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さて、この状況非常に厄介だ。
俺とハルヒは互いに好き合っている。言葉では好きと伝え、キスも数回している。……まぁ行為にも及んでいる。
ただ一つだけ問題がある。
どちらからも《告白》をしていないことだ。
《告白》はやはりカップルの上下関係を決める物だとハルヒは豪語しており、やはり男としてはここで譲るわけにはいかないだろう?
それで今のような奇妙な関係が続いているのさ。
あぁ、もちろんいろいろ試したよ。聞かせてやろう。

まずは、二人で同時に言えば問題ないとハルヒが言い出した。
「せーので言うわよ。……せーの!!」
「「………………」」
「ちょっと!なんで言わないのよ!あんたあたしの事好きじゃなくなったの!?」
「いや、ちょっと待て。お前も言わなかったのは俺の事を嫌いになったのか?」
「む……ち、違うわよ。大好きよ、バカ……」
「俺も大好きだぞ、ハルヒ」
そこで俺達は仲直りのキスをして、あやふやなまま終わった。

次は二人でいる時は意外な事に甘えてくるハルヒを怒ったフリをして言わせようという作戦だった。
「ねぇ、キョン。もうちょっと近くに来てよ~」
「いやだ。暑いだろ」

「……え?ね、ねぇお願いってばぁ…」
「お前がちゃんと告白すれば許してやるぞ」
「そんな……ヒドいよ」
「じゃあ、知らん。暑いからな」
「……うっ……うぅ~」
ハルヒが泣き出すと、俺弱いんだよな……。
「バッカ、冗談だよ。ほらこっちに来いよ」
「あっ……キョンのいじわる」
そしてキスしたり……その、まぁいろいろしたりしてまたもや失敗。

さらに次、今度は日常会話から引っ掛けてみた。
教室で谷口にナンパの話を持ち掛けられて、これ幸いと使ってみた。
「なぁ、キョン。お前もたまには行こうぜ?」
「そうだな……俺には《彼女》もいないからな」
《彼女》の部分を強調して言ったのは言うまでもない。
「だ、ダメよ。キョンは今日あたしと約束があるの」
「しかしな、ハルヒ。俺も学園生活をエンジョイするためには《彼女》が必要なのさ。それじゃあ明日な」
「ま、待ちなさいよ!」
俺は無視して街へ出て行った。
……約一時間後。三人でジュースを飲みつつ休憩していたら女から声をかけられた。
「……逆ナンされてよね」
絶対やってくると思ったよ。そこには、少し目を赤くしたハルヒが立っていた。

……だからその顔に俺は弱いんだって。
「谷口、国木田。どうやら俺は逆ナンされたらしいから付いてくよ。結果教えてくれよ?」
俺はそう言うと、ハルヒと二人で街へと繰り出した。つまり、失敗。


以上のような紆余曲折を経まくって今に至るわけだ。ちなみに、ハルヒからの攻撃も受けたが全てにおいて軽く受けきったさ。
つまり、もうお互いに策はなくいい加減決着をつけたいわけだ。
……現在は俺の部屋に二人。甘えてくるハルヒを膝の上に置いて、なんとなく夕方のニュースを見ていた。
ふと、思い浮かんだのが来週の運勢ランキングだ。
「ハルヒ、いい加減にケリをつけよう。来週の運勢ランキングで下の奴が上の奴に《告白》しようぜ」
俺はハルヒを抱き締めて、耳元で話しかけた。トンデモパワーを持つこいつに勝てるとも思わないが、手段は問うてられない。
「いいわよ。あたし、占いは強いのよ?」
ハルヒはニッコリと笑って振り返った。それから、しばらくはテレビに釘付けになった。
まぁ、予想はしていたが二人とも上位に来ている。なんとなくそんな気がしたからな。
「さ、ついにあと二つね。楽しみだわ~」
ちなみにこの番組はよく出来ていて、一位と二位が同時に発表されるのだ。……もちろん、CM明けに。

CMも明け、番組のエンディングの語りも終了。
「さて、約束の言葉を言ってもらおうか」
俺は勝った。
古泉的に言わせてもらうとハルヒが望んだことかもしれない。だが、こいつが負けることを望むはずなく、全ては闇の中だ。
ともかく俺は勝った。約束とは破れないから約束なのであり、こいつは約束を破ることはしない奴だ。


というわけで、かれこれ30分は待っている。
その間ハルヒは「あ~」とか「う~」とか言って頭を抱えたり、顔を赤らめたりしている。
まったく、憂いやつだぜ。
「そ、そうだわ!此処だと妹ちゃんが来ちゃうからあたしの家に行きましょ?」
先延ばしにしやがった。まぁ確かに妹に見つかると厄介なわけだから同意するが。


二人乗りでハルヒの家に行き、部屋でくつろいでいるとハルヒが料理を持ってきた。
「ご苦労さん。疲れただろうししっかり食べなさいよ」
たぶんこいつはうやむやにする気なのだろう。俺の気を紛らわしてな。
ハルヒ手作りの食事をおいしくとった後、俺は口を開くことにした。
「そろそろいいだろう?約束は約束だ」
「う……覚えてたんだ」
やっぱりか。
「今日は言うまで何もしてやらないからな」
ハルヒが不機嫌そうな顔を浮かべ、俺に触れようとしてくるが、回避。
「ねぇ~、そんなこと言わずにさぁ……ね?ほら、言葉なんか無くったって気持ちが伝わってればいいじゃん!」
絶妙な問題のすり替え。しかし今日という今日はそれに屈するわけにはいかないな。

「それも考えたが、ここまでやったからには俺は譲らん。お前が一言俺に告白すればいつも通りになってやる」
俺はそっぽを向き、ハルヒのベッドに横になった。5分程経った頃だろうか、ベッドに登りすり寄って来るハルヒの声が聞こえてきた。
「ねぇ~、いいじゃない。お願いよぉ~」
「猫なで声なんか使ってもダメだ」
「………うっ、うっ、お願いだって…」
「今日は泣き落としは効かん」
「む……じゃあ!どうしろって「もちろん逆ギレも無駄だ。ついでに次にやってきそうな色じかけも今日は溜まってないから効かん」
再びそっぽを向いて、俺は沈黙モードへ。
すると、ハルヒが背中に張り付いて何やらぼそぼそ言ってきた。
「ん?なんだって?」
「………だから、あたしと……付き合ってください」
ようやく言ったか。俺は振り向いてハルヒを抱き締めた。
「あ~あ、とうとう負けちゃったわ……絶対言わせるつもりだったのに」
「そもそも、勝負なんかしてねぇよ。お前の反応が一々面白かったからやってただけだ」
俺はそう言って笑った。目の前ではハルヒが目を白黒させている。
「あんた謀ったわね!?」
「知らん。そもそも勝手に告白された方が上だなんて決めたのはお前だ」
「あ~もう!あんたに騙されたのが一番ムカつく!」
「はははっ、いいじゃないか。晴れて付き合うことになったんだしな」
「そりゃそうだけどさ…」
「よし、一件落着だ。俺は帰るとするかな」
俺は立ち上がって伸びをした。……瞬間、後ろ向きにベッドに引き倒された。
「バカ!危ねぇな!何すんだよ!」
ハルヒは俺の上着を脱がせながら言葉を発した。
「やられっぱなしはイヤ。今日は帰らせないから」

やれやれ、大変な奴が彼女になっちまった。……まぁ、前から大変な奴だったが。


こうやって、俺達の長きに渡る意地の張り合いは終わった。
その後は誰もが認めるバカップルぶりを発揮しているらしい。……俺達にとっては普通のことなんだが。
そして今日も放課後の団活、俺の指定席の横に団長席が出来て、前の団長席はパソコン専用席となっている。
他の連中は活動中にベタベタしている俺達に何も言わずに接している。
……少しはハルヒを止めてくれ。ベタベタするのは二人の時だけでいいんだ、俺は。
「なんか変なの見つけた!行くわよっ、キョン!」
ハルヒは窓から何かを見つけたらしく、部室から駆け出して行った。
「やれやれ」
俺はそう呟くと小走りで、いじっぱりな彼女の後を追っかけていった。

おわり
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