時は12月の24日。世間がクリスマスイヴだと賑やかになり、
幸福に過ごす者、それに嫉妬する者、働くことに追われる者。
様々な人たちがいる。そして今、俺は珍しく昼から街に出ている。
つい1週間と少し前、晴れて恋人となった人と歩いているからだ。
俺と腕を組んで満面の笑顔を浮かべている美少女、涼宮ハルヒである。
 
「繋ぎとめる想い」
 
「ねぇ、キョン。次はどこ行こうか?」
満面の笑顔を浮かべながらハルヒが聞いてくる。
昼に会ってからこの調子でずっと連れまわされている。
「あ、ちょっと見てキョン!あれ面白そうじゃない?」
とハルヒが指差したのは置時計だ。中からサンタが出てくる仕掛けらしい。
随分と期間限定でしか使えない感じの時計だが、売れるのだろうか。
しかし、腕を組みながらあっちこっち歩き回るその様は目立つカップルである。
ついでに女の方はとびきりの美少女である。
何やら嫉妬のような嫌な視線をいくつも感じたのは被害妄想ではあるまい。
俺にしてみても二人でいるときのハルヒは普段と見違えるようだった。
満面の笑みを俺に向けるハルヒを心底可愛いと思ったのは初めてだ。
そんな笑顔を独り占めできている事実に、俺はけっこう浮かれていた。
とりあえずは今ポケットに入っているこれを渡すタイミングでも探すか…。
 
構築されかけた新世界が砕けたあの日の後、古泉から呼び出しがあった。
寒さを感じる季節だというのに、部室では言えない様な事なのか。
一体何の用だ。
「世界を救ってくれたあなたには、何かお礼が必要だと機関が考えたもので」
いつものスマイルを向けてくる古泉。嬉しくはないな、裏があるんじゃないと思うだけだ。
しかし古泉は持っていた鞄から封筒を差し出しただけだ。
これは?
「今後資金が必要になる場面もあるでしょう。是非お使い下さい」
ちょっと見た感じ諭吉さんがそこそこの人数を揃えている。
怖くて受け取れないなこれは
「そう仰らずに。我々一同の気持ちですよ」
まだ怪訝そうにする俺をよそに古泉はもう帰宅する準備をしていた。
待てよ古泉。まだ俺は受け取るとは一言も…
「あなたならそれの使い道もお分かりになっているのでは?」
いや、まぁそれはそうだが…
「涼宮さんを喜ばせていただければ我々の仕事も減ります。つまる所依頼ですよ」
「そういう形ならあなたも納得していただけるでしょう?」
「僕個人としても涼宮さんとあなたには上手く行ってて欲しいんですよ。では」
やれやれ…言うだけ言って本当に帰りやがった。
確かにあって困るものでもないが…なぁ。
 
とりあえずそれまでの俺からすれば大金だ。とりあえず自分の鞄にしまう。
クリスマスと世間で言われる日が近づいている今日この頃。
古泉たちの意図を読むのは簡単だ。
要するにこれで何かしらのプレゼントでも用意しろって事なんだろ?
確かにそれで閉鎖空間の発生なりが減ったりすれば向こうも助かるんだろうが。
一つの組織の意見を聞くと他の組織の意見も聞いてみたくなるのが世の常だ。
セカンドオピニオンってやつ。そんな訳で後日のSOS団活動にいつもより早く行き、
部室に居た長門に聞いてみた。
なぁ長門、ハルヒは俺が何かをプレゼントしたりしたら喜ぶと思うか?
「涼宮ハルヒはあなたから物を受け取る事によって大きな効用を得る可能性が高い。
そして人々の間で慣習化されたタイミングであれば、相乗効果によってより大きなものになる」
ようするにクリスマスに渡すって事ね。特に問題は無いわけだな。
「ある」
あるのか?何だ?
「涼宮ハルヒだけにその機会が与えられるのは不公平」
そう言うと長門は俺に視線を向けた。
あのー、長門さん?いったい何を仰ってるんですか?
「…なんでもない、忘れて」
いや、そうは言っても…
「忘れて」
わかったよ、そうする。
 
そうしていると朝比奈さんが来た。何てタイミングがいい。
朝比奈さん?
「ふぇ?あ、キョン君おはよう」
おはようございます。近いうちにハルヒに何かプレゼントでもって考えてるんですが…
「ふぇぇ!?キョン君、アツアツですねぇ~」
最近「アツアツ」なんて言い方は久しく聞いていないな。と思ってると
「いいと思いますよ~。涼宮さんも喜びます」
どうやら問題は無いらしいな。いや、すっかりその気になってた俺は
仮にまずいからやめろって言われてもやったかもしれないが。
程なくして古泉とハルヒも来た。何で一緒に来ないかって?
普段からベタベタしてたら周囲から何言われるかわからん。
学校、それもグラウンドのど真ん中で抱き合ってキスしただけでも軽く事件なのだ。
どれだけの人間が知ったかは解らないが学校が始まっても平穏が続くとは限らない。
いや、今までハルヒに連れまわされた日々だって決して平穏じゃなかったが。
それにハルヒは普段はSOS団団長だからと言ってベタベタしない。
俺はと言うと実際それくらいで丁度いいと思っているのだ。
たまーにしか見せない一面があるから人っていうのは輝くものなのさ。
なんだかんだ言ってもハルヒだって、年頃だ。恥じらいの一つや二つあるだろうさ。
帰り道では割とベタベタしてるのはそういった意味じゃ思い切ってる。
 
今週の土曜も不思議探索はしないらしい。ハルヒは24日にデートをするって話に
なっていたので、今日に予定を入れる事も無かった。
少し間を空けたほうが気分が出るし、探し物もできる。好都合だ。
そうして俺は今何をプレゼントしようか悩みながら街中をブラブラしていた。
ベタにアクセサリーの類にしてみるか。ハルヒは変わったもの好きだが、
プレゼントに「変わった物」なんて要素を組み込むのは簡単じゃない。
そういった意味じゃなんともやりにくい相手ではある。
別にハルヒと付き合ったことを後悔してるわけじゃない。
やりにくい中にある駆け引きを俺もどこかで楽しんでいるからだろう。
俺は近くにあったアクセサリー店に入ってみる。店員が愛想良く迎えた。
適当に品物を見ていると値段に高低差に驚愕する。高い方を買う奴の気が知れん。
店の一角にふと何かを見つける。ショーケースに入っていない物があったのだ。
俺のその視線に気付いたのだろう。店員が俺のほうに来た
「あちらの品に興味が?」
ええ、あれは何ですか?と適当に受け答えする。
「こちらはJewel Snowと言うペアのネックレスです」
そう言うと飾ってあったそのネックレスを持ってくる。ペアと言うには一つしかないが。
「このJewel Snowには面白い仕掛けがありまして」
そう言うと店員が雪の結晶を模した宝石部分に何かをしている。
形容し難い音が少ししたかと思うと雪の結晶は2枚になった。
「これは2つの結晶が重なってひとつになるんです」
なるほどね。それがペアたる所以か。
 
「でも、それだけでは無いんですよ」
まるでカラクリアクセサリーだな。なんて事を俺は思う。
「この結晶が重なっている時に光を当てると…」
そう言うと店員はライトの下に結晶を持って行く。
そこで俺は自分の目に写ったものに驚愕した。
あの陽を反射した世界の破片と同じ輝きがそこにはあった。
同じ物で出来ているはずは無いだろう。偶然同じ光の屈折が起きるだとか、
名前もわからんこのガラスか宝石かが同じような輝きを放っているに過ぎない。
だが、幻想的で美しい光。正直に言うと見惚れていた。
「この様に光るのは重なった時だけです。屈折の関係なんですよ」
店員が説明を続けているが耳には入っていなかった。
気が付いたら俺はこう聞いていた。これ、いくらですか?
「値札はあちらになります」と店員が指したのはその結晶が元あった場所だ。
値札を確認してみる。古泉に貰った資金に少し足せば買える金額だった。
俺一人ではどう足掻いても届かなかった代物だ。お前に初めて感謝しそうだ。
俺は店員にそれを買う旨を伝えた。店員が包装の準備をする。
ハルヒがあの雪の意味を知っているはずは無い。
だが、これは気に入るはずだ。俺には妙な確信があった。
これでプレゼントは揃った。あとは日を待つばかり…か。
おかげでまた財布には冬が訪れる事になりそうだが。
24日のデートまで節約しないとな。
 
そしてやってきたのが今日だ。
あちこち歩き回った為に、精神的には満たされつつも肉体は着実に疲れを貯めていた。
なぁハルヒ、どこかで少し休まないか?
「何よキョン、もう疲れたの?しょうがないわね」
可愛らしい微笑を向けてハルヒが答えた。
いやホント可愛いな。普段の破天荒さは何所へ行ったのやら、
こうしていると本当に普通の美少女である。今日限定かも知れん。永久保存版ってやつだ。
普遍的な事を嫌いながらも今日と言う日にハルヒも浮かれているのだろうか。
そんな事を考えながら歩いていたらベンチを見つけた。ハルヒと相談し、そこで休む事にする。
「今日はいろんな物見たわね。どれが良かった?」
そうだな、さっき商店街を歩いていたサンタの一団は印象深かったな。
「でもあれは不気味よ。赤い服が集団で歩いていたらまるで犯罪者じゃない」
随分極端な理論だ。しかしその言葉にいつものような棘が無い。
言ってることこそとんでもないが、悪意も不満も無く、ただ思ったって感じだ。
あの雪の日以降、ハルヒは急激と言ってもいい程に棘が無くなった様に思える。
恋心は人を変えるとはよく言ったものだが、これは極端じゃないか?
それが俺と付き合う事になった結果なのか、何かの過程に過ぎないのかはわからない。
もしかしたらあの時砕けた世界にハルヒを構成していた棘が含まれてたのか?
あれからSOS団の活動も平常通りのままだ。何も思いついてないのだろうか。
この時何が問題だったのか、「ハルヒらしくない」という認識が俺の中に生まれる。
今のハルヒは大切に思っているし、この可愛らしさが続けば俺も輝ける学生生活を送れる事だろう。
だが、人とは悲しくも慣れてしまうのだ。超常現象の数々に出会った俺には、
今の生活にどこか張り合いの無さを感じているのも事実だった。
 
なぁ、ハルヒ…
「ん?どうしたのキョン?」
ハルヒは笑顔のまま俺の声に振り向いた。
お前、変わったよな
「そうかな?キョンが言うならそうなのかも」
いや、変わったよ。大人しくなったって言うか…
「そうね。確かに色んな事をしなくてもいいって思うようにはなったわ」
「だって…今はキョンと居たい。二人で」
そう言うと少し照れたように顔を伏せる。俺はと言うと複雑な心境だった。
「どうしたの?いきなりそんな事言い出すなんて」
いや、なんでもないさ。ふと思っただけだよ
「でも…今のキョン、何か考えてる顔してる」
驚いた。ハルヒが俺の顔をじーっと見ている。
その表情にさっきまでの明るさが残っているが、曇りはじめてきている。
俺がそんな顔をしていた事もそこそこに驚いたが直ぐに見抜いたハルヒに驚いた。
「何か心配事でもある?例えば来年の進級とか?」
ハルヒが少し不安を浮かべながら聞いてくる。そう言って欲しいのだろうな…。
大丈夫。本当になんでもないんだ
その回答にハルヒは頷いた。しかしその顔には明確に不安の色が浮かんでいた。
 
そろそろ行こうか。という俺の言葉で俺たちは席を立ち、また歩き出す。
しかし今度はハルヒが腕を組んでくることはなかった。
「あたし…行きたいところがあるんだけど、いい?」
ああ、いいぞ。表情を作り直しつつ答える。
ハルヒに付いていくように歩くと公園についた。
日が日なのでそこそこに人が居る。
外灯のある場所の下に座れそうな場所があったので、ハルヒはそこに座った。
この公園に何かあるのか?
「ううん、別に。ただ、あんなに人が多いのが嫌だっただけ」
表情を曇らせたままハルヒが答える。俺はとりあえずハルヒの隣に座る。
「ねぇ、キョン」
ハルヒが俺の方を見て言った。
「話してよ。さっき何を考えていたの?」
いや、だから大したことじゃ…
「嘘よ、だってキョンあの時残念そうな顔してた」
そんな顔してたのか。俺は。
「あたしとこうやってデートするの、楽しくないの?」
いや、それは見当違いだ。あれが楽しくないなんて思う奴がいたらここに来い。
思いっきり殴ってやる。
 
いや、楽しいさ。本当に楽しいと思ってる
「じゃあ、どうして…」
隠さないほうがいいな。とこの時に確信した。
俺はな、ハルヒ。人の話も聞かないで勝手に引っ張るお前も好きだったんだ。
今のハルヒはこの上なく可愛らしいし、そんなハルヒと居られるのが嬉しい。
だが、いつものようなハルヒじゃないとどこか空虚な感じになるんだ。
勝手な話だよな。今までだってお前が何かを言い出せば反対してたのに。
ハルヒは黙って俺の話を聞いていた。考えているのか、一言も発しない。
しばらくの沈黙の後、ハルヒが口を開いた。
「キョンは…あたしにどうして欲しいの?」
それが問題なのだ。今のハルヒは魅力があると思う。だがいつものパワーも持っていて欲しい。
言ってしまえば相反する要素だ。共存させろなんて無理な注文だとわかっている。
俺自身も解らないんだ。だから考えていたのさ。
「そっか…」
それっきりまたハルヒもだんまり。
あぁ、なんだってこんな日にこんな暗いムードになってしまうのだ。
俺のわけわからない矛盾がハルヒに伝わり、それでこんな状況になった。
最低だ。俺は。
 
すまん、ハルヒ
「え?」と俯いていたハルヒがその一言で俺を見る。
ちょっと頭冷やしてくる。そう言って立ち上がった。
正直どこに行くか全く考えてはいないのだが、これ以上ハルヒと居て
ハルヒの気分を損ねるわけにも行かない。
だが、数歩歩いた時に後ろから声が飛んできた。
「待ってよ、キョン!」
その声に少し驚いて俺は振り向いた。ハルヒも立ち上がってる。
ついでに泣きそうな顔をしている。俺の罪悪感はそこで3割増くらいになった。
「キョンがそう思うのも、仕方ないわよ…あたしは…今までキョンを引っ張ってきたんだもん…」
「でも今はキョンと居たいって気持ちがあるから…あたしが勝手に引っ張るんじゃなくて」
「キョンが自分であたしと居る事を選んで欲しかったから…」
そこまで言って、ハルヒの目から涙が落ちた。
本当にごめん。ハルヒ
「あたしはキョンが来なかったあの1週間、毎日待ってた」
「待つだけの事なんてしたくなかったのに、何もできなかった」
「本当にキョンが死んでいるって思うのが怖かったから」
「今も怖い…キョンが離れてる感じがする。もう…待ちたくない…」
「行かないで……」
 
今俺の目の前に居るのは弱弱しい女の子の姿だった。
そうだ。いくら力があったって、普段人を無理やり引きずるようなハルヒだって、
女の子なのだ。誰にも頼ることなく生きてきたハルヒが初めて頼った相手、それが俺だ。
俺はそんな事を考えず、身勝手な不満で今を楽しむことすらも忘れていた。
何を悩んでいたんだ。俺のバカ。
今まで何を言っても自分を曲げなかったハルヒだ。俺はそれに今まで付き合ってきた。
これからだってそれが変わるわけじゃない。ハルヒが出来ない時には、俺が手伝う。
それでいいじゃないか。ハルヒが思いつかないなら俺が考えればいい。
何でそんな事も思いつかなかったんだ。
俺はハルヒの方に戻った。俯いて泣いているハルヒを抱きしめる。
「………キョン?」
すまん、ハルヒ。俺がバカだった。
「バカ……わかればいいのよぉ」
そう言うとハルヒも俺に抱きつく。
いつぞやの展開と似ている気もするが、気のせいだろう。
自分に学習能力が無いとは認めたくないしな。
俺はハルヒが泣き止むまでその頭を撫でていた。
 
ハルヒも泣き止み、俺たちはさっきまで座っていた外灯の下に戻った。
「いいの?キョン。あたしはどうすればいいかまだわからない…」
いいんだ。二人で考えればいいんだって気付いた。
「キョン……」
時間ならあるじゃないか。慌てて何かを求めたってしょうがない。
最初から解ってればよかったんだけどな。
そう言うと俺は自分がおかしくなった。ふっと笑い声が漏れる。
「…バカキョン」
そう呟いたハルヒにも笑顔が戻っていた。
…やっぱり笑ってるのが一番だよ。ハルヒ。
「うん。ありがとう…」
「でも、あたしを悲しませたんだから、埋め合わせはしないとダメよ!」
あ、ああ…どうすればいいかな?
ハルヒはその質問に答える代わりに俺のほうに顔を向けて、目を閉じた。
一応、ここ人通りあるところなんだが…
「ダメ、あたしを泣かせた罰よ」
いたずらっぽくハルヒが言う。わかったよ
俺も目を閉じ、ハルヒと唇を重ねる。
そう、今の俺にはそこにある幸福だけでも十分だ。
これ以上を求めるなんざ天罰が当たる。
 
どれくらいの間唇を重ねていたかはわからない。
お互いに頃合だと思ったのか、ほとんど同時に唇を離す。
ハルヒの顔には笑顔が戻っていた。涙の跡が少し残っていたが、
それはそれで可愛さを引き立てるものだった。贔屓目じゃないぞ?
「…それじゃ、行きましょ!キョン!」
そう言ってまたハルヒは俺の腕に組み付く。
でも、その前に重要な事があるんだよな。俺には。
ちょっと待ってくれ。そう言って俺はポケットに手を入れて、
包装紙にくるまれた物を取り出し、ハルヒに差し出す。
ハルヒはそれを受け取ると期待と嬉しさをブレンドした特上のスマイルを俺に向けた。
「開けてもいい?」
俺が頷くと包装紙を丁寧に解いていく。中から出てきたのは箱だ。それも開ける。
中には二つの雪の結晶が付いた二つのネックレスがあった。
「これって…ペアって事?」
俺は店員から得た知識を有効に使わせてもらった。
ただのペアじゃないのさ。これは一つでも中々綺麗なもんだが、
重ねて光に当てると…
そう言って俺は結晶を重ねると、頭上の外灯にそれをかざす。
 
その結晶が放つ光にハルヒは見惚れていた。
「すごい…」
しばらくかざすとまた二つに戻し、片方をハルヒに渡す。
「こういう時は彼氏が彼女にかけてあげるものでしょ」
ハルヒが笑いながら言ってくる。俺はその通りにした。
その後、ハルヒが俺の首にネックレスをかける。
正直俺には過ぎたもののような気がするのだが。
 
「あたし、とっても嬉しい…こういう時、何て言えばいいのかな?」
嬉しさのあまりなのか、ハルヒも混乱気味なのか?プレゼント効果とでも名づけよう。
さぁ、ハルヒが思うまま言えば良いんじゃないか?
「うん…ありがとう…キョン。あ、そうだ。あたしからも渡さないとね」
そう言ってハルヒは持っていた紙袋からごそごそと何かを探した。
今日ずっと持ってたのはそのためだったのか。
ハルヒが取り出したのはマフラーだった。そこ、ベタって言うな。
ハルヒが俺の首にマフラーをかける。かけた後にふっと笑ってこう言った
「これじゃせっかくのペアネックレスが隠れちゃうね」
かまわないさ。人に見せるためにこれはあるんじゃないからな。
俺たちの繋ぎとめる想いを誓う為の物。それがこのJewelSnowの役割だ。
これからもハルヒを大切にしていこう。俺は自分の首にかかっている結晶にそう誓うと、
ハルヒの手を握って、俺はまた歩き出した。二人の未来に向かって―――
 
FIN...

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最終更新:2020年03月12日 14:20