突然だが、そいつは夏の暑い日に襲ってきた。

いつも通り長門の本を閉じる音でSOS団の活動を終了し、みんなが帰り支度を始めた。
実際活動と言っても俺と古泉はオセロをエンドレスで、ハルヒは朝比奈さんをいじくり回し、
長門に限っては一言も喋らずに延々読書をしてただけだが。

「では、僕はお先に失礼します。文化祭のことでクラスの皆さんと話し合わなくてはならないので。」
「あの~、私も話し合いがあるので・・・今日はこれで失礼します。」
「みんな大変ねぇ・・・有希はなにかあるの?」
「・・・話し合い。」

長門ははたして話し合いに参加するのだろうか?何にも言わなそう気がする。
まぁ、暇なクラスはうちだけだろ。何が好きでアンケートなんかに決定したんだか。

「じゃああんたが何か考えれば良かったじゃない。たとえば裸踊りとか。」
誰がそんなもん見に来るか。裸踊りがしたいならハルヒ、お前がやればいい。
「いやよそんなの。第一私がしたらただの変態じゃない。それくらいの事も分からないの?」
あのな、言い出したのはそっちなんだが。まぁいい、さっきのは軽く聞き流して無かった事にしよう。
「そんなこと言ってないで早く出なさいよ。鍵閉めなきゃいけないんだから。」
分かったから大声出すな。鼓膜が破れる。
「分かった分かった。出ればいいんだろでr・・・」

その瞬間くらっときた。たぶん寝不足が原因の一時的な物だろう。焦る事はないな。
「さぁ、とっととで・・・さ・・・」
何だ?耳が聞こえない・・・耳鳴りか・・・
「ちょ・・・キ・・ン、きいt・・キョン?」
ハルヒが心配そうな顔でこちらを見ている。なんだ?そんなに変な顔になってるのか?
「・・・ぁ・・ハ・・・・ぶ・・・」
声が出ないばかりか視界がぼやけてきやがった。
「k・・・!?」
なぁ、何を言ってるんだハルヒ。もっと聞こえるy・・・・だめだ・・・何も見えない・・・
目の前が真っ暗だ・・・

ドサッ

「!?ちょっとキョン!?大丈夫!?ねぇキョン、起きて、起きてよキョン!!」

う、う~ん・・・ここはどこだ・・・?
何でこんな場所に・・・ええっと、何がどうなってこうなってるんだ?
確か部室でハルヒと話してて、そしたら目の前が真っ暗になって気づいたらここにいた。こんなもんか、やけに冷静だな俺。

「キョン・・・?気がついた?大丈夫?」
「ああ、何とかな。少しくらっときただけだから大丈夫だ。」
「そう・・・よかった・・・」
あれ?てっきりバカにしてくるんじゃないかと思ってたがその予想とは裏腹に本気で心配してくれていたようだ。
もしかして明日は豪雨や雪や雷三昧なんじゃないだろうか。・・・それは失礼か。

「おやっ?お目覚めですか?」
って古泉!?お前いつからそこにいたんだ!?というか顔が近い、息吹きかけるな気持ち悪い。
「これはこれは、失礼しました。」
まったく・・・こういう事は朝比奈さんか長門にしてほしいもんだ。
ウホよりそっちの方がよっぽど嬉しい。
「涼宮さんからあなたが倒れたと聞いたもので話し合いを放棄して駆けつけたのですよ。
ほら、長門さんも朝比奈さんも。」
お前は駆けつけなくてもいい。話し合いをし続ければよかったのに。
「キョンく~ん、良かったぁ~~あたし、倒れたって聞いたとき・・・グスッ・・・」
朝比奈さんは涙たらたらで最後の方は詰まって聞こえなかった。
心配かけて申し訳ない。
「・・・」
長門はと言うとやはりいつものようにこちらを見つめていた。
でも、少しは心配してくれてるみたいだ。そんなオーラが漂ってるんだが気のせいなのかね。

「軽い熱中症でしょう。少し休んだら良くなりますが念のため病院に行った方がいいでしょうね。」
そうだな。ここは素直に病院に行った方がいいだろう。
「ま、これぐらいでへこたれてたらSOS団の団員なんかつとまらないわ。さっさと病院行って治してきなさいよ。」
さっきの心配顔はどこへやら、眉は怒り口が笑ってるという器用な笑みを浮かべたハルヒがそこにいた。

と言うわけで今俺は病院に向かう真っ最中なのである。
ちなみに、病院なんてものは年に1回行くか行かないかぐらいの公共施設だ。
予約はしてなかったので20分ほど待って診察5分。まったくもって理不尽な気もするんだが。
やれやれ、後は会計をすますだけ・・・ん?なんか聞こえるな。

「○○からお越しの○○○○さん、診察室の方へどうぞ。」
てっきり終わったと思って帰るつもりだったのに。
まぁいい、初診だったから手続きとかなんやらあるんだろうな、きっと。
「どうぞ、そこに腰掛けてください。」
黒縁メガネをつけた何とも真面目そうな医者が着席を勧める。
「あの・・・なにか?」
「大変言いにくいことなのですが・・・
保護者の方の連絡先教えていただけますか?」

どういうことだ。まさか検査入院か。いや、検査ぐらいだったらまだいい。
本気の入院で長い間病室ぐらしとかいやだぞ。
せめて通院ぐらいならいいんだが。

「何かあったんですか?」
「いや・・・別に。とりあえずご両親とお話しがしたいので。」
当の本人は無視ですか?
「理由がないなら別に両親に話す必要は無いと思うんですが・・・
もしかして通院ですか?それとも入院ですか?」
「・・・いえ、そうではないですけど・・・正直に言いましょう。
あなたは

     後一日、もって二日しか生きられません。」


え?ちょ、ちょっと待ってくれ。すまん。なんだって?
「酷な事を言いますが、寿命はあと1~2日です・・・
あなたの病気がここ最近でも稀に見る病気で、現代医学ではもはやどうすることも・・・」
「う・・・うそですよね?そんなこと。だってこんなにぴんぴんしてるんですよ?
そんな簡単に死ぬはずがn」
「残念ですが・・・もうその病気は体中の至る所を侵食しています。
本来なら動くのもやっとなはずです・・・」

もう医者の話なんぞ耳に入ってこなかった?
嘘だろ・・・死ぬのか、俺?まだ10数年しか生きてないんだぞ。なんかの間違いだろ・・・
まだしたいことだって沢山ある。端から見れば世界情勢に興味がない一般高校生なんだろうけどな・・・
それに・・・SOS団。あのはちゃめちゃでいつも100Wの神ハルヒ、myスウィートエンジェルである未来人の朝比奈さん、
無口だが一番頼りになる宇宙人の長門、それから・・・・言いたくはないが超能力者古泉。
俺はまだあそこに居たい。あいつらと一緒に遊びたい。わいわいがやがや非日常ストーリーを満喫したい!!
もうそんなこともできないのかよ。畜生・・・

「すいません・・・このことは親にはだまっといてもらえますか?
お願いします。」
「・・・」
それ以上医者は何も言わなかった。

その後、家に帰る足取りは重く帰るとすぐに自分の部屋に閉じこもった。
そして泣いた。滝の様に涙があふれベッドは水びたしになった。
嗚咽を漏らしながら、ただただ泣いた。自分の生きるリミットに絶望しながら。
だからこそそこに一筋の希望を見つけようとしながら・・・・

チュンチュン
ん・・ふぁ・・・・朝か・・・・
気づいたら寝てたな俺。やれやれ、ベットの上がびしょぬれだ。
でも、泣いてる場合じゃない。これからやらなきゃいけないことがたくさんあるのさ。
どうせ死ぬんならやり残しのないように死にたいだろ。違うか?

そう自分に言い聞かせたものの、学校に続く坂は精神的なものなのかはたまた肉体に限界が近づいてるか、
そんなことはどうでもいいがいつもより長く長く感じられた。まるでフルマラソンだ。
正直横から谷口が沸いてこないことを祈る。チャックにつっこみを入れない日を作ってくれ
ようやく自分の教室の前にたどり着いた。・・・ハルヒにはこのことを黙っておこう。
これ以上心配かけさせたくないしな。何気ない顔で教室に入りいつも通りに過ごせばいい。
それでいいんだ・・・それd

「おはようございます。昨日は大変でしたね。」
うおっ、古泉いきなり出てくるな!てか、顔ちかっ!!!離れろ、今すぐに。
「ハハハ、すいません。ちょっとお時間いただけますか?」
なんで朝っぱらからこいつに絡まれなければならんのだ。いけ好かない顔の野郎に。
朝比奈さんと長門なら大歓迎だが。
「で、何があるって言うんだ?単刀直入に頼む。」
「そうしたいのは山々なんですが、ちょっと人目のつくところではね・・・・
別の場所で話しましょう。」
やれやれ、こんな事をしてる暇はないんだがな。

こうしてあの古泉がビックリ仰天エスパー発言をした場所にやってきた。
「で、話ってのはなんなんだ。くだらない事じゃないだろうな。」
「いえいえ、重要な事ですよ。少なくともSOS団という肩書きを背負ってる人全員にとってはね。」
「・・・言ってみろ。」
「では言わしていただきます・・・ずばり、あなたはもう体が持ちませんね?
それも一ヶ月二ヶ月単位じゃない。一~二日が限度のはずです。」

な、何でこいつが知ってるんだ?誰にも言ってないはずだ。どっから情報が・・・
そうか、あそこの病院にも機関への協力者が居るのか。別の病院にいっとけばよかったな・・・
おそらくそうであれば隠し通すことはザルで水をすくうぐらい無駄なことであろう。観念した方がよさそうだ。
「ああ、まったくもってその通りだ。言いたいことはそれだけか?」
「驚かないのですか?僕はもっとあなたが取り乱すと思ってましたが。」
当たり前だ。刺されたり神人とやらに出会ってたりおまけに閉鎖空間に閉じこめられたとなれば
こんな事は象にたかる一匹の蟻のようなもんだ。
「なら、本題に入らせていただきます。
この件、長門有希と朝比奈みくるには言わないでもらいたいのです。」
おいこら。ハルヒならともかく朝比奈さんを呼び捨てにするな。
だいたい俺の残り少ない人生だ。どう使ってもかまわんだろう。
「失礼しました。けど忘れないでください。長門さんや朝比奈さんが属している組織にはいろいろな派閥があります。
たとえ彼女ら自身が何もしなくても、彼女らを通じて情報を得た他の・・・たとえば急進派などが
何らかのアクションを起こすことは容易に想像できます。もしかすると本人達が危険にさらされる自体になるかもしれません。」
考えてみればその通りかもしれんな。これ以上SOS団他の団員及び他の人々に迷惑なんかかけたくない。
「すいません、このようなことしか言えなくて。機関は関係無しに僕自身も非常に残念に思いますよ。」
あまりお前には残念に思ってほしくはないがな。
まぁ忠告はありがたくとっておくぜ。たぶん今までで一番役に立った話だろう。

キーンコーンカーンコーン

「予鈴ですか、もうそろそろ退散した方が良さそうですね。それでは。」
そういって古泉は去っていった。やれやれ、俺も教室に上がるか・・・

授業なんてものはハルヒとの無駄話であっという間に放課後になり
俺は真っ先に文芸部もといSOS団所有の部室へとむかった。
ちなみに寿命のことは一言も言ってない。断じて。
どうせ分かることだ。ハルヒのあの心配そうな顔もみたくないしな。
そんなことを真剣に考えていたがやっぱり俺も男だったようで
朝比奈さんのメイド姿を妄想する比重の方がいつのまにか大きくなっていた。
悲しいな、男って。

コンコン
いつも通りノックして入ると部室専用のエンジェル及び水晶玉の目を持った文芸部員がそこにいた。
「あっ、キョン君。もう大丈夫なんですか?」
ええ、あなたの顔を見ると元気百倍ですよ。どんな病気でも治ります。
「うふっ、待っててください。今お茶入れますね。」
その言葉と共に朝比奈さんは台所―――部室に台所があるのはいかがなものであろう―――に向かっていった。

・・・この姿を見るのも今日で最後なんだろうな。畜生

いつの間にか俺の目からは涙が流れていた。涙もろくなったもんだなぁ、おい。
ところで長門、その透き通った目でこちらを見るのはやめてくれ。ほんとで泣きたくなっちまうから。
お前にはさんざん世話になりっぱなしだから迷惑かけたくないんだ。頼む・・・
「はぁい、お茶はいりましたy・・・キョン君目が赤いけど大丈夫?」
「大丈夫ですよ、ただ目にゴミが入っただけです。」
いかんいかん、このままではばれるのも時間の問題だ。早く来いハルヒよ。

バンッ
「いやーごめんごめん、岡部に絡まれちゃってさぁ。あの先生、熱いのはいいけど暑苦しいのよねぇ。
もうちょっと影を薄くしたらいいのよ。ふ○わみたいに。」
来た。しかも悪口を言いながら。失礼極まりないだろ。
「うるさいわね。私がふか○っていったら○かわなのよ。それ以外の何者でもないが。」
すまん、ハルヒ。日本語でおkだ。

「まぁ、そんなことはどうでもいいわ。今日はなにしようかし・・・ってキョン、あんた目が赤いわよ。」
痛いとこついてきやがった。何でこう言うときに敏感なんだよ。
「いや、ゴミが入ってただけだ。気にするほどでもない。」
「ダメよそんなの。早く処置しなきゃ!」
そんなこと言ったって部活はどうするんだ。途中退場なんてしたかないね。
「むぅ・・・分かったわ。今日の部活は無し!キョン、早く病院に行きましょ。」
おいおい、何でお前までついてくるんだ。
「だってこの間みたいに倒れたら大変でしょ。だから私が・・・ってなんでこんなこと言わせるのよ。
いいからとっとと来なさいよ。」
やれやれ。まぁ話す場所ができたからよしとするか・・・

「じゃあ有希、みくるちゃん、キョンを病院まで連れて行くから。」
「あ・・・はぁい。お気を付けて。」
「・・・」

そういうとハルヒと俺は部室から出て行った。
というかハルヒに引きずられながら。
これで本当にこの部室に足を踏み入れる事もないだろう。じゃあな、SOS団・・・

そして運命の時間がやってきた。そいつはハルヒと二人っきりになった今まさにこの時である。
「なぁハルヒ、病院に行くまでに話したいことがあるんだ。別にたいした事じゃないから
歩きながらでいい。」
「ふぅん、別にいいけど。」
「ならいうぞ・・・もし好きな人が後余命一日だ、何て時お前ならどうする?」
「なっ、い、いきなり何言うのよ!!バカキョン!

・・・・わ、私ならはっきり自分の思いを伝えるわよ。

どんな結果になろうともしない後悔よりはましなはずだもん。」
「そうか・・・」
「何よ、その返事?・・・ははぁ~ん、ひょっとしてだれか好きな人がいるんでしょ。
だれだれ、教えなさいよ。」

・・・いいぜ教えてやるよ。

それはな、ハルヒ。お前だよ。なんだかんだいって俺はお前の事が好きなんだよ。
わらっちまうよほんと。最初お前に会ったときは変な奴って感じにしか見てなかったのにな。
いろいろやってるうちに惹かれていってしまった。閉鎖空間のときの告白、あれは戻ろうとして
我慢してやったんじゃない。少なからずお前に恋していたんだよ。だから悪夢で片づけられた時は
正直がっかりしたもんだぜ。だからな・・・はr

それは突然やってきた。
前回のとは比較にならない眩暈。
並びに吐き気、耳鳴り、手足の痙攣、呼吸困難も併発。
内臓器官に異常発生。脳波異常。心拍数低下。その他障害が多々発生。

くそったれ・・・俺はここでおわっちまうのかよ・・・
まだだ、まだおれはしたいことをし終わっちゃいない。
今しないで何時するんだ。ああ?
言うんだ。全気力を振り絞って。
動け!!!俺の体!!!

「それはな・・・ハルヒ・・・・・お前の事だ・・・
俺は・・・お前が・・・すk・・・」
そういうと俺は目の前が真っ暗になった。
体は地に落ちながら・・・

「えっ?う・・・嘘でしょ?ちょっとキョン?大丈夫?ねぇキョン起きてよ、ねぇったら!!
お願い、目を覚まして!!ねぇったら!!!」

地球の日付及び時間200X/07/XX 16:XX:XX 発生座標[1561.9901]

かつてより観察対象であった[涼宮ハルヒ]が情報爆発を発生させた。
この爆発により閉鎖空間が発生。
対抗手段はもはや存在しておらず、通常速度の30倍の早さで拡大。
およそ20分後に地球を覆う。25分後には通常空間と閉鎖空間が入れ替わり
そのどちらも修復されることなく消滅。事実上地球という惑星はこの宇宙から無くなり
人間のいう生態系の進化の可能性は失われた。観察用インターフェイスは既に回収済みである。

どうやら情報によると爆発の原因は涼宮ハルヒにとって関係がある
人間の死によってもたらされた言われている。
この情報はきわめて不確定のため真偽は不明。
犠牲報告は次のとおりである

人間 ・・億人

・・・・  ・・
・・・ ・・  
・・  ・・・・
・   ・・・



以上

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