「あんたって変な顔してるわよね」

ハルヒが唐突に変なことを言い出した。
「なんだ、藪から棒に」
「いや、あんたの顔じーっと見てたら変な顔だなあって思って」
なんだこいつ。
「よくもまあそう失礼なことを真顔で言えるもんだなお前は」
「いや別にあんただし良いでしょ」
理由になってねえよ。明確な根拠と論理過程を述べろ。
「キョンの顔を見ました。変な顔でした。証明終了」
「勝手にQEDするなぼけ。お前しか納得できてねえじゃねえか」
「そんなことないわよ。ねえ?あんたもそう思うでしょ?」
たまたま通りかかった国木田に話をふるハルヒ。国木田はいきなりの質問に少しばかり驚きを浮かべながらも、
「えっ、そうかなあ。実に平均的で平準化されたありふれた日本人顔だと思うけど」
こいつも真顔でひどい事を言う。そこはお世辞でもそんなことないよーイケメンだよーとか言えよ。てかすんなり答えられたってことはお前ずっと話聞いてやがったな。
「いや貶したわけじゃなくてさあ。日本人の象徴みたいな顔だってことだよ。平均的っていうのは実は素晴らしいことなんだよ?」
にこやかに笑いながら国木田は喋る。
「言い換えればオールマイティってことさ」
…いやそれは違うだろ。いくら英語が苦手な俺でもわかるぞ。
「でも君のその顔が好きな人だっているじゃないか」
はあ?誰だよそいつ。
「キョンもよく知る人物だよ」
俺の知ってる人ってーと長門や朝比奈さんか?もしや鶴屋さんだったりして。
「恐らくだけど今君の脳内フォルダから引き出した人物は全て僕の挙げた人物と違うだろうね」
国木田は呆れたように苦笑しながら、
「…っとごめんよ涼宮さん。話を取っちゃったね。あとはご自由に」
俺の背後を見た途端足早に遠ざかって行った。俺の背後はというと、
「キョン」
ハルヒがジト目で睨んでいた。なんだか久々に見るなあその目つき。
「あんたの顔が好きな奴なんていないわよ」
ジト目を更に深めながらハルヒが言う。
「絶対いないから」
もう分かったから。流石にそれ以上言われるとカーボン結合体並みに頑丈な俺のハートも結合崩壊を起こしちまう。
「…せいぜい今のうちからそのだらしない顔をどうにかすることね。表情筋を鍛えなさい」
ただでさえ普段から筋トレなんて3日坊主どころか1時間も出来ないというのに、どうしてそんなマイナー筋肉を鍛えねばならんのだ。
「まあ鍛えても無駄だけどね」
…こいつは俺をどうしたいんだ?
 

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