畏怖・涼宮ハルヒの静寂
前作「涼宮ハルヒの静寂」は、グロ描写を伴うクロスオーバーでありながら予想以上の反応を頂き、興奮していたものです。今回は本格的に怖いものにしようと、目指して書いたのがこの「畏怖」です。
なんというか、物凄い電波を受信したので、プロット自体はかつてない速さで仕上がりました。前作と同じジャンルだから新しいタイトルにする必要無いと思って先頭に言葉を足しただけにしました。最初は続編くらいの位置付けにしてたのですが、思いのほか話が複雑になったので独立させることにしました。
本格ホラーを目指してみたら文章も製作、じゃなくて修正の期間もこんなに長くなるとは。これだけの文章を書くのに時間がかかりすぎです、速筆な方がうらやましいです。
そうだ、SSにはホラーが足りない! 「こええよwww」ではなくて「こええよ……」くらいの容赦のない怖さが足りない! そう思ったのがきっかけです。で、仕上がりがこんな感じです、いかかでしょうか。ただ怖いだけではなく、その惨劇の奥にある悲しみもくみとることが出来たんじゃないかとは思っています。
部屋に閉じ込められていて、壁に開いた穴から異世界に行くという設定はSILENT
HILL4を参考に。血みどろの世界やノイズ、そしてその後に襲いかかる幻覚はF.E.A.R.を参考に書きました。特にF.E.A.R.はFPSホラーゲームなので、思い浮かぶ場面の脳内再生も1人称視点になり、書いてる自分でも怖い怖い。もう書いてる自分でも怖くなってたので、「いっそのこと俺が怖いと思うような場面を作っちまえ!」ということになってしまったのです。
しかし作業はもっぱら深夜だったので、グロシーンが頭に焼き付き眠れない時も。明らかに自爆してます。しかしながら、映像と文章には表現に圧倒的な差があるので、自分の想像通りに表現できている箇所は少ないと思われます。自分の表現力の限界を感じる……。
クロスオーバーではあるけれども、キャラや設定の置換だけで終わる単純なクロスオーバーを脱したかったし、元ネタを知ってる人しか理解できないなんてのは避けたかった。なので雰囲気とかシーンは参考にしたけれども、展開はそのまんまではなく自分で考えるようにも努めました。
グロが目立ちますが、それ以外のハルヒや謎の少女に関するところは若干心霊チックな要素にしたかったのですが、何か違うような気もします。なんでしょう。
肝である孤独感、暗闇、惨劇などの描写には苦労しました。とはいえ貧弱な語彙力では同じような表現が続いてしまうので、途中で飽きてしまわないように舞台が変わるごとにバージョンアップさせていく必要がありました。その結果、最後の舞台である校舎の内部はとんでもないことになってしまいました。あの場面になってようやく嘔吐するキョンの精神力には驚きです、ちょっとした反省点です。
全体的に原因不明で「どうしてこうなった」というような現象が起こってますが、ホラーってのは少々理不尽な展開もある(と思うので)、その辺はご了承ください、許してください。
そして下の方にある「おまけ」については……本当にごめんなさい。これを読んだ身内から、「ぶち壊しだwww」と絶賛された(?)ので本編にではなくこちらに載せてあります。本当にごめんなさい。
たび重なる訂正で更新履歴を占拠してしまい、申し訳ありません。
この場をお借りして、
二度目の修正版制作にあたり、様々な指導を下さった本スレ・アドバイススレの方々、お忙しい中修正に協力して下さった◆TZeRfwYG76氏にお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
各章解説
第1周期 D.I.Y.
直訳すれば「自分でやって」。Do It
Yourselfの頭文字をとった略称。というか日曜大工とかそういう意味ですよね。なんでこの単語にしたんだか。
最初から出口の与えられた脱出ゲーム。
たった一人、孤独と恐怖に包まれた探検ごっこの始まり。
「道が塞がれてるとか不自然すぎるでしょ、蛇足じゃないの? 馬鹿なの? しn(ry」と言いたいかもしれませんが、諦めてください。
図書館が最初の惨劇の場所。最初から容赦なくグロいです。読み返していて、よくこんなものを書いたものだと思ってしまった。
第2周期 Attack of PHANTOM-WAVE
「出所不明の電波の襲撃」
ここからサイヒルらしさは若干影をひそめます。その一方でF.E.A.R.の要素である出所不明のノイズが出現。激しい頭痛に襲われるキョン、そしてノイズの後に眼前に展開する惨劇。
ここで朝倉さん登場。ああ朝倉さん。
SSでは何か起こった時に頼りになるのが長門。しかし今回は長門が敵として登場、更には長門が殺されていたことを幻覚の世界で見ることとなるという展開。一つずつ希望の芽を潰していきます。
第3周期 MELODY~主戦慄~
言葉で遊んでみたくなった結果このタイトルに、というか初版と同じ。厨二くさい? たまに言われます。
惨劇の舞台を変えながらその凄惨さを増す狂気の世界。正直、血の海はどうかとおもったりしました。うん、幻覚の世界だからこそできるものですね。そして惨劇の主役ハルヒと遂に対面。途中で切ってみたくなりました。こういうのって、怖さに影響あるのでしょうか。
核心に迫りつつも、追い込まれていく。逃れることが出来ない以上、進むしかない。
朝倉さん……。
第4周期 DEAD END -I c u.-
「行き止まり」。直訳してはいけません、熟語です、知らなかった方はこの機会に覚えちゃいましょう。ICUは緊急治療室の略称ですがここではそういう意味はありません。I
see you と全く同じ発音なのです、そういうことです。またしても言葉で遊んでますね。
ようやくサイヒルらしさ復活と思いきや、またしてもF.E.A.R.成分全開でお送りします。
廊下がとんでもないことになっております。嘔吐シーンの描写の参考になっているものは自分自身だったりします。
ハルヒと至近距離での対面にキョンは発狂、そして逃げようと試みるも逃げ場はなく……な展開は、今作最恐のシーン(に仕上がっていればいいなあ)。初版では長々と書きましたが、さすがに発狂しすぎだったので形式を大きく変更しました。
毎回毎回、幻覚の前に襲いかかる頭痛の表現には迷います。想像すると無茶苦茶痛そうな表現になっています。
第5周期 夜明けと鮮血のラメント
スペルはlament(英)lamento(伊)。「死者を悼む音楽の総称、嘆きの音楽」という意味。
実を言うと、前章に手をつけるまでは結末が決まっていませんでした。なので赤い服の少女の正体も、何度もキョンの前に現れる理由も、狂った世界の理由すらも曖昧なままでした。最初にこれを書いてた時は連載にしてたので後先考えずにしてしまったというのもあったのですが、なかなかいいのが浮かばなかったんです。そして自分でも当初は予期していなかったまさかのSATSUGAI。でも上手くまとまったのではないかと思っています。
前作「涼宮ハルヒの静寂」ではボス戦でそれなりの戦力であったショットガンは今回全く活躍せず、残念。しかも蹴飛ばされる始末、無念。
やはり、「神」の登場は前作も同様に無理矢理である感じが拭えません。武器があるのだから戦闘させたいという思いがありました。ボス格の敵はハルヒ自身でも構わなかったのでしょうが、前作との共通点をつくってみても悪くないかな。
第6周期 ハッピーノイズ
まさかの夢おt……ゲフンゲフン、静寂と同じ手口ですみません。これだけ伏線とか張り巡らしたことが今までになかったので、限界に達してました。
死んで終わりでも良かったんですが、こんな救いのないような話でも綺麗にまとめたかったんです。
しかし朝倉が不憫で仕方ない。可哀想に、こっちへおいで、なでなでしてあげr……サラサラ
周期数不明
実はあった、再生の希望。
見落としていた復興の兆し。
それを見つけた瞬間、彼女は後悔し、謝罪する。
時系列的には第5周期の後、第6周期の前になります(キョンから見れば)。
アイテム解説
・鉄パイプ
文字通り、鉄製の細いパイプ。今作で登場する唯一の近接武器。そんなに戦闘はしないから日本刀とかメイスとかは必要ないのだ。
サイレントヒルといえばこれとラジオがお決まりのアイテムである(と個人的に思う)が、ラジオは登場せず。「ラジオが無いとはどういうことだ!」という方、ごめんなさい。
・週刊誌
著名人の素顔を容赦なく素っ破抜くことで有名な雑誌。しかし最近は名誉棄損で訴えられて多額の損害賠償を命ぜられるなど、思うように記事が書けない状態に見舞われていたようだ。
『死の街』について取材に向かった者は全員消息不明になっているため、超常現象などの専門家による推測が記述されている程度にとどまっている。
この記事が書かれていたものは世界崩壊の数日前に発行されており、これが事実上最後の刊行であったようだ。世界がリセットされたので、勿論この記事も存在しない。
・携帯電話
古泉の所有する携帯電話。
液晶画面が破損して何も表示しないが、内部は損傷していないらしく、しようと思えば通話やメールなどの操作は可能である。なぜ壊れてしまったのかは分からないが、何かに強く叩きつけたからではないかと思われる。
・ナイフ
長門の部屋に落ちていた刃渡り20センチ程の両刃のナイフ。入手ルートは不明。
このナイフには、涼宮ハルヒの偏った感情を抑え闇を除去すことが出来るプログラムが組み込まれている。身体の奥深くに侵入して定着させないとプログラムはハルヒによって破壊される可能性が高いのでナイフに組み込まれることとなった。
おまけ 第3周期より
コール音が消えた。通話が始まったのだ。
「……もしもし」
俺のその声に応えたのは、
「キョン君……!」
「朝倉?」
「キョン君……助けて……」
朝倉の弱々しいな声だった。
な、何だ、安全だと思っていた部室に何があったんだ?
「朝倉! どうしたんだ!?」
次第にノイズが朝倉の悲鳴を遮り始め、単語も断片的になっていった。
「涼………………は…………貴方を…………いやああああああぁぁぁぁ!! ンギモヂイィィィィィィィィィィ……ブツッ」
「あ、朝倉……? 朝倉ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
畏怖・涼宮ハルヒの静寂2 phoeniXXX
サブタイトルにある不死鳥、Xが三つ並んでいるのは、「あの人」が三人いるからです、スペルミスではありません。
ここに登場するキョンの性格は「1」とは違って軽~いですが、これは別の世界であることの証拠ということです。でも軽すぎという指摘もありました、すみませんでした。
気に入っている設定だと、どうしてもその続きってのを書きたくなってしまうのだから仕方ないです。
ぶっちゃけ「2」は完全に構想が無かったところから後付けをしたようなものなので崩壊レベルの大きな事件は思いつきませんでしたし、ないだろうなと思いました。なので内容は薄いです、肝心のホラー成分もかなり薄いです。
最初は何を思ってか、バッドエンドにしてみようと試みていました。しかしハルナちゃんがあまりにもかわいそうだったので出来ませんでした。ハルヒとハルナが苦心してようやく手に入れた元の世界を、そんないとも簡単に無茶苦茶にしたくなかったんです。
言えない、畏怖を書いた理由の中に、「幼女を書いてみたかった」が混入していたなんて……。ところどころで登場する、ハルナちゃんの子供らしさの片鱗はですね……そういうことですご察し下さい。
後から見返すと不完全燃焼じゃないかと思われる箇所が目立ち、反省点の多いものとなってしまいましたが、修正はしません。面倒なだけなのではないのです、じっくり修正してる暇があったらさっさと新作を作りたいのです。前作はどうしても完璧にしたかったんですが、一年以上かかるようでは……。
各章解説
第1周期 Ctrl+S
ショートカットキー「上書き保存」。崩壊が起こらない世界への修正。そこまでの道のりはあまりにも長かった。
遂に成功した世界崩壊の回避。そしてようやくみんなに会うことができ、涙するハルヒ。しかしハルナは本来存在してはならない人物であって……。
悲劇の世界がなかったことにされて日常に戻り、そして新たな始まりを、迎えられるのでしょうか。
冒頭の謎かけ、全くもって無意味。
第2周期 nOiSEleSsphAnTOmGIrL3
全知全能とまでは言えないものの、その影響力を格段に増すハルヒ。しかしながら閉鎖空間の発生は相変わらず。
ハルナが遂にその力を発動、ようやくホラーの雰囲気をにおわせるもそこまで。もうちょっといろいろとすればよかったでしょうか?
今回も犠牲となる朝倉さん。き、嫌いじゃないんですよむしろ好きな方で特にあの太もmうわなにをするやめ
第3周期 汚れたオセロと赤錆びたブランコ
オセロ、つまり黒と白。あることが原因で分裂したハルヒの人格達。ブランコは、ハルナの定位置です、そうです、勝手に座ると怒らrグシャ
ここにきてようやくホラーっぽい展開になるも、「1」のようにどこまでも悲愴に満ちた世界ではない。裏世界の状況が若干違うのは、その空間を創造したのがハルヒであるかハルナであるかの違い。だからといって、どっちのほうがマシかと訊かれてもどっちも嫌だとしか答えられないようなものにしなければと思った結果、この金網地獄になりました。
ハルナの闇の化身、暗黒姫(?)『黒』がいるお陰で、この世界のキョンはひどい体験はあまりしません、するにはするんですけどね。うーん(以下省略
第4周期 Dear my sister
全くホラー的なシーンが無い。それどころかシリアスシーンの比率も少ない。まあこのくらいゆるくてもいいかなと思ってみたり。
ハルナちゃん受容。おめでとう、ありがとう。とはいえ、機関などが全てハルナの存在に対して賛成の立場になるというのは、後に改めて考えると手抜きと言わざるをえませんね。もっとドロンドロンの展開にした方が良かったのかもしれません。
なんだろう、微妙に甘かったりするこの展開は。こんなもの(アブノーマル的な何か)ばっかり書いてたせいで糖分不足だったのだろうか。
砂糖吐きそう、おげげ。
周期数不明 Brack Jenosider
ハッピーエンドに見せかけて、見えないところにある犠牲。
愉しまなければやっていけない、それが殺戮であったとしても。
なぜここだけSIRENとクロスしたし。衝動に弱いのです、前向きにとらえるのならば、新しいものをどんどん取り入れちゃうんです。どう考えても(以下省略
アイテム解説
・谷口の数学の教科書
学校に置きっぱなしにしておいて、勉強はしているのだろうか。
なぜ朝倉は椅子を使わなかったのか? 紙であっても尖った形状で固めてしまえば相手の身体を貫くには充分である。それに殺すつもりはなかったんです。
谷口も、まさか自分がランクAA+と評価する朝倉の武器になっていたとは思ってもいないだろう。
・ツルハシ
涼宮ハルナの自責の念が具現化した、キョンと姿が全く同じ異形が持っているツルハシ。
これによって傷つけられたものは、その傷の大きさに関わらず……という設定を用意するも使われることはなかった。黒が致命傷(というか即死?)を負いながらも生還したのは、彼女がヒトでない証拠?
・バズーカクラッカー
大きな音とともにテープが飛び出すおなじみのパーティーグッズであるクラッカーだが、それをバズーカという大型にしてしまったもの。70センチもあるのバズーカから放たれるのは長さ2メートルを超えるテープ数十本。キョンのように至近距離で人に向かって発射してはいけません、大変危険です、テープまみれでは済まないかも。
2000円と書きましたが、実際はもっと高価なようです。すみません。
・ポータブルミュージックプレーヤー
黒が所有している大容量フラッシュメモリ音楽再生機。
涼宮ハルヒが所有しているものと全く同じであるが、決して奪ったわけではなく丸ごと複製したものである。そこからも黒にも能力が多く残っていることがうかがえる。。
選択されているプレイリストにはハイテンポで曲調の激しい楽曲が登録されており、彼女はそれを大音量で繰り返し聴いているようだ。
最終更新:2010年09月17日 18:46