文芸部の部室は、校舎から離れた部室棟ってところにあるらしい。人に聞きながらやっとこさ文芸部の部室に到着した。念のためノックをしたのだが、返事はない。なんかすげえ緊張するな。数回深呼吸をして、おそるおそる戸を開け、中に入った。
部室の中では、長門1人が椅子に座って本を読んでいた。ノックをしたんだから、返事くらいしろよな。それで、栞を見たんだが、何の用だ?
「……」
長門は一旦本から目を離し、俺のことをじっと見たが、飽きたのかすぐに本に目を戻した。こいつ、実はすっげえ無口な奴なのか?それとも、馬鹿正直に来た俺を内心笑っているのか?
困って立ちつくしていると
「遅くなりましたー、ってあれ?」
後ろから女の子の声がした。
振り返ると、とんでもない美人がそこにいた。ふわふわした長い髪に、大きな目、童顔なのに、大人びた身体等々、口では言い表すのが難しいくらいの美女だ。
そして、この美女の後ろから、
「どうしたんですか、朝比奈さん?んっ?」
「急に止まらないでくださ……?」
だるそうな顔をした男と、もてそうな顔をした男が入り口で立ちつくしていた。
もしかして文芸部の部員か?案外部員が多いんだな。俺がぼんやりしていると、だるそうな顔をした男が
「なんだ、もしかして不思議な事件の相談ってやつか?またハルヒが喜ぶな」
ため息をつきながら言った。
とりあえず、お互い自己紹介をすることになった。
美人な女の子が、朝比奈みくるさん。同級生か、後輩かと思ったが、実は年上で3年らしい。とても年上には見えない。下手をすれば中学生だ。
だるそうな男が、2年5組のキョン。外国人だと一瞬疑ってしまったんだが、キョンってのはあだ名なんだってさ。そんなふざけたあだ名で、こいつは抵抗ないのか?
んでもてそうな男が2年9組の古泉一樹。とりあえず、この3人は話が通じそうだから、いろいろと聞いてみるか。
「俺は、長門……さんに呼ばれてきたんだ。さっき俺を呼んだ理由を聞いたんだけど、無視されて困っていたんだ。えっと、君たちの誰かが俺を呼んだのか?」
3人はそれぞれ顔を合わせて、首を振った。
すると、キョンが
「長門、どういうことだ?」
長門に質問をした。聞いても無駄だって。何度聞いても、無視したんだからな。
「彼は、この世界の人間ではない」
予想外だ。俺が聞いても何も答えなかったのに……、ってなんか今重大なことを言わなかったか?