……なんでこんな事になったのか、想像もつかん。
ハルヒが何かの探偵漫画を読んでいた気はするが、それが原因か分からない。
取り合えず、落ち着こう。
いつもまともじゃない出来事に関わってきた事に感謝しよう。
よし、落ちついた、まず何をする?そうだ、タイムマシンを探そう。
……
いや、ちょっと待て、ちゃんと落ち着け俺。
しかし、しょうがないと思う。
何故か?

だってそうだろう?自分が10歳無いし、3歳は超えてるであろうガキになっていたら誰だってタイムマシンを探すさ。
第一に、何故俺はハルヒの家に厄介になってる?
謎は尽きない。どっかの魔人探偵さんよ、この謎を喰ってくれ。なかなかの美味だと思うが。
……まずはハルヒが買い物に出掛けている内に、俺がこんな姿になった、そもそもの原因を思い出そう。
………
……


その日はいつもと同じ夏の日……と言っても今日の出来事なのだが。

いつもの様に、最早、完璧にSOS団のアジトとなっている文芸部室で古泉と
誰が考えたか良く分からん、軍事教育感がまるだしの軍人将棋なる物に精を出していた。

しかし全くルールを知らなかった俺に負けるのは何故だ、古泉。

「おかしいですね……これならあなたに勝てると思っていたのに」

奇遇だな、俺もそれならお前は勝てると思ったよ。

俺は朝比奈さんの淹れてくれたお茶をすする。あぁ……平和だ……?

「おっっっまたせぇ!! 遅れて悪いわね!!」

つかの間の平和も、こいつの笑顔で時間の果てまで⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン、はい、さようなら。
ハルヒがいつもの極上のスマイルを浮かべているが、その笑顔に比例するように俺がろくでもない事に巻き込まれる。
不条理な世界だ。
「何よ? その顔」
いーえ、何も。
まぁ、こんな不条理な世界にこの頃、それなりに楽しませてもらってるし、
この世界のおかげで中学生になる前の最大公約数的な望みを達成できてる。

ハルヒは何かろくでもない事を持ち込んでくるのでは無いかと思っていたが、今日はそんな事は無く、いつもの指定席の机に座って、漫画を読み始めた。
俺は少し拍子抜けしつつ、古泉との軍人将棋に興じた。行け、飛行機!

今思えば、あの漫画が俺の言うろくでもない事だったのではないかと思う。

「やっぱり……」
は?
ハルヒは読んでいた漫画を読み終わったのか、漫画を閉じ、ぼそっと何かを呟いた。
そして次には。
「弟が欲しいわ!」
はぁ?おい、ハルヒ、その漫画は主人公こそ子供だが、推理漫画だぞ?何故にその様な感想が得られるのか問いたい。
「読み所を間違えてないか?」
「そんなこと無いわ!」


……この後しばらくSOS団で妹が欲しいだとか、弟が欲しいだとか、兄が欲しいとか、姉が欲しいだとか、そういう会話をしていたのだが、大して重要じゃない気がするので省かせてもらおう。
そう、重要なのはこれからだ。
パタン、と長門が本を閉じたのを見て俺らはそそくさと帰り支度を始める。
「それじゃ、また明日ね!!」
「私も失礼しますぅ。皆さん、また明日ぁ」
ハルヒと朝比奈さんはそうそうに帰宅した。
俺も鞄を手に取り、席を立とうとすると。
「待ってください」
古泉が俺を呼び止める。
「何だ?」
すると古泉が俺に後ろから抱き着いてきた。
「!?」
やめろ、俺はその気は無い!!うほっは嫌だ!!
俺は声にならない悲鳴を上げて暴れた。
朝倉に襲われた時でさえここまで恐怖をしなかったかもしれない。
しかも朝倉のときは長門が助けてくれたが、その長門は俺が前に見た物に似ている、無色透明な液体が充満しているでかい注射器片手に近づいてくる。

「落ち着いてください」
無理だぁ~~~~!!やめろ!
アナルだけは!アナルだけは!

「黙って」
いつの間にか俺が暴れている間に長門は俺の目の前まで来ていた。
「事情は後で説明する。今は静かに」
俺は長門にそう言われて、でかい注射器を右腕に刺され、液体を注入される。
俺の意識はそこでブラックアウト。
次に目が覚めたときはハルヒの家で、ハルヒは俺が目覚めたことを確認すると、
「夕飯の材料買ってくるから、おとなしくしてるのよ? あと、机の引き出しは絶対開けないこと!」<
そう言い残し、早々と買い物に行ってしまって……
……今に至る……か。

取り合えず、何をするにもハルヒの家なので勝手なことは出来ない。
さっきから物音はしないので両親は不在と見ていいだろう。

長門はさっき説明するといっていたが……?
右ポケットに僅かな重みを感じる。その重みの原因は。

「携帯……ね」
俺はこんな携帯を持っていた覚えは無い。電話帳をチェックすると、
名前も入力されていない電話番号が登録されている。
pi!……迷わずコールボタンを押す。
押した瞬間にコール音は無く、すぐさま繋がる。

「……あなたは今、6歳程の体系に変化している」
…んなもん、見れば分かる。

あなたに注入したナノマシンがあなたの細胞を変化させ、その肉体を一時的に変化させている。
理由はあのまま涼宮ハルヒの思うままにすると、あなたは根本的に子供になってしまい、今までの記憶を失い、周りはそこに『キョン』と言う小学生が居ると認識する」

「……要するに?」

「あのままだと高校生のあなたは消失して、変わりに小学生のあなたが生まれる。とても大規模な時空改変。
それは涼宮ハルヒの気まぐれな行動なので、しばらく経つとあなたは元に戻るだろうが、他の出来事にも色々と齟齬が発生する。
情報統合思念体はただの涼宮ハルヒの気まぐれで多大な影響が発生することは避けたいと思った。
なので、涼宮ハルヒの気まぐれをSOS団内で収束させる事にした。夏の古泉一樹の芝居のように。」

成るほどね。
「その肉体変化は一週間ほどで通常に戻る。涼宮ハルヒには古泉一樹の親戚と言うことで、一週間ほど預かって欲しいと頼んだ。」
おいおい。一週間?その間本当の俺はどうなる?ハルヒはOKしたのか?一週間でこの事態は収束するのか?
「本当のあなたは家族と旅行と言うことにしてる。涼宮ハルヒの両親は元々、出張等が多い。その出張の間なら問題は無いと言った。一週間で事態は収束する。」
……OK。分かった。一週間だろ?やってやるさ。
「……あまり、その家から外に出ないで」
了解。
pi!と通話終了。
…ふむ、状況は何となく把握できた……まぁ、冷静になると、朝倉に襲われる事や、古泉に襲われる事より、マシだし、少しワクワクしてきた俺が居ることは否めない。
取り合えず、ハルヒを迎えるか。
もうそろそろ帰ってくるころだろう。
そう思い、玄関まで下りていくと、狙ったかのように玄関が開く。
「ただいま」
「お帰りなさい」
玄関に走って行き、ハルヒを迎えた。

ハルヒが作った夕飯を食った。……やばい、うまい。
風呂に入った。けどまさかハルヒといっしあqwせdrftgyふじこlp;@:」その件に関しては語らない。
……決して俺だけの秘密にしたいとは思ってないぞ、ハルヒのためだからな。




さて最終日までは少しのハプニングもありつつ、楽しく過ごせた。
しかし、七日目の夜。
……遅い。
一週間でケリをつけると言っていたにも関わらず、あと数時間で今日は終わってしまう。
「しかも……眠い」
肉体がガキだからか、直ぐに疲れちまうし、眠くなる。
……よし、寝よう。後は長門がどうかしてくれるさ。
そう言って俺はベッドに潜り込んだ。
俺は魔が差したに違いない。今までの六日間は敷かれた布団に寝ていたのに、今日はハルヒがいつも寝ているベッドに潜り込んだのだ。
どれくらい経ったのか?俺は夢か現実が良く分からないぼんやりとした意識だった。
部屋のドアが開くのが分かった。
ハルヒだろう。
「あれ? 私のベッドに寝てるわ。しょうがないわねぇ」
そう言ったのが近くで聞こえた。
そして俺の隣に何かが潜り込んできた。ハルヒだと思う。
「この子……キョンに似てるわね」
ダメだ、限界。俺はその言葉を聞いて完全に意識を睡魔に持っていかれた。

朝、目が覚めた。
外を見ると人の気配を全く感じない事からして相当早い時間帯に違いない。
そしてここはまだハルヒの家。
目が覚めたら自分の家だという展開だと思っていたのですが。
……しかし、俺には変化が。


元 に 戻 っ て る ! !
しかもハルヒの隣で。不幸中の幸いは服ごとデカくなっている事か。
ヤバイ、取り敢えず脱出だ。
ベッドから這い降りようとすると、背中に抵抗を感じる。
ハルヒが俺の服を掴んでいる。
「……キョン……」
ビクッとしたが寝言なようだ。
しかし、寝顔に俺は心を奪われた。
ここで二回目の魔が差した。
俺は背中のハルヒの手を静かに解き、自分の顔を近づけていった。

パチッ
目が開くときは音はしないと思ったが、音はするのだな。
俺はハルヒとバッチリ目が合った。
「「~~~~~~~~~~!?」」
バッと俺は恐るべき速度で退避した。
その時、俺は窓越しに長門の姿を見た。
瞬間俺は自分の部屋に居た。
「……」
さっきまでのは夢ではない。なぜかそれが自覚できる。


「よぅ、ハルヒ。久しぶりだな」
ハルヒは窓の外を見ていたようで、俺が声を掛けるとかなりビックリしたのか、2cmは飛んでいた。
「キ、キョン!?」
「そこまで驚くなよ。どうした?」
理由は何となく分かるが。
「な、何でもないわ」
「そうかい。」
ハルヒは決してこっちを見ないが、構わず、俺は言った。
「寝顔、かわいいぞ」

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