ここはどこかの野原、いや砂漠、意や何もないただの地面、ここで俺は何をしているか、それは・・・・・・戦いだった。

 

『キョンはどこかでいつも戦っている』

 

もう、何人を斬ったり、撃ったりしてきただろうか。俺はなぜここにいるのか、分からなかった。腰には日本刀、リボルバーもあった。しかし、今はそんなことどうでもいい、ただ、戦っている相手は人じゃないということか、いつも戦っていると『空想ルンバ』が脳内に流れている。不思議とそれは臨場感を与え、戦いが終わるまで流れていた。おっと、また来たようだ。相手は・・・生きた屍とでも表現するか、いや、それにしては容姿がまともだった。俺はそんなものといつも戦っている。だが、何のためにやっているのか、わからない。正直、分かりたくもない。四の五の言っているうちに囲まれていた。まあ、こんな奴ら、一刀両断だが。とっさに抜刀し、敵に向かう。

 

タッタッタッタッタ・・・・・・・ズバッ!ブシュ!バシバシュ!

 

これでもまだ半数にも満たない、そこでリボルバーを分散させ、俺の体を中心に円型に並べ、トリガーのスイッチを入れる、そこでほとんど倒れている。だが、あまり銃は好きじゃなく、たいていあと一人の場合は斬り殺している。それでその日の戦いは終わる。追手何ぞ来ない。だが、いつもいつも蛆虫のようにわく。おかげでここも誰も近寄らない。あるのはせいぜい土と俺だ。というより、ここには何も残らない。そう決めた。一昔の話でもするか。それは・・・・・・・・・半世紀前だった・・・・・・・・

 

戦争が終わったこの年、俺の町は跡形もなく焼け野原になっていた。今まで共にいた仲間は当の昔にどこかの戦場で死んでいた。なぜか俺は生きていた。というより、復員したら、このザマだった。俺以外に生き残った人はいないか、必死に探した。だが、代わりにあるものが出てきた。それは、本だった。突然、俺はとある少女の姿を思い浮かべた。無口で、恥ずかしがり屋で、それでもかわいい少女が。名前は知らない。だが、その子の家は知っていた。俺の家の隣だった。表札には『長門』と書かれていた。戦艦じゃあるまいし、そう思っていたら、

 

「何か用?」

 

「うわっ!」

 

いきなり声をかけられたので思わずびっくりしてしまった、というよりここにいたとは気付かなかった。俺は慌てて思わず、

 

「いつから居たんですか?!」

 

と思わず言ってしまった。すると彼女は

 

「ずっと」

 

と答えた。本当に居たのかと疑いそうになった。だが、物静かな感じなので分かりにくいとも思っていた。でもそれよりこの焼け野原でよく生きていたのかと不思議にも思っていた。すると彼女の姿はなかった。どこにも。いや、体の中で何かを感じていた。まるで、最初からここにいたかのように。それで俺はこう決めた、この本を持って、誰も行かないようなところに行こう、そして誰にも知られず死のうと、そう決心した。

 

そしてここに来た、西部劇にもないようなひっそり感としたこの場所に、そしてそこには、生きたものが近ずかない理由があった。ここは、『屍の聖地』と呼ばれ、恐れられていた。話によればここに足を踏み入れたものは生きて帰ることはないという、だが俺はここに来た。なぜならここはただの屍がいる場所じゃない、戦争や内戦で命を落としたものしかここでよみがえる、いや肉体が動く場所だと聞いたからだ。

 

俺の仲間たちもここにいるはずだと思っていた、だが、奴らは縄張り意識が鋭すぎているせいか、同士と呼べるものたちを歓迎し、邪魔者は即刻排除という関係にあった。もちろん、邪魔者は生きているもの達、志半ばで死んだものが多いためか、そのような成り立ちになってしまったというわけだ。もちろん俺も邪魔者に入る、聞くところによれば、ここには男しかいないらしい。攻撃的なためか、それとも飲まず食わずで生きていけれるためか(屍だからな)むさ苦しい感じしか流れてこない。

 

もっとも俺には、一瞬だけ会話した彼女が心の中にいる、なぜ俺を選んだのか分からない、でも何かを教えてくれるような感じがする、そう思った。あの本は肌身離さず持ち歩いている。そしていつも少しずつだが、読んでいる、見たところ、何かの呪文書みたいな感じだった。もっとも、俺にはチンプンカンプンだが、物を分散させるようなものはすぐ覚えることができた。だからリボルバーを分散できるようになっている。

 

ここに来て、分かったことがひとつだけある、それは少しずつ屍のごとく、飲まず食わずでも生きられるような体になっていった。ここに来た者は帰れない、これもひとつの原因だろう。長い間いるせいか、俺の体もここから離れないようになっていた。

 

ここにいる屍たちを倒して成仏させられるかは分からない、だが、俺は戦地を共にしたものたちを倒し、生きることで何かをしようとした、だがそうはいかないらしい、日に日に激しさを増してきた、だが、覚悟はここに来た時からできている、戦地を共にした仲間たちにやられるのなら、光栄だ。だが、俺は心の中にいる彼女のためにも、戦い続ける、今までのことを忘れないためにも。

 

FIN. 

 


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