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では、行かせて頂きます。
今日はハルヒ視点で!なんとか15レス程に収まればいいんだけど・・・


━━━━━突然だけど・・・とにかくアタシは授業が嫌いだ。

だから、なにかしら暇潰しのネタを見付けては、放課後まで一日をやりすごす。
前に座ってるキョンの背中をペンで突っついたり、背中にムフフな言葉を書いて困らせたり・・・も、いいんだけどね?
あんまりヤリ過ぎると、本気で怒るのよ!
だから何か他の事を・・・
そうね、最近は漫画にハマッてる。
なんてったって、読書の秋だし!
今日も五時間目から教科書でカモフラージュしながら「花男」を読みっぱなし!
まさか、道明寺がニューヨークへ行っちゃうとは思わなかったわよ!
つくしちゃんとの関係は、どうなるのかしら・・・

って、あれ?


気が付くと、授業はとっくに終わっていて、アタシ以外のクラスのみんなは居なくなっていた・・・。

不覚だわっ!早く部室に行かなくちゃ!━━━━━


【凉宮ハルヒの奮闘@コーヒーふたつ】



アタシは急ぎ足で、午後になって少し冷え込んできた廊下を、部室棟へと歩いた。
ちなみに、我がSOS団の本日の活動内容は未定。
歩きながら、今日は何をしてやろうか少し考えてみるけど、これといって名案が浮かばない。
まあ、いいわ!部室で、ゆっくりお茶でも飲みながら考えるとしよう!
部室に近付くと、楽しそうな話し声がドアの向こうから聞こえてきた。

(みんな、もう来てるな・・・)

なんだか楽しい気分になって、アタシは勢い良くドアを開けた。

-みんな、揃ってるわねっ?・・・て、あれ?何を食べてるの?

「おう、ハルヒか!朝比奈さんが、クッキーを焼いて来てくれたんだ!」

キョンが口をモゴモゴさせながら、嬉しそうにしている。


「いやぁ、実に美味いですね!商業的価値すら感じさせる味わいですよ?」
「・・・・学習により疲労した脳には糖分の摂取を推奨する。」

古泉君もユキも夢中で食べてる・・・。
みくるちゃんに、こんな特技があったとはね・・・。

「いやぁ、朝比奈さん!本当に美味いですよ!」
「やだ・・・ふふっ、キョン君たら!じゃあ・・・また何か作りましょうか?」
「ええ、是非!」

くっ・・・馬鹿キョンの奴!甘いものは苦手だって言ってた癖にっ!
デレデレしちゃって何よっ!

「おい、ハルヒも食ってみろ?美味いぞっ!」
-いらない。
「なにムクれてるんだ?」
-・・・ムクれてなんかないわよっ!
「ハルヒ?」
-今日は先に帰るっ!

なんだかものすごく頭に来て、アタシは部室を飛び出した。




学校を離れてしばらくたっても、アタシの腹の虫は治まらなかった。
まったく・・・馬鹿キョンの奴・・・
あんなに嬉しそうにする事ないじゃない・・・

大体・・・お菓子作りくらいアタシだって出来るわよ・・・

あ!

そうだっ!良い事思い付いたっ!
明日のSOS団のオヤツをアタシが作れば良いのよっ!
そうね・・・クッキーとかじゃなくて、ゴージャスにショートケーキなんかどうかしらっ!
お菓子作りなんてやった事ないけど、『萌え系ドジっ娘』の代名詞のみくるちゃんが出来るんですもの!
やってやれない事は無いわ!
とりあえず作り方さえ解れば、後は材料を買って楽勝よっ!

アタシはとりあえず、商店街へと向かった。


買い物を済ませて家に帰ったアタシは、早々と夕食を済ませるとキッチンに立って準備を始めた。
一通り道具を揃えて、材料を並べるアタシを見て、母さんが驚いてる。

「ハルヒ・・・あんた、何やってるの?」
-ん~?ケーキ作るのっ!
「ええっ?あんた、カレーさえマトモに作れないのにっ?ケーキって難しいのよ?」
-煩いわね!人間、やる気になれば、なんでも出来るのよっ!
「まったく・・・やれやれだわね・・・」

母さんは呆れた顔で茶の間へと戻って行った。
まったく・・・大きなお世話よね!
おおっと、母さんに構ってる暇なんて無いわっ!早く作らなきゃ。
えーと・・・小麦粉にベーキングパウダー・・・無塩バターに砂糖に卵っと・・・。
卵は黄身と白身に分けるのか・・・。
そして、先に黄身にバターと砂糖を入れてかきまぜる・・・あれっ?

砂糖が溶けないじゃないっ!どうするのよ、これっ!

「ちょっとハルヒ!お砂糖は少しづつ入れるのよっ!」
-あれ?母さん・・・居たの?
「まったく、おちおちテレビも視てられないわね!いいから全力でかきまぜて、溶かしてしまいなさい!」
-う、うん。
「そしたら白身を泡立ててっ!モコモコになるまでやるのよっ!」
-でええっ?全然モコモコになんかならないわよ?
「パワーとスピードが足りないのよっ!ココで気合いを入れないと、スポンジが膨らまないんだから!」
-わ、わかってるわよ!どぉぉりゃああああああああっ!
「そう!そしてそれにさっきの黄身を混ぜて、最後に粉を混ぜるっ!」
-うん!・・・それっ!

アタシは用意しておいた小麦粉を全部、勢い良くボールに入れた。

「・・・やっちゃったわね?」
-えっ?何?
「・・・小麦粉もフルイにかけながら少しづつ入れるんだけど?」
-あ・・・!ねえ、母さんっ!どうしよう・・・・
「うーん・・・とりあえず、粉がダマにならないように良く混ぜなさい。もしかしたら上手に焼きあがらないかもしれないけど・・・まあ、初めは誰でもそんなもんよっ!」

とりあえずアタシは、母さんに言われた通りに良く混ぜた後、型にそれを流し込んだ。


そして、オーブンに入れて焼けるまで待つ・・・・けど、なんだか全然膨らまない。

-母さん、どうしよう・・・。
「やっぱり駄目か。ねえ、ハルヒ?ケーキ作りは勢い良くやっちゃ駄目よ?地味に、丁寧にやらなくちゃね。」
-うん・・・。これ、失敗?
「・・・大丈夫よ。焼き上がったら上下半分に切って、フルーツとクリームを多目に挟めばいいわ。それに・・・アンタの選んだ彼は、少しくらい美味しく無くたって喜んでくれるわよ!」
-っ!母さんっ?

な、なんでっ?母さんにはキョンの事なんか話した事ない筈なのにっ!

「なに赤くなってるのよ?ふふっ・・・アンタは本当に母さんの若い頃にそっくりね。」


それから少し後・・・
アタシのショートケーキは完成した。
ちょっと生地が固くなっちゃったけど、中々の出来栄えねっ!
明日の放課後に、みんなの驚く顔が目に浮かぶわっ!
そして、夢中で食べるキョンの顔もねっ!
さてさて、疲れたからもう寝ようっと!

次の日・・・
アタシは、朝起きてすぐにキョンにメールした。
『今日は電車で行く』っと・・・これで、良し!
一緒に行くとケーキの存在がバレちゃうじゃない?
放課後に驚いてもらわなきゃ、意味ないのよ!

そして、アタシは急いで着替えて学校へと向かった。

学校に着くと、誰にもバレないように部室に寄って、冷蔵庫に持って来たケーキを隠す。
ふふっ、完璧だわっ!
そして、何事も無かった様にアタシは教室へと向かった。そう、何事も無かった・・様に・・・

「おい、ハルヒ!何ニヤけてるんだ?」
-へっ?なななななんでも無いわよっ!
「また、妙な事考えてるんじゃないだろうな?」
-なによっ!「妙」とは失礼ね!

まったく、キョンは解ってないんだから。
まあ、いいわっ!とにかく放課後、放課後っ!


そして放課後・・・

不覚だった・・・。
また授業中に漫画を読んでたら、知らない内に授業が終ってた・・・
何やってるんだろ、アタシ・・・

ま、いいか。
少し遅れたけど、部室に行ってケーキのお披露目といきますかっ!

部室に近付くと、楽しそうな話し声がドアの向こうから聞こえてきた。

(みんな、待ってなさいよっ・・・)

いよいよ、みんなにアタシのケーキを・・・!
味はイマイチ自信が無いけど、クリームとフルーツのボリュームなら負けないわっ!

アタシは勢い良くドアを開けた。

-みんな、揃ってるわねっ?・・・て、あれ?・・・何を・・・食べてるの?

「おう、ハルヒか!朝比奈さんが、マドレーヌを焼いて来てくれたんだ!」
キョンが口をモゴモゴさせながら、嬉しそうに・・・している。
「いやぁ、実に美味いですね!昨日のクッキーも美味しく頂きましたけど、今日のマドレーヌもまた素晴らしい!」
「・・・・。(ムシャムシャモグモグモグモグ)」
古泉君もユキも夢中で食べてる・・・。

「おい、ハルヒも食ってみろ?フワフワで美味いぞっ!」
-いらない。
「なに怒ってるんだ?」
-・・・怒ってなんかないわよっ!
「おい、ハルヒ?」


なんだかものすごく悲しくなって、アタシは部室を飛び出した。

そして・・・
とりあえず屋上に来てみた。
もう、西の空は微かにオレンジ色になりかけていて、それを見てるとなんだか益々切なくなってくる。

-なにやってんだろうな・・・アタシ。

しばらくぼんやりしていると、微かなオレンジ色はみるみる朱色に変わり、やがて淡い紫色を連れて来た。

少し寒いな・・・もう、帰ろう。

アタシはとりあえず、食べてくれる相手を失ったケーキを取りに部室に戻る。

部室には、もう誰も居なかった。

冷蔵庫を開けると、今朝のままの姿でケーキが置いてあるのが見えた。
アタシは、そっとそれを取り出すと、机の上に置いてみる。

どうしようかしらね、これ・・・

その時!突然、ドアが開く音がした!

「ハルヒっ、ここに居たのか!探したんだぞ?」

ドアの方を見ると、キョンが呆れた様子で立っていた。

-な、なによ!キョンこそ何やってんのよ?
「お前を待ってたんだろうが!今日は一人で帰るともなんとも言ってなかったし!」
-そう・・・だっけ?
「そうだ!・・・ところで、それは何だ?ケーキか?」

キョンは、アタシが机の上に置いたケーキの箱に気付いたみたい。
でも・・・もう、遅いわね・・・。

-なんでも・・・ないわよ・・・。
「そうか・・・。」

そう言うと、キョンは何か考える素振りを見せた。

そして「なるほど」って顔をしたと思ったら、突然ケーキの箱を開け始めた。

-ち、ちょっと!何するのよっ?
「ん?ああ、食べようぜ?」
-えっ・・・?
「駄目か?」
-駄目じゃ・・・無いけど・・・。
「ん。待ってろ?今、切り分けるから。」

キョンは、流し台から包丁とお皿を取り出すと、手際よくケーキを切り始めた。
でも・・・やっぱり固そうだな。
さっきの、みくるちゃんのマドレーヌとは全然違う・・・。

「おい、食べないのか?」
-え?ああ、食べるわよ。
「それじゃあ、いただきます!ん・・・おお!美味いな、これ!ハルヒが作ったんだろ?」
-そうだけど・・・。
「んん!美味い!」
-そ、そんなことないわよ・・・。
「いや、本当に美味いぞ?」
-っ!そんな事ないって言ってるでしょっ!

何だか、見え見えのお世辞を言われてる気がして、アタシはだんだんイラついてきた。
だって・・・どう考えても、みくるちゃんの作るお菓子には及ばない・・・
アタシは夢中で食べているキョンに、思わず声を張り上げてしまう。

-そんなに『美味い美味い』って言うんだったら、どんなふうに『美味い』んだか説明してみなさいよっ!

ふと、キョンのケーキを食べる手が止まった。
そして・・・顔を上げてアタシをじっと見つめてる・・・。

「ハルヒの・・・一生懸命な味がして、美味いぞ。」

-・・・バカ。キョンの・・・バカ。

何だか嬉しくて照れ臭くて、アタシは夢中でケーキを食べて誤魔化した。
そして、やっぱり少し固いな・・・と思う。

ごめんね、キョン。
次は、とびっきりのヤツを作ってあげるからね!


おしまい


と、見せかけて・・・





「おい、ハルヒ。口の周りがクリームだらけだぞ?」
-え?ああ、本当だ・・・
「・・・とってやるよ」
-え?ち、ちょっと!キョ・・・ン・・・
んっ・・・



本当におしまいっ!
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