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今週最後の登校の日、つまり金曜日だ
学生という生き物は金曜日ほど楽しみな日はない
メインは土日なんだが、なぜか金曜の方が嬉しく感じてしまう…

俺は今日もいつもと同じようにあの部室へと向かっていた
今日もハルヒは授業が終わると同時にどこかへと消えていったが、気にしない
あいつの行動なんかいちいち気にしてられる程、俺は器用じゃないし、辛抱強くもない


「あれ?ハルヒ達はいないのか?」
部室に入ると、ハルヒがいない
それにSOS団のマスコットキャラ的存在の朝比奈さんもあの古泉もいない
いつも午後の授業が終われば、ハルヒがパソコンをいじっていて、メイド服姿の朝比奈さんがいて、古泉が一人でボードゲームを
しているはずだが…

今この部室にいるのは、既にこの部屋の置物のような存在になりつつある長門だけだった
相変わらず、分厚い本に視線を落とし、もくもくと読み進めている

しかし、長門を除いて他がいなくなるなんて珍しい
まぁハルヒがいなくなるのはよくあることなんだが

俺はカバンを置き、一人でお茶をいれた
いつもは朝比奈さんがお茶をいれてくれるのだが、いないのなら仕方がない
俺は『キョン用』と書かれた湯のみと長門用の湯のみにお茶をついだ
せめて湯のみくら苗字で書けよ…

この部室に来るようになってほぼ毎日お茶を飲んでいるが、やはり自分のいれたお茶と朝比奈さんのいれたお茶とでは
天と地の差ほど違うな
毎回思うんだが朝比奈さんのお茶はなんであんなにおいしのだろう
目に見えん愛情とやらが入ってるからか?

長門の湯のみを丸テーブルの上に置いた
別段反応はない いつものことだ
そういえばこいつがお茶を飲んでるところってあんまり見たことないな…いや、見たことないか?

長門はいつも丸テーブルの近くの椅子に座っている
ハルヒが喚きながら、部屋に入ってきても驚かないし
ハルヒが朝比奈さんの身包みを無理矢理引き剥がしていても全く止めようとしない
まるで感情のない人形のように見えるが、少なくとも俺には違うように見えている

このSOS団が結成され、ハルヒのめちゃくちゃな考えに付きあわされていくうちに長門にも長門なりの感情表現があるように見えてきた
自信はないが断言できる 長門は変わりつつあるんだ

そう考えながら自分のお茶を飲み干すと、あの日のことを思い出した

そう、俺とハルヒがあの空間に行った日のことだ

あの時の俺は朝比奈さんと長門とついでに古泉に助けられた
というか行動を起こしたのはほとんど俺とハルヒだったが、あの三人がいなければこの世界も…今日という日もなかったのかもしれない

あの時、パソコンをつけ長門からのメッセージが届いた
音声も何もない ただ何が起動しているかも分からないデスクトップに映し出される白い文字
長門らしいと言えばらしい気がしないもない

あの最後の「また図書館に…」とはなんだったのだろうか

俺はその疑問を長門に問いたかった

「なぁ長門」
長門は俺の呼びかけに反応し、顔をあげゆっくりとこちらを向く
「俺とハルヒが閉鎖空間に行った日があるだろ。
あの時お前からのメッセージの中で『また図書館に…』ってメッセージが出てたんだが、あれは何か続きがあるのか」
と俺が言うと
「私は図書館に行きたいと思っていた。できればあなたと一緒に」
今まで長門には驚かされてきたが、行動や表現以外で驚いたのはほとんどなかった
いや、立派な言語表現というものなのだが、長門自身からこんな言葉がでるとは思いもしなかった
返答に困った俺は
「えっと…俺と図書館に行きたいのか?」
「そう」
澄んだ瞳でこちらを見続けている
ここまで明確に自分の意思表示がある長門は珍しくもなくなりつつあったが、言葉が言葉だ
『できればあなたと一緒に』と言われて、内心嬉しいというかびっくりというか…
とにかくうまく表現できん科学変化みたいのが体内で起こったような心境だな

「それじゃあ、いつ行きたいんだ」
「いつでもいい。あなたがいいのなら今からでも構わない」
いや、いくらなんでも今からってのは無理があるんじゃ…
「いくらなんでも今からは無理だな。まぁそのうち休みとかとれたら一緒に行こう」
思ったままのこと言うと
「そう」
とだけ、返事が返ってきた

それを合図にするようにハルヒと朝比奈さんと紙袋をさげた古泉が入ってきた
「ハルヒ、どこ行ってたんだ?」
「どこ行ってたって…っていうかあんたがはやく来ないから二人に手伝ってもらっちゃったのよ!」
「何をだよ」
「何って、これよこれ!」
得意げな顔で古泉の持つ紙袋から一枚の紙を俺の顔の前に出してきた
「近すぎて読めんぞ」
ハルヒの手からその紙を受け取ると、そこには一新されたSOS団の広告があった
といっても前回のビラにハルヒの書いたSOS団のシンボルマークなる物が印刷されていた
「これをまた配るのか?」
「もちろんよ!でも今日は配らないわ。月曜に配るって決めてあるから」
「そうか。にしてもビラなんて配る必要ないだろ?この前だって映画とかライブで宣伝してるじゃないか」
「そうよ!あんだけ宣伝したのよ!なのにあれからメールもこないし、怪しい依頼人とかも来ないし…
待ってるくらいなら動こうと思ってね。思い立ったら吉日よ!」
いや…怪しい依頼人なんか来なくていい… というか『思い立ったら吉日』って…間違えてるぞ、ハルヒ

「言っとくが、バニー姿なんかで配るんじゃないぞ。そんなことしたら…」
「わかってるわよ。今回はもっとすごい服を用意するんだからね」
もっとすごいって…あれ以上露出度が上がったら、男子生徒が歩行困難におちいるぞ
「水着とかバニーより露出してるのは止めとけよ。岡部が悲しむぞ」
「あんた水着見たいの?」
見たいなんていってないだろ
「まぁそんなに露出なんかしないわよ。私はそんな趣味ないし、みくるちゃんは知らないけれど」
と言い、ハルヒは朝比奈さんを見つつ不敵な笑みを浮かべた
「ひぃッ」と小さな声をあげた朝比奈さんだったが
「嘘よ嘘。みくるちゃんにそんなことさせるんだったら見学料とらないといけないからね。一分五百円くらい」
「朝比奈さんの許可もなしにか?」
「大丈夫よね?みくるちゃん。下着姿くらい簡単よね?」
下着姿か…五百円じゃ安すぎるだろ…一万くらいが妥当だろう
まぁそんなことさせる気はさらさらないが、ちゃんと止めとかないとハルヒは本気でやりそうだからな
潤んだ瞳で俺に視線を向けている朝比奈さんのためにもちゃんと言っとかないとな
「そんなことしてたら、退学ものだぞ」
「そうかしら?バレないようにしたらいいじゃない」
また不適に笑って見せた
「まぁこのお話は保留ってことでいいわよ。まだちゃんと考えてないし」
こいつ、本気でやる気なんだろうか…

「ああ、それと明日の活動は休みだから。ちょっとみくるちゃんと用事があるし」
「どんな用事だよ」
「大丈夫よ。みくるちゃんを食べたりしないから。明日は新しいコスチュームを買いに行くのよ!」
新しい服か…
バニー、メイド、ナースときたからな、次は想像も出来ん…
「皆にはびっくりしてもらいたいからね。今日はちょっと早く帰るわ」
と言い、朝比奈さんを引っ張って帰って行った

「それじゃあ、僕も帰りますね」
「なんだ。今日も"アルバイト"があるのか?」
「いえ、今日は別件でしてね。それじゃあ失礼します」
そう言って古泉はにこやかな笑顔をこちらに向け、去っていった

そうか…明日は休みか だったら丁度いいな
「長門。明日は空いてるか?」
そう聞くと長門は頷いた
「だったら、何時くらいに図書館に行きたいんだ?」
「時間の指定はあなたの好きなようにしていい」
そう言いこちらを向いた
朝早いのは、別に苦手じゃないが好きではない…いややっぱり苦手だな
それに明日はハルヒの時間指定があるわけじゃないし
「それじゃあ朝十時くらいに、駅前でいいか」
「いい」

次の日、俺はなぜか早く起きていた
ただ図書館に行くだけだというのに朝7時に目が覚めてしまうなんて…
普段学校すら遅刻しそうな俺が、これだけ早く目覚めてしまうのは何かよくないことが起こる前兆なのかもしれん…
と、漫画じゃそんなこと言われてただろうな

俺は下に降り、適当に朝食取ってからソファーに寝転がった
時計を見ると7時半を指している
まだ待ち合わせの時間まで2時間近くもある
流石にこれだけ早く目が覚めると、もう少し寝たかったと後悔してしまったが、長門との約束に遅れる訳には行かない

うとうとしながらテレビを見ていると、9時になっていた
俺は身支度を済ませ、自転車に乗り、駅へと向かった

少し早いだろうが、一人で待たせるのもちょっとな…
たぶん長門のことだ もしかしたら昨日から待っていたなんてことも…
いや、それはないか…多分…

駅前に着くと、そこには長門の姿があった
いつもと同じ北高の制服姿で、周りのオブジェに取り込まれそうな程、動きがなかった
長門は歩いてくる俺に気づき、視線を向けてきた
「おはよう長門。かなり早いな」
コクッと頷いた
今日の目的は図書館に行くことだ
俺は
「それじゃあ図書館に行くか?」
と言うと、また長門は静かに頷いた

俺達はそのまま徒歩で図書館へと向かった
着いたころには丁度開く時間になっていた

これだけ人が少ない図書館というのは初めてだったが、なんとなく清清しい
というかこれだけ朝早くから、しかも土曜に動くのは案外気分のいいことなのかもしれない

長門は入ってすぐ姿を消した
たぶん、本を読み漁ってるんだろう
まぁ今日くらいは対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイスも休みにすればいいんじゃないか
いっつもハルヒの喧騒に付き合ってるんだしな

俺は適当に文庫本を引っ張りだし、座り心地の良いソファーに座った
この前は人が多かったため座れなかったが、このソファーはいいな うん
是非、教室の椅子と交換していただきたい
そうすれば今以上に充実した睡眠学習が出来そうだ

「んぐご…」
となりから振動が伝わり、目を覚ました
となりには年配の老人が座っていた

俺が目を擦りながら、あくびをしようとすると、目の前の席に長門が座っていた
しかも俺と長門の間の机に軽く20冊ほどの本が重ねられていた
「おお…悪い長門…ちょっと眠くて…」
「いい」
と長門が言い、ふと壁に掛けられている時計を見た…

…3時…

俺はこのソファーに座ってから5時間も寝てしまったようだ…
すごいなこのソファー 本当に欲しくなってきた
いくらまでならだそう…
と考えていると、ふと思った…
あれから5時間も寝ていた?
ということは長門は?
「長門。お前いつからそこに座ってたんだ?」
という問いに
「この図書館に入って1時間後、この席についた」
とさらりと言った

つまり俺は、長門を4時間も待たせてしまったのである
これはよくないな
いくら宇宙人だからって俺は人間として接してきたつもりであって、こういう風に迷惑は出来るだけかけたくないと思っていた
ましてや女性なんだからな…
なんとなく『女を待たせた』という自分に自己嫌悪の念が積もってきたが、考えていてもしょうがない

「それじゃあその本借りるのか?」
長門はコクッと頷いた
「そうか、じゃあ運ぶの手伝うよ」
そう言って俺は本を15冊程抱えるようにして持った

そのままカウンターに行き、長門の貸し出しカードで本を借りた
本の数は20冊までだったが、丁度20冊らしく図書館の名前の書いた手提げ2つに分けて持ち運んだ

図書館を出るとそこは5時間前とは変わり、人が増えていた
こんな時間になるまで待たせてしまったのに、本当に申し訳なくなって長門を見る

長門はこちらに気づいたのか、視線を向けてきた
ちょっとびくついたが、
「ごめんな。こんなに長く待たせちまって」
「いい」
と澄んだ声で答えた

俺はその後、お詫びというか男女が一緒に食事をするなら当然というか…
とにかく長門に奢ると言い、いつものファミレスに入った

俺はサンドイッチセットを頼み、長門は和食セットを頼んで遅い昼食を取った

最初奢ると入ったものの、長門はレジに行くと勝手に会計を済ませてしまった
俺が店を出てからお金を渡そうとするが「いい」の一点張りで、受け取ってくれなかった
情けない

俺たちはそのままあの通りへと来た
この前来た時は朝比奈さんに未来の話をされた訳だが…
今回はそんな話なしに、それも長門とこの場所を歩いている

もくもくと歩くのもなんなので、近くの自販機で飲み物を買った
俺は緑茶で長門はサイダーのような飲料だ

近くにあったベンチに腰掛け、緑茶を流し込んだ

長門の方を横目で見ると、缶のプルタブも開けず、缶を両手で握り締めている
どうしたのかと俺が話しかけようとすると
「私が今回、あなたを図書館へ行こうと誘ったのは情報統合思念体の意思ではない」
突拍子もなしいきなりの長門の発言に驚いた
というか今日の最長の発言だな
長門は俺に構わず、発言を続ける
「全て私の意志であり、独断で考えて行動している」
俺は適当にあいづちをうつしかない
「昨日あなたの言った『また図書館で…』というのも私自身の意志であり、あなたに対しての要望でもあった。
私はあなたという存在が消えて欲しいとは思わなかった」
それは有難いな、長門 ここまで言ってもらえたらもうどう反応していいのか分からないぞ
「あなたは過去に涼宮ハルヒが『消失』してしまった世界に行ったことがあった」
ああ、たしかに行ったな…ハルヒや朝比奈さん、長門も古泉も変わってしまった世界…
「あの世界にいた私が、あのような行動を取ったのは今の私の意志ではない」
今の私?
「あの世界の私は、既に長門有希という存在を別の『長門有希』へと切り替えてしまった後。
最後に世界を変えたのは私のエラーであって、私の意志ではなかった」
つまり…あのいつもと違う長門は今の長門とは全くの別人…
それは分かっていた…
俺の知っている長門はあんな反応をしたりしない
「私が世界を変えてしまったのはエラーによるものであって、私の意志ではない。私の意志ではこの世界を変えたいとは思わない」
「つまり、長門がエラーを起こし世界を改変させてしまったのは誰の意思でもない…ってことか?」
「そう」

そうだったのか…最後に長門自身が『安全を確保したい』という意思で行ったのではなく、長門自身のエラー…
エラーさえ起きなければ、あのような事態にはならなかった…
俺は頭の中でそう整理し、長門に疑問を問いかけた…
「だったら長門。なぜそのエラーを処理しようとしなかったんだ」
と言うと、長門の表情が若干変化した
言いたいのだが、言えないような…まるで"恥ずかしがっている"様に見えた

少し間を開け、
「エラー自体を処理する事は簡単だった」
簡単だった?
「じゃあなぜ処理をしなかったんだ?」
長門は表情をさらに悪化…というか恥ずかしがっていく様に…本当に見えてきた…
これは誰が見ても気づく表情だろう…
「そのエラーは私に蓄積された情報でもあり、処理は簡単だった。でも、私はそのエラーを処理したくなかった」
「そのエラーって何だったんだ?お前をそんなに苦しめてるものなんだろ?」

「私は苦しいとは思ってはいない。むしろ人間の感情で表すなら"嬉しい"という表現が正しい。
私にとってその情報は蓄積していくことが"嬉しかった"」
長門が…嬉しいと思うこと…
今までSOS団に強制的に所属するようになってから、ハルヒの喧騒に付き合ってきた
周りがどんな事を言おうと、一度決めたら最後まで突っ走ろうとする涼宮ハルヒ
そんな存在に長門は何の文句も言わず、着いていた
もちろん俺や朝比奈さん古泉もそうだ

でも、その中で長門にとって嬉しいこととはなんなんだろう…
俺には分からない…

俺は長門に聞いた
「そのエラーは何が原因だったんだ」
その問いに長門はこちらに向き、俺の顔を見つめ答えた
「SOS団という存在。だが、それ以上にあなたの存在が原因になったと思う」

俺が、原因…?
俺が長門が喜ぶようなことをしていたのか?
いや、宇宙人だからと言って特別な扱いをした覚えはないし…
むしろちゃんとした女の子として接してきたつもりだが…

「情報統合思念体の意思によりこの対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイスは感情の表現が制限されている。
私は涼宮ハルヒや朝比奈みくるのように感情をうまく表すことはできなかった」
長門がいきなり話し始めた…
まだ動揺しているが、全ての話を脳内に納めたいので必死で聞く
「そんな私にあなたが話し掛けてくれた。でも、私は人間のような感情であなたに対応するのは難しかった。
それでもあなたは私に話し掛けてくれた。私はそれが嬉しかった」
「私はあなたの近くにいることで、"人間"になれた。それもあなたのおかげ。あなたのおかげで私にも少しずつ感情というものが
定着しつつある」
「しかし、この対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイスは感情の表現が制限されている。
故にあなたから得られた、感情という情報はバグとなり私に蓄積されていった」
「その結果、私は世界を改変してしまった…」
長門は全てを言い終えると、ふっと力が抜けたように動かなくなった

つまり…
俺が長門に接していくことで、バグが蓄積していっていることになる…
でも…それでも長門は嬉しいと感じていてくれた

そして…俺は、長門に恐る恐る問いかけてみた…
他人にする質問でこんなに恐ろしいものはないだろう…

「長門…お前は…そのバグ情報を処理したいのか?」

もし、長門があの世界の改変を起こさないように、バグ情報を処理すると言えば…
長門は確実に元に戻ってしまう…
でも、今の世界を保つためには…

長門は俺を見つめこう答えた
「私の情報はいつかは強制的に処理される可能性もある。でも私は処理したくない。
あなたは?」

久しぶりだ、長門に質問されたのは…
初めて長門の家に上がってお茶を飲んだ時だったな…

      『おいしい?』

あの時の質問とはレベルが違う…
けど、俺は迷う必要がなかった
そう聞かれたら、こう答えるって決めてたからな…

「俺は、情報の処理なんかして欲しくない!長門は今の長門で!これからもっと色々な情報を俺から取り込んでくれたらいい!
もしエラーを起こしたらその時は、俺が絶対止めてやるから!」

…俺は長門の両肩を握り、かなり大きい声を張り上げていた

長門は俺を見つめ、少し表情を崩した…様に見える
たしかに微笑んでいる
「私もそう願う。これは私の意志」

「目を閉じて」

俺は長門に言われるまま、目を閉じた

一瞬だが、唇に暖かいものが触れる
その一瞬だったが、俺は自分の唇に当たったものが何なのか分かった

「愛し合う人間同士はこうすると本で読んだ」

本当に本で読んだがは知らないが、真顔で言われると、恥ずかしい
思わず俺は視線を逸らし、空を見上げた

「その…いいのか?えっと…キスとかして」
横目で長門を見ると、こちらを向きつつ
「涼宮ハルヒにばれなければいい」

なんだよ、それ
と思ったが、心臓の高鳴りは収まらなかった
こんな事、誰が予測できただろう…

「それに、私はあなたを愛している」

俺はずっとなり続ける心音が長門に聞こえまいかと心配になりつつ、空を見上げつつけた
視線を落としたら長門と目が合ってしまいそうだったから…

これって夢じゃないんだよな?
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