に勤しんでいた。<br />
パソコンのソフトを呼び出し、ディスクトレイに部長氏から託されたそれを乗せる。トレイがディスクを飲み込み、少し耳障りな音と共に読み込みが始まる。<br />
念のため、カーテンも閉めるべきだろうか。いや、外からは俺が見ようとしている物までは見えないはずだ。そんな事をしても、かえって怪しまれるだけだろう。<br />
「おっと」<br />
カバンからイヤホンを取り出し、パソコン背面の端子に接続して、画面上で適当な音量に調節する。危ないところだった。椅子に改めて座りなおすと同時に、ディスクに記録されていた動画が再生された。<br />
俺が何を見ようとしているのか。考察する理由など微塵も無い。画面を一目見れば、俺がこうして臆病なまでに周到になっている理由がわかるはずだ。<br />
何のことは無い。ただのAVだ。<br />
<br />
前日の事である。<br />
部活動と言っても差し支えがありまくりのSOS団定例ミーティングを終えた俺は、下駄箱の前でコンピ研の部長氏に呼び止められた。<br />
「頼みがあるんだ」<br />
部長氏に頼まれるような事など、思い当たらない。想定外の人に想定外の事を言われ俺は、<br />
「はぁ、なんでしょう」<br />
と聞きようによっては「いいですとも」と取られかねない曖昧な返事しか取ることが出来なかった。<br />
承諾と受け取ったのか、部長氏は破顔して言った。<br />
「君ならわかってくれると思ったていたよ。嬉しいなあ。嬉しいなあ。では、約束のものは明日」<br />
「待ってください」<br />
まるでハルヒだ。部長氏は早口言い終えると、自分の靴箱の前に移動しかけた。<br />
「まだ話の『は』も聞いてないんですが。何ですか?」<br />
「あ、あ? あ、ああ、あーっ、ああ!! す、すまない……いや、その話というのは――」<br />
要約すると。<br />
・長門の写真が欲しい。<br />
・出来れば水着がいい。<br />
・欲を言えば、ポロリもあると嬉しい。<br />
・メイド服もいいなあ。<br />
・でも、一番は自然体なプライベートな写真だよね。<br />
仮に、俺がその要求に応えた場合相応の対価は払う、という事らしい。<br />
対価とは何か? と尋ねると「オージーメガ盛り」と一言。気付くと俺は、部長氏と固い握手を結んでいた。<br />
<br />
考えてみれば、今までの俺は間違っていたのかもしれない。<br />
MIKURUフォルダをはじめ、俺は朝比奈さんと長門を、どこか俺個人の所有物と見なしていた。それは、ハルヒの独善的な考えと同じではないか。<br />
自分だけの秘密、と言えば聞こえはいいが、所詮はただのエロフォルダである。HDDの片隅で、幽閉されているようなものだ。それでは、いけなかったのだ。<br />
なぜなら、画像とは見られるためにあるのだから。それはオージーメガ盛りだって一緒だ。数多くの人の目に触れてこそ、その画像も、ひいてはその被写体も真の意味で「活きる」のではないか。<br />
俺は部長氏に感謝した。部長氏と出会わなければ、孤独な男として一生を終えていたのかもしれないのだから。<br />
そうと決まれば事は早いほうがいい。俺は職員室に忘れ物があったと部室の鍵を受け取りにいき、厳選NAGATOディスクの作成を行った。<br />
あえて、この場には部長氏を呼ぼうとは思わなかった。同じように部長氏は自宅でディスク作成に全精力を注ぐと言っていたし、何より無粋である。<br />
「こんなんどうよ、いいだろ」<br />
なんて会話を交わしながら画像を選ぶなど、楽しみを殺ぐだけだ。<br />
交換のときは明日の昼休み。2階の男子トイレ個室3番目にて。<br />
まずは、膨大な写真データから長門だけを探す作業から始まった。ハルヒが無節操に取った写真デの総容量はギガにして4.1<br />
俺は幸いに時系列にまとめられていたフォルダの中を一つ一つ探し、長門が写った写真だけを一時フォルダにコピーする。その作業だけで、すでに40分が経過していた。<br />
次に、ボケたり長門の像が切れているのを省く。そうするだけでも、大分絞り込めてくるので後が楽だ。<br />
しかし、ここで俺は悩んだ。それでも、あまりにも数が多いのだ。<br />
残った画像は、とりあえずボケた長門は写ってはいない。しかし、数が多いという事は全体の質が下がるという事だ。<br />
全てをコピーして、そのまま渡すべきか。あるいは、ディレクターズカット版でお届けするべきか。<br />
熟考。<br />
外はもう日が沈み、藍色が支配しようとしている。もう帰らなくてはいけない。<br />
結局、俺は決断には至らなかった。そこまで俺は大人になってはいなかったという事だ。<br />
俺は2枚のディスクを焼き終えると、部室を後にした。<br />
<br />
今日の昼休み。約束の地にして、交わされた盟約を果たすと俺と部長氏はただのお隣さん同士に戻った。<br />
そして、俺はその後の幾多の障害を乗り越え、この時この場所でオージーメガ盛りを堪能するに至ったのである。<br />
ディスプレイに躍るオージーメガ盛り無修正。この状況で何を我慢する事があろうか、ここで本能に従うことこそが、真の意味で部長氏に報いることになるはずだ。<br />
ああ、そ、そんなふうになってたのか!<br />
興奮のあまり、手が震えベルトが上手く外せない。いや、ここでこそ落ち着くべきだ。レッツ深呼吸。ゴーツーへヴン。<br />
くっそ、興奮が冷めやらねぇ。このままいっちまうのも手か。いいや、そんな勢いじゃない、手なんか必要ないくらいだ。<br />
「ふえ、ふぇ、ふぇっ、フェッフェフェ、フケ、フケケケケケケケケケケケ」<br />
ガチガチと歯がなり、声帯が痙攣を起こしている。<br />
すごいよ、このオージーメガ盛り! ありがとう、部長氏!<br />
さぁここからが本番だ。という所で背後から声がかかった。<br />
「大丈夫?」<br />
えっ。<br />
心臓が止まったかと思われた。<br />
部室には鍵をかけておいたはずだ、誰も入れないはず、なのに、どうして俺以外の人間が……?<br />
ビデオを一時停止し、イヤホンを外す。<br />
居る。<br />
右後方に居る。<br />
振り向かなくても、この先どんな展開が俺を待ち受けているか、俺にはわかっている。<br />
一緒なのだ。振り向いても振り向かなくても、同じだ。なのに、どうして俺は硬直したまま振り向くことが出来ないのだろう。<br />
「いいわよ、そのままで」<br />
ありがたい。出来ればそのまま退出してくれればありがたいのだが、などと言う度胸は俺には無い。<br />
「昨日、帰った後でも部室に電気がついてるのが気になったのよ。ほら、昨日は順番的に有希、あたし、古泉君、キョン、みくるちゃんだったじゃない。<br />
有希と古泉君が先に帰ってるのは自分の目で確認してたから、居るのはあんたかみくるちゃんに限られるでしょ。<br />
みくるちゃんが嫌らしいことでもされてないかと思って、気になって待ってたのよ。でも、暗くなってから出てきたのはあんた一人だったから。<br />
だからね、今日もなんか様子がおかしかったから、帰った振りしてロッカーに隠れてたのよ。そしたらあんた、変な声で呻きだすから…………」<br />
いくばくかの沈黙の後、ディスプレイを染めていた夕日が陰る。<br />
「へぇ」<br />
そう吐き捨て、ハルヒは部室から出て行った。<br />
画面には、静止状態で映し出されているジョイント部分。<br />
部長氏に報いることは、出来なかった。<br />
<br />
後始末を終え、校門を出ると既に辺りは暗がりに包まれていた。<br />
カバンの中に、一応ディスクは入ってはいるが、自宅で見直す余裕は残されていなかった。<br />
明日からどうしよう、とか、よく考えれば部室の様子は古泉の機関にも筒抜けだっただろうな、と言った後悔ばかりが俺を責め立てていた。<br />
部長氏は無事に、事を終えられたのだろうか。それも、一つの気掛かりだった。<br />
人気の全く無い長い坂をくだり、家路を歩く。<br />
身から出た錆なだけに、今回は立ち直るのに時間がかかりそうだ。<br />
……、俯いていても仕方無い。せめて前を見て歩こうではないか。<br />
そうだ、コンビニで何か甘いものでも買っていこう。少しは、気分がまぎれる筈だ。<br />
通りに面したコンビニに入り込むと、イカとアワビが接客していた。<br />
いや、イカではない。見慣れたそれだ。アワビでもない、さっき見たあれだ。<br />
入り口で立ち尽くす俺を、アワビが訝しげに伺う。<br />
アワビ、いや、ま、アワビが、ニチャリと水音を立て、喋った。<br />
「いらっしゃいませ……?」<br />
速攻回れ右でコンビニを出ると、あたりの様子が少し違っている事に気付いた。道行く影が全て、人型ではなく、棒状かバレーボール状になっている。<br />
短い棒。長い棒。太い棒。毛に包まれた……もう直視は出来ん。<br />
なんだ、コスプレか? 今日は仮装大会か?<br />
横を、グチョグチョと音を立てながら二つのアワビが通る。<br />
「つか、うちのテレビまだ現役だしね」<br />
「売り場で見るより、うちの大きいのが綺麗に見えるよね」<br />
「だよねー。必死だよねー」<br />
声の感じからして、中学生か高校生だろうか。通り過ぎた後に、まとわりつくような匂いが鼻についた。<br />
少なくとも、着ぐるみや仮装じゃあんな質感は出来ないだろう。<br />
という事は……?<br />
<br />
自宅で俺を迎えたのは、まっさらなドラ焼きだった。そのドラ焼きは甲高い声で「キョンくん、おかえり」と言っている事から、妹だと推測できる。<br />
ここまでの道のり、見かけた動くものは全てイカかアワビ(ドリルかドラ焼き)だった。それらは人間のように会話をしていたり、車を運転したりしていた。<br />
別のコンビニで見た雑誌の写真も全て、イカかアワビ(グラビアは特にドス黒かった)で、どうやら人間がその姿に変わってしまっているらしかった。<br />
しかし、ガラスに映った俺の姿だけはなぜ、元のまま。<br />
これは仮説だが、人がイカやアワビ(ゲイラカイトやタワシ)に見えるのは、俺だけなのではないか。他人には恐らく、俺は普通の人間に見えているはずだ。見えていないならこっぱずかしいことこの上ない。<br />
こんな事を出来るのは決まってる。ハルヒだ。<br />
大方、俺が無修正のオージーメガ盛りを見ていたことに腹を立て「そんなに無修正のアソコが見たいなら好きなだけ見ればいいじゃない!」とでも思ったんだろう。<br />
馬鹿野郎め。俺は今モザイクの素晴らしさを噛み締めている最中だ。<br />
しかし、どうしたらいいのだろうか。<br />
俺は母親から目を逸らしての、食べにくい夕食を取りながらこの先の事を考えていた。<br />
<br />
<br />
学校に向かう事はおろか、ベッドから起き上がることさえ非常に億劫な朝だった。<br />
あれから一晩、一睡もせずに本気出して考えてみたものの、具体的な解決策は一つも出ないままだった。<br />
長門や古泉に助けを請うのも、どこか癪に思い躊躇われた。そうさ、余計な借りを作る必要も無い。<br />
こうして、朝を迎えた俺であった。<br />
ベットから抜け出しても尚、幾度も「休んでしまおうか」という誘惑が俺を襲った。歯を磨き、頭を覚醒させようとするが、鏡に映る自分が、誘いかける。<br />
「見ろよ、こんなになっちまってんだぜ。ハルヒだけじゃなくみんなが」<br />
横には、歯ブラシを突っ込んでヌシュヌシュと音を立てている妹がいた。<br />
思春期手前の妹でさえ、口(という比喩表現を使わざるをえない所)を開くと生々しい臭いが周囲に広がり、その度に俺は妹が『女性』である事を再確認するのだった。<br />
妹だけではない、母親だってそうである。昨日は結局一度も目を合わせないままだったが、今朝は気を抜いていて、正面からバッチリ見てしまった。<br />
学校に行けば、きっとこんなものではない。否が応でも顔を突き合せねば成らないのだ。……この度は逃げてもいいんじゃないだろうか。そんな、甘い誘惑。<br />
だが、それでいいのかと俺を奮い立たせようとする俺もまた、目の前にいるのだった。<br />
「見たかったんだろ」<br />
単純な物事ではない。見たいから、はいどうぞ、なんてのはどうかと思う。こんな四六時中出しっぱなしでは、希少価値が無くなってしまう。<br />
いや、事実俺は既に価値を見出せなくなっていた。それは頭だけではなく、身体も同様のようである。<br />
打ちひしがれて絶望感。ひしひしと骨身に伝わると、あきらめの様な気分になってきた。<br />
水を吐き出し、鏡を改めて見つめると、そこには青い顔の俺が映っている。歯を食いしばってみるものの、出来たのは苦渋の表情を浮かべることだけだった。<br />
<br />
家を出る間際に母親は「青い顔をしている」と心配してくれたが、家に居ても事が解決する訳ではない。<br />
昨日の事が原因で休んだとハルヒに思われても面白くない、機関ら傍目にもそのように思われるだろう。そんなのは嫌だ。<br />
マスクをはめて出来るだけ人から目を逸らし、さながら不審者のように海鮮地獄の町を歩き、学校へと辿り着いた。<br />
奮起してここまで来たとは言え、いざ教室に入るとなると足がすくんだ。ハルヒがいたら、どういう目で見ればいいのか。<br />
だが、いずれはハルヒだけじゃなく朝比奈さんや長門、そして忌まわしい事に古泉も見なければいけない事を考えればハードルは最初が高いほうがいい。<br />
踏み込んだ足が、震えた。<br />
臭いというものは、マスクをしていてもこんなにするものなのか。あの長い坂をのぼれば汗も滲むだろう、その臭いと、それ自身が持つ臭いが、ここに混ざって充満している。<br />
激臭。劇臭。異臭。どれにも当てはまらない。浮かんだのは、魔という一字。魔臭である。醜悪たるもの最たる悪魔、それが臭いとして具現したとさえ錯覚した。<br />
きゅうと、喉の奥が狭まる。身体が、その臭いを体内に取り込むことを嫌がっている。<br />
窓を開けなければ。<br />
チカチカと目の前が煌めく。鼻に炭酸を突っ込まれたような衝撃の後に、平衡感覚が逆転した。グラつく足元に力を込めるが、見当違いの方向に力が働く。<br />
生物としての俺という存在が、この教室は危険だと頭痛という形で知らせている。だが、遅すぎた。そもそも校舎に入った時点で気付かねばならなかったのだ。<br />
きっと鼻はある程度麻痺していただけで、脳はずっとダメージを受け続けていたはずだ。それが教室という空間に入った事で、表面化した。<br />
バクン、と心臓が鼓動を打つ。そのたびに、視界が狭まっていくのに比例して、粘りつくような不快感と共に苦痛が全身に広がった。<br />
意識が遮断に向かっている事を救いのように思い、俺は身体に全てを委ねた。<br />
<br />
目覚めた先にあるものは見知らぬ、天井。なんて事はなく、以前何度か足の運んだことのある保健室。<br />
幸い、俺の意識は鮮明だった。あのまま全身の力が抜け、倒れこみ顔面を激突させた所までは覚えている。節々が妙に痛むところから、だいぶ眠っていたと思われる。<br />
痛みに耐えつつ、首を曲げた先にはアワビがちょこんと椅子に座っていた。全体としては小ぶりだが、肉厚でぷっくりとした肌とサーモンピンクがまぶしい。てっぺんにちょろりと栗色の毛が生えているのが愛らしい。<br />
俺の視線に気付き、アワビが、ぬわりと口をあけた。食われる。<br />
「キョンくん……おはよう」この声、朝比奈さんか。<br />
朝比奈さんが心配そうな眼差し(っぽい雰囲気で)俺を見つめている(と思われる)。<br />
身を起こし「……おはようございます」<br />
「キョンくん、教室で倒れたんだって。覚えている? 痛いところはない?」<br />
「えぇ、しっかり覚えてます。痛い所は、特にありませんよ」<br />
実際の所、モロにぶつけた鼻がジンジンと痛んでいた。あの臭いのせいかもわからんが。<br />
「……良かったぁ。クラスの人がいうには、教室に入った瞬間から具合が悪そうだったって。今も顔色が凄く悪くみえるわ」<br />
「寝不足が祟ったのかもしれません。心配をかけたようで、すみません」<br />
そんな事よりも、<br />
「朝比奈さん、どうしてここに?」<br />
クニョリと形が歪む。この形はどうやら微笑んでいるらしい。<br />
「涼宮さんがね、キョンくんが倒れたって、大騒ぎしてたんですよ。その話がわたしにも聞こえてきて……」<br />
「そうだったんですか。ハルヒは?」<br />
「涼宮さんは授業中。私の学年はキョンくんの学年より一つ早く終わったの。だから涼宮さんの変わりにわたしが。キョンくん、よっぽど眠かったんですね」<br />
これは不覚。1限が終わった頃だと思っていたが、昼をとうに過ぎていたとは。俺は頭を抱えた。<br />
朝比奈さんが、湿った自身を俺に摺り寄せる。<br />
「ねぇ、キョンくん……」<br />
くっせぇ。うわ、くっせぇ。<br />
「喧嘩したでしょ? 涼宮さんと」<br />
声をひりだす度に、声とかけ離れた臭いが俺の敏感になっている鼻腔を突き刺す。その刺激に涙が滲んだ。<br />
それをどう勘違いしたのかはわからないが、朝比奈さんがより体を近づけてくる。<br />
俺は顔を背けた。<br />
「やっぱり……そう。キョンくんの寝不足も、それが原因ね」<br />
俺は手のひらで顔を覆い、伏せた。<br />
「いっぱい、悩んだのね。気付いてあげられなくて、ごめんなさい。……でも、きっと涼宮さんだって悩んでいるはずよ」<br />
朝比奈さんが俺の肩をずっぽりと包んだ。じんわりと背中が湿る。<br />
「やめてくださいよ……」<br />
「ねぇ、キョンくん、こっちを向いて、わたしの目を見て」<br />
いやです。くさいです。大体どこが目ですか。俺はそんな朝比奈さんはみたくない。<br />
「泣いているのはきっと、後悔している事があるからよ。わたしには何も出来ないかもしれないけど」<br />
「そうですよ! 朝比奈さんには何も出来ないんですよ! 俺の苦痛なんかわかるわけないんです、いいんです、今はほっといてください。<br />
ええそうです、俺にだって原因はありますよ。でも、だからって、なんで俺がこんな仕打ちを受けなきゃ成らないんだ! いい加減にしてくれ!」<br />
俺はずいぶんと朝比奈さんに酷い事を言ったのに気付き、呆然を顔をあげた。<br />
朝比奈さんはビクビクと体を揺らし、グシャグシャに体を濡らしていた。ビクンと大きく揺れる度に、ピチョリと床に糸が引く。<br />
嗚咽、しているのだろう。律動するたびに、穴から出る空気が「ブビッ」と音を立てている<br />
「ごめんなさい」<br />
力無く言い、床を濡らしながら朝比奈さんは保健室を出て行った。<br />
彼女にかける事が出来た言葉など、俺は持ち合わせては居ない。それが悔しくて、情けなくて、俺という人間の限界を浮き彫りにしていた。<br />
あんな姿とは言え、朝比奈さんを傷付けてしまった事は疑いようもない。もう、意地は張れない。<br />
長門に、会いに行こう。<br />
<br />
部室の前に着くと、丁度長門が出てきた所だった。傍らには本と弁当箱を抱えている。俺は駆け寄って、本を抱えている手(と思われる部位)を掴んだ。<br />
「ん」<br />
ピクリと反応を返す、長門。<br />
「聞いてくれ長門、お前の助けが必要なんだ」<br />
長門の手(と推測される部位)は冷たい。<br />
思わず、手に力が入る。すると掴んだ長門の手(と思わしき部位)が指の間からグニョリとはみ出した。<br />
ゴムのような粘着質な質感を持つそれは、よく見れば成型されたゴムのようだった。引っ張ろうと思えば、どこまでも伸びそうな。<br />
しかし、今はそれどころではない。俺はこれまでのあらましを包み隠さず語った。その間、長門は黙って俺の胸の辺りと見つめていた。<br />
「自業自得というのはわかる。でも、このままじゃ普通の生活すらも危うい。頼む、どうにか出来ないか」<br />
目(と比喩するほかない突起)をあげると、長門は言った。<br />
「あなたが我慢すればいいだけ。私の任務はあくまで涼宮ハルヒの観察。あなたの尻拭いをするのが仕事ではない。<br />
情報統合思念体もこの問題に関しては、情報統合思念体自体が検知できていない以上、関与のしようがないという見解を示している。<br />
それには私も同意見。自分の責任は自らを持って取るべきというのが、私自身の見解でもある。<br />
そもそも、これがあなたの狂言という可能性もないとは限らない」<br />
いつも以上に素っ気無い長門。しかし、狂言は言いすぎだろう。<br />
「そんな事を言わずに、頼む。お前だけが頼みの綱なんだ」<br />
「そう?」<br />
「ああ、そうだ。頼む長門」<br />
「あなたには、私以外にも頼るべき人間がいるはず」<br />
「古泉か? 言っちゃ悪いが、今回あいつは役立たずだと思うぞ」<br />
お隣さんを指差し、<br />
「コンピュータ研には頼もしい先輩がいる」<br />
意味を噛み砕いて咀嚼して飲み下すのに、5秒くらい時間を要しただろうか。<br />
「なぁ、長門」<br />
「なに」<br />
「実は解決法知ってるんだろ?」<br />
「でも私は教えない」<br />
怒ってる。完全に怒っている。ああ、因果応報とはまさにこの事なのだろう。<br />
無味乾燥を体言している長門は、もはや俺の叫びなど聞こえていないようだった。突起をまさぐってみるも、無視。ビラビラを引っつかんでも、無言。腕を突っ込んでも、無反応。<br />
どうやら、俺を完全に居ない者として認識しているようだ。完全に見捨てられたらしい。<br />
おしまいだ。<br />
<br />
下半身の赴くままに、俺はかけだした。<br />
学校から逃げ出し、坂を下って町に入り、商店街を駆け抜けた。<br />
頼みの綱が切れた今、俺に居場所など無かった。校内に居れば、嫌が応でも魔臭に晒され、様々なイカとアワビを見る事を余儀なくされる。<br />
校内を出る途中も、目の端には数々のイカとアワビがすれ違った。<br />
皮が弛み、全身が覆われているイカ。血を噴出しているアワビや、紐の垂れたアワビ。それらの本来の姿を想像した時、せめて俺の見知った人間ではないでくれ。そう願っていた。<br />
どこか遠くへ行きたい。その一心で辿り着いた場所は駅だった。見知った人間が一人もいない場所へ。電車で京都にでも行こうか。しかし、改札の手前で財布諸共を学校に置き忘れていたことを思い出した。<br />
どうしようか。戻ろうか。いや改札なんか乗り越えて、いや、それは犯罪だ。でも無修正だって犯罪じゃないか、じゃあ俺は大変じゃないか。<br />
大変な俺に見えるのは大変な猥褻物だ。おいおい、誰か逮捕しろよ。って、逮捕する人たちも猥褻物じゃあ、逮捕できないなあ。あ、そう見えてるのは俺だけだったな! はっはっは。<br />
気付けば、人々が俺の方を向いている。<br />
冷静になってみると、俺は上履きも履き替えないで学校を飛び出してきたのだ。その上、汗だくでブツブツと訳の分からない事を呟いている。誰がどう見ても今時のおかしい学生である。<br />
周囲が俺の視線を避けて、さざなみのように引いていく。<br />
「ち、違うんですよ。親がね、危篤なので電車に乗って病院に行くんですよ。でもね、学校に靴とカバンを置き忘れて、ビックリしてたんですよね。あー、定期ないなあ、お財布ないなあって。そしたらカバンと靴もないんです。ねぇ。うわーって思ったんですね」<br />
人間、本当に焦ったときはどうしようもない事を口走るものだ。頭では「ダメ、絶対」とわかっている言い訳でも、口が勝手に喋ってしまう。<br />
結果。俺は事務室へと連行された。<br />
「財布やカード忘れたって人はあ、よくいるよお。でもお、ちょーっと不味かったなあ。普通はああならないよねえ」<br />
だらりとくたびれたイカだった。イカの場合、かむっていない限りは表面が乾燥しているので、臭いはそうしない。<br />
男性は俺に麦茶を飲ませ、少しかん高い声で優しく語りかけてくれる。<br />
「親御さんが危篤っていうけどお、本当なのう? その制服は北高だよねえ。何にせよお、一応確認は取らなきゃいけないからあ、名前だけ教えてくれないかなあ」<br />
不味い。ここで白を切り続けていても、北高の生徒が問題が起こしたということは連絡がすぐ行くだろう。そうなれば、俺の素性がばれるのは時間の問題である。<br />
悪手ではあるが、逃げ出すのも手かと思い腰を浮かした瞬間、<br />
「あいや待たれよ!」<br />
事務室のドアが音を立てて開き、3本のイカがなかに入ってきた。<br />
その中で一段と逞しいイカが「後はなんとかしますゆえ」と俺の耳元で囁くと椅子から立ち上がらせ、他のイカが俺を外へと連れ出した。<br />
事務室から離れ駐車場まで連れて行かれると、これと言って特徴の無いイカが、俺にカバンと靴を差し出た。<br />
「いやぁ、連絡を受けたときは飛び込み自殺でも企てたのかと焦りましたよ。学校の方は問題ありませんのでご心配なく。後も新川さんに任せましょう」<br />
古泉か。この場に置いては、知った相手がいることほど心強いことはない。<br />
では、もう1本は多丸兄弟のどちらかか、俺の知らない機関の一員だろうか。傘が広く、細身なところから、実際は華奢な体つきだろう事が伺われる。<br />
駅から出ると「積もる話は車の中で」と車に乗せられた。運転席に細身なイカが乗り、俺の隣には古泉が。2本とも剥けているとは居え、密閉空間では流石にすえた臭いがする。<br />
「すみません。窓、開けてもらえますか」<br />
「はい」<br />
驚いた事に、返って来たのは女性の声だった。聞き間違いでなければ、それは――<br />
「では、森さん。適当に走らせてください」<br />
車が低いエンジン音を立て動き出す。いや、それより、<br />
「……森さん?」<br />
「? ご無沙汰にしております」<br />
運転席に座っているのは、間違いなくイカである。<br />
どこをどう使ってハンドルを握っているのか。見えないし見るつもりもないが、間違いなく後ろからはイカに見える。 <br />
イカである。<br />
落ち着いた、とばかりに古泉が口を開いた。<br />
「昨日の事はプライベートな問題なので、我々機関としては生暖かい目で見守る姿勢でいたのですが。こうも問題を起こしてもらってはそうも行きませんからね」<br />
ああちくしょう。わかってたけどさ。<br />
「気を落とすのは分かりますよ。僕も同じ男ですからね」――運転席に目をやり――「まぁ、話しづらい話題だとは思います。二人だけで話せる場所の方がいいでしょう、あなたも。森さん、お願いします」<br />
沁み入る気遣いをありがとう、古泉。<br />
<br />
程なくして、人気の無い公園に車は止まった。自然公園と言ったほうがいいかもしれない。遊具はなく、あるのは屋根のついたベンチがいくつかと自動販売機くらいだ。<br />
休日ならある程度の家族連れで賑わっているのだろう。こんな所、今まで知らなかったな。<br />
そんな事を考えながら、俺は公園の奥に設置されていたベンチに腰を落とした。<br />
「何から尋ねればいいんでしょうね」<br />
隣に座る古泉が、自嘲的な口調で言う。<br />
「さぁな、俺もわからん」<br />
俺は先ほどの衝撃から立ち直れずに俯いてばかりだったが、反面古泉はどこか楽しそうな雰囲気さえ醸し出している。<br />
何も喋りそうにない俺を見かねてか、単に話したいだけなのか古泉が語りだした。<br />
「涼宮さんは、とても魅力的な人だと思います。性格は少々人を選びますが、あの美貌を嫌だと言う男性はそう居ないでしょう。<br />
涼宮さん自身も、ある程度はその事を自覚しているのだと僕は思います。ナルシストという意味ではなく、少なくとも外に出ても恥ずかしくないレベルだとは思っているはずです。<br />
さて、あなたの行為を見て、彼女はどう思ったでしょうね。汚らわしいと思ったか、それとも。それは彼女自身にしかわからない事ではありますが、こういう気持ちもあったのではないでしょうか?<br />
『なぜ自分ではないのか』<br />
部室のパソコンには、SOS団の画像データが詰まっています。その中には、思わず催してしまう画像も少なくなかったように思います。もちろん、涼宮さんの水着姿なんてのもね。<br />
そういったものがあるはずなのに、よりにもよってあくの強い洋物のAVですよ。せめて朝比奈さんか長門さん、そういう気持ちもあったでしょう。<br />
そして彼女はこう結論付けた。<br />
『裏切られた』<br />
多くの女性の場合、男性のオナニーを浮気と受け取る傾向が強いそうです、それは彼女も例外ではなかった。さて、ここで問題になってくるのが、あなたの位置づけです。<br />
あなたは現段階では涼宮さんの彼氏ではありません、浮気と言うのは苦しい。ですが、人には人に対する理想のようなものがあります。<br />
涼宮さんがあなたにどんな理想を抱いていたのかはわかりません。ですが、仮にあなたがオナニーをしない人間だと涼宮さんが少しでも思っていたら、それは理想の崩壊でしかありません。<br />
オナニーのしない男性はほぼ皆無と言っていいでしょう。それも彼女は理解しているはずです。ですが、どこかで希望の様なものが残っていたら……。<br />
あなたも辛いが、きっと彼女も辛かったはずだ。<br />
……ですが、今回に関しては、僕は完全に味方だと思っていただきたいですね。機関の男性陣も理解を示しています。森さんのような女性はわかりませんが。<br />
男が男である以上は仕方の無い事だと思いますよ。女性には理解しがたい衝動でしょう、僕らには本能に深く刻み込まれた衝動というものがある。<br />
しかも、あなたはその衝動の最も強いとされている思春期です。誰が責められるでしょうか。<br />
気を落とすなとは言いません。ですが、僕らは機関としてではなく、男としてそのフォローをするつもりでいます。<br />
僕が言えることは、それだけです。長々とすいません」<br />
顔をあげると涙が頬を伝って、初めて泣いていたことに気が付いた。<br />
くだらねえ……。そんな事思っちゃいねーぞあいつは。<br />
そう嘆くと共に、古泉が精一杯の気持ちで俺を慰めようとしている事に心が響いていた。<br />
話してもいいかもしれない、そう俺は思っていた。解決法が無いとしても、古泉に言えば多少状況が改善するかもしれない。<br />
そんな一縷の希望とも言うべき下心をもって、俺は全てを古泉に告げた。<br />
気が付いたら辺りがイカとアワビが化け出たような状態だと、朝比奈さんを泣かせてしまった事、長門はお見通しだと、俺にはお前がイカに見えると。<br />
古泉は初め、冗談を聞いているような顔をしていたが、次第に強張った表情になったかと思えば、おかしそうに笑い出した。<br />
「冗談みたいだが、冗談じゃないんだ」<br />
滑稽にも抗弁するが、古泉は笑いが止まらない。目じりには涙さえ滲んでいる。<br />
「ええ、ええ、わかってます。ええ、そうですか、そうでしたか」<br />
古泉は涙を拭くと、諦めたような口調で言った。<br />
「実は、僕も同じなんですよ。ちょっとミスりましてね、僕にはあなたが、全ての人がアナルに見えるんですよ」<br />
<br />
俺は今朝以上に複雑な気分で自宅の床についていた。<br />
古泉の告白はまぎれも無く、真実だった。証拠として古泉は、俺のケツの穴の下にあるイボの存在を言い当てて見せた。<br />
その状態になったのは、一年の夏休みらしい。何が理由でそうなったかは口を閉ざしていたが、ろくでもない理由だと思う。<br />
一年の夏休みから、ずっと古泉は尻の穴だけを見続けてきた。考えようによっては、俺より辛いのかもしれない。<br />
古泉の話では、やっと最近穴の特徴だけで人が見分けられるようになったという。例えば、ハルヒは皺のキメが細かいとか、朝比奈さんには三日月の形をしたホクロがあるなど、どうでも良い事を教えてくれた。<br />
俺も一生このままで、古泉のように性器の特徴だけで人を見分けられる人間になってしまうのだろうか。<br />
絶望感を抱えて、自宅に送られた俺は親の言葉を無視して部屋に閉じこもった。<br />
携帯には時折着信が来るが、開く気力も無い。<br />
目を瞑り、無理矢理眠ろうとするも昼に十分寝たせいで眠りに落ちることができない。精神だけが疲労に包まれていく。<br />
携帯が、また着信を告げる。恐らく、古泉か。……もう、ほっといてくれよ。<br />
諦めてゆるゆると腕を伸ばし携帯を開くと、画面には【佐々木】と表示されていた。反射的に通話キーを押すと、スピーカーから佐々木の声が流れてくる。<br />
『久しぶりだね。近いうちにまた同窓会を計画してるんだが、今いいかな?』<br />
その瞬間、俺は閃く物を見た。<br />
「ああ。なぁ佐々木、どうせなら会って話さないか?」<br />
<br />
佐々木は簡単に食いついてきた。俺が佐々木の自宅に赴くと言ったが、それは流石に嫌らしく、お互いの中間点で落ち合うこととなった。<br />
待ち合わせ場所に着くと、すでに佐々木が――少し紅潮した、瑞々しいアワビが――居た。<br />
「悪い、待たせたな」<br />
「待たされた。今回は君のおごりを期待してもいいのかな」<br />
「構わんが、程ほどで堪忍してくれ」<br />
笑いあうと、ちくりと心が痛んだ。<br />
俺と佐々木は適当なファミレスに入ると、雑談交じりに同窓会の計画を話し始めた。<br />
「では、北高の窓口は再び君に頼むという事で、いいかな」<br />
「参加するのは多分、前回よりは少なくなるだろうから問題ない。任せてくれ」<br />
一段落すると、佐々木は「頭を使った後は十分に補給が必要だ」と甘そうなコーヒーゼリーを注文したので、俺も同じものを頼んで、一緒に食べた。<br />
それからはほぼ雑談に時間を費やした。流れるような会話の中で、迷いは生じたものの、俺は途中で流れをせき止めた。<br />
「少し、外で話がしたいんだが、いいか?」<br />
「なんだい。ここで話せない様な事となると、大体の察しは着くが……いいよ。甘い物を食べたから少しは歩かないとな」<br />
会計を済ませ、店を出ると外はすでに夜の帳に包まれていた。。<br />
着かず離れずの微妙な距離で、並んで歩く二人。<br />
店内はやはり、独特の臭いが染み付いて物を食べるのも辛いぐらいだったが、不思議と佐々木からは嫌な臭いはしなかった。ブルーベリーのような、甘さと酸っぱさがまじりあったような、どこか懐かしい香りがしていた。<br />
佐々木は俺が口を開くのを、じっと待っていた。しかも、その間さえも楽しんでいるような余裕を感じる。<br />
俺は佐々木の手を握ろうと、手を求めて佐々木の体をまさぐる。<br />
「きょ、キョン?」<br />
距離を開き、上ずった声で非難の声をあげる。どこを触ってしまったのだろうか。<br />
「な、何だ君は! こういう事がしたくて僕を誘ったのか!」<br />
決意を込め、<br />
「そうだ」<br />
「……」<br />
言葉を失い、硬直する佐々木。やるなら、今だ。<br />
「僕は、あっ」<br />
俺は佐々木を組み伏せ、路上に無理矢理押し倒した。そして、穴を両手で広げ頭をあてがう。最後の覚悟を決め、体ごと押し入れると、佐々木が小さく呟いた。<br />
「嬉しかったのに」<br />
いま、外からはどんな風に見えているのだろう。もう、関係ないか。ごめん、佐々木。親友を利用するなんて、最低だな。<br />
不思議な確信があった。ハルヒに類するとされる能力を持つ佐々木のなかに入れば、あの空間に行ける。<br />
そのために俺は佐々木と会った。<br />
全身がずっぽりと入ると、暖かい、波の様な快感が俺を包み、世界が暗転する。<br />
そして、俺の望みどおりの空間が現れた。辺りを見回そうとすると、俺は抱っこされている事に気が付いた。<br />
顔をあげると、佐々木その人が、母のような微笑で俺を見つめて、子守唄を口ずさんでいる。胸を時折含ませ、また子守唄を口ずさむ。<br />
クリーム色の世界で、俺はただただ感謝していた。あんな仕打ちをしたのに、佐々木の心は俺を受け入れて、守ろうとしてくれている。<br />
「ママ」<br />
そう言うと、ママは笑って俺をゆらゆらと揺らす。<br />
安心感に浸り、俺は目を閉じた。</p>
<p>おわり</p>
2022-02-09T20:02:25+09:00
1644404545
-
I am teacher
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5290.html
<p>1月のとある日、この日は朝から寒い日だった。<br />
涼宮ハルヒが非合法で活動しているSOS団も何とか無事に年を越すことができた。<br />
この日もいつもと同じように金曜日の1時限目は英語の授業行なわれるはずだったが……少しばかりおかしな事態になっていた。<br />
ひとつは俺が座る、窓際後方2番目には俺ではなく国木田が座っているということ。<br />
もうひとつは俺が学生服ではなく、濃いグレーのスーツに赤いネクタイの組み合わせで教壇に立っていることだ。<br />
ホワイ? なぜ俺は教師になっているんだ。<br />
<br />
<br />
英語の授業をしながら、今日の朝の記憶を辿ってみた。<br />
まず朝起きて、顔を洗って鏡を覗いくと少し顔が老けていることに気づいた。<br />
寝ぼけているのかと思いながら、部屋へ戻ってみると学生服の掛けてあるはずのハンガーにはスーツが掛かっており、学生服が見当たらなかった。<br />
とりあえず、スーツに着替えるとスーツの胸ポケットに教員証が入っていた。<br />
もしやと思い、ハイキングコースの通学路を上がり、校舎に到着すると教師用の玄関に俺の名前の下駄箱があり、そして職員室には俺の教員用の机が存在していた。<br />
しかもご丁寧に1年5組の担任というおまけ付きだ。<br />
ちなみに本当の担任の岡部は消えた訳ではなく、2年5組の担任にされていた。<br />
<br />
<br />
そんなこんなで俺は1年5組でハルヒ達に英語を教えている。<br />
英語を人に教えられる学力を与えてくれたことには感謝しなくちゃいけないが、俺を教師にしたところで何の得があるんだ<br />
まー、せっかく教師になったんだ。その特権を生かさせてもらうぜ。<br />
俺は暇そうに外を眺めているハルヒを指して、かなり難しい問題を出してやった。<br />
さすがのあいつでも解けまいと思ったがあっさり解きやがった、しかも俺のスペル間違いも併せて指摘しやがった。<br />
全く教師と生徒という間柄でも全くもっていまいましい。腹いせに谷口を5回連続で指してやった。<br />
<br />
<br />
何とか4時限までそつなく終わらせて、昼休みへとなった。<br />
昼飯に教師達がよくやる蕎麦屋への出前を一度試してみようかと思ったがそんなことをしている時間はない。<br />
俺がなんで教師になったのかを知る為に文芸部に足を運ばなければならない。<br />
あいつの所に行く前についでだがあのニヤケ顔も呼ぶか。<br />
1年9組まで行ってもいいが、せっかく教師になったんだ一度やってみたかったアレで呼ぶか。<br />
俺は隣で弁当を食べている20代後半の胸が豊かな国語の教諭に話しかけた。<br />
「あの食事中にすいません。校内放送の使い方を教えて欲しいんですが」<br />
「いいですよ」<br />
国語の教諭は快く返事を返して、箸を置いて俺を案内してくれた。<br />
<br />
「ここのスイッチを押して、マイクに話せばいいんですよ」<br />
「すいません、ありがとうございます」<br />
礼を述べると国語の教諭は自分の席へと戻っていった。<br />
初めてで少し緊張しながら、マイクのスイッチを押した。<br />
『1年9組の古泉一樹君、至急部室棟の入り口まで来てください』<br />
こんな感じでいいのか。とりあえず、俺も部室棟に向かうか。<br />
<br />
部室棟の入り口は風を凌げる場所がなく、冷たい風で身が縮んだ。<br />
こんなことなら文芸部で待った方が良かったのかと思ったが、校内放送で文芸部の名前を出せば、ハルヒのことだあいつの方が飛んでくるやもしれん。<br />
そうこう考えているうちにあのニヤケ顔が姿を見せた。<br />
「よう」<br />
「お待たせしました。そのお姿も似合ってますよ」<br />
古泉が俺のことを覚えていてくれたことに少しホッとした。<br />
「じゃ、長門の所に行くとするか」<br />
<br />
文芸部に向かう途中で疑問に思うことを古泉に尋ねた。<br />
「お前には俺が教師の記憶があるのか?」<br />
古泉はこう返答した。<br />
「はい、最もあなたが教師の方が主で高校生の方は夢物語な感じですかね。もっとも、先程お会いして直ぐに教師の方が作られた方かと察しましたが」<br />
おいおい、俺の高校生活は夢物語なのかと思ったいると文芸部の部室へと到着した。<br />
扉を開けるといつも通りの定位置でそいつは読書をしていた。<br />
「よ、長門。少しいいか」<br />
長門は顔をこちらに向けて、静かに頷いた。<br />
<br />
長門になんで俺が教師になったのかを尋ねるとハルヒの力に因るものだと返ってきた。<br />
全くあいつの変態的な力には困ったもんだ。<br />
「しかし、なんで俺を教師にしたんだ」<br />
「……昨日のあなたとの会話がトリガーになっている」<br />
昨日か、あいつと何の話をしたっけ?<br />
「何か心当たりは?」<br />
俺が記憶の糸を辿っていくとひとつの答えに辿りついた。<br />
それは昨日の放課後にこの文芸部で話したことだった。<br />
<br />
ハルヒは4月の新学期までにこのSOS団を同好会にしたいと言いやがった。<br />
新入生を入部させるには同好会の方が都合がいいとの考えらしい。<br />
その時に俺はハルヒにこう言った。<br />
「ハルヒ、同好会として承認させるには顧問の教師が必要なんだぞ」<br />
俺はこう告げるとハルヒは少し考えて、「教師がいればいいのね」と言ったっけ。<br />
<br />
「もしかして、それが原因か!」<br />
「……そう、それ」<br />
本当にあいつは滅茶苦茶だ。<br />
「1番の理解者であるあなたを教師にして、SOS団の顧問に添えようとしているのですね」<br />
その為に俺の人生の何年かはすっ飛ばされたのか。<br />
「なあ長門、お前の力で元には戻せないのか?」<br />
「……無理、私の力では元に戻せない。それに今回の件は情報統合思念体から見にまわる様に指示されている」<br />
「そうか」<br />
「では、涼宮さんからのアプローチを待つしかなさそうですね」<br />
だなと思い、解散した。<br />
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ホームルームも終わり、本日の授業は全て終了した。<br />
全く慣れない教師生活で今日は肩がこった。<br />
俺が教室を出ようとしたその時、ハルヒが俺のネクタイを掴んで走り出した。<br />
教室を飛び出して、屋上へ出るドアの前まで連れ込まれた。<br />
「ハル、涼宮なんだよ」<br />
ハルヒは何かを企んでいる笑みを浮かべた。<br />
「先生、我がSOS団の顧問になって」<br />
相変わらずの直球できやがった。<br />
ここは1つとぼけて。<br />
「SOS団ってのはどんな活動をしている部なんだ?」<br />
「SOS団とは世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団よ」<br />
続く言葉は宇宙人と未来人と超能力者を探し出すだろう。<br />
「まずは活動内容を教えてくれよ」<br />
「活動内容ね、そうだ部室に来てよ! 部室で我が団の功績を教えるわ」<br />
ハルヒは俺のネクタイを再び掴んできやがった。<br />
「ま、待て! 一旦職員室に戻らせてくれ」<br />
「そう、じゃ急いで戻って、必ず文芸部に来なさいよ!」<br />
ハルヒは軽快な足取りで階段を降りていった。<br />
やれやれ、教師と生徒の間柄でもあいつは変わらないな。<br />
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俺は職員室に戻り、隣の国語の教諭に淹れてもらったお茶を飲み、文芸部へと向かった。<br />
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文芸部の入り口の前に立つと若干の違和感がした。教師として、足を踏み入れるのだからな。<br />
俺は扉をノックすると中から朝比奈さんの返事が返ってきた。<br />
扉を開けるとSOS団の団員たちが俺を出迎えてくれた。<br />
「よく来てくれたわね」<br />
という挨拶の後にハルヒからの各団員の紹介が始まった。<br />
「副団長の古泉君」<br />
「よくぞ、お越しくださいました」<br />
古泉はいつものニヤケ顔で挨拶した。<br />
「こっちが萌えキャラのみくるちゃん」<br />
「初めまして」<br />
朝比奈さんは礼儀正しく、お辞儀をしてくれた。<br />
初めましてってことはこうして話すのは初めって設定なのかな。<br />
「で、これが有希よ」<br />
長門は会釈をした。<br />
「そして、私がこのSOS団団長の涼宮ハルヒよ! それじゃ我が団の輝ける活動を教えてあげるわ」<br />
ハルヒは我がSOS団の活動記録を誇らしげに語った。<br />
春の野球大会、文化祭での映画上映、そして夏と冬の合宿、さらに俺の作ったホームページの紹介もした。<br />
最後は『朝比奈ミクルの冒険 Episode 00』を見させられた。<br />
映画のお供で出た朝比奈さんのお茶は、国語の教諭が淹れてくれた物より格段においしかった。<br />
なお、この映画のナレーションは俺ではなく、なぜだか知らんが谷口が担当していた。<br />
映画が終わるとハルヒは立ち上がり叫んだ。<br />
「先生、明日の九時に北口駅前に来なさい! SOS団の市内不思議探索を一緒に体験させてあげるわ。いい来なかったら死刑よ!」<br />
教師に向かって、死刑なんて言うと内申書に響くぞと思いながら、本日のSOS団の活動は終わった。<br />
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翌日、俺が九時五分前に北口駅前に到着すると既に全員到着した。<br />
「先生、遅い!」<br />
教師になっても俺が一番最後なのは変わらないんだな。<br />
俺達はいつもの喫茶店へと移動した。<br />
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喫茶店でいつものクジ引きが開催されて、俺とハルヒの組み合わせになった。<br />
喫茶店の会計は、いちおう年長者にされている俺が払うか。<br />
<br />
俺はハルヒと駅の南側を探索した。<br />
ハルヒのお勧めの不思議スポットをあいつの解説付きで次々と巡った。<br />
そういえば、ハルヒと二人で市内を回るのは初めてかもしれないな。<br />
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午前の探索も終わり、再び駅前で待ち合わせて、俺達はファミレスで昼食を頂くことにした。<br />
店内で午後のクジ引きが行なわれたが午前と全く同じ組み合わせとなった。<br />
ここでの会計は古泉が気を利かせて、割り勘となった。<br />
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午後は公園のベンチに座り、今後のSOS団の活動展開を一方的に語られた。<br />
話の節々でこいつなりのSOS団に対する思い入れが聞けて、元団員その1として喜ばしい気持ちになった。<br />
とても寒い日だったが気持ちはすこし暖かかった。<br />
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こうして、市内探索の全日程が終わった。<br />
「先生どうだった、SOS団の活動は! これで顧問になってくれるわよね」<br />
ハルヒは自信満々に聞いてきた。<br />
「……顧問になってもいいかな」<br />
「本当!」<br />
ハルヒは弾けるような笑顔を見せた。<br />
「だがな涼宮、俺が顧問になっても同好会への承認は無理じゃないのか」<br />
「え、何で?」<br />
「それは……」<br />
俺が同好会の規定に満たしていない点を指摘するとハルヒは<br />
「そっか……じゃ、月曜日までには何とかするから、そうしたら顧問になってね」<br />
俺は「おう」と言って、ハルヒを見送った。<br />
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日曜日はあっという間に過ぎ去って、月曜日を向かえた。<br />
目を覚ますとハンガーには学生服があり、元に戻ったことにホッと胸を撫で下ろした。<br />
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放課後、俺はいつも通りに文芸部に居た。<br />
ハルヒと朝比奈さんはまだ来てはいない。<br />
俺と古泉はチェスを行い、長門は読書をしている。<br />
「で、涼宮さんに何を指摘したんですか」<br />
古泉はクィーンを移動させたながら、聞いてきた。<br />
俺はポーンを動かしながらこう答えた。<br />
「同好会の部員は5人以上いないと承認されないぞって言ったんだ」<br />
古泉はそれを聞いて笑った。<br />
「それであなたを団員に戻したんですか」<br />
「そうみたいだ、部員は5人になったかもしれんが今度は顧問がいなくなった」<br />
「しかし、あなたもよく同好会の規定なんて知ってましたね」<br />
なあにハルヒに言われて、同好会の新設規定を調べたのを覚えてただけだ。<br />
「それにしても教師なんて慣れない事して疲れたよ。日曜日が無くなったかのように寝ていた」<br />
「奇遇ですね、僕も疲れていた為か昨日そのものがないように思えましたよ」<br />
それを聞いて、長門がゆっくりと口を開いた。<br />
「……日曜日は存在していない。涼宮ハルヒの力で日曜日の0時0分0秒から23時59分59秒まで消滅させられた」<br />
俺と古泉は顔を見合わせて、大笑いした。<br />
早く同好会にしたいのか日曜日を消滅させやがった。<br />
俺はせっかちな団長さんが扉を開けて、俺を見た時にどんな顔をするのかを、チェスをさしながら待つことにした。<br />
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<br />
END</p>
2022-01-12T15:34:05+09:00
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悲痛
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5227.html
<p>「よかったら…………持って云って」<br />
<br />
またあの夢だ。<br />
あの世界はもうないんだ。全部解決したはずだ。それなのに!<br />
気付けばあいつのことを考えている俺がいる。<br />
俺はあの世界ではなくこの世界に戻ることを選んだんじゃないのか!<br />
恥ずかしがり屋で内気な文学部の少女ではなく<br />
寡黙な対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースを選んだのは俺だ!<br />
<br />
部室のすみで本を読む長門を見るたびに、<br />
騒ぐハルヒの後ろにたたずむ長門を見るたびに、<br />
朝比奈さんにお茶をもらう長門を見るたびに、<br />
俺の心はかき乱される。<br />
<br />
おどおどとした気の小さい長門、<br />
目を泳がす長門、<br />
ちいさなちいさな力でそっと俺の袖をつまむ長門、<br />
俺の返した白紙の入部届けを震えながら受け取る長門、<br />
薄く、だがはっきりと微笑む長門……。<br />
<br />
長門よ、お前はとんでもないものを盗んでいったな。それは俺の心だ。<br />
幾多の名台詞の中でこれほど俺の心情を表わすセリフは無い。<br />
長門。こんなことをお前に話すわけにはいかねぇ。<br />
ハルヒなんてもっての外、朝比奈さんにも話さない。<br />
古泉ならもしかしたらわかってくれるかもしれないが。<br />
いいや駄目だ。この想いは俺と長門だけ、いや俺だけの問題だ。<br />
<br />
もし俺に力があれば、能力があれば、俺はこの世界を変えてしまうだろうか。<br />
もう一度あの世界の長門に会いに行くのだろうか。<br />
<br />
</p>
2022-01-12T15:33:23+09:00
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