とにかく、俺は責任を取らないといけない。女の子が落ち込む姿なんか見たくないんだ。決意を胸に、朝比奈さんの手を取った。


「元の世界に帰れるまで、俺の家にいてください」
 

「えっ!」
 

「大丈夫、親はいませんから」
 

「え、ええっ!」
 

 あれ?なんで、引き気味なんだ?顔を真っ赤にして、泣きそうな顔になっている。あっ!
 

「いや、そういう意味じゃありません!あの殺風景な家に、独りぼっちにしたくないってことです!もちろん部屋は別ですよ!」
 

セクハラじみた発言を非常に後悔した。俺は、なんつー大馬鹿野郎なんだ!
 

「ぷ、あはは……」
 

 あれ?さっきまで泣きそうになっていたのに、笑っている。なんでだ?
 

「前から思ってたんですけど、キョン君に似てますね」
 

「キョンに?」
 

「顔は全然違うんですけど、雰囲気とかいろいろ似てます。ふふ……」
 

 なんか、ほんの少しだけ複雑な気分になったが……、まあいいさ。朝比奈さんが笑ってくれんだからな。
 

 家に帰った後、再び朝比奈さんと今後の行動について検討することにした。きっと、何かいい方法が必ずあるはずだ。諦めてたまるかよ。
 

「やっぱり、ここは元々俺がいた世界です。何も変わってませんでした」
 

「あたしは、念のため連絡をしてみたんですが、何の反応もありませんでした。この世界の未来には、時間移動というものがないのかもしれません……」
 

 16年、何の変哲のない世界で生きてきたんだ。未来人なんてとんでもない存在は、当然ありえないって、俺は認識してる。だが、朝比奈さんは違う。朝比奈さんにとって、未来人の存在そのものが、現に存在しているもので当たり前のものなのだ。
 

 だが、この世界には無いものが、俺の世界には存在している。それが朝比奈さんという存在。だったら、朝比奈さんだけ、この世界に来た理由は一体なんだ?


「あの……、朝比奈さんが昨日寝るまでの行動について教えてください。変わったことはありませんでしたか?」

 

「特に変わったことはありませんでした。お買い物に出かけた後、家にいました」

 

「じゃあ、この世界で過ごして、何か気になることがありませんか?」
 

「そのっ、あまりにも世界が違いすぎるんです。あたしの部屋も、全然違っていましたし……、あれ?」


「どうしました?」
 

「えっと、あたしが起きた部屋に元々いた人は、どこに行ったんですかぁ?」
 

 なんてこった。朝に教室で感じた違和感の正体はこれだったんだ。朝比奈さんに気を取られ、この世界の変化に気づいていなかった。朝比奈さんにとって、この世界は異質そのものだ。だが、俺にとってはどうだ?ほとんど、元の世界と同じだった。ある部分を覗いては、の限定条件でな。

 

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