私は笑うことをデフォルトに作り出されました。笑顔は人々の心に安らぎを与え、争いを抑止するというのが穏健派の考えだったからです。私もそれには疑問を持たず、人と接するときは常に笑顔でした。ですがそれは時として、自分の首を絞めることをあの日学びました。

ある日の生徒会室で私はいつものように書類整理をやっていました。部屋には私と生徒会長しかいなく、静かでした。会長は誰かと電話をしており、時折悪態をついていました。しばらくすると電話を乱暴に戻し、肩を怒らせてこちらに来ました。
「クソッ!」
会長は近くにあったゴミ箱を蹴飛ばし、中身の紙くずを散らかしました。すぐさま手を止め、それを片付けます。
「……何をしている?」
会長はそれが気に入らなかったらしく、見下して訊ねました。私は笑顔で、
「ゴミの掃除をしています」
「ざけんなっ!」
会長の靴が肩にめり込み、その衝撃で私の体は仰向けにひっくり返されてしまいました。自然と彼の顔が目に入りました。……彼の顔は憤怒で塗りつぶされ、苦虫を噛み潰したような顔をしていました。
「クソッ。何で俺が面倒事を……!」
私には目も向けず、歩き回る会長。とりあえずゴミ箱を戻し、書類を片付けて会長にお茶を出す。これで少しは落ち着くだろう。笑顔を貼り付けて、渡してみる。
「嫌味のつもりか。そんな嘲笑浮かべやがって」
お茶を浴びせかけられ、制服に染み付く。それでも私は笑い続けた。しかし彼は怒り続けている。何故だろうか?
「…………」
無言のまま立ち上がり、彼は備え付けの電話ではなく自分の携帯電話を取り出しました。数秒の沈黙。その後少しの会話で会長は電話を切りました。
何をするでもなく立っていると、生徒会室の扉が乱暴に開かれました。ネクタイも着けず、ブレザーのボタンを留めていない三人の男子生徒達が入ってきました。皆さん私を一瞥した後、会長に何かを仰ぐように視線を向けました。会長は、


「好きにしたまえ」
それきり言うと自分の机に座り、書類に目を通し始めました。
それを合図に三人は私に近づいていきました。私は笑みを湛えたまま、
「どうかしましたか?」
と訊ねると、三人はいやらしく顔をゆがめて私に掴みかかってきました。
引っ張られ、そのまま仰向けに倒れる私。
そして三人は私にのしかかり、動きを封じました。
それをぼんやりと、やはり笑顔で見ていると、
「やっぱりだ」「話に聞いたとおりだな」「こりゃいいぜ」と三人は
顔を見合わせて言いました。生徒会長は相変わらず、書類作業を行っていました。こちらには見向きもしません。
三人はさっきのお茶で透けてしまっている制服を掴み、
乱暴に引き裂きました。結構上等な服でしたが、
男三人がかりの力では何の役にも立ちませんでした。
緑色のブラジャーを引っつかみ、脱がしにかかりました。
ホックが強引に外され、乳房が露出しました。
その瞬間、三人は息をのみ、すぐに息を荒くしました。
私は相変わらず笑顔のままです。
一人は揉んだり先端を抓ったりした後、口で弄っていました。
その間二人はスカートを脱がし、セットの色の下着を脱がそうと悪戦苦闘していました。
その内の一人は業を煮やしたのか、下着の上から陰部を嘗め回しました。
それから間もなく私の体に妙な感覚が生まれました。
痺れるような、甘美な快感とでもいいましょうか。それが口から出たとき、
三人はうれしそうな顔をしました。会長はようやく書類から顔を上げ、
私を見た後、一人にカッターナイフを差し出しました。
「これを使うといい」
そういってまた書類に目を戻しました。
渡された一人は注意深く下着に刃を押し当て、下着を私の体から剥がしました。人目に晒したことなど一度も無い陰部が、見知らぬ三人の目に映りました。羞恥はないのですが、何か大切なものをなくした気分になりました。


一人が陰毛を掻き分けて中へ指を侵入させました。
そのまま指を三次元方向に移動させ、私の顔を窺いました。
私は普段どおり、笑顔見せていると、さらに指の動きが激しくなり、
痛みを感じるようになりました。
なんとなしに生徒会長を見ると、目が合いました。
彼はそれに反応するように立ち上がり、私の方に歩み寄りました。
そしてしゃがみこみ、
「まだその愛想笑いをつづけるのか」
ゆっくりした動作で私の髪をつかみ上げ、顔を生徒会長の顔と同じ位置に合わせると……
乾いた音が響きます。会長の平手が私の頬をとらえ、
私は鋭い痛みを感じます。そして私の顔を覗き込み、
「まだ笑うか」
今度は拳を。鼻に当たったため鼻から出血します。
しかしデフォルトされている笑顔は相変わらずです。
「…………」
会長は先ほど渡したカッターを返してもらうと、
それを延ばして私の腹部に突き刺しました。溢れ出す血液。
あの三人はその場から離れます。どうやら多量の血液を見るのは初めてのようです。
「まだか。なら……」
彼は私の陰部に自らの性器を押し当て、挿入しました。
その時に起こる激痛に、私は涙を流しながらも笑い続けました。
律動が激しくなり、涙と血の量がそれに比例します。
それでも私は笑い続けました。何度も頭を床に叩きつけられても、
悲鳴は出さず、ただただ笑顔を形成し続けました。
頭からも出血し、意識が朦朧としてきます。
しかし笑みを緩める気はありません。それが私が作られた理由なのですから。それを全うして初めてヒューマノイドインターフェースと呼ばれるのです。
統合思念体、みていますか? 私はちゃんと笑っています。存在意義を、果たしています。

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最終更新:2007年01月12日 00:53