昼休みになり、朝比奈さんを迎えに行くことにして、下の階にある3年の教室まで行った。すぐに見つかるかなと不安だったが心配することはなかった。なぜなら、朝比奈さんは、どこにいてもすぐに見つけることができる神秘の輝きを放っているからだ。


 上級生の部屋に突撃をかます勇気はなく、気づいてくれ、と願いながら教室の前を2、3回うろついていた。自分でいうのもなんだが、完全に不審者だ。その内、朝比奈さんが俺に気付いて普段のおっとした雰囲気からは想像できない速度で近づいてきた。
 

「お待たせしました。行きましょう」
 

 そう言うと、俺の腕を引っ張って早足で歩いていく。3年の男共から、殺意を感じたのは俺の気のせいだろうか?
 

 とにかく、刺すような視線が無数に飛んできたので、朝比奈さんの足取りに合わせてさっさと3年の階を離れ、パンとジュースを買い、屋上で話をすることにした。
 

「いろいろ聞いてみたんですが、あいつらはこの世界にはいないようです」
 

「そうですか……」
 

朝比奈さんも調べてみたのだろう。最初から、沈んだ様子だった。
 

「朝比奈さんは、未来人なんですよね」
 

「そうです……」
 

「過去に行くように、次元って奴を越えて元の世界に戻れないのですか?」
 

「それは、できません。詳しいことは禁則事項なんですが、時間移動と次元移動は全く別物なんです。私ができるのは、この世界での時間移動です」
 

 ますます、落ち込んでしまった。そりゃそうだよな、いきなり知らない世界にとばされてしまったんだ。落ち着いてなんていられるわけがない。俺だって、キョン達がいなかったら、まともな精神でいれた自信はないね。


「あたし……、もう元の世界に戻れないんでしょうかぁ……」
 

 い、いかん。朝比奈さんの目が潤み始めているぞ!
 

「何か元の世界に戻れる方法があるはずです!きっと、大丈夫ですからもう少し時間をください!」

 

 昼休みが終わる間際、放課後に待ち合わせることを約束して朝比奈さんと別れた。休み時間のたびに学校を探索して、何かヒントがないか探したんだが、特段変わったことはなかった。

 

 そして、放課後となり、俺は再び朝比奈さんと合流したところ
 

「あのう、この学校には文芸部ってないんですか?」
 

申し訳なさそうに聞いてきた。文芸部?いや、確かそんな部はなかったと思うんだが……。一応調べてみるか。
 

 職員室に行き、担任に文芸部がないか聞いてみたところ
 

「文芸部なんてないぞ」
 

淡々と答える担任。くそ、むかつくな、俺達にとっては重要なことなんだぞ。人の気も知らないで……。まあ文句を言ってもしょうがない。
 

「一度帰りましょう」
 

「そうですね……」

 

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