ストーリー参考:X-FILESシーズン1「ディープ・スロート」
 
ハルヒがX-FILE課を設立して3ヶ月がたった。
元々倉庫だったところをオフィスにするため机を運んだりなんだりと
最初のうちはバタバタと忙しかったが、最近はようやく落ち着いてきた。
その間にもハルヒは暇を見てはX-FILEを読み漁っていた。
なお、X-FILE課は副長官直属の課となったため、事件性が見出せれば
アメリカ中どこにでも出張できる。
まあ、この点に関しては退屈なデスクワークから開放されたことを
ハルヒに感謝しなきゃな。
 
そうそう、ハルヒの世界に与える能力だが、古泉曰く高校卒業時には
もはや消失していたらしい。
ハルヒ観察の任務であった長門がいなくなった点から見てもその通り
なんだろう。
結局、最後の最後まで各自自分の正体をハルヒに明かさず、長門に
至っては「任務」と言う言葉をハルヒに伝えただけだった。
ハルヒとしてはどこかの諜報員とでも思ったに違いない。
それで政府が存在を隠しているとか考えたのかもしれないが。
故にハルヒ自身はまだ宇宙人・未来人・超能力者に会ったことが無いと
思ってるわけだ。
しかし、気になることがある。
古泉の「機関」はハルヒの後始末などを目的とした組織なのに未だ
健在、長門に至っては「別の任務」と言っていた。
そしてそれは意外な形で俺たちの前に現れることになる・・・
 
ワシントンD.CのFBI本部から少し離れたバーでハルヒと待ち合わせをしていた。
「遅いぞハルヒ。」
「キョンにしちゃ早いじゃない。なんなら1杯奢ってあげようか?」
「おいおい、まだ昼間だぞ。」
そんなやり取りをし空いた席に着き注文を済ませた。
その後ハルヒが1束の書類を俺に手渡してきた。
「なんだこれは?」
「エレンズ空軍基地の軍人の1人が行方不明になっているという情報よ。」
「軍のことなら軍に任せておけばいいじゃないか。」
「それがそうでもないのよ。この件に関しては軍は家族にすら詳細を
明かしてないの。それを不審に思った家族がFBIに捜索願を出してきたのよ。」
「軍にも何か事情があるんだし、怪我とかで治療してるんじゃないか?
で、家族に心配かけまいと何も言わないように本人が言ってるとか。」
「それじゃもっと変よ。それに、私この件について1ヶ月間捜査してたの。
もちろん軍からは何も得られず。それに妙なことに先日上から捜査中止
命令が出たわ。」
破天荒な捜査をしているから中止命令が出たんじゃないかと言おうと思ったがやめた。
「それにこのエレンズ空軍基地ではおかしなことに63年から6人の飛行士が
行方不明になってるのよ。どう考えたっておかしいでしょ。」
「それに関しては噂を聞いたことがあるな。ロシア領空を誤って通過して
撃墜されたとか・・・まあ、噂の域を出ないが。」
「とにかく、何かを隠蔽しようとしていることは確かだわ。だから2人で
アイダホに向かうわよ!」
「ちょっとまて。この件とX-FILEとどう関係がある?お前の守備範囲は
宇宙人など超常現象だろ。ただの失踪事件じゃないか?」
「なんとなく勘が働くのよ。絶対に何かあるわ!」
そういうとハルヒは席を立ちトイレのほうへ向かっていった。
しかし、勘だけで動くところはSOS団にいたころとまったく変わって
ないな・・・などと懐かしく思ったりもした。
 
私がトイレに入ろうとしたとき、初老の男性がいきなり声をかけてきた。
「失礼、涼宮捜査官。率直に言おうこの事件から手を引いた方がいい。
その方が身のためだ。」
「なんですって?」
「軍はFBIの介入を望んでいない。」
「あなたは一体何者?」
「私は・・・君達の仕事に関心を抱いている者だ。力になりたいと
思っている。」
「どうして私達のことを知っているのかしら?」
「立場上政府に関することは何でも知っている。いろいろな情報が
入ってくるのだよ。」
「あなた一体誰?職業は?」
「そんなことはどうだっていい。君とキョン捜査官の身を案じるから
こそ言うんだ。残念だが事件のことは忘れたまえ。」
「それは出来ないわ。」
「君達にはもっと大切な仕事があるだろう。せっかくの才能を無駄に
するもんじゃないな。」
そういうと男性は人ごみの中へ消えていった。
わたしが呆然と立ち尽くしていると近くからキョンが、
「おい、ハルヒどうした?」
「ううん、何でもないわ。」
(あの男性は一体何者なのかしら・・・敵?味方?)
そう考えながら私はトイレに向かった。
 
どうも気になる。
あのハルヒが普通の失踪事件に興味を見出すとは思えない。
そう思った俺はFBI本部の資料室で過去の新聞を調べてみた。
 
--エレンズ空軍基地 UFOのメッカに--
 
やはり超常現象か・・・
確認するためハルヒに電話をかけてみた。
「もしもし、ハルヒか。」
『何よ、キョン』
「おまえ、俺に何か言い忘れてるだろ?」
『言い忘れてることって?』
「おまえ、アイダホに行くのはUFOが目的じゃないだろうな?」
キョンからの電話に雑音が入ってる!私は電話に雑音が入っているのを
聞いた後家の窓の外を見た。
黒いバンが外に止まっていた。
(盗聴されてるわ・・・)
「聞いてるのか?出張旅費が下りたのは捜査の為だぞ。科学雑誌に
投稿するような報告書書くのはごめん被るぞ。」
『キョン、電話ではまずいわ。明日飛行機の中で説明するわ。』
そういうとハルヒは電話を切った。
 
次の日、アイダホに着いた俺たちは早速依頼人の家に向かった。
そこでは失踪した軍人が以前からかぶれのような症状を訴えて
いたこと、またある日から急に性格が変わり奇妙な行動を取ったり
どなりちらすなどをするようになったことを伝えられた。
また、依頼人と同じような現象にあったという人を教えられ
依頼人と共にその人の家に向かった。
そこで見た光景は、まさに精神疾患にあった男性だった。
その男性の夫人話ではストレスによるものだろうと言っていたが・・・
その後、依頼人から軍の連絡先を教えてもらい、こちらも
泊まっているモーテルの電話番号を教えておいた。
「キョン、あれってどう思う。」
「やはり夫人の言うとおりストレスによるものなんじゃないか。」
「でも、彼らはベテランのパイロットでしょ?ストレスに対する
免疫は一般の人に比べればはるかに高いと思うけど。」
「聞いた話なんだがこのあたりでは『オーロラ計画』と言う名前で
新型飛行機のテスト飛行を行ってるらしい。その計画の重要性から
重圧に負けてストレスがたまったんじゃないか。」
「それはありえないと思うわ。だって依頼人の家の写真見た?
大統領からも表彰されるほどの腕前のパイロットよ。それほどの
腕なら何だって乗りこなせると思うわ。」
確かにハルヒの言うとおりだ。
男性の症状から見ても極度の恐怖や拷問などで無いとならないような
ものだった。
一体ここでは何が起こってるんだ・・・
 
「とりあえずエレンズ基地に行ってみましょう。」
ハルヒはそういうと車をエレンズ基地へ向かわせた。
車をエレンズ基地のフェンスのそばに置き近くの高台からエレンズ
基地を観察してみた。
「特に目立ったものは無いな。」
「あたりまえじゃない。そんなものがあったら全然秘密じゃないわよ。」
ハルヒの言うとおりだ。
俺とハルヒは夜までエレンズ基地を観察していた。
途中、SOS団の時の活動などの思い出話もしたりした。
「結局、有希はなんだったのかしらね。」
「さあな・・・」
いまさら宇宙人でしたと言っても納得しないだろうな。
と、まあ話し込んでいるうちに深夜になった。
眠りこけていると突然ハルヒが、
「ちょっとキョン起きなさいよ!」
「なんだよ・・・何かあったのか?」
「基地の上空を見てみて。」
基地の上空の空を見ると2つの光が空を舞っていた。
「普通の飛行機なんじゃないのか?」
「よくみてなさいよ。ほらあれ!」
ハルヒが指差すと2つの光はおおよそ普通の飛行機では考え
付かないような動きで飛び、最後に交互にきりもみ飛行しながら雲の上に消えていった。
「なんなんだありゃ・・・」
「とにかく中に潜入できないかしら・・・」
そうハルヒが言った瞬間、フェンスの中から男女がフェンスの
裂け目と思われるところから急ぎ足で出てきた。
逃げようとする男女をハルヒが、
「FBIよ、止まって!止まらないと撃つわよ。」
と威嚇し男女のカップルと話をすることが出来た。
 
カップルの話によると今日見たような光景は日常茶飯事で見られ、
中にはもっとすごい飛行をするときもあったという。
また、行った事はないがフェンスから15Kmほど離れたところに
格納庫らしきものがあるとも言っていた。
ただ、今日は普通ではヘリで追いかけられることもないのに、
なぜか突然ヘリが現れ一目散に逃げてきたと言う。
ある程度話を聞いた後2人別れ、ハルヒと共にモーテルへ戻った。
戻ったときにはすでに朝だったが。
フロントに行くと、依頼人から夫が家に帰ってきたと言う伝言を受けた。
さっそくハルヒとともに依頼人の家に行くと、依頼人である夫人は
「この人は夫じゃない!」と泣きはらしていた。
俺とハルヒは色々と質問をして本人かどうか確かめてみたが、やはり
本人らしい。
しかし夫人は「どこか夫とは思えない」という。
釈然としないままとりあえず失踪人は帰ってきたので依頼者宅を後にする。
「キョン、どう思う?」
「わからん。おれには普通にしか見えなかったのだが・・・」
「でも、基地でのことを質問するとなぜか不自然な答えが返って
きたわよね・・・」
「そういえばそうだな・・・」
「もしかして、記憶を操作されたんじゃないかしら。」
「そんなば・・・」
「そんなば・・・なに?」
「いや、ありえんだろう。」
「そうかしら。キョン、早速今日の夜にエレンズ基地に潜入して
みましょう。なにかわかるかもしれないわ。」
「ああ、そうだな・・・」
記憶操作か・・・長門たちの専門分野だったな・・・まさかとは思うが・・・
俺は一抹の不安を胸に車へと乗った。
 
夜、ハルヒと共にエレンズ基地に潜入した。
情報通り15Kmほど離れた場所に格納庫らしきものがあった。
一筋の光が漏れている。そこから中を覗けそうだ。
早速ハルヒは中を覗きこんだ。
「なによこれ・・・凄いわ・・・」
ハルヒは驚愕しながらもカメラのシャッターを押し写真を撮っていた。
「キョン見なさいよ、これ。」
ハルヒに言われ中を覗くと・・・UFOらしき物体があるではないか!
「これは一体・・・」
「UFOに間違いないわ。写真に収めたし物的証拠もばっちりよ。」
「テストパイロットたちはこれを操縦したためにあんな目にあった
のか・・・」
「たぶんね。」
俺たち2人は隙間からUFOと思しき物体をまじまじと見ていた。
そのため近づいてくる人影に気がつかなかった・・・
そうあの人影に・・・
 
「そこまで....」
小さな声が聞こえ俺とハルヒは後ろを振り向いた。
そこにいた人物は・・・長門有希そのものだった!
「有希・・・有希じゃない!なぜこんなところに?」
長門は何も答えない。
「どうしたんだ長門!俺達のこと忘れちまったのか?」
俺がそう言うと、
「あななたちは見てはいけないものを見てしまった....」
「よってこの場で抹殺する....」
ハルヒがあっけに取られた顔で長門を見ている。
「なぜ・・・なぜなの有希・・・」
そうハルヒが言った途端、長門の両腕にブレードのようなものが
出現した。
早く逃げなければ!恐らく別の兵士もすぐに迫ってくるに違いない。
俺は呆然とするハルヒの手を取り元来た道をダッシュで逃げようとする。
「ハルヒ逃げるんだ!今の長門には俺たちの言葉は通じていない!」
「でも・・・でも・・・」
「いいから速く!」
俺とハルヒは猛ダッシュで逃げた。
途中ハルヒはカメラを落としてしまい、
「あ、カメラが!」
「今回は諦めろ!今は命が大事だ!」
カメラを見た瞬間長門が呪文を唱えている光景が見えた。
やばい!空間封鎖でもするつもりか!
と、驚愕していると途中で呪文が途切れ、
「舌かんだ....」
俺とハルヒはその言葉を聞くとあっけに取られた。
が、すぐに我に返り逃げる。
 
「逃がさない....」
そういうと長門はこっちに向かってダッシュしてきた!
長門のスピードでは追いつかれるのも問題だ!まずい!まずい!
そう思いながら走り続けていたが一向に長門が迫ってくる様子が無い。
恐る恐る後ろを見ると最初の長門のいた位置から10mほどのところで
長門がこけて倒れている。
どうやら絡まった雑草に足を引っ掛けたようだ。
「うかつ....」
チャンスだ!俺はハルヒの手をつかみ猛ダッシュで走った。
 
「戦闘モード変更。長距離狙撃モード....」
そうつぶやくと長門の手はバズーカー砲のようになっていた。
げ!あんなのに撃たれてはまず助からない!
そう思った瞬間前方に人影が見えた。
よく見ると意外な人物・・・それは喜緑江美理だった!
両方に囲まれ万事休す!そう思ったとき、
「2人とも早くこっちへ遮断フィールドを張ります!」
その言葉を聞き俺とハルヒはすぐさま喜緑さんの元に向かった。
遮断フィールドが張られた直後長門からすさまじいビーム砲が
フィールドに当たった。危機一髪だった。
「あなた方を車まで転送します。そのあとは出来る限り迅速に逃げて!」
「なぜあなたが俺たちを助けてくれるんですか?なぜ長門は俺たちを・・・」
「今は説明している時間はありません。いずれ分かるときが来ます。」
そう喜緑さんがいうと次の瞬間には俺とハルヒは車の中にいた。
「ハルヒ!車を出せ!急ぐんだ!」
「わかってるわよ!」
そういうとハルヒは猛ダッシュで車を基地とは逆の方向へ走らせた。
 
その頃基地では長門の下に兵士が集まっていた。
「追いますか?」
「いい....物的証拠は何も無い。」
「わかりました。では各自引き上げます。」
そういうと兵士はカメラを取り上げフィルムを出し燃やした・・・
そして喜緑江美理の姿も消えていた。
 
次の日、俺たちはワシントンD.CのFBI本部のオフィスにいた。
「なんで有希が私たちを殺そうと・・・しかも初対面みたいな
態度で・・・」
ハルヒは自分の席で悲嘆にくれていた。
「しかもまるで宇宙人みたいな感じで・・・喜緑さんも・・・」
ハルヒは自分の力を失った後も長門たちの正体を知らなかった
からな・・・
「ハルヒ、多分長門には何か事情があるに違いない。喜緑さんも
言ってたじゃないか『いずれ分かるときが来ます。』と。」
しばしの沈黙の後ハルヒはいつもの元気な声で、
「そうね!私達がX-FILEを追う限りきっと答えは見つかるわ!
絶対にね!」
「そうだな。俺達で真実をつかむんだ。」
「あたりまえでしょ!私を誰だと思ってるのよ!涼宮ハルヒよ!」
妙な自信を持ってしまったハルヒだが、まあこれでいいんだろう。
しかし、長門の「別の任務」とは一体・・・
 
次の休日、私は家の近所のグラウンドでジョギングをしていた。
そこへ以前現れた初老の男性がまた姿を現した。
「命を落とすところだったな。これからはもっと慎重に行動するんだな。」
「そうね、考えておくわ。」
「まあ聞け、今後も利害が一致する場合には君に情報を提供しよう。」
「あなたの目的はなんなの?」
「君と同じ、『真実』さ。」
「あそこで見たもの、一体なんだったの?」
「UFOの技術・・・かな。」
「涼宮捜査官、1つ教えてもらいたい。君は確固とした証拠も無いのに
なぜ宇宙人の存在を信じてるのかね?」
「それは・・・存在を否定する証拠もまた無いからよ。」
「そのとおり。」
「やっぱり彼らはいるのね?」
「もちろんだとも。ずっとはるか昔の時代からね。」
そういうと男性はグラウンドから姿を消した。
 
「有希や喜緑さんもやはり宇宙人なの・・・?」
私は一人グラウンドの真ん中で放心状態で考えていた・・・


 
<再会・終>


 
涼宮ハルヒのX-FILES おまけ2
 
ハルヒ「まさか有希が本当に襲ってくるとはね。」
キョン「喜緑さんが出てくることも意外だったな。」
ハルヒ「あの男って一体何者なのかしら。」
キョン「作者設定では最後には正体は;y=ー(゚д゚)・∵. ターン」
ハルヒ「キョン!いやあ!死なないで!」
???「このスモークチーズで助かるにょろよ!」
ハルヒ「あなたは・・・鶴屋さん!」
鶴屋 「あたしって出てくる役割あるのかなぁ・・・」
 
キョン「というドリームをみた。」
ハルヒ「たぶん鶴屋さんには出番無いかもね。」
鶴屋 「にょろーん・・・」
キョン「作者はヘボで気まぐれなんで大目に見てやってください。」
 
次回 涼宮ハルヒのX-FILE あったらお楽しみにw
 

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最終更新:2020年03月12日 16:09