長門か。わざわざ放課後に呼び出すって事はまた警告か?
 
「そう。だが警告は既に伝えてある。だがあなたは警告に背いた。最終判断を下す日」
最終確判断って…
 
「あなたは、統合情報思念体からの警告を受けてから約一週間の時間を与えられた。
その間に、十分答えを見出せたはず。よって今日この場で統合情報思念体による最終の判断
及びプログラムの実行を行う」
 
待て、確かに一週間の時間があったがそれがハルヒの能力や周囲になんら変化があったとは考えられないぞ。
それを考えれば、まだ判断するには早いんじゃないのか?
 
「それは違う。この一週間あなたと涼宮ハルヒの行動は全て監視されていた。と同時に涼宮ハルヒの能力は
ほぼ完全に近い形で消去されている。現在涼宮ハルヒの能力を数値化で表すとすれば0.2%程度
これにより統合情報思念体は進化の鍵を失ったと判断。よって、残された道は一つとなった。」
 
俺は完全に言葉を失ってしまった。おそらく人生の中で何度かあるだろう絶体絶命ってやつに今直面してる
どうすればいいんだ?長門が俺に一週間前言ったように、アイツと別れるしかないのか?
 
「以前にあなたに話した選択肢は、強硬派が主流となった今は意味を持さない」
なんだって?つまり俺に選択肢はないのか?
 
「そう。今はもっとも可能性が高い行動を起こし涼宮ハルヒから情報爆発を強制的に起こし
その能力をサルベージするのが残された方法。それを行うように私は今ここにいる。私は既に監視役ではない
その実行権を与えられそれを実行することが可能。」
 
長門がそう言い終わると同時に、口元がまるで早送りの様に素早く動く。いつもの呪文詠唱の様に情報操作
 
やめ…ろっ! 
 
俺は陸上選手がクラウチングスタートから全力で駆け出す様な格好で静止していた。
以前の朝倉にされたようにこちらの意思などお構いなしに完全に体が動かなくなってしまった。
 
「現時刻をもって、あなたの意思とは関係なくあなたの全ての行動は統合情報思念体によって制御・コントロールされる」
まて、長門。なぜ、ハルヒの能力がなくなったと判るんだ?可能性は0ではないのならまだ強行するべきじゃないはずだ
 
無駄だと判っていた。まだ喋れるものの体はハルヒを教室に呼び出すようにメールを一生懸命作成していた。
 
「あなたは、この一週間涼宮ハルヒと共に過ごし。彼女が何を望んだのか気づいているはず
彼女は『普通』の女子高生としてあなたの彼女として過ごした。普遍的一般的を嫌う涼宮ハルヒが
『普通』であることを強く望みそれは結果としてSOS団と言う、超特殊空間を解除するに至った
つまり、涼宮ハルヒにとって興味の対象、及び自己の存在意義を特殊な出来事や人物に出会う事で生み出すのではなく
あなたと過ごす何の変哲もない時間が涼宮ハルヒにとっての意義となってしまった。以上が涼宮ハルヒが能力を失う顛末。」
 
つまりこれはもう、諦めるしかないのか?俺にはどうしようもないってことか?
 
「そう。人類レベルではどうしようもないこと。受け入れることを推奨する。」
「言語の制御を行う。意思の疎通は人類レベルでは不可能。情報爆発を誘発するプログラムを作動する」
 
マジだ。喋れん頭の中で考えるしかない。って言うかどうしようもないのかよ。
催眠術とかじゃないのは判ってるが意思と関係なく体が、勝手に動く。
んで目の前には長門がいるわけで……なんで顔がだんだんアップになってるんだ
おいおいおいおいおい!!!!!これってもしかして、キスしようとしてるのか!
これが情報爆発を生み出すためのプログラムなのかよ。
 
そうこう、してるうちに顔の接近が止まっていた。感触は少ししかしないものの明らかに
長門の唇と俺の唇が重なり合っている感触がした。
 
「ヒトというものは幸せの絶頂時に味わう不幸が一番衝撃が大きく、それによる情報爆発を
生み出す可能性が涼宮ハルヒにはある。三年前に涼宮ハルヒが受けたと考えられる感覚を再び与える」
 
俺の考えの中に長門の声が混じってきた。つまり思考ものっとられつつあるワケだな。
 
「そう。アナタと私はひとつの存在になる。それがプログラムによって構築されていること」
今度は自分の両手が長門の腰と肩に伸びしっかりと抱きしめているのが伝わってきた。
長門は背が低いので少し伸びをしているようにも見えた。
 
「キョン、話ってな…………に……してんのよ………」
 
来てしまった。世界は終焉と同時に新たな構築を行おうとしている
ここに佇んでいる一人の少女の心に全ての人々の生活や思いをのせて。
 
世界は生まれ変わろうとしているのか、それとも………
 
「いやぁぁぁぁぁぁあっぁっぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
 

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最終更新:2020年03月12日 16:04