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 ちょっと、無駄な話をさせてくれ。実を言うとだ、ナツキの笑顔ってのは正直苦手だったりする。なぜかと言うと、ナツキが笑っている時は、決まってしょうもないことを思いついた証拠であり、俺にろくなことがないって法則があるからだ。


 確か中2のころだったか。思いつきで料理をやりたいなんて言い出したはいいが、なぜか俺の家でやることにして家を天ぷらにしようとしたあげく、飽きただのなんだの言って、俺に料理をやらせやがった。結果、俺の方が料理うまくなるってどういうことよ。
 

 他にもあるぞ。俺はその他大勢として、目立たず、つつがない学校生活を送るつもりだったんだ。それなのに、体育祭にしろ、文化祭にしろナツキが企画を立案して、その中心に俺を投入しやがる。体育祭では、地獄の特訓をさせられたあげく、全種目出させられた。文化祭では、おそろしくクオリティの低い演劇をさせられ、それだけならまだしも、主役の姫様役ってなんで俺がやんなきゃいけないんだよ!
 

 でも、
 

「ふふ、お兄ちゃんって、変な人だね」
 

まあいいさ。なぜか知らないが、ナツキが笑っている間は、あまり嫌な気分にはならないからな。だから、こうやって後々愚痴るくらい許してほしい。


 おっと、そういえばナツキがいなくなったってことで、大騒ぎをして探した覚えがあるな。たしかすぐに見つかったはずだが、日も落ちて暗くなっているし、おばさんが心配しているはずだ。家まで送り届けることにするか。
 

「ナツキちゃん、家に帰ろう。みんな心配して……」
 

「ナツキちゃん!」
 

突然、怒鳴りつけるような声が聞こえたので振り返ると、小さな男の子が猛スピードで向かってくる。なーんか、どっかで見たことがあるような……。
 

「おいおい、マジかよ……」
 

そりゃ、見たことあって当然だ。あのアホ面した男の子は……、俺だ!
 

 小さい俺は、立ち止まることなく
 

「ナツキちゃんから、離れろ!」
 

猪並の突進力をもって突撃してきた。

 

「だあっ!」

 

 一瞬呆然としたことと、あまりのスピードのため避けることもできず、直撃して盛大に吹き飛ばされた。昔の俺ってこんな無鉄砲だったっけな?

 

「あたた……。待て待て、俺はナツキちゃんと話をしていただけだ。何もしていないぞ」


「うそつけー!この悪党!」


 あー、恥ずかしい。一生懸命なのはわかるが、人の話くらい聞こうぜ。こんなんだから、先生のありがたい話が、脳みそ通過せずに通り抜けていくんだよ。将来のために、粛正すべきか?


「やめて!お兄ちゃんは、悪い人じゃないよ!」
 

 ナツキが怒鳴ると、途端に小さい俺はひるんで離れた。
 

「でもでも!どう見ても悪人顔じゃないか……」


 その言葉、そっくりそのまま返してやる。お前も将来この顔になるんだからね!

 

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