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翌朝、妹のボディープレスという儀式により不本意な目覚めをした。もう慣れたもんだな。

用を済ませ、朝食をとる。トーストはパンの耳だけ先に食ってしまうタイプに気付いたのは最近だ。
歯を磨き、顔を洗い、適当に身だしなみを整え、妹を見送り、自転車を出す。

今日は一段と寒い。途中で缶コーヒーを買う。
ここまで寒いと、あのハイキングコース並の坂道を登ってもまるで暖まらない。

後ろから駆け足の音が聞こえる。谷口だろうな。

「よっ、キョン!」
「よう」
「冴えねー顔だな。なんか嫌なことでもあったか?」
「特にねーよ、ちょっと考え事していただけだ」
参考にするつもりはないが、こいつにプレゼントのことを聞いてみようか。


「なあ谷口」
「あ?なんだい」
「お前、女子にクリスマスプレゼントをあげるとしたらどんなものをあげるよ?」
「俺に聞くのか!ハハハ!お前も落ちぶれたもんだ!」
「自覚はあるんだな」
「やかましいわ!そうだな。アレをあげるしかないだろ」
「アレってなんだよ?」
「わからねーか?」
「愛だよ、愛!これ最強!愛が伝わったら怖いものはない。すべてがうまく行くだろ!」
「うまく行った試しがないお前の意見は信用ならん。聞くんじゃなかったな。忘れてくれ」
「冗談だよ!そうだな。お前のお財布の事情を知らないからなんとも言えないが、お揃いの何かをあげるっていうのはどうだ?」
ハルヒは普通じゃ満足しないだろ、っていう言葉が出かかったが、感づかれてはマズいからここはこらえるとしよう。
「もしかして涼宮か?」
「ち、ちげーよ。例え話って言ってるじゃねえか」
我ながら下手くそな誤魔化し方だと思った。
「顔にかいてあるぜ。ヘヘッ」
俺は顔に出るタイプなんだろうか。こいつは妙に勘がいいからな。
「うるせえ・・・」
「そうか、お前もついに決心したんだな。まっ、頑張れよキョン!」
谷口は先に走って行ってしまった。これ以上何か悟られると困るし俺にとっても好都合だ。
まぁこれ以上何を悟られるのかは分からないが。

校門の前で体育教師が待ち構えてる。別に遅刻はしてないんだが、
あの人はちゃんとした挨拶をしないとすぐにガミガミと怒るから面倒くさいんだよな。

「おはよう、キョン」
谷口と一緒に居た国木田だ。 「よう」


教室に入るとハルヒは既に居た。いつも通り、窓の外を眺めている
。 アイツが窓の外を眺めているときは機嫌が悪い時が多いが、今日は例外だったようだ。

「よう」
「おはよう」
おはよう、と言い返そうと思ったが、なんだか照れくさかったのでやめた。
「今日は寒いな。これ、飲むか?」
俺はさっき買ったコーヒーをハルヒに渡す。
俺の分?節約はするに越したことはないと思うんだ。
「・・・気が利くじゃないの」
「そりゃどうも」

他愛もない世間話をしてるとチャイムが鳴り、担任の岡部が入ってくる。

「おはよう!今日は寒いな。風邪気味のやつは居ないか?居たら俺とハンドボールをやろうじゃないか!運動をたくさんすれば、風邪なんて敵じゃないさ!以上!号令!」

午前の授業もろくに頭に入らないまま飯の時間になる。
ハルヒはいつも通り、学食に行ってしまった。

近くの谷口と国木田とで席を囲む。
「おい国木田、ちょっと耳貸せ!」
「ん、なんだい?」



「本当に?」
「あぁマジだ」
「キョンもやるねぇ」
谷口が何を言ったのかはすぐに分かった。下手に否定すると自爆する気がする。
「谷口てめぇ覚えとけよ・・・」
「お、バレた?」
「キョンも落ち着いてよ。もうクラスのみんなはとっくにそういう関係だって思っていたから、
別に特別驚くことじゃあないよ」
そうなのか?俺とハルヒがそういう風に見られていたとは・・・
「僕も応援するよ、キョン」
「んでさ、国木田。コイツ涼宮にプレゼントを贈るって考えてるんだってよ」
もうどうでもいいや。


「へー。キョンは何を贈るつもりなの?」
「それが思いつかないからこのオールバックバカに聞いたんだよ」
「誰がオールバックバカだ!俺は何かお揃いのものを贈るべきって言ったんだ」
「谷口にしちゃ随分まともな意見だね」
その前にこいつは愛があればすべてがうまく行くとか言ってたけどな。
「ハハ!愛ねぇ。ちょっとクサすぎない?確かに大切だけどさ」
「やかましい!なんだよこの俺の言われよう・・・」
そういいながら谷口は梅干しの種を出す。
「僕も谷口と同意見だよ。お揃いの何かってのはすごくいいアイデアだと思うよ」
まぁ否定はできないな。

「あとは、形の残るものにしたほうがいいね」
形の残るものか・・・。
「食べ物とかだと形に残らないでしょ。クリスマスプレゼントを贈るならやっぱり
形に残るものがいいよ。思い出にもなりやすいしね」
谷口は軽くふてくされたのか、のり弁の海苔を一枚一枚剥がすという謎の行動に出ている。
「キョンのことだからジンジャークッキー詰め合わせとか贈りそうだから一応言っておくよ」
流石にそこまで馬鹿じゃないぞ俺は。俺はそんな風に見られてるのか。
「ハハッ、冗談だよ。とにかく、キョン頑張ってよ。友人の恋愛が成就するのはうれしいことだし」
「そうかい。とにかく、不本意ながらも相談に乗ってくれてありがとよ」
「キョンは素直じゃないねえ」

「終わったか?」
谷口がそう言ってからはいつも通りの昼食の時間に戻った。
ナンパがどうだとか、噂話とか。


午後の授業と後ろからのシャープペン攻撃を適当に受け流し、俺は部室に向かった。


第三章
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