小春日和とでもいうのだろうか。春の暖かくまだ充分に明るい夕日の光が、放課後の元文芸部室に僅な電気代緩和の恩恵を与えている。
部室にいるのは朝比奈さんと古泉、それに長門。ハルヒはなんとかかんとかが今日中で締め切りなのでなんとかかんとかだそうで今日はいない。
いてほしい理由も特にないが。
まずオレは部室にきて、朝比奈さんの着替えを覗き(故意による他意)、その後ちょっとよそよそしい朝比奈さんのいれてくれたお茶をすすり、古泉とオセロ&将棋をしながらなんとなく長門に話しかけたりしていた。
別にいつものことだろう? SOS団唯一でありながらそれだけで容量オーバーなムードメーカーがいないだけで。
朝比奈さんはお茶をくみながら俺と古泉のオセロや将棋(共に自軍優勢)を眺め、長門は本にとり憑かれ、古泉はニヤケ面で。
全然いつも通り極まりないだろう。そして平和だ。
これで平和だと思えないやつはシルバニアファミリーの世界に行ってメルヘンの極意を極めたやつくらいだな。
しかし……しかし、というのが正しいのかわからんが何か違う。
みんなが違うんじゃなくて、俺だけが感じる違いがある。俺自体が違うのかもしれないが……

キョン「古泉、二歩だぞ」
古泉「あっ、これは失礼しました。なにせ、あなたの顔ばかり見ながらやtt」
キョン「なあ長門、今日は何の本読んでるんだ?」
古泉「ちょwwww無視テラワロスwwwww」
長門「……昨日と同じ」

そっか、昨日と同じか。ありゃ面白いよな……って、知るかんなもん。
大体俺は昨日長門に本のタイトル聞いてねえんだからわかるわけねえだろこのタコ!!
ん……? んん……!? あれ? いつも俺は長門にそんな冷たくありませんよ……?
……なにが違うのか分かった、俺だ。今日の俺は何故か長門に対して激しい嫌悪を感じている……

何故だ? 何故俺はこんなにもイライラしているんだ?
これじゃ生理のきてるハルヒと同じ、いやそれ以上(当社比)じゃないのか?

長門「忘れたのではなくあなたは元から知らない。昨日私はあなたに、本のタイトルを聞かれなかった」

あああ……!! ムカつくムカつくムカつく……ダメだダメだダメだダメだアアアアァァァ……………プッツン!! おめーは俺を怒らせた!!

――ダァン!!(机を叩いたんですよ、机をね。そもそも机というのは以下略)

「じゃあ分かるわけねぇだろこのバカ!! 人が大人しくしてりゃ調子乗ってんじゃねえぞ!!
『忘れたのではなく知らない』ぃぃ? なら素直に言えよガキくせー言い回しなんかしてんじゃねえ根暗女!!」

やっちまった……やっちまったよ俺……DI●も真っ青なほどの時間停止を引き起こしちまった……

みくる「キョ……キョン……君……?」
キョン「あ……あ、いや……その……」
古泉「えっと……キョン君……体調不良でしょうか……なにか悩み事でも……?」
キョン「こ、古泉……なんでもないから……その……えっと……だな……」

うはwwwテンパってるテンパってるよ……俺……当たり前だろ!! なんて説明したらいいんだよ二人ともちょっと可哀想な人を見るような目してんぞ!
言い訳不能なテンパリックスMAXの俺の目にショボミックスMAXの長門が映った。
……やっぱりヘコんでるよ……長門はただちょっと話がしたかっただけだろうに……俺は……最低だ……
何故こんなにも長門が憎たらしく見えるのだ!?
長門は、まあ悪いやつじゃないし命の恩人だし、顔もなかなか……ってそういうことじゃなくて、俺が長門を嫌いになる理由がわからん……でも……何故……!?

長門「……ごめんなさい……」
キョン「そんな……! 違うんだこれは! その、俺の意思じゃない……!」
長門「……でも」

な、長門……そんなしょげた顔しないでくれ……オレはただ……ただ……

ただ……なんだ……?

ただちょっと頭に血がのぼっただけ……か……? そうじゃないだろ……? 
“ただ”じゃなくて長門がムカつく言い方しなきゃこんな風に怒りゃしない……だから怒ったんだろ? 当然じゃないか?
なのにいかにもって風にみんなはオレを悪者扱いしやがる。おまえらにオレの何がどこまでわかるってんだ?
いつでもなにかが行き過ぎるとオレだ。オレの気持ちがわかるか……?

おまえらみたいにハルヒが神の力を持っていてそれをどうにかするためや仕方なく来たやつらならまだいいさ。
オレは一般人だぞ、それなのに怠惰に明け暮れてオレに厄介事を申し付ける……
それなのになんだよ、オレがちょっとキレたくらいでピーピー喚きやがって……もうそんな自己チューなおまえらはダメだよ、オレがなんとかしてやるよ……
そう思って俺はパイプ椅子を手に取った。

「全く……キョンはいっつも私にばっかり怒りすぎなのよ……もう……」
涼宮ハルヒは自宅のベッドの上にいた。どうやら寝ているようだ、寝言ははっきり聞こえてくるが目は瞑っている。

俺はパイプ椅子を折りたたみ、長門めがけて降り下ろした。

――ズッ

鈍い音が響き渡る。鎖骨が折れたみたいだな。長門は肩を抱いて、痛みと悲しみと絶望に満ちた涙目でおれを見ている。
……俺がちょっとキレたらすぐそうやって“私が悪かったから止めて、お願い”ってな目をするんだ
……ああ、ダメだな……俺はお前を腐れた性格から救ってやってるのにさ……
それなのにまだ、私が悪かったからやめてなんて考え方をもつなんてのは、俺の気が違ったからとりあえずなだめてなんとかしようって……見え見えなんだよ……ダメだな

……ガッ ガッ

また鈍い音がなり、長門の悲鳴が木霊する。確実に折れた脛がみるみるうちに青紫にすさんでいく。

俺はその後、止めにはいった古泉に、長門の机にあった熱いお茶を顔面狙って投げつけ、すかさず馬乗りになり殴り続けた。
そして古泉の首を力一杯締めあげて絶命させた。
チアノーゼ状態の古泉の顔が紫色に変わる瞬間に、俺は今までにない快感を覚えた。
さらに逃げようとした朝比奈みくるを力で抑えつけて犯したあと、指で目をほじくり出してやった。
次第に悲鳴が弱っていって、痛みのショックで死んだ。
当然、脛を折られている長門は俺から逃げられる辷なんてない。ああ……快感だな……どうして今までこんな快感に気が付かなかったんだ……?
擦り寄る俺に、完全に恐怖している長門の顔が歪む。
まず俺は、脛の折れた足を引きずり、長門のパンツを下ろした。そして長門の膣に、手首をねじこんだ。

ブチブチと裂けるような音が聞こえたが長門の悲鳴に掻き消されて聞こえなくなった。直ぐに失神した長門をなぶり殺しても面白くないので、両手両足を縛って、手首をカッターで切り裂いた。
こうすれば、長門が気がつく頃にはもう血液が無くなりかけていて、長門は死の恐怖に怯えながら抵抗できず死ぬことになる。

「じゃあな、長門」

最期の別れを告げて俺は部室から出た。

「ハルヒ、今行くぞ」

そう呟いた。俺にはもう正常な思考ができなくなっていたのかもしれない。しれないが、快感はあった。

「ムニャムニャ……んもう……キョンもみんなにもっと……怒ってくれたら……いいのに……」
ハルヒが寝言を言った。
人生で最期の寝言だった。

〈了〉

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