ある日、妹のダイブが来る前に目を覚ました。
珍しい事もあるもんだなぁ。
なんて思ってしまう俺も俺なのだが・・・
目を覚ました俺は自分の部屋に何か違和感を感じた。
何だ?この感覚は・・・
それを気にしていたらあっという間に時間が無くなった。
俺はその違和感が気になったものの遅刻しては堪らないのでさっさと着替えを済ませ、リビングへと向かった。
「おはよう、母さん」

「おはよー!!あんた、相変わらず時間ギリギリね」

「あぁ、いつもすまな・・・」
思わず俺の時間が止まったね。
なんたって台所に立って朝食の準備をしていたその人はなんとハルヒだったんだからな。
「何?朝からポカーンとしちゃって、まだ寝ぼけてるの?」

「は、ハルヒ!!こんなとこで何してるんだお前!?」

「朝っぱら母親を呼び捨てにするなんていい度胸ねぇ?」
危険だ・・・・・
ハルヒは顔は笑っているが声が笑っていない・・・・
持っているおたまに得体の知れない何かが集まっていく。
このままだと間違いなく俺の明日は無い!!
「す、すいません!!以後気をつけます!!」
あぁ、俺ってここまでヘタレだったのか。
「分かればよろしい。じゃあ、さっさと朝御飯食べちゃいなさい」

「あ、あぁ、分かった」
とりあえず、状況を整理しよう。
どうやら、今の俺はハルヒの子供らしい。
という事は当然父親もいる訳だな。
ハルヒと結婚した勇気ある奴はどんな奴かね?
早く面を拝んでみたいものだ。
今、何かムカッときたがこれはただ単に腹が減っているからだろう。
そうに違いないさ。
そう考えをまとめ、ハルヒの作った朝食を食っていると誰かが降りてきた。
そう、遂にハルヒの旦那の面を拝める時がきたのだ。
ドアが開いた音のする方へ向いた俺は言葉を失った。
そりゃそうだろ。
そこには、ダルそうにしている俺が立っていたんだからな。
起きてきた俺が食卓に着くとなんとも言えない嫌ぁな雰囲気になった。
この空気はなんなんだ?
さっきから俺とハルヒが全く口を聞かない。
これが噂に聞く倦怠期ってやつなのか?
俺は小さな勇気を振り絞って聞いてみた。
「な、なぁ、さっきからどうして二人とも口聞かないんだ?」
すると二人の鋭すぎる視線が俺に突き刺さった。
痛い・・・痛すぎるよ・・・(泣)
「「別になんでもない(わよ)!!話したく無いから話さないだけだ(よ)!!」」
二人とも息がぴったりだった
そう言い終わると二人は睨み合いを始めていた。
あぁ、これが夫婦喧嘩というものか。
これは確かに犬もこんなもん食ったら腹壊すわなぁ。
しかし、未来では俺はなんとかハルヒと平等な地位を獲得している様で安心した。
「喧嘩してるのは分かった。で、原因は一体何なんだ?」
また視線が飛んできた。
今度はあのバチバチいってるのも一緒にな。
「「それはハルヒ(キョン)が俺(あたし)の言う事全く聞かないからだ(よ)!!」
またハモってる・・・
さて俺はあえてこの二人にこの言葉を送りたいと思う。
このバカ夫婦がっ!!


その後、どうにか喧嘩の原因を聞きだした俺は二人を説教していた。
原因は俺、つまり未来の俺とハルヒの子供の進路の事だった。
「分かった。俺の事をそこまで思ってくれるのは大変ありがたい事だと思うよ。でもな、その事で二人が喧嘩したって意味無いじゃないかっ!!」
俺は机を「バンッ」と思いっきり叩いた。
いつもの俺ならここまでする事は無いだろう。
しかし、さっきの原因不明のイライラが俺をどんどんヒートアップさせる。
未来の俺とハルヒはすっかりシュンとなっている。
それに構わず俺は続けた。
「いいか?自分の事で親に喧嘩されたら子供は辛いんだぞ!!自分が原因なのがどれ程苦痛かなんで分かってやれないんだ!?」

「「ご、ごめんなさい・・・」」
それを聞いた俺は一気にクールダウンした。
「分かってくれればいいんだ。こんな息子だけどこれからもよろしくな」
そこまで言うと俺は急に意識が遠くなった。
気が付くと全ての時間が止まっていた。
いや、厳密には俺と俺の前に立っている奴以外の時間がと言っておこう。
「お前は誰だ?」

「はじめまして。僕はあなたの息子です」
こいつは何言ってんだ?
「何を言ってるのかさっぱり分からん。どういうことか説明してくれ」

「今回の両親の喧嘩がいつもよりすごくて僕の手に負えなかったんです。そこで、よく母さんが「学生時代のキョンは」と言っていたので助けてもらおうと思ったんです」
俺の子よ、苦労してるんだな・・・・
「そうか、そりゃ済まなかったな。ちゃんと説教しといたからもう大丈夫だと思うぞ」

「えぇ、見てました。本当にありがとうございました」
俺はふと気になった事をそいつに聞いてみた。
「でだ、俺達はいつもあんな感じなのか?」

「いえ、いつもはそりゃもう仲の良い夫婦ですよ。暇があれば四六時中ベタベタしてますから」

「そ、そうか・・・」
イカン、顔が段々熱くなってきた。
その瞬間、俺は何かに吸い込まれるような感覚に襲われた。
「そろそろ時間みたいです。名残惜しいですけどお別れですね」

「あぁ、そうだな。最後に1つ聞いていいか?」

「何ですか?」

「お前は俺達の子供で幸せか?」

「そんなの聞くまでも無いですよ。気苦労は絶えませんけど僕は2人の子供で良かったと思いますよ。では未来で会いましょう」

「あぁ、じゃあな」
そこで俺の意識は完全に何かに吸い込まれた・・・


朝、違和感の無い部屋で目を覚ました俺はほっと胸を撫で下ろした。
学校では昨夜の出来事のせいでハルヒの顔をまともに見る事が出来なかった。
あぁ、気まずい・・・
その気まずさからハルヒを避けていたら超特大の閉鎖空間が発生したとかで古泉から散々ダメ出しをされた。
その翌日、避けていた事をハルヒに謝ったら
「キョン、あたしを傷物にしたんだからちゃんと一生責任取りなさい!!」
とか、教室で大声で叫んでくれやがった。
そして今、ハルヒに課せられた罰ゲームとしてなんと婚姻届を書かされているのだ。
そもそも俺が18歳にならなければ役所が受け取ってくれないと思うんだが・・・
「キョン、手が止まってるわよ!!さっさと書きなさい!!」

「へいへい」
そんな理屈がこいつに通用する訳無いか・・・
はぁ、やれやれ・・・


fin

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