部室の扉が大きな音を立てたと同時に、向日葵のような明るい笑顔と怒号に似たよな大きな声が聞こえた。

「みんな!大掃除をするわよ!!!」

部屋に入るなり大声で話し出す人物なんて俺の知る中で一人しかいない。
涼宮ハルヒだ。
それにしても、今日に限っては中々いい案じゃないか。コイツにも少しは並みの人間の思考が
生まれたということか。なんて事を思っているとハルヒは話を続けた。

「1年間お世話になった部室に、感謝の意を込めて皆でピッカピカにするのよ!」

「おいおい、1年間のお世話って大晦日じゃあるまいし、普通に大掃除でいいだろ?」

「何言ってるのよバカキョン!もうすぐ春休みでしょ!?入学してから1年経ったって事じゃない!!」

確かに入学してから1年は経つけど、SOS団を作ったのはG.W明けじゃねーか。
それまではこの部室にはお世話になってねーよ。とは、口に出せない俺はヘタレなのかね?

「何よその顔。文句あるの?この大掃除に参加しなかったら来年から部室に入る資格なんて無いわよ!!」

そりゃ困るな。部室に入れないとなるとマイエンジェル朝比奈さんのおいしいお茶が飲めないじゃないか。
「しょーがねーな、手伝ってやるよ。」

「それでこそ我がSOS団雑用係ね!!皆も異論は無いわね!?」

「かしこまりました」「は、は~い」「・・・了解した」と、ハルヒには逆らえない三人は順番に、
超能力者・古泉。未来からの天使・朝比奈さん。超万能宇宙人・長門の三人だ。
ちなみに俺はキョンなんていう滑稽なあだ名がついているが、特殊な前書きなんて無い一般人だ。
そこ、八丈島の鹿じゃないぞ。

翌日の不思議探索は中止で、10時に学校に集合になった。
待ち合わせ時間には間に合っているのに罰金というSOS団特有の決まりも、
学校に集合なんだから適用しないと思っていた俺は浅はかだった。

「キョン、遅刻したんだから、今からコンビニ行って全員分のジュース買って来なさい!!」
そんなこんなで俺は長~い坂をムダに一往復して、ジュースを買い部室に向かった。


部室に入るなり「さ、始めるわよ!!」と大掃除開始の合図がハルヒより言い放たれた。
ハルヒ腕には「ダスキン」と殴り書きしてある腕章が輝いていた。
掃除道具は俺がコンビニに行っている間に調達してきたようだ。
掃除機やらモップやら何処から持ってきたんだ?ワックスまでありやがる。
「じゃ、早速始めるわよっ!」
ハルヒそう叫び、ホウキで床を掃き始めた。

「ちょっと、待てハルヒ」

「なによ」

「いきなり床を掃除してもダメだろ。まずは本棚とかパソコンを移動させて・・・・」

「うるさいわねー、あたしの好きにやらせないさいよ」

「大掃除なんだろ?どうせなら綺麗にしようぜ?」

「ふん、わかったわよ。今日は雑用係であるキョンに指示させてあげるわよ」

別に指示させてもらえなくても、いいんだがな・・・。

ハルヒが俺に任すということで掃除の指揮は俺がすることになった。
なんというか、雑用係が板に就いてきたかな・・・。

「じゃあ、長門は自分の本の整頓。朝比奈さんは衣装と冷蔵庫の周りの片付け
ハルヒはパソコンを片付けてくれ。古泉は俺と机やら本棚やらを廊下に運ぶぞ」
三者三様の了解の返事と「なんでキョンに命令なんて・・・」とブツブツ言っていたハルヒだが、
素直に従ってくれたようだ。
さっきまで長門の本がビッチリと詰まっていた馬鹿でかい本棚を運んでいると古泉が話しかけて来た。
「あなたも今回はやる気があるようですね」

ああ、そんな事か。
「まあな、掃除なんてやって損することなんてないんだし、どうせやるなら綺麗にしたいだろ?
それにここは異次元化してるらしいしな、勤労感謝ってことだ」

「なるほど。しかし、手際が良いですね。御見それしました」

「いつも妹が俺の部屋を汚していくからな。コツぐらいは知っているさ。
それに毎年お盆には田舎の婆ちゃんの家を掃除するからな。慣れてるよ。」

「なるほd「ちょっとキョン!!次はどうすればいいのっ!?」

「涼宮さんも楽しんでおられる様ですし、ご指導お願いします。雑用係様」

「お前に雑用係と言われると無性に腹が立つぜ」

「これはこれは、申し訳あr「キョン!!早く来なさいっ!!」

憐れ古泉・・・。話はまた後でな・・・。

「キョン、次は何をすればいの?」

「そうだな・・・、まずは電気の笠からホコリを落として、窓の掃除。
その後は床をホウキで掃いて、雑巾で水拭き。後はワックス掛けってとこだな」

「ふぅ~ん。」

「なんだよ、ふぅ~んて。」

「キョンにしては中々手際がいいわね」

「キョンにしては、ってところが引っかかるが褒め言葉として受け取っていいのか?」

「べ、別に褒めてなんかないわよっ」

「そうかい・・・。」

まったく、ハルヒは素直じゃないな。そんな強がるところじゃないだろ。
そんなハルヒの強がりを聞きながら掃除は着々と進んで行った。
ハルヒと朝比奈さんが楽しそうに窓拭きスプレーで絵を描いているのを横目で見つつ、
俺と古泉は、一心不乱に床を磨いている。
残すところはワックス掛けだ。ハルヒが率先してやっている。


ちなみに長門は本読んでた・・・。

「鏡顔負けのピッカピカな床にしてやるんだから!!」
と意気込んでいる。微笑ましい事言うようになったもんだ。

「でもそうすると、キョンがみくるちゃんのスカートの中を覗く様になるから、
みくるちゃん気をつけなさいよ」
「ひゃっ!キョン君みないでくださ~い」
「何言ってんだハルヒ!朝比奈さん大丈夫ですよ、見たりしませんから。」
「いーや、キョンの事だもの絶対見るわ。あわよくばカメラに収めようとして・・・」
ハルヒのみだらな妄想が朝比奈さんを涙目にさせている。

しかし、本当に床が鏡になったら朝比奈さんのスカートの中の禁則事項が丸見えで、
そうなると俺の禁則事項が禁則事項してしまうな。ぜひmikuruフォルダに入れて夜の禁則事項に使いたいところだがさすがに田代になるわけにはくぁwせdrftgyふじこ

「なに、変な妄想してるのよ、エロキョン」
ハルヒの声と投げられた雑巾で現実世界に戻ってきた。危なかったぜ・・・
「キョン君変な事を考えるのはやめてくださ~い」
と、ホウキで俺をバシバシと叩いてくる。
「やめてください朝比奈さん。痛いですって!」
「みくるちゃん、もっとやれ~」とハルヒの声。
その間古泉はいつもの笑顔で俺たちを見ているし、長門は当然の様に本を読んでいる。
やっとの事でワックス掛けが終わり、掃除は終了。
ハルヒは部室が綺麗になった事にご満悦で、100Wまでとは行かないが、周りの男を振り向かせるくらいの笑顔を作っていた。いつもこんな顔でいてくれたらいいのにな。って俺は何を言ってるんだろうね?

机や本棚を部室の中に入れるのは、ワックスが乾くであろう休み明けにすることになった。
その間、本棚等は、コンピ研の部室に押し込んである。スマン、コンピ研。

掃除が終わった後の帰り道。いつものように集団下校だ。
まさか休日にも制服着て、集団下校するとは思わなかったな。

夕焼けに照らされたハルヒが話しかけてくる。
「あんた掃除すきなの?」
「好きってワケじゃないが、嫌いじゃないな。」
自分で言うのも何だが、どっちだよ俺?
「どっちなのよ?」
ほら来た。ついつい口元が緩んでしまった。
「なにニヤついてんのよ」
ハルヒが肘で小突いてくる。
「いや、何でもない」
「ま、どっちでもいいんだけど」
お前こそどっちだよ?
「今度あたしの部屋も掃除して貰おうかしら・・・」
「俺がか?」
「そうよ!あんた以外に誰がいるのよ!?」
「嫌だよ面倒くさい。」
「あたしの部屋に入れてあげるだけじゃなくて掃除までさせてあげるのよ?
雑用係には有り余るほどの栄誉じゃないっ!!」
「じゃあ、気が向いたらな」
「期待して待ってるわよっ!」
そういってハルヒは100Wの笑顔を俺に向けた。

たぶん俺は近いうちに掃除しに行く事になるだろう・・・。
何故かって?掃除するだけでこの笑顔が見れるんだったら安すぎるってもんだろ?


終わり

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