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長門「ЭΔσ$#бЮ・・座標軸固定、空間転移を完了する」


しゃがみこんで泣いていた長門が、突然おかしなことをしゃべりはじめた。
このテープを早回しにしたような・・呪文?まさかそんなはずは・・・

長門「・・久しぶりね」
キョン「!!・・・長門、長門なのか?」

なにを言っているんだオレは?目の前にいるのは長門有希そのものじゃないか。
いや違う、オレが言いたいのはそうじゃなくて、その・・・

長門「あなたを助けにきた」

間違いない。今、目の前にいるのは、情報なんたら思念体のなんとかインターフェイス、
はやい話が宇宙人的存在の、SOS団団員長門有希であった。

キョン「どうして・・・」

うまく声にならない。オレを助けにきてくれた?どうして・・・

長門「泣いてるの?」

そうだ。オレはいつのまにか涙を流していた。・・・もう二度と会うことはないと思っていた
長門が、オレの目の前にいる。今はそれだけで十分だった。

オレは再び大きく息を吐き、気を落ち着けた。

キョン「お前が出てきたってことは、やはりここはオレの閉鎖空間・・妄想の中なのか」
長門「違う。ここはまぎれもなく現実の空間。私は今、現実の長門有希の体を借りて
  ここにいる」

キョン(まさか!?閉鎖空間内の出来事はすべてオレの妄想にすぎなかったはずだ。
  どうして現実に出てくるなんてマネができるんだ?)

長門「・・今は詳しく説明する時間がない。急いで涼宮ハルヒの救出に向かうべき」

そうだった。ここが現実なら、ハルヒが連れ去られたことも事実なんだ。

キョン「しかし、助けに行きたくても行き先がわからんことには」
長門「大丈夫。私にまかせて」

長門「ЭΔσ$#бЮ・・涼宮ハルヒの現在位置を確認・・・わかった」
長門「彼女を乗せた車は現在南下中。このまま進めばRアイランド地区に到着すると思われる」
キョン「すぐに追いかけよう」
長門「・・・」
キョン「どうした?」
長門「現実の長門有希の体を借りている以上、私の能力は大きく制限される」
キョン(マジで!?)
長門「彼女を助けられるかどうかは、あなた次第」
キョン(長門にちゃちゃっと助けてもらおうと思っていたんだが、
   どうやらそれはムシがよかったらしい)

キョン「とりあえず、なにか乗り物が必要だな」
長門「・・・」

長門は正門横の職員駐車場に止めてあるバイクを指差した。

150ccの中型スクーターだ。あれならオレでも運転できる。問題はどうやって・・・

長門「なんとか動かして」

やはり現在はピッキング能力も制限中らしい。オレがバイクを動かす方法を思案していると、
さきほど吹っ飛ばした古泉がうめき声を上げた。

古泉「ううっ、頭が・・・」
古泉「お、お前、ストーカー野郎じゃねえか!」

お前には言われたくないぞDQN。ていうか、こいつ・・!?

古泉「涼宮は?涼宮はどうした!」

やはり、さっきとはうってかわって、元の不良の性格に戻っているようだ。

キョン「お前の組織が連れて行ったんじゃないのか」
古泉「ああ!組織だと?なに言ってんだお前?まさか先輩、オレをだまして・・・」

話がかみ合っていない。こいつと話していてもラチがあかないようだ。

古泉「おい!アイツがどこに連れてかれたのかホントに知らないのか?」
キョン「心当たりはある。今から追いかけるところだ」

キョン(・・・そうだ!)

キョン「事は相談なんだが、あれをなんとか動かしてくれないか」

そういってオレはバイクを指差した。鍵をかけたバイクを動かせるのは
不良の特殊能力のひとつだ。こいつも例外ではないだろう。

古泉「アイツを助けに行くんだな」
キョン「まあそんなところだ」
古泉「・・わかった。まかせろ」

思ったよりもあっさり承諾してくれた。コイツはコイツでなにやら複雑な事情が
あるみたいだな。
案の定、ものの5分とかからずエンジンをかけることに成功した。
すごいぞDQN、今後その能力は世界平和のために活用してくれ。

オレはバイクに飛び乗ると、長門にヘルメットを渡した。

古泉「おい!オレも乗せてってくれ!」
キョン「悪いが急いでるんでな」

長門とのタンデムを邪魔されたくない・・てのは冗談だが、3人乗りで
パトカーに止められでもしたらめんどうなことになる。
オレは長門を後ろに乗せると、正門から勢いよく飛び出した。
それから長門の指示に従い、ハルヒを連れ去った車の追跡を始めた。

キョン「まったく腑に落ちんことだらけだ。長門、少しは説明してくれよ」
長門「あなたの閉鎖空間内の涼宮ハルヒが持っていた能力、覚えてる?」
キョン「・・時空改変能力、だったな。オレの妄想が作り出したトンデモ設定だ」

オレが長門にそういうと、彼女は実に恐るべきことを口にした。

長門「時空改変能力は現実に存在している」

長門がそういったのは、ちょうど国道に差し掛かったころだった。

キョン(・・・今なんて言ったんだ。時空改変能力が存在する?)
キョン「おい長門、それってどういう・・」
長門「話はあと。今は一刻もはやく彼女を追いかけて。そこ右折」

国道に入ると、喧騒で長門の声が聞こえにくくなった。詳しい話は後で聞くしかない。

道ゆく人はオレが運転するバイクを振り返って見つめてくる。さもありなん、
制服姿のとびきりかわいい女の子を後ろに乗せているんだ。
うらやましくないわけがない。今の状況はオレもちょっぴりうれしい。

・・・などと言ってる場合ではない。さっきの長門の言葉が気になる。

時空改変能力。それはオレの妄想の中でハルヒが無意識的に使っていた力。
世界を作りかえ、滅ぼすことすら可能というえらくでたらめな能力。普通に考えなくても
そんなモノが存在するはずはない。そんなことをもし信じるヤツがいたとしたら、
そいつは頭がイカレてるに違いない・・・ってそれはちょっと前のオレだったな。

しかし、長門の存在だ。なぜオレの妄想から飛び出してきたのか説明がつかない。
長門いわく、ここはまぎれもなく現実の世界だということだ。
それにさっきの古泉の言動もおかしかった。気絶する前のあのクソ丁寧な話し方、
あれはオレの妄想の中のヤツにひどく似ていた。

・・・ハルヒか?妄想と同じように、ハルヒが時空改変能力を使って今の状況を

作り出しているのだろうか。どうやって?なんのために・・・?

長門「・・そこ左」

長門のナビに従って再び南下すると、Rアイランド地区につながる大きな橋が見えてきた。
これから向かう先である港湾地区は、近年学術関係の施設が急速に造成されている
開発途上地区であるが、昔ながらの古い港でもあった。

キョン(おいおい、まさか港の倉庫なんてベタな場所に向かってるんじゃないだろな・・)

ドラマなんかで悪人が最後に立てこもる場所、それが港湾地区の倉庫だ。
まさか現実にそんな怪しさ爆発の場所を根城にしている悪人もいないだろう。
キョン(・・いないハズだよな)
一抹の不安を抱えたまま、オレは橋に向かってアクセルを吹かした。


長門の案内でたどり着いたのは、案の定というかなんというか、
想像してたとおりの場所だった。
バイクを止め、オレたちは普通の建物の3階分くらいはある大きな倉庫を見上げていた。

キョン(いや、別に期待してたわけじゃないんだが・・・)
キョン「ハルヒはこの中にいるのか?」
長門「そう」
キョン「敵さんの目的は?」
長門「わからない」
キョン「オレたちだけで勝てるのか?」
長門「あなた次第」
キョン(おいおい・・・)

オレはあきれたように長門を見つめた。

キョン「いいか、ここで無謀に突撃しても結果は目に見えてる。

・・・たとえば敵と戦わずにハルヒだけを助けるなんて方法はないのか?」

長門「わからない」
キョン(おやおや、めずらしく万能宇宙人様もお手上げか・・
   しかし長門でもわからんとなると、とうていオレの手に負えることじゃないぞ)
長門「あきらめてはダメ」

オレの心を見透かしたように長門が言った。

キョン「しかしだな・・・じゃ、ここはひとつ警察を呼んでみるとか」
長門「ムダよ」

オレのナイスな提案も即答で却下された。

キョン(まあ長門がムダっていうんだから、それは間違いないんだろうが・・・
しかし、さっきからなにかひっかかる。・・大事なことを見落としているような・・)

キョン「おい長門、お前さっき言ってたよな。現実に時空改変能力が存在するって」
長門「そう」
キョン「じゃあ、今の状況は現実のハルヒが望んで作り出したってのか?アイツ自身が、
   謎の組織に拉致されることを願っていたというのか?」
長門「・・その質問に私は答えることができない」

まるでどこかの未来人のようなことを言う。オレはしばらく頭を抱え、
その場に立ちつくした。なにか現状を打破する手段はないものか・・・

キョン(ん?)

そのとき、甲高いストローク音が除々に近づいてきた。音のする方角に目をやると、
1台の整備不良バイクがこちらに向かってくる。ライダーは北高の制服を着ていた。


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