ストーリー参考:X-FILESシーズン6「クリスマス・イブの過ごし方」


早いもので今年ももうクリスマス・イブである。
ハルヒとX-FILE課を設置してから色々な事件があった・・・
それらの嫌なことをすべて雪が洗い流してくれると思いたい。
さて、俺のクリスマス・イブの予定だがあいにくハルヒとの
約束は無い。
なぜなら成長し朝比奈さんに似るようになった妹がクリスマス頃に
遊びに来る予定だからだ。
成長した妹との再開が楽しみであり、毎日のように顔をあわせている
ハルヒから逃れるのもいいだろう・・・と、考えたのが甘かった。
クリスマス・イブの昼、ハルヒからメリーランド州のある屋敷の
前に夜来るように電話が来た。
もちろん『来なければスキナー副長官のカツラ用にあんたの髪の毛
刈るからね!』ときたもんだ。
しかし、あいかわらず上司のことを無礼に言うな、こいつ。


~メリーランド州 古い洋館前 PM10時~
私は今【立入禁止】と書かれた古い洋館の前で車の中でキョンがくるのを待っている。
まあ、昼に急に電話をかけたのは悪いと持ってるけど、今日は
どうしてもここに来たかった。
色々と考えているうちにキョンの車がやってきた。


「遅かったわね!罰金!」
「すまんすまん、でも罰金はないだろ。この時期だ、車が込んでて
しょうがなかったんだ。」
「もう来ないかと思ってたわ。」
「妹が遊びに来るんでちょっと用意があってね。それで出発が
遅かったんだ。」
「あら、妹ちゃんが来るの?随分会ってないし是非会いたいわね。」
「ところでここで何やってるんだ?」
「張り込みよ。」
「クリスマス・イブにか?」
「こっちの車に乗ってちょうだい、詳しいことを話すわ。」
やれやれ、俺は自分の車から降りハルヒの車に乗り込んだ。
「で、どういうことなんだ?」
「あんた興味ないんでしょ?」
「おいおい、わざわざ遠くまで呼んでおいてそれかよ。ところで
あそこの家はなんだ?」
「空き家よ。」
「じゃあ誰の張り込みをしてるんだ?」
「元の住人よ。」
「戻ってくるのか?」
「と、いう話だけど。」
「なるほど・・・幽霊屋敷、いや呪われた館ってわけか。ハルヒ、
まさかクリスマス・イブに幽霊探しをしようってんじゃないだろうな?」


「【超自然的存在】って言ってちょうだい。」
「さっきも言った通り妹が遊びにくるんだ。あまり長居はできん。」
「それじゃ要点だけ急いで言うわ。...1917年人々は暗いクリスマスを
迎えた。多くの若者がヨーロッパで戦死し、国内ではインフルエンザで
多数の死者が出ていたわ。人々は深い悲しみと忍び寄る絶望感に打ち
ひしがれていたの。」
「それで?」
「しかし、その当時この館に住んでいた相思相愛の2人の命を奪ったのは
悲惨な戦争でも疫病でもない、お互いの純粋な愛だったのよ。」
「続けてくれ。」
「男の名前はモーリス。理想に燃える若者だった。恋人のライダは
輝くばかりに美しい娘だったらしいの。まるで天使のような汚れを
知らない2人には世間の風は冷たすぎた・・・」
「んで、どうなったんだ?」
「この世に絶望し永遠の契りを交わしたわ。いつもクリスマスを一緒に
過ごせるように。」
「つまり・・・心中したってことか?」
「それ以来イブには2人の幽霊が・・・」
「まあ、面白い話だったが・・・俺は信じないな。」
「幽霊を信じないわけ?」
「まあ、不思議現象を追いかけるお前ならではだが・・・他の日なら
付き合っても良かったが、今日はダメだ。」
そういうと俺はハルヒの車を降りた。
と、同時にハルヒも車から降り、
「妹ちゃんによろしくね。」
「おいハルヒ、どこに行くつもりだ?お前は約束とかは無いのか?」
「ちょっと見てくるだけよ。」
俺も行くか・・・と思ったが年も改まることだしばかばかしいのでやめた。
早速車に乗ろうと思って服のポケットを探したが・・・無い。
車にも刺さってないし、ハルヒの車にも見当たらない。
くそっ、ハルヒのヤツ持って行ったな。
しょうがないので俺もハルヒを追いかけ館へと足を運ぶことにした。


あたしは館の正面玄関のドアを開けて、懐中電灯を取り出し周りを見渡した。
古く蜘蛛の巣が張ってなどしているがかなり豪華な家具などが置いてある。
さぞ裕福な家庭だったに違いない・・・そう思っていると突然雷が鳴った!
「きゃあああ!」
あたしは雷だけはダメ。音を聞いたとたんにしゃがみこんでしまった。
と、その時、
「おい、ハルヒ大丈夫か?」
「キョ、キョン?」
「ああ。」
あたしは立ち上がると冷静になり、
「なに?探索に付き合う気になったの?」
「いや、お前俺の車の鍵を持って行っただろ。」
「あんたの車の鍵なんて持ってきてないわよ。」
「冗談はよせ、早く返してくれ。」
「なんであたしが?」
「だからたまたま・・・うっかり持ってきてしまったとか。何かの間違いで。」
「幽霊の仕業よ・・・」
そうあたしが言った途端、上の階から物音がした。
それと同時に柱時計が大きく鳴り響いた。
「なんか寒いわ・・・」
「冷気が入って来てるな・・・どこかが開いてるのかもしれん。」
「天気予報の情報とかだと雪のクリスマスになるかもって言ってたわ。」
そういったと同時にまた雷が鳴り、それと同時に開いていた正面玄関の扉がひとりでに閉まった。


あたしは震えながら、
「ちょちょっと・・・どういことよ・・・」
キョンが玄関の扉に向かっていき、ドアノブを回してあけようとしていた。
「くそっ、いくら回しても開かない!」
「うそ・・・あたしたち閉じ込められちゃったわけ!?」


キョンは必死にドアを開けようとしている。
「やっぱり幽霊の仕業かしら・・・」
「ハルヒ、冗談はこれくらいにしてドアを開けてくれないか。」
「ちょっと待って。上から足音が聞こえない?」
「おいおい。」
「またよ・・・」
「俺、早く帰らないとならないんだが。」
「あら、キョンは男のくせに怖いわけ?こんなか弱い女性を残して
帰っちゃうんだ。」
「失礼だな。怖くなんて無いさ。しかしどこがか弱いんだか・・・」
「なんですってぇ~・・・まあいいわ。でも幽霊は悪さはしないでしょ
・・・普通はね・・・」
そういうとハルヒは玄関広場から奥の方へ向かっていった。
「おいおい、脅かしたつもりか。」
俺は時計を見る・・・結構遅いな。
「ハルヒ、俺本当に帰らないとならないんだが。」
と、言うと同時に雷がまた鳴った。
その稲光の中、横の部屋を見ると一瞬初老の女性が見えた・・・


俺とハルヒは2階に向かって行くことにした。
「ハルヒ、幽霊なんてばかげてると思わないか?どの話を聞いても
同じようは服装、場所、結局信じる方に問題があるんじゃないか?」
「うるさいわね。」
2階にはいくつか部屋があったのでハルヒが端からドアノブを
まわしてみたがどこも開かなかった。
俺とハルヒが色々とあーだこーだと言っている時、急にさっきは
開かなかったドアが”キイイイ”という音と共にひとりでに開いた。
「まだ・・・怖くない?」
「いや・・・怖いことは怖いが理性は失ってないな。」
外では頻繁に雷が鳴っている。
俺は意を決してその部屋に近づいてみることにした。
「あたしは後ろで待機してるわ。」
部屋に近づいてみると・・・明かりがついていた。
「なあハルヒ、本当にここには人は住んでいないのか?」
「そのはずよ。」
「でもおかしいぞ。さっき外から見た時は明かりはついてなかったが、
今この部屋には明かりがついてる。誰か人がいるんじゃないか?」
2人で部屋に入ってみると、ソファーにカバーがかかっているものの
蜘蛛の巣などはなく、誰かがいそうな雰囲気の部屋だった。
どうやら2階層からなる書庫の部屋のようだが・・・
「ハルヒあれをみろ。」
おれは懐中電灯を1階部分の暖炉に向けた。
2人で降りて暖炉を見てみると、消えたばかりのようだった。
「どうやら消えたばかりのようだな・・・がっかりしたかハルヒ?」
「誰が呪いの館に住むっていうのよ。」
「幽霊の次は呪いかよ・・・」
「80年間に3組が心中しているのよ。それも皆クリスマス・イブの晩によ。」
と、ハルヒが話終わったと同時に部屋の電気が一斉に消えた。


ギシギシ・・・ギシギシ・・・
「またあの音がするわ。」
2人で懐中電灯をいろいろなところに向けていると、あたしたちのすぐしたの床の
色だけが色あせてなく新品のようになっているのが分かった。
キョンは椅子やテーブルをどけると床を叩いて何か無いか確認していた。
あたしはすぐそばのドアを開けようとドアノブを回したが、やはり開かなかった。
ふとさっき下りた階段を見ると・・・階段が無い!
「キョン・・・これみて・・・」
といいつつキョンのほうを振り向くと・・・キョンがライトを顔の下から当てて
あたしを驚かした。
「きゃあああ!驚かさないでよキョン!今度やったら射撃場の的にするわよ!!」
「それよりハルヒ、どうやら床下に何かありそうだ。」
「どうする気?」
「誰か監禁されているのかもしれない。そうだったら助けないと。」
キョンは暖炉の火かき棒で床の木を持ち上げて1枚床板を外した。
外した床板の下にはミイラ化した死体があった。
「やっぱり人はいたが・・・」
キョンは床板をそのまま数枚外した。
「おい、ハルヒ、見てみろよ。」
最初の死体の横に女性のミイラ化した死体が横たわっていた。
「女性のようね・・・お互い銃で撃ち合ってるわ。」
「ああ。」
「ちょっとまって!変だわ・・・この死体あたしと同じ服を着ている・・・」
「どういうことだ・・・」
「男の方はキョン、あなたと同じ服装よ・・・」
俺は死体の服装と今の自分の服装を見比べてみた、確かに同じ服装だ・・・
「つまりこれって・・・」
「俺たちってことか・・・」
あたしたちは急いで部屋の隅にあるドアから他の部屋に移った。


が、しかし・・・
「ハルヒこれって・・・」
「同じ部屋よ・・・」
元の部屋に戻り今度は違うドアから次の部屋に移動してみた。
「やっぱり同じか・・・」
移動した先もさっきと同じ死体のある部屋だった。
「キョンはここに立ってて。あのドアから出たらここに戻ってくるはず・・・」
「わかった。」
あたしは部屋の奥のドアから次の部屋に移っていった。


ハルヒが部屋を出た後、ハルヒは俺がいる位置に出てこない。
俺は最初のドアを戻ってハルヒがいないか確かめてみた・・・が、
ハルヒはいなかった。
ハルヒがいないことを確認するともう一度部屋を戻り、さっきハルヒが
出て行ったドアへ向かった。
「ハルヒー!」
「キョンー!」
別々の部屋で呼び合った後、俺のいる部屋のドアがひとりでに
閉まってしまった。


あたしはキョンを呼んだ後、ひとりでに閉まったドアへ向かった。
幸いこのドアは開くようだ・・・早速ドアに入り元の部屋に
戻った・・・が、キョンがいない!
「キョンー!」
まったく応答がなかった・・・
他のドアを開けようとしても開かない。
「キョン、そこにいるの!」
返事は無い。
しょうがないので銃で鍵を撃ち壊してドアを開けた。すると・・・
ドアを開けた先はレンガの壁で覆われていた・・・
その時、
「おい」
あたしは振り向くと声の方向へライトを当てた。
声の主は帽子をかぶった初老の男性だった。
「誰?」
「私はここの住人だ。君こそ誰だね?」
そういうと男性は電気のスイッチを入れて部屋の電気をつけた。
「わかったぞ、空き巣狙いか?」
「ちがうわ。」
「じゃあ帰れ。ドアはそこだ。」
「冗談でしょ?」
「どういうことだ?」
「ドアの向こうはレンガで覆われた壁になってるわよ。」
「なるほど・・・」
「悪戯が過ぎやしない?」
「あいにくだが私はそんなマネはせん。」
「じゃあ何?あたしたちを脅そうっていうの?」
「君のほかにも連れがいるのか?」
「とぼけるのがうまいわね。」


そういうと男性は大声で笑い、
「なーんだそうか。銃に脅かされたが君も幽霊退治に来たんだな。
で、私を幽霊だと?」
確かに幽霊などには見えないけど・・・
「ここに来る連中は皆、おかしな装置を抱えてくるが、銃持参は君が始めてだ。」
「ここにくる連中?たとえば床下にいた2人も・・・」
とさっき死体のあったところを指差すと・・・普通の床になっていた。
「どうやったの?」
「一体何をだね。」
「さっきはこの床下に死体が埋まっていたわ。」
「まあ、ちょっと椅子にかけたらどうだ。」


あたしは椅子に座りながら頭を抱えていた。
「アル中か?それともヤク中かな。」
「まさか。」
「君は人に関心をいつも自分に引きつけたいと思ってるのでは?
私は精神科医でね。躁病や様々な精神障害、とりわけ超常現象への
執着を専門にしている。」
「そんな病気あったかしら。」
「私自身は【魂の喪失】と呼んでいるがね。君のようにここを訪れる
訪問者との対話を元にその症状を分類し体系化したのだ。君たちのような
魂の喪失者にはある共通の特徴を持っている。」
「どんな特徴かしら?」
「極端なほど自信過剰で過大な自己ナルシスト。」
「凄いわね。」
「自分では下向きの性格かと思っているかもしれない。でも脅迫精神症と
紙一重だ。仕事中毒で反社会的、このままいけば最後は恐らく廃人同様に
なるだろう。」
「ふふふ、あたしには当てはまらないわ。」


「そうかね。まともな人間が銃を振り回すかね?ドアの向こうに壁があるだと?」
あたしは椅子の後ろにあるさっき開けたドアを見た・・・やはりレンガの壁で出口がふさがれていた。
「ひょっとして、『宇宙人を見た』などと言うんだろ。なぜ君が
そんなものを見るか分かるかね?」
「もちろんそこにいるからでしょ・・・多分(有希や喜緑さん・・・)」
「いや、孤独だからだ。孤独な人間と言うのは自分を慰めるために
幻想を追う。これを【擬似的自慰行為】と言う。人生に意味を見出すが
逆に言えば社会に適応できない君は幻想に逃げ込むしかない。」
「そんなことないわ!現に有希や喜緑さんは・・・」
「君は周囲の人間に誤解されていると思っている。違うかね?」
「【擬似的自慰行為】ですって?あたしはこの目で見たし、命も狙われたわ!」
「君は誰からもまともに相手にされんだろ。」
「ちょっとまってよ。少し言いすぎよ。」
「毎年クリスマスも独りか?」
「いいえ、独りじゃないわ。」
「今度は自己欺瞞だ。」
「本当よ。相棒がこの家のどこかにいるわ。」
「壁の後ろか?」
「車のキーを隠したんだろ。なぜそんなことを。彼の長演説を
聞くためではあるまい。それは君が孤独を恐れているからだ。図星だろ?」
あたしは反論できなくなってしまった・・・事実そうだったから・・・
「相棒を探さないといけないわ。」
「いいとも。簡単さ。朝飯前さ。すぐ見つかる。」
そういうと男性は隣の部屋に向かっていった。
「壁は・・・頭の中だ。恐れるな、君も試してみろ。」
あたしは少し考えた後、意を決して男性のほうへ向かった。
が、ドアを通過しようとした直前レンガの壁にぶつかってしまった。
「なんなのよ!もう!」
そして部屋の明かりが消え稲光だけが部屋を照らすようになった・・・


「ハルヒー!」
俺は取り残された部屋を懐中電灯で探りながらハルヒを呼び続けた。
その時、部屋のドアが開き初老の女性が入ってきた。それと同時に
部屋中の電気がついた。
「うおっ!」
「きゃああああ!」
俺は急いで腰に手を当て銃を取り出そうとした。
「落ち着いて。大丈夫、何もしないわ。」
「俺はFBIだ!手を上げろ!」
俺は女性に向かって銃を向けそう叫んだ。
しかし女性はそのまま臆せず俺のほうへ向かってきた。
「なんていったの?」
「FBIだ!」
「あなた一体誰なの?」
「FBIだ!銃が見えないのか!本当に撃つぞ!俺は捜査官の・・・
もし疑うようなら身分証を・・・」
「ふふふ、てっきり幽霊かと思ったわ。」
「冗談だろ、俺は生身の人間だ。相棒を探していて迷っているんだ。」
「もしかしてかわいらしい顔立ちの女性の方かしら。」
「見たのか?」
「さっき、玄関ホールでね。彼女も幽霊かと思ったわ。」
「あの時の人影は・・・あんただったのか。」
「私もあなたを見たわ。でも、寝ぼけていたから夢かと思ったわ。」
「申し訳ない。脅かすつもりはなかったんだ。ただ・・・死体を見て
気が動転してしまっんだ。」
「どこに死体が?」
「そこだ。」


俺はさっき死体のあった床付近を懐中電灯で照らした。
が、そこの床はきっちりはめられていて死体などなかった。
「ひょっとして幽霊の仕業かも。実はこの家には昔から住み着いているの。」
俺はマジかよ・・・といった顔つきで女性を見た。
そして恐る恐る銃を女性のほうへ向けた。
「あなたは・・・誰なんですか?」
「私はここの住人よ。」
「相棒はどこだ?」
「なぜ私に銃を向けるの?」
「そこに死体があったからだ。」
「あはははは、あれはきっと幽霊の悪戯よ。」
女性がそう言っている間に俺は手近なドアを開けようとした。
「幽霊なんか信じないぞ!」
ドアが開いた・・・しかし目の前の光景はレンガで埋め尽くされた壁だった・・・
「どうかしたの?」
「相棒はどこだ?」
「彼女は幽霊を信じるわ。」
「まあな。」
「可哀相に。ついてなかったわねぇ・・・今日は年に一度のクリスマス・イブ
なのに。彼女に付き合って信じてもいない幽霊探しに付き合わされるなんて。」
女性はどんどん俺のほうに近づいてきた。
「近寄るな!」
「図星みたいね。あなたは無意識に他人を通して充足を得ようとする。つまり
【共依存症】よ。」
「なんだって!?」
「ここへ来たのも相棒への忠誠心などではなく、本当は彼女の誤りを正すため。
それがあなたの生きがいよ。」


「いいかげんなこというな!初対面で何がわかるってんだ。
それに住人なんて嘘だろ?」
「なぜ、そう思うの?」
「家具にカバーがかかってるじゃねえか。」
「改装中なのよ。」
「じゃあ、クリスマスツリーが無いのはどうしてなんだ。」
「うちはユダヤ系なの。」
その時背後のドアが”キイイイ”と共に開き、帽子をかぶった初老の男性が
姿を現した。
「動くな!撃つぞ!」
「ははは、とんだ迷惑な客だな。」
「ハルヒは!?」
「彼女か?」
「今どこにいるんだ!?」
男性は何も答えなった。
「2人とも部屋の中央へ行け!早く!」
「こんな扱いは人権侵害だ。擁護団体に訴えるぞ。」
「両手を挙げろ!」
初老の男女は同時に両手を上げた。
その時、女性の腹部を見ると・・・穴が開いていた・・・
俺は男性がかぶっている帽子を恐る恐る取った・・・すると頭にぽっかり
穴が開いていた。
それを見た瞬間、俺は気絶した・・・


「こんな安っぽいトリックはどうも好かん。おもしろくない。我々も
ヤキがまわったな。」
初老の男性が言う。
「そりゃあ昔は時間をかけられたからよ。でも、今は一晩だけ。」
初老の女性は言い返した。
「心理学では真の恐怖は与えられん。最後に大成功を収めたのは
いつだったか?」
「あの心中のこと?・・・でも家が没収されてからはゼロよ。」
「こんな子供だましはたくさんだ。プライドが許さん。」
「ねえ、私達が頑張らないとこのままでは観光スポットから
外されるわ。」
「ああ、でもなぜクリスマスなんだ。ハロウィーンでは?」
「あははは、人々が一番孤独と絶望を感じるのはいつよ?
年に一度のクリスマスでしょ。」
「確かにそうだな。その点今年の2人は絶好のカモだ。クリスマスが
どんなに孤独なものか教えてやろう。」
「ええ、そう来なくちゃ。」
その途端部屋の明かりは消え稲光の光だけが部屋を照らす。
その部屋では男女の笑い声が響いていた・・・


あたしは消えた書庫の階段のところを椅子を下敷きにして
よじ登っていた。
登り終わった時、2階部分のドアが開いて初老の女性が現れた。
「あなたが、ハルヒさん?」
「あなたは誰?」
「私の椅子を踏み台にして何をしているのかしら。」
「ここから出たいのよ。」
「ここから出る?」
「ええ。」
「ここからは出られないわ。」
あたしは女性を人差し指で恐る恐る触ってみた。
女性は紛れも無い実体のようだった。
あたしは女性をどけると、
「化け物。」
と言ってドアを開けた・・・しかし、またもレンガの壁で
覆われていた・・・
「今のはどういう意味?失礼だわ。手荒く扱った上に
侮辱的な言葉を言うなんて。」
女性はあたしがさっき登ってきたところに何故か現れた
階段を使って1階部分に下りて行った。
「あなた、幽霊でしょ?」
「なんですって?」
女性はさっきあたしが下敷きに使った椅子を元の位置に戻していた。
「なぜここで心中事件が発生したの?」
「若気の至りね。カーっと燃え上がってやっちゃったの。」
「じゃああなたは・・・ライダ?さっきの彼はモーリスね。しかし・・・
老けたわね。」
「お互い顔の話しはやめにしましょう、ハルヒさん。」


女性は書棚の方へ向かっていき、
「さて、どこだったかしら。」
そう言って右手の人差し指で書棚を指すと、書棚の本がところどころ
ひとりでに出たり入ったりし始めた。
「違う違う・・・違う違う・・・違う違う・・・あったわ。」
女性は1冊の本を手にした。
本のタイトルは『クリスマスを盗んだ幽霊』というものだった。
「私も昔はあなたみたいに美しかったのよ。」
そういうと女性は椅子に向かい腰掛けた。
女性は本を読みながら、
「昔はモーリスもハンサムだったわ。」
そういうとひとりでに暖炉の火が付きあたしは驚いた。
あたしが部屋の中を隅々まで見ていると、女性は本をあたしに向けて、
「スマートだったし。」
渡された本を見てみると1組のきれいな男女が写っていた。
「あまり期待しない方がいいわ。」
「どういうことかしら?」
「あなたたちは何しにここに来たの?」
「あなたを探しに来たのよ。」
「どうかしら。彼と2人が永遠に結ばれるためじゃないの?」
「まさか。」
「孤独な人生に絶望して。」
「あたしが?」
「じゃあ彼のほうかも。」
「何がなんなの。」
「だってここは幽霊屋敷よ。ここへ来る前によく話し合うべきだったわ。
私は経験から言ってるの。」
「どんな経験?」
「一旦心中しちゃったら終わりよ。後悔しても遅いわよ。」


「永遠の契りは?」
「あははは、なんと美しい響きだこと。でも現実は悲惨なものよ。」
そういうと女性はあたしに服をめくって腹の部分を見せた。
穴がぽっかり開いていてあたしは思わず目をそらした。
「あなたには特別に見せるわ。」
「何であたしだけ?」
「この世での最後のクリスマス。あの世へのはなむけよ。」
「キョンがこのあたしを撃ち殺すとでも?彼は絶対にそんなことは
しないわ。」
「撃つのは、あなたの方かも。そしてその後自殺を。」
「そんなことはありえないわ。」
「彼が自分で・・・。」
「あたしが絶対にさせないわ!」
「床下の死体は、多分彼とあなたの潜在意識の現われだわ。」
「恋人として永遠に結ばれたいのよ。」
「はあ・・・恋人じゃないわよ。残念だけど。」
「そう決め付けるのは早いわ。あなたたちはとても魅力的だし、
心を通わせあう時間はたっぷりあるわ。さあ、この銃を取って。」
そういうと女性はあたしに銃を手渡たそうとした。
あたしは腰のホルダーを見てみたが、銃が抜き取られていた。
「さあ、孤独な人生に別れを。」
そういうと女性は姿を消し、あたしの手には銃が残った。


「う・・・」
俺は気絶から目を覚ますと、急いで床に落ちていた懐中電灯と銃を拾った。
近くの扉から隣の部屋に行こうとしてもまったく開かなかった。
奥の方の扉にも行ってみたがやはり開かなかった。
その時、
「鍵をかけた。」
後ろから初老の男性の声が聞こえた。
俺は咄嗟に銃をそっちの方へ向けた。
「君のためにな。」
「出口はどこだ?どこなのか教えないと引き金を引くぞ!」
「その意気だ。それなら相棒が来て襲ってきても心配ない。」
「襲うってどういう意味だ?」
「彼女は今、妄想に取り付かれている。だから君をこの家に
連れてきた。」
「これは全て悪い夢だ。現実じゃない。」
「ではなぜ銃を振り回す。相棒と同じだ。」
その時さっき開かなかった最初のドアから”ドンドンドン”と
いう音と共に、
「キョンー!」
というハルヒ声が聞こえた。
「彼女は今、非常に危険な状態だ。孤独と憎悪で我を
見失っている。」
「キョンー!」
「君の車のキーだ。」
男性は俺に車のキーを見せている。
「どうしてあんたが・・・」
「彼女は孤独なクリスマスに耐えられなかった。それで君に
『永遠の契り』の話を。」
「そのキーを一体どこで手に入れたんだ?」


「孤独への無意識の恐怖が彼女を狂気へと駆り立てる。」
男性がそういうと再び”ドンドンドン”という音が聞こえ、
「キョン!どこにいるの!」
「ここだ、ハルヒ!」
「早くドアを開けて頂戴!」
俺は男性から車のキーを奪い返すと、
「早くドアを開けろ。」
と男性に銃を向けて命じた。
男性はだまってドアの方へ行き、
「私はこの家で何度も悲劇を見てきた。」
「信じないぞ。さあ、早くドアを開けろ。」
「だが・・・」
「早くドア開けろ!」
男性は観念しドアの鍵を開けた。
それと同時にハルヒが入ってきた。
「キョンはどこ?」
ハルヒは男性に問いかけた。
「ここだハルヒ。」
俺はハルヒに向かって言った。
その時、ハルヒは俺にめがけて銃を撃ってきた・・・


ハルヒが撃った弾は間一髪でそれて近くの椅子に当たった。
「なにするんだ!」
ハルヒは銃を向けながら無言で近づいてくる。
さらに1発銃を撃ち、後ろの花瓶に当たった。
「ハルヒ!」
俺はじりじりと後ろの方へ下がっていった。
「ここからはもう出られないわ。あきらめて。」
そういうとまた1発発射し、横の壁に当たった。
「やめろハルヒ!それ以上近づくな!銃を捨てろ!」
「あたしを撃つ気かしら?」
「何を言ってるんだ!なぜ俺がおまえを?」
「どうせ撃ちあうのよ。問題はどっちが先ってこと。」
「やめろ!なぜこんなマネを?」
「うるさい!」
「ここから出よう、ハルヒ!」
「いやよ。孤独はもうたくさんなのよ!クリスマスなんて
クソくらえよ!」
「落ち着けハルヒ。どうかしてるぞ。」
その時ハルヒが俺に向かって銃を発射した。
その弾丸は・・・俺の胸に当たっていた・・・
俺は放心状態になりそして・・・倒れた。
ハルヒは倒れた俺を見下して、
「メリークリスマス。」
そしてハルヒは自分の頭に銃を突きつけていた・・・


ハルヒに化けていた初老の女性が自分の頭に銃を
突きつけながら、下を見て、
「そしてハッピーニューイヤー。」
と言った。
俺はまだそれがハルヒだと思っていた。
ハルヒが引き金を引く直前、そばにいた初老の男性が
ハルヒを押さえつけた。
「はなして!はなして、お願いだから!死なせてー!」
男性はハルヒを引きずって消えていった。
その光景を見て俺は気を失った・・・


「キョンー!」
あたしはドアを開け部屋に入っていった。
そしてそこで見た光景は・・・キョンが撃たれて床で倒れて
いるところだった!
「キョン!」
「ハルヒ・・・」
あたしはキョンの頭を持ち、
「どうしたの!?」
「まさか本当に撃つとはな・・・」
「どういうこと!?」
「撃つとは思わなかった・・・今度は俺が・・・」
そういうとキョンは、
「メリークリスマス」
といいながらあたしの胸を撃った。
あたしは呆然とし、そして倒れた。
「キョン・・・」
そしてあたしは気を失った・・・


キョンに化けていた初老の女性は横になりながら、
けたたましく大声で笑っていた。
その瞬間、レコードが自動的に動き出し、音楽を奏ではじめた。


俺は気を取り戻し、這いずり回りながら移動した。
そして玄関ホールまでたどり着いた。


あたしは気を取り戻し、ふらふらになりながら
1階への階段を下りて行った。
そして玄関ホールにたどり着きそして倒れた。
そこには必死に倒れながらも出口へ行こうとする
キョンの姿見えた。
「キョン・・・」
聞こえてないのだろうか・・・
「キョン・・・」
あたしが2度目に言った後、キョンはあたしのほうへ向き、
そして銃を構えた。
あたしもそれをみてキョンに照準を合わせて銃を構えた。
「もうダメだ・・・」
「ええ・・・」
あたしはキョンの方へ這いよった。
「あたしも一緒に行く・・・」
「俺たち死ぬんだな・・・俺、怖い・・・」
「あたしもよ・・・」
そういうとあたしは仰向けになった。
「あんたが悪いのよ。」
「おまえこそ。」
「あんたが先に撃った。」
「いいや、撃ったのはお前の方だ。」


2人が倒れる中、稲光が走る。
あたしは撃たれた場所を確認すると起き上がった。
「キョン。」
「なんだ。」
「起きて。」
「そんなの無理だ。」
「立ってみて。血は付いてるけど撃たれて無いわ。」
「なんだって。」
「全てトリックよ。」
そういうとあたしはキョンの腕を持ち起き上がらせた。
お互いに無事を確認した後、一目散に館の玄関から出た。
と、同時に体を見ると血などお互いについてなかった。
あたしたちはそれを確認すると逃げるように屋敷を後にした・・・


屋敷の柱時計が0時を告げる。
部屋には暖炉の前で初老の男女が椅子に腰掛けていた。
「あら、クリスマスよ。」
「やれやれ・・・また失敗だ。」
「後もう少しだったけど。」
「へへへ、惜しかったな。」
「寂しそうなカップルなのに・・・」
「もう済んだことだ。」
「それにしてもあの2人何しに来たのかしら。」
「わからんな。最近はクリスマスの意味も薄れてしまった。」
「本当ね。」
「しかし・・・我々にとっては永遠に特別な日だ。」
そう男性が言うとお互いに手を取り合った。
そして初老の男女は消えた・・・


俺は今自宅でテレビを見ている。
その時ドアを叩く音がした。
ドアを開けてみるとハルヒがいた。
「何だか寝付けないの。それで・・・入っていい?」
「ああ。」
「キョン、今日は妹ちゃんが来るんじゃないの。」
「いや、FBIの友人に迎えを頼んだんだがまだ到着してないんだ。」
「そう。」
「ハルヒ、今夜起きた事はすべて錯覚だよな。」
「だと思うわ。」
「自分の誤りに気が付いたわけだな。」
「あなたがそれを証明したと。」
「お前はそのために俺を呼んだんじゃないのか?」
「あなたのためよ・・・。ごめん、悪かったわ・・・いかにも自信過剰で
自己中心的な言い方だったわ。」
「いや違う。たぶん俺も確かに興味があった。」
しばらく2人で見つめあった後、
「そうそうキョン、面倒くさいからプレゼントの交換はしない
約束だったけど・・・受け取ってもらえる?」
そういってハルヒは俺にプレゼントを渡してくれた。
「実は・・・俺も」
俺は買っておいたプレゼントをハルヒに渡した。
ハルヒは満面の笑みをし、
「さあ、早くお互い開けてみましょ!」
といい、ソファーに座った。
「ああ。」


俺とハルヒがプレゼントの包みを開けていると、ドアの
ノックの音が聞こえた。
「多分妹だな。」
そういってドアを開けると・・・成長し、朝比奈さんそっくりに
なった妹が立っていた。
「メリークリスマス、キョン君!」
「さあ、中に入れよ。」
「おじゃましま・・・あ、ハルヒさんお久しぶりです。」
「えっ!みくるちゃん!?」
「ははは、違うよハルヒ。俺の妹だよ。」
「いつもキョン君にも『おまえホント朝比奈さんに似てきたな』って
言われてます。」
「ほんと、みくるちゃんそっくりね。」
「胸はまだまだだけどな。」
「キョン君ってホントえっちいんだから。」
「ほんとよねぇ・・・エロキョンは変わってないわね。」
「クリスマスに2人から攻撃かよ・・・勘弁してくれよ。」
「あー、キョン君とハルヒさんプレゼント交換してたんだ。いいなぁ」
「安心しろ、お前の分もちゃんとあるぞ。」
「わーい。キョン君大好き。そうそう、ここにくる途中にケーキ買って
きたんです。3人で食べませんか。」
「ほんと!やっぱり妹ちゃんはキョンとは違って気がきくわぁ」
「悪かったな、気がきかなくて。」
「さ、早くケーキ切ってプレゼントの中身開けっこしようよ、キョン君。」
「そうだな。さ、始めるか。」


外ではロマンチックに雪がふわりふわりと降り続いていた。
世界中、全ての人にこのクリスマスがいい日でありますように・・・
───メリークリスマス!


「ところでキョン君とハルヒさんは結婚しないの?」
「ぶっ!何言ってるんだお前。」
「そうよ妹ちゃん!」
「えー、仕事でもいつも2人で一緒なんでしょ。いっそのことくっつちゃえば
いいのに。」
「仕事は仕事、プライベートはプライベート。妹ちゃん分かった?」
「はーい。でも残念。『ハルヒ姉さん』って呼びたいのになぁ。」
「おまえは親の刺客か。」
「あ、ばれた?でもさっき言ったことはホントだよん♪」
「もう、さっさとケーキ食べましょ!」
ハルヒは怒涛のごとく言い放った、でもハルヒ、おまえ顔真っ赤だぞ。
「それはキョン君もね!」



<クリスマス・イブ・終>



涼宮ハルヒのX-FILES おまけ4


???「お久しぶり、キョン君。」
キョン「お、お前は・・・なぜここに!」
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ハルヒ「キョン・・・どこにるの・・・」
???「涼宮捜査官、君にしかキョン捜査官は救えない。」
ハルヒ「どうすればいいの!」
???「それは・・・」
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キョン「思い出せ!SOS団で活動したことを!最初にお前と行った
    図書館のことを!」
???「SOS団...図書館...」
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???「キョン君、こっちです!早く!急いで!」
キョン「なんでここに!?」
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ハルヒ「う・・・嘘でしょ・・・なんで・・・」
キョン「なんで・・・なんでこんなことを・・・」
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ハルヒ・キョンのX-FILE課に絶体絶命の危機が!!


次回 涼宮ハルヒのX-FILES 最終話 <終章>



キョン「いよいよ最終話か。」
ハルヒ「忙しいことになりそうね。」
古 泉「作者さん、いよいよ最終話なんで気合入れるように。
    書けなかったら掘ります。」
作 者「('д')もう完成しているだなんてアナルが裂けても言えない・・・」



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