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シュン・・・シュン・・・

俺たち剣道部員は現在、竹刀を持って、素振りをしている。
まだまだ新入部員だからな、これぐらいのことしかやらせてくれん。
まあ、まだまだ未熟な俺達だから仕方ないだろ。
ところで、俺の隣には、俺と同じクラスの女がいる。

涼宮ハルヒ

こいつはいろんな部活に仮入部してるらしい。
はっきり言ってそれは、けっこう好都合だ。
ちょうどこいつと話してみたかったところだしな。

「おい、お前、吹奏学部に仮入部したか?」
「………」
返事がない。まあいい、
「いや、仮入部したということは知ってるんだ。その情報は掴んでるからな」
そう言うと、こいつはこちらに顔を振り向いた。
今の言葉のどこに、こちらに振り向かせる内容があっただろうか?
まさか、ストーカーとかと勘違いされたか?
まあいい。話をつづけよう。

「吹奏学部に豊原っていただろ?あいつの部活中の様子を教えてほしい」
俺がそう言うと、この女は無愛想な顔からさらに怒ったような表情になり、
「は?何それ?」
そう言って、この女は、真正面に顔を戻し、素振りを続けた。
おいおい、俺の話はまだ終わってないぞ。
「とにかく教えろ!」
「うるさい!」
それぐらい教えてくれたっていいじゃねーか。
この生意気女め。

とりあえず、俺はこいつから、話を聞きだす方法を考えだした。
そこで思い出したのが、こいつの入学式のときの自己紹介の言葉だ。
宇宙人がどうのこうの・・・いたらあたしのところに来い!っていうあれ。
本気か冗談かしらんが、とりあえずあの言葉が本気と考えて話をすすめてみよう。
「実はな、豊原は普通の人間じゃないんだよ」
思ったとおり、この女は今の言葉に反応して、先ほどと同じようにこちらに顔をむけた。
その純粋な心忘れんじゃねーぞ。
「だから教えてほしい、豊原の部活中の様子を」
「その前に、あんたが何者なのか教えなさい」
「俺の名は松代だ、豊原のことを調査してる人間とでも言ってやる。とにかく、豊原の部活中の様子を」
「その、豊原っていうやつは何者なのよ?」
「それは、後で教える。とにかく、豊原の部活中の様子を・・・」
「ところで、豊原って誰?」
「あの、丸いメガネをかけてるヤツだ。俺の情報だと、楽器はクラリネットらしい。とにかく、早く豊原の部活中の様子を」

それから、この女はまだ少し疑い深い目をしながらも、とりあえず話す・・・というような感じで話し出した。
「あたしがトランペットの吹き方を先輩に教わってる最中にその男が音楽室に入ってきたわ」
ほうほう、その時の様子はどうだった?
「別に。ちょっとこっちを見て、そのままスタスタと自分の楽器をとりに行ったの」
特に何も気にせず、そのまま歩く。予想通りだ。
「それから、あたしはクラリネットが吹きたかったからそいつに教えてもらったのよ」
「どうやってだ?」
「まずあたしがクラリネットを手に持って、吹いたのよ。でも、鳴らなくて」
いや、それ教わってないじゃん。
「その後に、そいつが手に持っていたクラリネットで音を鳴らしたのよ。そしてあたしは見よう見まねで、吹いて・・・」
「その時、そいつは何か言ってたか?」
「別に、何も言わずにトランペットを吹いてたわ」
そうかそうか、やっぱり何も言わないんだな。
教室と変わらねー。
「それから、次にサックスがやりたいって言ったら、あの・・・由良だっけ?その女を何も言わずに指差して・・・」
どこまで無口なんだよ。
いや、でもそのほうがいい。
「それまでに、ひと言も喋ってねーのか?」
「うん」
なるほど・・・教室でもほとんど喋らねーからな。
唯一喋る相手は、
「それから、1時間ほどして、後藤ってヤツがが入ってきて、そいつが豊原に一緒に帰ろうぜって」
後藤だ。
「その時にも何か言ってなかったのか?」
「えっ?あっ!そういえば、その時にひと言・・・『ああ』って返事をしてたような・・・」
そうかそうかそうか・・・
何も言わずに、一緒に帰ることもできただろうに。

「あたしが、見たのはそれだけよ。さあ、教えてもらおうじゃないの。豊原が何者なのか」
「まあ、待て。ここでお前の意見を聞きたい」
「意見?」
「ああ、お前はずっと無口な豊原が急に、後藤と会うなり喋りだすのはおかしいと思わないのか?」
俺がそう言うと、その女は少し表情を変え・・・
「そう言われてみれば・・・」と呟いてくれた。
「さらに俺の情報だと、後藤は帰宅部だ。帰宅部のヤツが部活終わるまで待ってるというのはこれ、おかしいだろ?」
「その、後藤っていうやつも豊原の仲間なの?」
俺は少し間を置き、
「ああ」
そう答えた。

そこでまた、この女の表情が変わった。
後悔しているような表情だ。
そこで俺は、思い出した。
「確か、お前の席はその男二人に挟まれていたはずだ。何か会話を聞いたことはないか?」
そう言うと、この女は否定の意味で、首を横に振った。
そして、「今度よく見て、聞いとくわ」とも言ってくれた。
ああ、聞き出した情報は俺に教えてくれ。
「で、これであたしが知ってることは全て教えたわ。はやく教えなさい」
「ああ、いいだろう」
そこまで言うと、この女は先ほどより目を輝かせ始めた。
いいねいいねその顔、かわいらしいよ。
興味ないけど。

「豊原と後藤はな・・・」
「豊原と後藤は?」
面白いから少し間を空ける。
だが、少し、イライラしたような表情になって、俺は言った。

「付き合ってんだ」
数秒の沈黙。
「付き合ってる?」
「ああ、つまりホモだな。薔薇とかゲイとも言うが」
しばしの間、この女は黙りだした。
少しずつ表情が変化していく。怒りの表情に。
少しからかいすぎたかな?
「まあ、確信はできないが、多分あいつらはそういう関係なんだr・・・・・グハッ!」
急に腹に激痛が走った。
何事か!と思って下を見てみると、目の前の女が持っている竹刀を俺の腹にねじこませている。
何しやがるんだよ!!
「最悪」
そう言って、さらに竹刀を俺の腹に深く押し、そのまま手を離してそいつはどこかへ行った。
やばい・・・死にそう・・・腹が・・・
ったく、だいたい俺は嘘ついてねーじゃねーか。あいつが早とちりしただけだ。
確かに、騙そうとはしたが・・・。
だいたい、あれぐらいの騙しで、この仕返しはあまりにもきつすぎやしないか?

ったく、あの女め。
自分を中心に世界が回ってるなんて思ったら大間違いだぞ。
宇宙人や未来人なんているわけねーじゃねーか。
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