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【余ったピース】

昨晩あんなに月が綺麗にでていたのに、今日は朝からどんよりした曇り空、天気予報では
午後から雨になるそうだ。

あいつにどんな顔して会えばいいだろう
昨日のことどう切り出そうと思っているうちにあいつがやってきた

「ハルヒ 今日の部活なんだけどな」

なに、ひょっとして怒ってるの

「妹の奴が昨日から風邪ひいちまってな、家にいてやりたいんだ、申し訳ないけど欠席って
ことでいいかな」

「妹ちゃん、風邪なの、放課後とはいわずに、こんなことに居ないで、傍にいてあげれば
いいじゃないの」

「こんなことってのもないだろ、授業まで休んで看病するほどじゃなし、午前中は親もいる、
こっちまで休むんじゃ、あいつもかえって気をつかうそうだ」

なにいってんの、兄妹そろってへそ曲がりね、素直にいてあげればいいのに

「あ、そうだ、昨日鶴屋さんに会ってな、今年のクリパ宜しくっていってたぞ」
「気が早いわね、まだまだ先じゃない、12月って」

そういえば、今年はキョンに何させようかしら

「さあな、それと、これ、今日は部室いかないんで、渡しとくわ」
バラバラのままのパズルを渡される

「なんだ、あんたで出来なったの、これ」
「ああ、でもそれ、部品足りなくねーか」

あいつは、昨日こと一言も口にしなかった、やっぱり気が付いてなかったのかな
それとも自分が後ろめたいから
手の中に、受け取ったパズルが、妙にしっかりとした存在感をもっている。

授業中、教師の眼を盗んで、あたしは、キョンから受け取ったパズルに取り組んでいた、
そのままでは確かにうまく組みあがらない。

授業が終わる
「涼宮、昨日の話、週明けには返事してくれな」
岡部がいわんでもいいことを言う

キョンを見送って、部室へ、少し遅れたようだ、みんなもう来ている

「やっほー」

「はぁーい」
「昨日はお付き合いいただいて、ありがとうございました」
「古泉君のなかなかいい、センスしてるわね」
「あ、そう、キョンは妹ちゃんが風邪なんで、今日は看病でお休みね」
有希の顔がちょっと寂しそうに見えたのは気のせい?
みくるちゃんの顔がちょっと心配そうに見えたのは気のせい?
古泉君の顔がちょっと安心してそうなに見えたのは気のせい?

「さーて有希、勝負よ!」

昨日入手した新しいパズルをつかって、有希と勝負、あたしは回答をしっているから
フェアーな勝負とはいえないけど

それでも ダメ、全然歯がたたない、有希ったら、なんの戸惑いもなく、ピースを選んで
組み上げてゆく、この超人ぶりはすでに人間技ではないわね

一頻り、パズルをこなすと有希はまた読書に戻ってしまった。
有希に解けないパズルって存在しないのかな

「今度のパズルは綺麗ですね」
はなから勝負にならない、みくるちゃんは、ピースを手にとりながら、あたしを見つめている。
なんとなく、今日はみくるちゃんと眼が合うわね

「もっと綺麗なのあったわよ、古泉君といったお店、ガラスの奴とか」
「そう、涼宮さん、例のパズル作家の方ですけど、昨日中に話がついたようで、明日の土曜、午後なら、昨日の店にいかがかと連絡をもらいました」
「それなら、明日の市内探索の午後の部をそれに当ててもいいわね 有希、みくるちゃん
それでいい?」
「いい」
「はぁーい」

「そでれは、早速、連絡を」
古泉君は、さっそく携帯でどこかに連絡をつけ、簡単なやりとりの後、SOS団メンバーとして明日の午後お邪魔する手配を取り付けていた。

「さすが仕事が早いわね」
「光栄です」
「じゃあ、明日、待ち合わせは 駅前に1時、時間厳守よ!、あ、キョンにはあたしが連絡
しとくわ、妹ちゃんの様子も気になるしね」

有希の顔がちょっと寂しそうに見えたのは気のせい?
みくるちゃんの顔がちょっと安心してそうに見えたのは気のせい?
古泉君の顔がちょっと残念そうに見えたのは気のせい?

なんか、最近キョンと話してないなぁ
どうしてこうすれ違いになるんだろ

職員室へ顔をだそうと思い、結局今日はバラバラで下校する、でも岡部は
もう居なかった、まあ、月曜でいいか

天気予報は当たったようで、途中から冷たい雨が振り出した中、学校からの坂道を
くだってゆく
なんか、見透かされているような気分
みくるちゃんは、何が言いたかったのだろうか

収まるべきものが正しい場所にいない、そんな気がする

【インターミッション】

下校途中から雨が降り出した。
うかつだった、気象情報のチェックを怠っていた
本来のルーティンワークの支障をきたすほど安定性を失っているのか

「ぬれますよ 長門さん」
(誰?)
「阪中です、ルソーの時にはお世話になりましたね」
(記憶領域を検索、該当記憶を展開)
「なにか、あったんですか、元気ないみたいですよ」
「べつに」
「でも、駅まで一緒にいきましょ、ぬれちゃいますからね」
「感謝する」
「また、涼宮さんたちと遊びにきてくださいね、ルソーも喜びます、なにせ、長門さんは、
ルソーの命の恩人ですから」

駅までの道のり、彼女の話を聞きながら歩く
彼女のやさしさと、
あの人のやさしさは
同じもの
別のもの

秋の雨は、心にも冷たい

【足りなり欠片】

妹のやつが風邪で寝込んでいるので、朝は平和に、但し時間ぎりぎりになってしまったが
起床する。いや、別に妹の起こされなったのが不満だとか、寂しいとかじゃないぞ、
いつも朝から騒がしいやついないんで、調子が狂っただけだ、本当に?

傘もってくるんだったかな、学校への坂道、秋風に立ち向かいながら登ってゆく、何時
雨になってもおかしくない天気だな

「おはようございます」
いきなり後ろから、挨拶される、こんな丁寧に挨拶するのって誰だ
「えっと」
「喜緑です、生徒会の」
「ああ、その節はどうも」
「ひとつ、お知らせしておきたいことがありまして」
「はい」
また、なにか、問題でもあるのかって、そろそろ任期、終わりでしょうに
「今年も文芸部の活動をしていただく必要があります」
その件か、確かに、また例の文芸誌をつるのか

(選択には責任が必要ですわ)

「え、今なんて」
「ええ、今年の文芸誌作成の時には、是非お声をかけていただこうかと思いまして」

「ああ、それはもちろんですとも」
「それでは、これで」

選択の責任って、そういえば、喜緑さんって長門の仲間だったよな
一体、俺にどうしろってことなんだ

俺が教室に入るとすでにハルヒは席についていた。
「ハルヒ 今日の部活なんだけどな」
「妹の奴が昨日から風邪ひいちまってな、家にいてやりたいんだ、申し訳ないけど
欠席ってことでいいかな」

まあ、あんまりカッコいい話ではないが、事実だ

「妹ちゃん、風邪なの、放課後とはいわずに、こんなことに居ないで、傍にいてあげれば
いいじゃないの」

まあ、おれも最初はそう思ったんだがな

「こんなことってのもないだろ、授業まで休んで看病するほどじゃなし、午前中は親もいる、
こっちまで休むんじゃ、あいつもかえって気をつかうそうだ」
「あ、そうだ、昨日、鶴屋さんに会ってな、今年のクリパ宜しくっていってたぞ」
「気が早いわね、まだまだ先じゃない、12月って」

頼むから今度はあんまり変なカッコさせないでくれ

「さあな、それと、これ、今日は部室いかないんで、渡しとくわ」
「なんだ、あんたで出来なったの、これ」
「ああ、でもそれ、部品足りなくねーか」

ああ、全く歯が立たなかったさ
ハルヒからは昨日の話は出なかった
こっちには気がつかなったのか

授業中、ハルヒは、朝に渡したパズルをカチャカチャやっていた、やっぱり数たりてない
だろそれ
あ、喜緑さんの件言い忘れた、まあ、いいか
放課後、岡部がなにか、ハルヒに話しかけていたようで、声もかけずに家に向かった、
まあ途中コンビニでお見舞いセットを買っていったのだが

結果から言おう
放課後そうそうに帰宅する理由はまったくなかった、たしかに妹は学校を休んで家には
いたが、病院でもらった薬ですっかり回復しており、家の中普通にうろうろしていた。

「わーい キョン君おかえりなさい、なにそれ、頂戴、頂戴」
「わかった、やるから今日ぐらいは静かに寝てろって」
「キョン君のいじわる、だってさんざん寝たから、眠くないもん」
「すくなくとも布団の中にはいってろ、まだ直ったわけじゃないんだから」
「ふぁーい あ、プリンだぁ、やったぁ」
「キョン君、ありがと、ごめんね、早く帰ってきてもらちゃって」

そうはいっても一旦帰宅してから、外に出るる気力があるはずもなく、退屈でふらふら
出歩く妹のやつを布団に押し込んで、なんか卑猥だなこういうと、別にやることはなく
なってしまった。
帰りがけ、岡部がハルヒに声を掛けていたことを思い出す、進路の話だろうな、そういえば
ハルヒの志望が文系ってのも意外だったもんな、岡部いや学校にしてみりゃ、あれだけの
成績だ、国立理系に行って欲しいのも判らんわけじゃないし
まさか、俺と同じクラスになるために、文系志望したわけじゃないだろうな、あいつ

選択と責任

朝の喜緑さんの声なきセリフを反芻する
確かにこの世界を選択したのは、俺だ、でもなんで俺なんだ
いや、長門の世界を選択しなかったのは、確かに俺だ

いつのまにか、雨が降り始めてきたようだ

【余ったピース・足りない欠片】

ブルブルブルブル
「起きてる?」
「ハルヒか、ああ、まだ寝てないぞ」
「妹ちゃんの様子どう?」
「すまなかったな、午後にはすっかり騒いでたよ」
「よかった」
「で、なんか用か」
「うん、明日なんだけど、でれそう?」
「大丈夫だと思うが」
「それじゃ、明日、1時に駅前ね」
「わかった」



「それじゃ あした 遅れたら罰金だからね!」
「ああ」

【インターミッション】

ツーツーツーツー
あーお話中だよぉ つながんないよぉ
どーしよう
こまったよぉ

【余ったピース】

聞けなかった
話せなかった

怖かった

なにが?

問い詰められるのが
問い詰めてしまうのが

いっそ、あの晩のことを問い詰められた方が、気が楽だったろう
言い訳だろうが、弁解だろうが、その後に続く言葉がある

なんで、何もいわないのよ

ふっと、小さな溜息をつく

キョン、本当にあたしに気がつかなった
あたしは、どんな人ごみの中でもキョンを見つけられると思うよ

こんなことに悩むのは、あいつがキョンだからなのに
あの時、有希の姿しか見えなかったら、あたしは翌日、有希を単純に問い詰めたろう、
それがどんな結果になったとしても、あたしが知りたいと思ったことに躊躇するなんて
いままで考えたこともなかった

成長したってことかな

今までだったら、こんなに悩む前に悪態ついてテーブルをひっくり返すようなまねを
していた、つい最近まで

キョンに出会って、あたしは変った、多分、いい方向に
今、こうやって、曲がりなりにも楽しい毎日が過ごしてこれたのも、キョンとSOS団の
皆のおかげ、口に出して感謝なんてしたことなかったけど

でもなんで、古泉君は、あたしを
確かに転校そうそう、部室にひっぱりこんだのも、副団長に任命したのもあたし

でもなんで、あたしはキョンを
クラスの前の席にいたあいつに、SOS団の結成を手伝わせて、雑用としてふりまわした
のは、あたし、でも最初に声を掛けたのはキョン、あなたよ

わからない

キョンは谷口あたりになんか吹き込まれているようだけど、中学時代こんな思いをする
ことはなかった、あたしは、不思議な人を探しているだけ、つまらないただの普通の人
だとわかればそれでおしまい、後のことなど考えてみたこともなかった

落ち着け 落ち着け そう、深呼吸して、外は雨だがら月明かりはないけれど

机の上には
あたしが解いたパズル、キョンが解けなったパズル、余ったピース

あたしは静かに、小さなパーツを手にとった。

答えを探すため

いつの間にか眠ってしまったようだ
机に向かったまま、うつぶせで、カーテン越しに窓から入る朝の日差しに気づく

手の中のパズルは一つの答を教えてくれたようだ
余ったピースは収まる場所を見つけたのかもしれない

集合時間まではまだ早い
少しだけでも眠ることにしよう


【足りない欠片】

ハルヒから電話があった
妹の様子をたずね、明日の市内探索の集合時間だけを告げ切れた
最後の数分間 沈黙の時間

おまえは、俺に何か話すことがあったんじゃないか

俺は、おまえに話すべきことがあったんじゃないか

なにを?

わかるわけないじゃん、俺に

本当か
逃げているだけじゃないか
俺はハルヒ、あいつとこの世界を選んだんじゃないのか
ちょっとまて、俺があいつを選んだんじゃない、
あいつが俺を引っ張り込んだんだ
ハルヒの作った新しい次元で最後にこの世界へ帰ろうと頼んだのは、俺だ
長門の変革した世界で入部届を返してしまったのも 俺だ

俺はこの世界を選んだということが…
やめよう

世界を言い訳にしなけりゃいけないなんて

ハルヒはもう、俺がいなくてもやっていけるんじゃないか、俺なんかに係わることなく、
自分の進むべき道を選んで欲しい、あいつの笑顔が消えれば、世界の危機だしな

それにくらべて、長門は

階下で音がする、なんだこんな時間にと、訝って階段を下ると妹が台所でなにかしている
「なんかないかなぁ」
「なんだ、こんな時間に」
「あ、キョン君 さっきのプリン食べちゃったの」
「おまえ、あれ全部喰う気だったのか」
「最後のだったのに」
俺、たしか4つ買ってきたよな、もう3つ食べちゃいましたか、そうですか
風邪ひきという特権をフルに使いまくる妹の攻撃には勝てない、もう来年は中学生なんだからプリンくらいで涙眼になるなよ
「あーわかった、買ってきてやるから、布団にもどってろ、まだ薬のんでるんだろ」
「てへ」
確信犯か こいつ
まあ、約束した手前、妹を部屋へ放り込み、近くのコンビニへ
夕方からの雨は上がったようだ、
それに、オーバーヒート気味の頭を冷やすにも丁度いい

あぶなっかしいやつだ、眼が離せないな本当に

誰が?

俺が長門にしてやらなきゃいけないことが判った気がする。

ふぇーっくしょん

風邪うつったかな

【インターミッション】

「それでは失礼します」

帰りは各自バラバラになった
朝比奈さんは着替、涼宮さんは職員室に顔を出すという、長門さんは傘をもっていないよう
だったが、気が付くともう姿がなかった

涼宮さんの職員室での話とは、多分クラス編入試験の件だろう、学校側の情報として
入手している。出来れば、高校生活最後の1年を同級生として過してみたい、
素直にそう思う。

今日の様子では、涼宮さんは、あの晩のことを気にしている、おそらく食事に行く前に
チラッと見えたのが、彼だったのだろう、あの時間なら、おそらく長門さんと一緒

卑怯だな、自分でもそう思う、朝比奈さんに機関とは無関係ですと言い切っておきながら、
2人の動向に関する情報はしっかり入手している

最も、今の僕に完全なプライベートってのも無い、これも事実といっていいだろう。
この瞬間、涼宮さんのイライラが爆発すれば、またあの仕事が待っている
涼宮さんに会ってもう4年、いや5年になる、僕をこんな境遇に陥れた彼女を、最初は憎んで
いた、なんで同い年の少女の夢に振り回される毎日、最近と違って、当時は、仕事の量も
桁違いに多かった。そう、落ち着いて彼女を見ることができたのは、
SOS団につれてこられた後

寝顔は「かわいい」とか黙っていれば「美人」とかいうが、その例でいえば、涼宮さんは
機嫌がよければ「天使」みたいな人だ、その顔をみたら、それまでの苦労なんて、
てんでたいしたことのない、そう思えた

その天使のような笑顔を彼女に与えたのは、残念ながら僕じゃない、彼だ
でも、力を制御することを可能にした涼宮さんが次のステージに上る隣が僕であって
いけない理由もないだろう

涼宮さんは、クラス編入試験を受けるだろう、彼女の不思議への探究心は、市内探索など
という、小さいレベルでは満足できなくなってきているはずだ、広大な科学の分野こそ、
その力を充分に発揮できる舞台のはずだ、そして、その舞台であれば、僕は彼より
ずっとよく彼女をサポートできるはずだ

今晩、閉鎖空間が発生しないなら、彼女は次のステージに進む
そうでないなら、彼女はまだ彼の庇護が必要なのだろう

これでも僕はあなたの傍にいるために、それなりの努力をしてきたつもりなんですけどね



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