ん~困った

どうやら俺は死んじまったらしい

何故かはわからないし俺が死んだことを誰も知らないようだ

俺も含めて、誰もが気づかないうちに死ぬなんてことはあるのか?

昨日から家族は連休をとって泊まり込みの旅行に行っているから俺の姿がどうとかは分からなかったのだが・・・

俺はとりあえず今部室にきている

そこには朝比奈さんと古泉と長門がいる

特に何をする訳でもなく皆がそれぞれのことをして楽しんでいるようだ

そんな俺はというといつもの席に座ってぼーっとしている

さっきから古泉や長門の顔の前で手を振ったり変な顔をしてみたりしているのだが

誰も反応してはくれない



皆には俺の姿が見えていないのだろう

長門なら見えている可能性もあるが全く反応してはくれない

周りから見たら不自然になってしまうからだろうか

古泉「それにしても涼宮さん遅いですね。何かあったのでしょうか」

長門「・・・掃除当番」

古泉「そうでしたか。それならば安心ですね」

長門「そう」

そんな会話をしているとタイミングを見計らっていたように盛大に扉を開く音が部室に響いた

というかお前ら俺の心配はどうした



ハルヒ「おっはよーう!」

みくる「す、涼宮さんおはようございますぅ~」

ハルヒ「あらみくるちゃんまだ着替えてないの!?」

みくる「あ、は、はいぃ~」

ハルヒ「全く!SOS団の団員としての意識が低くなってるんじゃないの!?」

みくる「ふえぇ~すいません・・・」

ハルヒ「ほらっ!着替えるわよ!さっさと脱ぎなさい!」

みくる「ひ、ひぃや~、自分で着替えますからいいですよぉ~」

ハルヒ「いいから!ほらっ!!」

そう言うとハルヒは嬉しそうな顔をしながらペコちゃんのように舌を出している

気づくと古泉の姿が消えていた

この展開を予想して早々と部室の外へ出たのだろう


さて

俺の姿は誰にも見えていない訳だ

そして俺は健全な男子高校生だ

もう言いたいことはわかるだろう

俺の中の悪魔が微笑み始める

悪魔キョン「ふっへっへぇ~さ~て始めるがいいさ」

悪魔キョン「朝比奈みくるぅ~!お前の裸がどれほどのものなのか俺が査定してやろうじゃねぇか!」

天使キョン「ダメです!いくら姿が見えていなかろうとあまりにモラルがありません!」

悪魔キョン「うるせぇ!!」バキッ!

天使キョン「あ~~~~れ~~~~~(これでよし」

こうして俺の中の悪魔キョンVS天使キョンとみせかけた悪魔キョンとの闘いは当然のように悪魔キョンの勝利となった

悪魔キョン「ふふふ・・・ふふふふふ!ふ、ふははははははははは!」

みくる「きゃあ~ダメですよぉ涼宮さ・・・あっ・・・」

ハルヒ「こんなもの!・・・こらっ!・・・こうしてやるんだから!!」もみもみ

悪魔キョン「いいぜぇハルヒぃその調子だ!!お前もたまには良いことするじゃねぇか!!」

ハルヒ「ほら!・・・こうしてこうして!・・・こうよ!!!」スパパンパーン

みくる「ふっ・・・ふぇぇ・・・ひゃあ~!!・・・」

長門「・・・」ペラッ・・・

悪魔キョン「んふふふふふふ!最っ高だ!もっとだ!もっとやれぇ!!」

ハルヒ「おりゃぁぁぁぁぁぁ!!」モミモミモミモミモミモミモミ

みくる「ひ、ひぃや~~~~~!!」

ハルヒ「そいやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」モミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミ

みくる「ふえぇ~~~~~~~!!」

ハルヒ「ぜぇ・・・ぜぇ・・・ふんっ、ま、今日はこのくらいにしといてあげるわっ!」

みくる「ひ、ひどいですよぅ涼宮さん~・・・」

そういうと朝比奈さんの目に涙が浮かぶ
そんなことはおかまいなしにハルヒは着々と朝比奈さんにメイド服を着せていった
ふふふ・・・いいものを見せてもらったぜ・・・ニヤニヤ


ハルヒ「古泉くん、入っていいわよ!」

古泉「着替え終わりましたか、それでは失礼します」

そういうと古泉が部室へと入ってきた

古泉「ところで涼宮さん」

お、ついにきたか

そりゃそうだよな

なんせこの俺がいないんだ

いい加減話題に上がってもらわないと俺もさすがに傷つくぜ

古泉「今日はどのようなご予定で?」

おいおい待てよ古泉

おまえわざとやってんのk、ハルヒ「今日は特に予定を決めてないわ!各自好きなことをしてちょうだい!!」

おいおい普通に話を進めるなよお前ら・・・

俺がいないだろ俺が・・・

なんだ?新手のいじめか?俺は元々この世に存在していないことになっているのか?

古泉「了解しました」

古泉「ところで今日・・・彼は?」

ハルヒ「そういえば見当たらないわね・・・どうしたのかしら」

お、やっとか・・・

ハルヒ「有希、あんた何か知らない?」

長門「何も聞いていない」

ハルヒ「そっか・・・どうしちゃったんだろ、キョンのやつ」

どうやら俺の記憶が消えているということはないようだな

とりあえず一安心だ

みくる「どうしちゃったんでしょうか・・・キョンくんが無断欠席をするなんて」

ハルヒ「キョンのやつ・・・見てなさいよっ!!」

やめてくれ、お前ら

古泉「彼にしてはめずらしいことですね・・・」

ハルヒ「まあ今日のところはいいわ!・・・軽い罰金ですませてやるわ!!」

古泉「涼宮さんにも連絡を入れないなんて、彼にもよっぽどの事情があったんでしょう」

やめろ・・・やめてくれ・・・

長門「・・・」

ハルヒは俺の座っている(皆には見えていないが)椅子をじっと眺めている

なんだかとても切なそうな表情をしている

ハルヒ「あたし、なんか悪いことしたかしら・・・」

古泉「そんなことはありませんよ、彼はあなたのことが大好きですから」

ちょ、待て古泉

何を勝手に言ってやがる

ハルヒ「そ、そうよね!バカキョンのやつ!!うさぎ跳びで校庭20周に決まりね!!」

おいおい軽い罰金じゃなかったのかよ

そんなことしたら俺の足がとれちまう

まあ、俺のことが記憶にあることは嬉しかったよ

しかしそのとき俺は、俺の心の中にある絶対の恐怖に気づかないフリをしていた

やれやれ・・・ハルヒのやつは

そこから先の部活はというと、古泉は俺がいないので1人で将棋の本を読みながら実践練習をしていた

朝比奈さんは全員のお茶を淹れ終わると、何やらマフラーのようなものを編み始めた

長門はいつも通り静かに本を読み、ハルヒはパソコンに向かっていた

しばらくいつもの様な時が流れていた


・・・パタンッ

その音と同時に全員が帰り支度を始める

ハルヒ「じゃあね皆!!明日はいつもの場所に9時に集合して不思議探索よっ!!」

古泉「ええ、わかりました」

古泉「彼には僕から連絡を入れておきましょうか?」

ハルヒ「そうね・・・、ええ、任せたわ!絶対に遅刻しないように!遅れたら罰金よ!!って伝えておいてくれるかしら?」

古泉「承知しました」ニコッ

ハルヒ「じゃっ!!」

そういうとハルヒは走って帰って行ってしまった

みくる「それじゃあ私もこれで失礼させてもらいますねぇ~」

長門「待って」

みくる「?・・・どうしたんですかぁ?」

古泉「・・・彼のことですか?」

長門「そう」

古泉「彼はどうしたのでしょう?」

長門「そこにいる」

みくる「ふえぇ?どこですかぁ?」

長門「あなた達には見えない・・・けれど彼はそこに存在している」

古泉「どういうことなのでしょう?」

長門「わかりやすく言うと魂」

古泉「それは・・・」

みくる「キョンくん・・・?」

長門「彼は死んでいる」

古泉「な!、何を言っているんですか!?あなたらしくない!」

みくる「そうですよぉ~!大体なんでキョンくんが死なないといけないんですかぁ?」

長門「・・・待ってて」

そういうと長門の口が高速で動き始めた

やめろ・・・

長門「・・・」ピクッ

長門は呪文を唱えるのをやめていた

長門「・・・何故?」

古泉「ど、どうしたんですか?彼が何か言っているんですか?」

長門「この世に・・・いえ、正確にはあなた達の視神経を通して彼の存在を確認されることを彼は拒んでいる」

みくる「なんでですかぁ?・・・私達に会いたくないんですかぁ・・・?」

すみません朝比奈さん
でも、やめてくれ・・・
長門、俺はこのままでいい

長門「・・・そう」

古泉「ちょっと長門さん!」

長門「これは彼が望んでいること。私にはどうにもできない」

古泉「そんな・・・理由を・・・お聞かせ願いますか?」

言えない
長門「・・・言えない」

古泉「な、何故!?」

すまんな古泉・・・言えないんだ

長門「彼は謝っている」

古泉「・・・」

みくる「キョンくん・・・ひどいですぅ・・・」

・・・何も言えない

長門「来て」

長門が俺に話しかける

お前の家か?

長門「そう」

・・・わかった


古泉「彼は今からあなたの家へ?」

長門「そう」

みくる「わ、わたしも行きます!」

長門「それは彼が望んでいない」

みくる「そ、そんな・・・」

古泉「・・・わかりました、帰りましょう朝比奈さん」

そういうと古泉は泣く朝比奈さんの肩を抱いて部室を後にした

二人がでていったのを確認すると長門が口を開いた



長門「何故」

・・・。

長門「何故拒否をしたのか聞かせて」

怖いんだ

長門「・・・」

忘れられるのが、怖い

長門「それならあなたは拒否すべきではない」

俺だってそうしたいさ

長門「では何故」

俺は、死を受け入れなければならない・・・

長門「・・・」

皆に俺の姿が見えちまうと・・・俺にはそれができない


俺は、ハルヒに振り回されながらも大切な仲間と過ごす毎日のことが気に入っていた

一生この時間でも文句はないくらいだ

それくらい充実してる

でも俺は死んだ
死んだんだ・・・
わかるか?
俺にはもう、そんな毎日を過ごすことができない

そんな未練たらたらの状態で俺の姿が皆に見えちまうと

俺はこの場から離れることができない・・・

長門「それは・・・ダメなこと?」

当たり前だろ!!

俺の死を・・・皆が受け入れられなくて、そのせいで悲しむ姿をずっと見てろって言うのか?

皆が、俺が存在するかのように強がって生きている姿を我慢して見てろっていうのか?

俺は死んだんだ

俺は、俺の死を皆にも受け入れて欲しい

とくにハルヒにはな

へへ・・・あいつ、俺が死んじまったらこの世を滅ぼしちまうんじゃねぇのか・・・

おっと、今のは自惚れすぎたよ

長門「いい・・・事実だから」

長門、頼みがある

長門「・・・何?」

とりあえず、お前のマンションに向かおう

長門「わかった」

そうして俺達は長門のマンションへといったん帰ることにした

マンションに着く頃にはあたりはすでに暗くなっていて、周りの建物から発せられる光が俺にはとても貴重なものに感じた。



バタン・・・ガチャリ・・・

いつものシンプルな部屋だ

シンプルすぎる気もするがそこが長門らしくていい

こいつには家具なんてものは必要ないのだろう

長門がお茶を淹れてくれている間、俺は色々なことを考えていた

朝比奈さんの着替えをのぞいてうはうはしていた自分が懐かしく思える

ほんの数時間前なのにな

ん?・・・ってことはやっぱり長門には俺がのぞいている姿を見られていたってことか?

・・・そういうことになるな

長門「気づいていた」

やっぱりか・・・最悪だ

長門「あなたはとてもいやらしい目をしていた」

うるせぇ!
そういうと俺はせっかく長門が淹れてくれたお茶を味わうことなく一気に飲み干してしまった

長門「照れ隠し」

ぐ・・・お前は本当に痛いとこをついてくるんだな

長門「そう」

長門「でもそんなあなたは見ていて楽しそうだった」

・・・。

長門「あなたは朝比奈みくるが・・・好き?」

そ、そんな訳ねぇだろうが!

た、確かに朝比奈さんは可愛らしくて見ていてそれはもう癒されるがそういう特別な感情を抱いている訳ではないぞ

長門「そう・・・よかった」

よかったってお前何言って!!・・・へ?


長門「・・・頼みって何?」

そこで俺は本題を、長門に頼みたいことを思い出した

果たしてそれは正解なのか

いや、そうじゃないことくらいわかっている

そして、俺が最低な野郎だってことも・・・

しかし、今の俺にはそれしか思いつかなかった

長門「何?」

皆に・・・

言葉が詰まる

こんなに自分勝手なことを言ったら長門は怒るだろうか

いいや、怒るに決まっている

怒らないはずがない

長門「皆に?」

・・・お、俺のことを忘れさせてほしい

長門「・・・・・。」

長い沈黙が続いた

俺は長門の目を見ることができなかった

もし見ていたら俺は情けないことに涙を流していただろう

「こんな思いをするのは俺だけでいい」

そんな自分勝手なことを俺は考えていた

皆が俺のことを忘れることによって、俺は皆を悲しませることはないと思った

長門「・・・わかった」

・・・い、いいのか?長門

長門「いいはずがない」

ど、どっちなんだよ

長門「よくないけど・・・いい」

・・・そっか、ありがとな・・・長門

俺は長門のはかりしれない優しさに触れていた

俺の自分勝手な行動をすべて理解しているだろう

そして長門も俺のことを忘れることになる

そんなことを全て踏まえた上で、俺の願いならばということで了解してくれているのだ

長門「でも・・・」

ん?でも・・・?なんだ?

長門「あなたはこのままではいけない」

何故だ?

長門「あなた自身の決心がついていない」

長門「あなたは皆に大きな未練を残している」

長門「あなた自身も・・・気持ちに整理をつけなければならない」

長門の言う通りだな・・・

最後の挨拶くらいなら神様だって許してくれるだろうよ

俺は元々そういうのを信じる人間ではないんだがな

しかし、どうやって?

長門「1週間」

1週間?

長門「1週間だけあなたをこの世に蘇らせる」

長門「でもそれはSOS団1人ずつにしか関われないという条件付きで」

確かにその方がいいな・・・

全員に俺の姿が見えちまったらややこしいことになる

長門「私は、いつでも対処できるように常にあなたを確認できる状態にいる」

ああ、そうしてくれた方がありがたい

長門「そして1週間後、皆からあなたと関わった部分の記憶だけを・・・消す」

・・・ああ、頼む

長門「では今からあなたをこの世に蘇らせる」



そしてその日俺は長門の家を後にし、自分の家へと帰った

俺の死体は長門が処理してくれていたらしい

どうやら俺は寝ている間に息を引き取ったみたいだ

理由を聞いたが長門は教えてくれなかった

まあこの際自分の死因なんてなんだっていい

俺にはまだ1週間残されているんだ

その全てを使って俺は皆と別れる決心をつけよう


ふと、ベッドの端に目をやると携帯が光っていた

着信数12件!?

なんだぁ!?こりゃ!?

ストーカーか!?

そして俺は着信履歴を見た

1件:古泉一樹
2件:古泉一樹
3件:朝比奈みくる
4件:朝比奈みくる
5件:涼宮ハルヒ



12件:涼宮ハルヒ

ハルヒ・・・

俺は胸が痛くなった

こんなにも皆を心配させていたのか・・・

よく見てみると、メッセージが残っていた

ピッ・・・
「もしもし古泉です。長門さんとの話は済みましたか?
 あなたが電話に出ることができるかは分かりませんが、団長からの命令なので一応伝えておきます。
 明日は9時にいつもの場所で不思議探索を行うようです。
 あ、忘れかけていましたが団長からの伝言です・・・「絶対に遅刻しないように!遅れたら罰金よ!!」ということです。・・・それでは。」

ピッ・・・
「キョ、キョンくぅ~ん!
 わたし・・・ぐすっ・・・わたし・・・どうしたらいいかわからないですぅ!!
 ・・・えぐっ・・・早く・・・早く戻ってきてくださいねぇ!・・・ひっく・・・
 し、信じてますからねぇ!」
 
ピッ・・・
「キョン!!古泉くんから聞いたと思うけど明日は9時に集合よ!!
 遅刻したら罰金どころじゃ済まさないわよ!!分かったわね!?了解したら連絡をちょうだい!!」

ピッ・・・
「キョン!?あんた聞いてんの!?
 何をしてるか知らないけど早く連絡しなさいよね!!」

ピッ・・・
「キョ、キョン・・・?あたし・・・何かした?
 もしあたしが何かしたってんなら素直に教えてちょうだい・・・」

ピッ・・・
「キョン・・・ごめんなさい・・・とにかく、明日・・・遅刻してもいいから・・・来てよね?」

・・・。

気がつくと俺の頬には大量の涙が流れ出ていた

俺は何もできない自分が悔しくて悔しくて仕方がなかった

この1週間で、皆にお礼を言おう

気持ちを伝えよう

そして俺のことを・・・

その夜、遅くまで泣いていた俺は、疲れたのかいつの間にか眠ってしまっていた



目が覚めると既に朝だった

今日は不思議探索って言ってたよな

返信することはできないがちゃんと伝わっている

そのことを知らせたくて仕方がなかった



俺は自転車に乗ると皆にどう映るのか分からないので、歩いていくことにした

そのへんはどうなっているのか長門に聞いておかないといけないな

「無人自転車が街を疾走」なんてことになったら大事件だ

しばらく不思議探索の主人公は俺になっちまう

ハルヒのやつなら「無人自転車を見つけるわよ!!」なんてことを言いかねんからな

そうして俺は集合場所へと近づいていた

家はかなり早めに出たので時間には十分間に合っている

だんだんと近づいていく

既に全員集合しているようだ・・・ってことは俺を待ってんだな・・・

すると古泉が驚いた顔をしていた

古泉「あれは・・・?長門さん・・・?」

長門が古泉の方を向き、俺のいる場所へと視線を移す

古泉も同じような動きをみせる

ハルヒ「ん?どうしたの古泉くん」

古泉「いえ・・・彼が・・・」

そこで俺は口に人差し指を当てた

それ以上言われる訳にはいかない

それを察知したのか不思議そうな顔をしているハルヒに向かって

「い、いえ・・・なんでもないです、気のせいでした」と言っていた

長門はこちらをじっと見つめている

それから、ハルヒはとても悲しそうな顔をしていたが集合時間を1時間過ぎたところでとうとう諦めたのか、今やファミリーレストランへと入店していた


古泉「今日は僕が彼n・・・今日は僕が奢りますね」

ハルヒ「ええ・・・ありがたいわ」

俺は席に座る訳にもいかないのでテーブルの近くに立っていた

そんな俺を時々、チラチラと古泉が見てくる

そのたびに俺はこっちを見るなというジェスチャーをしていた

いつもは大盛り食うくせに、ハルヒのやつ、今日はコーヒー一杯だけであった

古泉も「いやぁ~財布が助かります」なんて言って喜んでいやがる

お前にはいつもの俺の不幸を味わってほしかったよ

そしてくじ引きの時間がやってきた

そしてくじ引きの時間がやってきた

ハルヒ「それじゃ皆・・・クジを引いてちょうだい」

明らかに元気のない声でハルヒがそう言うと、長門が口を開いた

長門「待って」

ハルヒ「ん?有希、どうしたの?」

いつもでは見られない光景に、ハルヒは少し驚いている顔をしていた

長門「今日は、私とあなたと朝比奈みくるの3人でまわりたい」

みくる「ふぇえ?どうしたんですかぁ?長門さん?」

ハルヒ「そ、そうよ有希!それにそんなことしたら古泉くんが1人になっちゃうじゃない!!」

古泉「いえいえ、僕は全然構いませんよ。
   長門さんの滅多にない頼みです、何か女性だけでないと話せないことでもあるのでは?」

古泉も長門のしたことを理解しているのだろう

いつもの笑顔でそう答えていた
しかしこいつは本当に口がうまいな


ハルヒ「ん~・・・仕方ないわね。確かに有希から何か頼んでくるなんて滅多にないことだし、今回は特別よ!!」

長門「感謝する」

朝比奈さんは訳が分からないという感じでオロオロしていた

古泉はこちらを見ている

俺は古泉と目を合わせて頷いた

カランカランッ
ウィーン・・・

そうして俺達は外へ出た
ハルヒがそれじゃまたお昼にここに集合よ!!と言って手を振っている

俺は思わずやれやれという感じで手を振り返していたが、途中で意味のないことに気づいた

ハルヒには古泉しか見えていない

ハルヒ達とは反対方向に進みながら古泉が訪ねてくる


古泉「どういうことなんです?何故僕にだけあなたの姿が?」

そこで俺は昨日長門と話したことを一通り説明した
もちろん1週間で皆が俺のことを忘れちまうことは話していない

古泉「そういうことでしたか・・・」

古泉は本当に悲しそうな顔をしていた
それより閉鎖空間はどんな感じだ?

古泉「それが、不思議とそこまで多くは現れていないのです。昨日の夜に一度現れたくらいですかね。」

昨日の夜・・・電話か
そうか、すまんな迷惑をかけて

古泉「いえいえ、今回ばかりはあなたが謝ることではありません」

古泉「それよりこれからあなたはどうなってしまうんです?」

どうなる、とは?

古泉「僕には明日もあなたの姿を確認することができるのでしょうか・・・?」

それは長門に聞いてみなければわからないな・・・
俺も集合場所に来て初めて古泉には見えているということが理解できたからな

古泉「そうですか・・・」

そうして古泉が知りたいことに応えている内に午前中は終わってしまった

昼もやはりあのファミリーレストランへとやってきていた

ここでもハルヒが頼んだ料理はコーヒーのみである

古泉「午後はどうしますか?」

長門「・・・このままで、いい?」

ハルヒ「ええ・・・好きにしてちょうだい・・・」

ハルヒは相当まいっているようであった

みくる「それでは・・・そろそろ行きますかぁ?」

古泉「そうですね・・・そうしましょう」

そして俺達は再び店をでた


今度は俺達が午前にハルヒ達が歩いていた方向へ、ハルヒ達はその反対へと歩いていった

普段のハルヒなら

「ちょっとキョン!!そっちはもう調べたでしょ!?別のとこに行きなさい!!」

なんていうところだろうがハルヒがあの状態じゃあな・・・

俺達はとくに何をする訳でもなくただ歩いていた
相手が古泉というのは不満だが、それは普段の俺の場合である
今の俺は、この親友との何気ない時間を、とても大切に思っていた

そんな空気を察したのか、古泉が話しかけてくる
古泉「どうかされたんですか?あなたらしくないですね・・・」

いや
・・・なぁ、古泉

古泉「はい、なんでしょう」

あたりは綺麗なオレンジ色の夕焼けが広がっていた
そんなに長い時間歩いていた覚えはないのだが
どうやらこの夕焼けを見る限りそうらしい

お前、最初変な奴だったよな

古泉「なかなか失礼なことを言いますね」

しかし古泉の顔は笑っていた

なんせ自分は超能力が使えるなんて言い出すんだからな

古泉「まあ、事実ですからね」

俺は半信半疑・・・というか正直信じてなかったよ

古泉「わかっています」

でも閉鎖空間につれていかれたときには驚いた
というか訳が分からなかったな
俺の平凡な日常が崩れちまう・・・
なんて考える暇もないくらい訳が分からなかったよ
だから俺は目の前の現実を素直にそのまま受け入れることにした

古泉「それはありがたいですね」

そんな訳のわからん出会いから始まった俺はやっぱりお前を変人だと思っていた
というか今でも変人だと思っている

古泉「ありがたいことです」

ありがたいのかよ



まあそんな話は置いといて・・・

お前、世界最弱のゲーマーの話、知ってるか?

古泉「はて、お聞かせ願いたいですね」

そいつは現役男子高校生なんだ
ある事情があって1人の少女を追って北高に転校してきたんだ
そこでお前はその1人の少女に捕まえられてとんでもなく訳のわからない
部活でもなく同好会でもなくクラブでもない
「団」に半強制的に入団させられていた
しかしそいつはそれをすんなりと受け入れた
俺とは全然違う・・・俺はグチばっかり言っていたからな
その団には1人の平凡な高校生と萌えキャラマスコットの先輩と寡黙な少女と元気いっぱいの団長がいた
そんな奇妙な連中の一員となったそいつは、とにかくゲームが好きで
いつも笑顔を絶やさない、そんな奴だった
俺は段々とそいつを好きになっていった
もちろん恋愛感情じゃない、1人の人間としてだ
そしていつしかそいつは俺の親友となっていた

古泉「・・・。」

そいつはとにかくゲームが弱くて、何度も負けるくせに何度も何度も俺に勝負をしかけてきた
何回やっても俺が勝つことは分かっているのに。
そいつは勝ち負けなんかじゃなくて俺とゲームをすること自体が楽しい、
そんな感じだった

俺はそいつとするゲームが大好きだった
何度でも相手になろうと思っていた
何度でも勝ってやろうと・・・
でもある日、俺はそいつとゲームをしてやることができなくなった
俺はこの世に存在していいものではなくなったからだ
俺はそいつにすごく謝りたい
そしてすごくお礼を言いたい
こんな途中でいなくなっちまうような最低な俺と親友でいてくれたそいつに
心からお礼を言いたいと思ってるんだ
そして今も親友としてこうして俺と歩いて、俺の話を真剣に聞いてくれているそいつに
一生分の感謝を送りたいと思っている
だから俺はここでお前に言いたいことがある

古泉「・・・なんでしょう」

本当にすまん、ありがとう、古泉

古泉「・・・こちらこそ・・・ありがとうございます・・・」

これからも親友でいてくれるか?

古泉「もちろんですよ」

そういうと古泉は涙だらけの本当の笑顔を俺に向けてくれた

そして古泉の視界から俺は消えた



気がつくと俺は自宅のベッドに寝転んでいた

外はもう暗い・・・
時刻はとうに日付が変わるほどになっていた

携帯を目にすると、今日もハルヒから着信が来ていた
内容は明日のSOS団の活動は休みにするというものであった

俺は次に俺を確認することができるのは朝比奈さんだろうと思っていた

ハルヒは一番最後な気がしていたのだ・・・
なんとなくだが・・・

どうやら俺が携帯で連絡をとれる人物は、俺のことを確認できている人物だけであるらしい
つまり、現時点では長門だ

俺は長門に色々と気になっていることを聞いてみた

その結果、どうやら俺は自転車にのることができないらしい

「無人自転車」という不思議が盛りだくさんな現象が起こる訳ではなく

俺は自転車に触れることができないということであった

先ほど実際に外に出て試してみたが、確かに触れることができなかった

基準はよくわからないが、俺には触れられるものと触れられないものがあるみたいだな

現にこうして携帯に触れているのだから

そして目が覚めたら自宅に居た理由は、やはり長門の手によるものだった

目的が達成したと俺の心が判断した時点でそこに飛ばされるようになっているようだ

実に便利な機能を考えたもんだな

そしてその日はとくにすることもなかったので眠りにつくことにした
俺の記憶が皆から消えるまで、残り6日




チュンチュン・・・チュン・・・

俺は小鳥の鳴き声で目を覚ました

時刻を見るとすでに昼の2時半という時間帯だった

どうやら俺は相当疲れていたらしい

1人の人間に全力でぶつかるということは、確かに疲れる

はて、俺はむやみに外に出ていいものなのだろうか

しかし俺を確認できるのはSOS団の中の1人だけ

つまり問題はないんじゃないか?

そう考えると電話が鳴った

着信:涼宮ハルヒ

俺は携帯を掴m・・・・・・掴むことができなかった

俺の手は携帯をすり抜け、空を切ったのである

すると留守電のメッセージが残された

ピーーーッ
「・・・キョン?あ、あのその・・・もしよかったらいつもの集合場所に来てちょうだい
 あたし、待ってるから」
ブツ・・・プー・・・プー・・・

電話が切れると同時に俺は上着を着て家を飛び出していた

電話があったということは今日俺の姿を確認できるのはハルヒなのか!?

もしそうなら急ぐしかないだろう

俺は走っていた

魂だけになっても人間体力って概念は残ったままなんだな

俺はすぐに息が切れる自分を情けなく感じていた


着いた

それと同時にハルヒの姿を確認する

ハルヒは薄いオレンジ色のワンピースをきていた

正直に言おう

とてもかわいい

俺はハルヒに声をかけた

「ハルヒ!」

しかし反応がない

聞こえなかったのだろうか

もう一度声をかけてみる

「おーい、ハルヒ!!」

・・・ダメだ

やっぱり今日はハルヒではないんだな・・・

その少女は俺の目の前でキョロキョロしながら不安そうにたたずんでいた

本当に不安そうな顔をしているな・・・

まるで俺が来るように必死に願ってるみたいだ

ハルヒ、俺はここにいるんだぞ

お前の横で座ってるんだぞ

どうして気づかない・・・

なあ、ハルヒ・・・頼む・・・

俺はこの2日間隠していた感情が少しだけあふれてきた

いかんいかん・・・
俺は頭を振ると自分に言い聞かせた

俺はこいつを悲しませたくない・・・



それから何時間経っただろう

俺は今も変わらず、ハルヒの隣に居る

変わったことと言えば

俺が涙を流していることくらいだ

ハルヒはずっと待ち続けていた

もう外は暗いぞ?ハルヒ・・・

風邪ひくぞ?ハルヒ・・・

な?だからもう・・・帰ろう

しかし声は届かない

こいつはこんなにも長い間俺を待ってくれている

そんなハルヒの声に応えてやれない自分がとても悔しかった

俺の流した涙は、そういうことだ



ハルヒは絶望的な顔をしていた

しかし涙は流していない

まだどこかでこんな俺を探してくれているのだろうか

外はますます暗くなっていた

そのときハルヒの携帯が鳴った

ハルヒ「もしもし・・・うん・・・わかってるわよ・・・
    うん・・・・・うん・・・・わかった・・・・・今から帰るね・・・
    うん・・・・・じゃあ」
ピッ

そういうとハルヒは携帯をポケットにしまい、トボトボと帰って行った

俺は何となくついて行ってはいけない気がした

何やら、俺がこの世にもっともっと未練を残してしまいそうな、「何か」を目にしてしまう気がしたからだ



そうして俺も家に帰ることにした

今日はずっとハルヒのそばに居た

長門ならなんと言っただろう

「今のあなたの状態からしてそれは好ましいことではない」

なんて言ったかもな

もしかして嫉妬かもな

って何俺妄想してるんだ?

気持ち悪い・・・今日は早く寝た方がよさそうだな

そうして俺は深い深い眠りに着いた
俺の記憶が皆から消えるまで、後5日




翌朝目が覚めるとちょうど学校に行くために家をでる時間だった

俺はこの体になってから人間の三大欲といえる中で睡眠欲以外の欲がない

腹が減らないのは便利なこったが、俺の舌はなにやら脂身の多い食物を欲していた

しかしそれも叶わぬ願いだろう

そして俺は家をでて、そのままなんの問題もなく学校へと到着した

俺はどこに行けばいいのかもわからないので、とりあえず部室へと向かうことにした

コンコンッ・・・
なんてノックしても意味がないk・・・ってあれ?

今確かに音が・・・
そしてこの手に触れる硬い感触・・・

中から声が聞こえてくる

「ふ、ふぁ~い・・・ぐすっ・・・」


誰かが泣いているようだった

「ど・・・どうぞぉ・・・」

ガチャッ・・・俺は扉を開ける

そこにはいつもの俺の椅子に座り、机に突っ伏すような体勢で泣いている朝比奈さんがいた

「どなたですk・・・え?」

そういうと朝比奈さんは驚いた顔のまま固まってしまった

俺はどうすればいいのかわからずとりあえず挨拶をしておいた

こんにちは、朝比奈さん

みくる「キョ・・・キョン・・・くん?」

みくる「ど、どうして・・・?」

そして俺は古泉の時と同様に、あの夜長門のマンションでした話を朝比奈さんに説明した




みくる「そういうことだったんですかぁ~・・・」

みくる「じゃ、じゃああの時の古泉くんも・・・?」

あの時とは土曜日の不思議探索のときだろう

みくる「そうだったんですね・・・古泉くんが号泣しながら帰ってきたので
    何があったのかと思いました・・・古泉くんに聞いても何も教えてくれなかったんですよ」

古泉・・・
俺はまた胸に何か熱いものがじわりと湧いてくるような感覚がした

俺がそんな思いに耽っていると

みくる「キョンくんと話せるなんて・・・幸せです・・・」

こちらこそ朝比奈さんと話せて幸せですよ

みくる「そ、そんなっ!めめ滅相もないですぅ!」

いえいえ、本心です

みくる「キョンくん・・・ありがとう」

こちらのセリフです。ありがとうございます

みくる「キョンくんにお礼言われるようなこと何もしてないですよわたし///」
そういうと朝比奈さんはオロオロとし始めた

いえ、お礼がしたかったんです。朝比奈さんに

みくる「え?な、なにをですかぁ・・・?」

いつもおいしいお茶を淹れてくださって、ありがとうございます
あのわがままなハルヒに付き合ってやってくれて、ありがとうございます
そんなハルヒに振り回されながらも、時にはお姉さんのような立場でハルヒを包み込んでくださって、ありがとうございます
朝比奈さんの瞳に、じわじわと涙が溢れてくる
俺のために泣いてくださって、ありがとうございます
俺と話ができて幸せだって言葉、嬉しかったですよ
俺も朝比奈さんと話ができて幸せです
朝比奈さんのお茶が飲めて幸せでした
朝比奈さんのメイド姿、俺にはもったいないくらいかわいかったですよ
後俺、朝比奈さんの着替え一度覗いちゃったんです

みくる「えぇ!?い、いつの間に・・・」

すいません
俺が笑いながらそういうと朝比奈さんが黙った
まずいこと言ったかな・・・

みくる「・・・やっと、笑いましたね」

・・・え?
そう言う朝比奈さんは、満面の笑みを浮かべていた
・・・いつもそうです
俺が落ち込んでいたときに、助けてくれたのは朝比奈さんでした
いつもハルヒに言いなりにされている朝比奈さんですけど
このSOS団にはかかせない存在ですよ
俺、朝比奈さんと過ごせて、楽しかったです

みくる「キョンくん・・・ふぇ・・・うぐ・・・」

朝比奈さん

みくる「はい゛・・・なんでじょう・・・」

今までお世話になりました
そういうと俺は深く深く頭を下げた
この感謝の気持ちが全て伝わりますように

そうして朝比奈さんの前から俺の姿が消えた




気がつくとまた俺は自宅のベッドに寝転んでいた

今日は携帯への着信は1件だけだった

ピーッ
「あ・・・キョ、キョンくんですかぁ?あの、みくるです・・・その、なんて言ったらいいかわからないですけど
 ・・・その、が、がんばってくださいね!」
 それから朝比奈さんの口調が急に真剣なものになった
「・・・あっちで待っててください、私がいつか・・・すごく遠い未来になるけど・・・古泉君達と、待っててください・・・。
 そしたらまた、部室をつくって、私がとびきりのお茶を淹れてあげますから!!」
プツッ・・・ツー・・・ツー・・・

俺は本当にいい人たちと出会ったんだな
こんな人生・・・悔いが残るにきまってるだろうが・・・

俺の記憶が皆から消えるまで、後4日



んっ!・・・ふぁ~!
俺は大きなあくびと共に目を覚ました

既に時刻は昼の3時半である

どうやら俺が起きる時間はあらかじめ準備されているようだな


この時間は部室か

とにかく学校に行ってみるとするか

俺は学校なので制服に着替えて、準備をした

人間あの世でも今と同じ生活を送ると聞いたことがあるが

俺の中でその話の信憑性はとても高いものとなっていた


そうして俺は家を出た

学校へは何も問題なく、あっという間に到着した

靴を履き替えて・・・と、

・・・ん?

ガサッ・・・

そこには見慣れた可愛らしい封筒が置いてあった

そうか・・・俺がお礼しなければならない人はもう一人(?)いたな

その手紙には
『今日の夜の6時にいつもの公園のベンチで待っています』
とだけ書かれていた

6時か・・・
俺はそれまで特にすることもないので部室へいってみることにした
もう俺の姿を確認できる人は決まっているから大丈夫だろう

コンコン・・・
今日は手がすり抜けるな・・・
ってことは
・・・よし
俺はドアを開けず、そのまま扉をすり抜けた
と、その瞬間長門と目があった

ハルヒは・・・いた

団長の椅子に座って深くうなだれている

古泉も、朝比奈さんもいる

久しぶりにこの部室に全員そろった気がするのは

俺に残された時間が後わずかだからだろう


今や古泉は朝比奈さんとオセロをしていた

しかしどうみてもこりゃ古泉の負けだな

俺は苦笑いした

そしてハルヒへとそっと近寄る

その姿を長門が目で追っている

俺は机に突っ伏しているハルヒの頭をなでた

・・・つもりだ

もちろん触ることはできない

俺はハルヒの頭の形に添って、手を動かしていた

長門はその光景からいつの間にか目をそらしていた

見たくない、という感じだった

そして俺は時間がくるまで、ずっとハルヒの頭をなで続けていた



辺りは暗い
心地よく虫の鳴き声が響いている

「お久しぶりです」

そこには未来の朝比奈さんの姿があった

「なんか私だけずるいですね、2回もあなたに会えるなんて」

そういうと朝比奈さんはふふっと笑ってみせた

朝比奈「それと、私、あなたに一つ謝りたいことがあるの」

なんですか?
朝比奈さんの顔が急に曇る

朝比奈「昨日・・・になるのかな?・・・その、私が残した留守番電話のことなんだけど」

ああ、それがどうかしましたか?

朝比奈「その・・・前半部分は、なかったことにしてください
    私・・・あなたに「がんばれ」だなんて・・・そんな残酷なことを言ってしまいました」

そんな、俺は全然気にしてないですよ
むしろ嬉しかったです

朝比奈「あなたが気にしていなくても、謝らせてください。」
朝比奈「ごめんなさい」

・・・わかりました。
しっかりと受け止めましたよ
そういうと朝比奈さんはニコッと笑った

朝比奈「あ、私が伝えたかったのはこれだけなの」

朝比奈「わざわざ呼び出してごめんなさいね」

いえいえ、そんな

朝比奈「では私はこれで・・・」

あ、待ってください!朝比奈さん!!

朝比奈「はい?」

その・・・色々と、ありがとうございました

朝比奈「ふふっ、これでキョンくんにお礼を言われるのは2回目ね、うん!」
朝比奈「こちらこそありがとうございました。・・・待っててね」

そういうと朝比奈さんは消えていった

そしていつも通り気がつくと俺はベッドの上にいた
後はハルヒ・・・か
俺の記憶が皆から消えるまで、後3日




次の日、俺は長門のマンションにいた
長門から電話で呼び出されたのである
で、どうしたんだ?長門

長門「ついに発生した」

ん?何がだ?

長門「閉鎖空間」

何?
ど、どれくらいの規模だ!?

長門「今までにない」

古泉は!?

長門「既に閉鎖空間内に侵入を試みたが弾き出された」

弾き出された!?
ということは・・・

長門「閉鎖空間の中には涼宮ハルヒが存在する」

そうか・・・
俺はどうすればいい?

長門「今からあなたを閉鎖空間の中へ送る」

そしてどうすればいいんだ?

長門「行けば・・・わかる」

わかった・・・
頼むぞ、長門

長門「任せて」




・・・う・・・痛ぇ・・・
・・・ん?・・・痛い・・・?・・・
ガバッ!
俺は勢いよく起き上がった
・・・触れる
どうやらここでは俺は実体のある体らしいな
長門の力かどうかはわからんがとにかくありがたいことだ
つまり・・・ハルヒと会うことができる・・・話すことができる

あたりを見渡すと違和感を感じた

まるで元の世界と変わりがないのである

時間という概念も存在しているようだ

太陽がでている

おそらく時間も元の世界と同じだろう

これはまさに世界がひっくり返る寸前ということじゃないのか!?

俺は全力でハルヒを探した

思い当るところ全てを探した

するとハルヒは案外すぐに見つかった



昨日と同じ・・・団長の机に突っ伏している

もちろん1人だ

「ハルヒ・・・」

俺は小さくそうつぶやくとハルヒへと近づいて行った

ふぁさ・・・

ハルヒの髪に触れることができる

ハルヒの頭をなでてやった

優しく

もう大丈夫だという気持ちを・・・全て乗せたつもりだ

すると

ハルヒが顔を上げた

ハルヒ「・・・キョン?」

ああ

ハルヒ「キョンなの・・・!?・・・本当に・・・?」

ああ、正真正銘、間違いなく俺だ

ハルヒ「キョン・・・キョン・・・会いたかった!!」

ハルヒ・・・お前に話しておかないといけないことがある

ハルヒ「・・・何?」

ここはな、特別な世界なんだ
お前の夢の世界だ

ハルヒ「あたしの・・・夢?」

ああ、夢だ
そして俺とお前は、ここに閉じ込められてしまった
だから、2人で脱出しよう

ハルヒ「・・・うん、わかったわ」

でもな、ハルヒ

ハルヒ「どうしたの?」

ここを脱出したら・・・
俺は・・・
俺は・・・・・・

気がつくと俺は泣いていた
泣くつもりなんてなかった
ここは絶対に我慢しなければならないところだ
情けない

ハルヒ「ちょ、ちょっとキョン!?どうしたの!?」

すまん・・・すまん、ハルヒ

ハルヒ「何謝ってんのよ!意味がわからないわ・・・」

俺な・・・ここを脱出したら・・・

ハルヒ「うん・・・」

お前と・・・もう、会えない

ハルヒ「・・・え?」
ハルヒ「な、何言ってんの!?ねぇ!冗談でしょ!?」

すまん・・・

ハルヒ「冗談って言ってよ・・・!!」

・・・・・。

ハルヒ「・・たし・・・・出・・・・ない」

え?

ハルヒ「あたし・・・ここを脱出しない」

な、何をばかなことを!!
ハルヒ!!
お前はここをでなきゃダメなんだ!!
じゃないと・・・じゃないとお前は・・・皆ともう会えないんだぞ!?

ハルヒ「皆と別れるのよりキョンと別れる方が嫌よ!!」

お前・・・何を・・・

ハルヒ「キョンと会えないなんて・・・そんなの嫌・・・」

ハルヒ・・・!
俺はハルヒを抱きしめていた

ハルヒ「・・・キョン?」

俺お前がそう言ってくれて嬉しい・・・
自分の素直な気持ちに・・嘘はつけない
そうだな、ハルヒ
俺と一緒に、ここで暮らそう

ハルヒ「・・・本当?」

ああ、本当だ

ハルヒ「・・・うんっ!!」

そういうハルヒの顔はとてもかわいく、いつもの何倍にも輝く笑顔だった
俺はこいつとずっと一緒に居る
こいつを守り抜く、そう決心した



あたりは気がつくと真っ暗になっていた
ハルヒと話しこんでいる内に夜になってしまったようだ

そろそろ寝るか・・・ハルヒ

ハルヒ「ええ・・・」

そういって俺達は部室の団長専用の机を背もたれにして
手を取り合って眠りについた
俺達はとても幸せだった
この幸せが永遠に続きますように・・・
2人でそうお願いしながら・・・
俺の記憶が皆から消えるまで、後2日




次の日の朝・・・
ハルヒが・・・いない・・・?
お、おい!!!
ハルヒ!!!どこにいる!!!
部室の窓から校庭を見渡す
いない・・・!!
俺は扉を勢いよく開け、廊下を全力で駆け抜けた
そして俺達の教室へたどり着いた
ハルヒ!!!
ここか!?
ここにいるn・・・か・・・
そこにはハルヒがいた
とても、とても悲しそうな顔をしていた・・・
窓際一番後ろの席で、1人外を見ていた
何を考えているのだろうか・・・
何を見ているのだろうか・・・
とても切ない少女の姿がそこにはあった

ハルヒ「あ、キョン・・・ごめんね?驚かした?」

い、いや・・・いいんだ、ハルヒ
それより・・・部室に戻ろう?

ハルヒ「ええ・・・そうね」

そして部室に来ていた
どうやら俺は夕方まで寝てしまっていたらしく
窓からは綺麗な・・・見たこともないほどの夕焼けが射しこんでいた



=部室=
ハルヒ・・・

ハルヒ「どうしたの?キョン」

俺達は昨日のように、机を背にし、手を取り合っていた
俺を・・・SOS団に誘ってくれてありがとな

ハルヒ「え?」

俺、雑用係だったけど、お前にコキ使われて楽しかったよ

ハルヒ「あんた・・・Mだったのね・・・」

正直に言おう、Mだ

ハルヒ「うぐ・・・ま、まぁいいわ!」

お前・・・入学したてのころに自分でした自己紹介覚えてるか?

ハルヒ「覚えてるわよ、当ったり前じゃない!!」

「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。
 この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、
 あたしのところに来なさい。以上。」

ハルヒ「あ、あんたも・・・よく覚えてるわね・・・若干引くわ・・・」

忘れるわけがないだろう
運命の相手との出会いの瞬間だ
忘れたことなんてない
お前は・・・変な女だ
どうやら俺のまわりには変な奴が集まる習性があるらしくてな

ハルヒ「なによそれ・・・」

俺のまわりにはな、ハルヒ
お前が呼んできてくれた、かけがえのない仲間がいる
皆いいやつばかりでな

ハルヒ「みくるちゃん達のこと?」

ああ、そうだ
俺の大好きな、仲間だ
あの日、お前がSOS団に誘ってくれたあの日、長門と出会った
そしてすぐにお前は朝比奈さんを連れてきた
古泉だってそうだ
謎の転校生、古泉
最初はなんだよこれって思ってたよ
またやっかいなことに巻き込まれたなって、な

ハルヒ「・・・」

遅刻した訳でもなく奢らされたり、変な映画撮らされたり、色々大変だったよ
・・・でもな、ハルヒ
俺はそんなバカげたことを毎日毎日繰り返していくうちに気づいたんだ

ハルヒ「・・・何を?」

この毎日がなけりゃ、俺はとうに死んでるってな
死ぬってのは命が途絶えるって意味ではなくて、何の面白味もない平凡な高校生活を送ることだ
俺は日々の大切さに気付いた
それに気づかせてくれたのがお前だ、ハルヒ
本当に感謝してるんだ
古泉達だってそうだ
あの長門でさえ感謝していた

ハルヒ「本当に?」

ああ、本当さ
皆お前に感謝してるんだ
お前のおかげで笑えるんだ
そして、毎日が楽しいんだ
俺達は、お前を楽しませるために集まったんだが
逆にお前に楽しませてもらってた
ありがとな、ハルヒ

そして皆そんなお前のことが大好きだった
皆にとってお前は絶対に居なくちゃならない存在なんだ
お前が欠けることは、皆の生きる意味が欠けることになるんだよ

ハルヒ「ちょ・・・ちょっと、おおげさじゃない?」

いーや、決して大げさなんかじゃない

ハルヒ・・・

ハルヒ「何?」

この世界を脱出したら、俺はもうお前に会えないって言ったよな?

ハルヒ「えぇ・・・でm」

それ、嘘なんだ

ハルヒ「・・・え?」

嘘なんだよ
俺お前に会える
そう信じてる

ハルヒ「信じてるって・・・」

今ままでありがとな、ハルヒ

ハルヒ「え?ちょ、何言ってんの!?」

俺な・・・ハルヒ・・・お前のことが・・・

そうして俺はハルヒを強く抱きしめてキスをした
途端に周りの空間がねじ曲がり
俺は気づくと自分の部屋のベッドに寝転んでいた

「ハルヒ・・・今までありがとう・・・好きだ・・・大好き・・・だ・・・」

俺はそういうと、流れる涙もおかまいなしに、眠りについた
俺の記憶が皆から消えるまで、後1日
そして涼宮ハルヒの前から、・・・俺の姿が消えた



=最後の日=
その日の朝の目覚めは最高だった
起きるとすぐに行動を開始した俺は簡単に準備をすませ
長門の家へと向かっていた

長門「いいの?」

あぁ・・・

長門「悔いはない?」

あぁ・・・
皆にお礼、言えたしな
長門・・・お前も・・・・・色々ありがとう゛な゛・・・・

長門「・・・」

長門有希は涙を流していた
それが最初なんなのかわからなかった彼女にも、彼の瞳から流れるそれを見て
すぐに理解することができた



長門「これが・・・涙」

長門「これが悲しい・・・涙」

長門「あなたのは・・・嬉しい涙?」

キョン「・・・ああ」

キョン「嬉しい涙だ・・・」

キョン「ハルヒ、古泉、朝比奈さん、長門」

キョン「お前らがくれた・・・嬉しい涙だ」

キョン「ありがとう・・・長門」

長門「・・・いい」

そうして彼は彼女の目の前から姿を消した
それと同時に長門有希は深く謝罪した

長門「ごめん・・・私の記憶の中には・・・あなたが残ったまま・・・」

長門「これが・・・あなたが感じていた・・・嬉しい涙・・・」

長門有希の彼へ対する思いは、このまま残り続ける
そして、彼の存在も長門有希の中で、永遠に残り続けるのであった

~完~



エピローグ

ハルヒ「おっはよーう!今日も部活がんばるわよー!」

古泉「いつにもまして機嫌がいいですね、涼宮さん」

ハルヒ「あったり前じゃない!!」

古泉「何かあったんですか?」

ハルヒ「古泉君ならわかってるでしょ」

古泉「ばれていましたか」

長門「・・・」

みくる「久しぶりですねぇ・・・」

ハルヒ「さ、皆!!こんなとこにこもってないで!さっさと出かけるわよ!!」

みくる「ふ、ふぁい!」

そうしてあたし達は部室をでた

今日は久しぶりのあの日・・・

皆でそろっておでかけするのは楽しいわね



まずは近くの商店街よ!!

古泉「いつも最初はこのお店ですね」

ハルヒ「ハロゲンヒーターを一ついただきに来たわ!!」

そう、最初はいつもこの電器屋に来ている

次はあのデパートね!!

ほら!!行くわよ皆ついてきなさい!!

長門「・・・」

ハロゲンヒーターは有希が大事そうに抱えている

着いたわよ!

ここは夏休みに皆でアルバイトをしたデパートだ

い~い~?みくるちゃん!!

みくる「ひゃ、あ・・・は、はい!なんでしょう!?」

ありったけの食材を買ってくるのよ!!

みくる「え~~、そ、そんなぁ・・・私がですかぁ・・・?」

何言ってんのよ!!SOS団の雑用係として当然の仕事でしょうが!!

みくる「ふぁ~い・・・」

じゃ、あたし達はここにいましょう

古泉「なんだか申し訳ないですね・・・朝比奈さんばかりに雑用をおしつけてしまって」

何言ってんのよ!!いつものことだからいいのよ!!

古泉「は、はぁ・・・」

長門「4659秒・・・4660秒・・・4661秒・・・」

みくる「すいませぇ~ん!遅くなっちゃいましたぁ!」

もうなにしてんのよみくるちゃんは!!さ、行くわよ!!

みくる「ふえぇ!ちょっと涼宮さ~ん!荷物持ってくださいよぉ!!」

はぁ!?あんた団長のあたしに荷物を持たせる気ぃ!?

古泉「僕が持ちますよ」

みくる「あ、古泉君・・・ありがとうございますぅ」

古泉「いえいえ」

そうしてあたし達はある場所へと着いた

ふぅ~!来たわね!!

みくる「まぁ来たと言っても部室なんですけど」

うるさいわねっ!

気分が壊されるじゃない!!

みくる「ひえぇ!す、すいません~!」

さっ、有希!そのハロゲンヒーターはそこに置いて!!

長門「了解した」
・・・ゴトッ

じゃあみくるちゃんと古泉君はその食べ物をこの台の上へ置いてちょうだい!!

古泉「わかりました」
みくる「はいっ!」

うんっ!準備万端ねっ!
皆御苦労さま!!
後はあたしがやるから外で待っておいてね!

そういうと3人は部室から出て行った

・・・ここね・・・ここに何かを感じるわね・・・
あの日からだった・・・

=部室の外=
古泉「あの日からですね・・・」

みくる「えぇ・・・」

古泉「毎月毎月・・・涼宮さんは一体何をしているのでしょう?」

みくる「わかりません・・・」

長門「・・・。」


=ハルヒ=
ここに・・・
あたしはそこに腰を下ろした
とても落ち着く。この気持ちは何なのだろう
ただ・・・このあたしの胸の中に居る人は・・・もういない
それは分かる・・・
だからお供え物をたくさん買ってきてる・・・これは誰なの?
あたしには思い出せない
でも彼の温かい手があたしの頭をなでている・・・
そんな感覚がハッキリ残っているの
とても優しい・・・
温かい・・・キス・・・


=部室の外=
古泉「でもあの日から何か妙にひっかかるものがあるんですよね・・・」

みくる「あ、私もですぅ!長門さんもですかぁ?」

長門「・・・・・。」

古泉「どうしました?」

長門「なんでもない」

みくる&古泉「?」


=ハルヒ=
そう・・・
ここであたし達はキスをした
この机を背もたれに手を握り合って・・・
とても、とても悲しいキスを・・・
でも底知れない優しさも感じていた
なんなのだろう
この日になると・・・いつも苦しくなる


=部室の外=
古泉「どうしたんですか?長門さん・・・やはり何か変ですよ」

みくる「何か悩みごとでもあるんですかぁ・・・?」

長門「ない」

長門(・・・これは彼が望んだこと
でも、もう・・・いいよね?
私は今、あなたを裏切ろうとしている
でも、もう耐えられない)

みくる「え!?ちょ、長門さん~!?」

ガチャリ・・・


=ハルヒ=
ガチャリ・・・
ちょ、何よ有希!!

長門「・・・」

どうしたの!?今は入ってこないでって言わなかった!?

長門「あなたに・・・」

え・・・?
有希は泣いていた
とても悲しそうな涙
そして思いも感じられる
彼への思いなのかな



長門「あなたに・・・思い出してほしいことが・・・」

思い出す・・・!?
まさか・・・
有希!!あなた何を知っているの!?

長門「・・・・・・キョン・・・のこと」


=部室の外=
長門有希が部室内へと足を踏み入れたことにより、
扉は開放されたままの状態となっていた

古泉「長門さん・・・?」

みくる「何か知っているみたいですね・・・」

長門「あなたに・・・思い出してほしいことが・・・」

ハルヒ「有希!!あなた何を知っているの!?」

長門「・・・・・・キョン・・・のこと」

古泉&みくる「・・・キョン?」


=ハルヒ=
・・・・・・・キョン
どこかで・・・聞いたことが・・・・ある・・・?
とても懐かしい響き・・・
なに・・・・?なんなの・・・・?この気持ちは・・・
キョン・・・が・・・・・彼・・・?
キョンは・・・彼・・・なの?

長門「・・・そう」

キョン・・・が・・・彼・・・
キョンが・・・彼
キョンが彼・・・
そのとき頭の中で色々なものが一度に流れ込んできた
薄れそうな意識の中で部室の外を見ると
古泉くんとみくるちゃんも同じように頭を抱えている
平気なのは・・・有希だけ

なにをしてるの!!有希!!



長門「受け止めてあげて・・・彼の気持ちを・・・彼の・・・過ちを・・・」

・・・こ、これは!?


=3人の頭の中=
本当にすまん、ありがとう、古泉

古泉「・・・こちらこそ・・・ありがとうございます・・・」

これからも親友でいてくれるか?

古泉「もちろんですよ」


朝比奈さん

みくる「はい゛・・・なんでじょう・・・」

今までお世話になりました
そういうと俺は深く深く頭を下げた
この感謝の気持ちが全て伝わりますように


キョン「・・・ああ」

キョン「嬉しい涙だ・・・」

キョン「ハルヒ、古泉、朝比奈さん、長門」

キョン「お前らがくれた・・・嬉しい涙だ」

キョン「ありがとう・・・長門」

長門「・・・いい」


嘘なんだよ
俺お前に会える
そう信じてる

ハルヒ「信じてるって・・・」

今ままでありがとな、ハルヒ

ハルヒ「え?ちょ、何言ってんの!?」

俺な・・・ハルヒ・・・お前のことが・・・
「ハルヒ・・・今までありがとう・・・好きだ」



=部室=
・・・気がつくと全員が涙を流していた
ハルヒ「バカ・・・キョン・・・・・」
古泉「あなたって人は・・・・」
みくる「うぅぅぅ・・・・・」
長門「・・・」ポロポロ

ハルヒ「本当に・・・バカなんだから・・・」

私だって・・・
あの時・・・
あの私の夢の中とキョンが言っていたあの世界で・・・
この気持ちを伝えたかった
ずるいわよ・・・
だって、あなたはもう・・・

長門「これが・・・彼の・・・思い」

みくる「ちゃ・・・うぐっ・・・ちゃんと受け取りました!!・・・」

古泉「私の・・ぐっ・・・唯一の親友です!」

あなたはもう・・・この世界にはいない・・・
でも・・・あなたならきっと私達のことをいつも
見てるわよね・・・?
だから言わせて・・・お願い・・・
キョン・・・
私もあなたのことが好きよ・・・

「ああ、ありがとな、ハルヒ」

~終わり~

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