『lakeside love story』

《0日目》
7月。学校もあと1週間で終わるところだ。
加えて今年は何故か暑い日が続いている。
「キョン。暑いわ」
「今に始まったことじゃないだろ」
「どうにかしなさいよ」
そりゃ無茶だ。
むしろお前の力でこの暑さを吹っ飛ばしてくれと言いたい。
が、言うわけにもいかないので俺はスルーした。

授業も終わりハルヒと並んで部室に向かう。
クーラーもない部室にな。
「暑いし退屈ね……。今日は夏休みの予定についてミーティングしましょ!」
「暑いし退屈だとミーティングをするのか?」

俺は苦笑しながら言った。
「じゃあアンタは一人で校内探索ね。運動場を中心に……」
「俺が悪かった」
ハルヒが全て言い終わる前に謝った。
ハルヒは少し笑って言った。
「冗談よ。許したげるわ」

部室ではすでに全員が揃っていた。
汗一つかかずに本を読んでいる長門。
きちんとメイド服を着込んでいる朝比奈さん。
一人でチェス盤を眺める古泉。
何も変わらない日常だな。
「あ、こんにちわ。今お茶注ぎますね!」
朝比奈さんはパタパタと冷蔵庫に向かい麦茶を取り出す。

そう、暑さのあまりSOS団でも冷麦茶を用意することになったのだ。
それほど今年の夏は凄まじい暑さということだ。
「どうぞ」
「あ、ど~も」
と朝比奈さんとやり取りをした後、3杯目のおかわりを要求しているハルヒが声をあげた。
「さ、ミーティングするわよ!今日の議題は夏休みの前半について!!」
全員が席に着いた……が、誰も喋らない。
しょうがない、意見してやるか。
「でだ、こんなに暑い中なにをするつもりだ?」
「合宿よ!!それも暑い海、人のたくさんいる山を避けるわ!!」
なるほど、そしたら街しかないじゃないか。

一番暑い場所で合宿か。
「あんたバカね。良い場所があるのよ!」
どこだ、それは。
何を思ったかいきなりハルヒは歌いだした。
「『しっずかっなこっはんのもっりのっかげっから~♪』…ってなわけで【湖のある森】に行くわよっ!!」

空気が凍りついた。
どうせなら気温も下げてくれればいいのに。
などと考えていると、わざとらしい演技をするニヤけ面が喋りだした。
「それは素晴らしいアイデアですね。実は僕の知り合いにそのような場所に別荘を持っている方がいるので今から交渉してみましょう。」
うむ。

間違いなく『機関』プレゼンツの合宿になるな。
するとハルヒが口を挟んだ。
「今回は仕掛けはいらないからねっ。みんなでゆっくりとした合宿になるようにしてね!」

また空気が凍りついた。
と思うのも束の間、ハルヒは言葉を繋げた。
「基本に戻るのよ。4泊5日の不思議探索の合宿よ!あらゆる不思議を探し続ける合宿にするわ!!」
いつものハルヒだな。
暑さに負けるなんてこいつにはないのか。

「……………そうですか。ありがとうございます。それではまた…。」ピッ


「場所は確保出来ました。ただ、食事の材料などはあらかじめ用意しとくように、とのことです。」
「よかったわ!じゃあ決定ね!4泊5日分の食材は終業式の日にみんなで買いに行くわよ!」

……今回の荷物持ちは大変そうだな。
「それはそうとハルヒ。」
「なによ?」
「明日から終業式前日まではなにをするんだ?そこの予定も考えてるって言っただろ?」
このセリフ。
言った直後に後悔するとは思わなかった。
これを聞くまでハルヒは忘れていたのだから。


「あ、忘れてたわ。今日から放課後は部室で全員で宿題を片付けるわよ!みんな課題はもらってるわね?」

「「「……………」」」
みんな無言で俺を睨んでいる、長門でさえも。
みんな、マジですまん。

「さぁ!そうと決まればちゃっちゃと宿題終わらせるわよ!」

《0日目終了》



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