その放課後、ハルヒは遅れて来た。
「おまたせー!」
誰も待っていないと思うぞ。
「みんないるわね。新人を紹介するわ!入って」
そこにいたのはみたことあるふわふわのウェーブをかけたような髪をなびかせて、サファイヤのような瞳をピカピカ光らせてそいつは入ってきた。
「春喜優菜です。よろしく」
「この子今日決まった転校生なの。それにモデルやってるんですって」
「へぇ。すごいんですね」
「うわぁ!可愛い子だね。先輩?私より背ちっちゃい。」
「でしょ?可愛いでしょ?その子は3年生の朝比奈みくるよ」
「みくる先輩かぁ。いいなぁ。スタイルいいし。」
すごいマシンガンのようにいいところを言い始めた。ハルヒと違うマシンガンのようにな。
「あ。あなたカッコいいね。何組?」
「彼は9組の古泉一樹くんよ」
「9組かぁ。じゃぁ頭いいんだ。かっこいいし私よりトップモデルになりそうな素材だなぁ」
「ありがとうございます」
「あれ?彼女、静かだね。いかにも読書大好きなもの知りってカンジの子ね」
「あの子は6組の長門有希。優菜の思う通り頭いいし、物知りだし、読書好きなのよ」
よくゆうぜ。長門はほとんど部外者だろ。
「この子も可愛いなぁ。SOS団って可愛い子多いね。うん、気に入った!私も入ってあげる。で、何をする部活なの?」
きかん方がいいぞ。
「キョンあんたは黙ってなさい。ここはね、宇宙人、未来人、超能力者、魔法使い、もしくは魔女でも可を探して一緒に遊ぶことを目的としてるの!」
春喜は不思議そうに見た後、部室を見回した。
「へぇー。面白そうだね。うん。気に入った。入るよ」
「決定ね。じゃあ早速だけど、優菜には宣伝長をまかせるわ!いい?モデルの仕事をしてるとき、マネージャーとかスタッフにSOS団のことを宣伝するの。あと、できれば雑誌の記事の取材とかで宣伝してね」
「できればやるよ」
そんな安請け合いすんなよ。後でどうなってもしらんぞ。
「ねぇ、みんなのメアド欲しいな。交換しない?」
「いいわね。芸能人と友達だなんて」
「私は芸能人じゃないよ」
俺たちはこの後、メアドを交換してだらだらとして長門の本を閉めるのを合図としてお開きした。

のだが、俺のケータイは短くうなり始めた。

誰からだ、と思いケータイを開くと春喜からのメールだった。
『いますぐ2年5組に来てください。このメールが着たらすぐ』
俺は驚いた。当たり前だ。なんで、こんなアイツらの本当のことを聞いたときのような言付。又は朝倉のような言付か。もし、朝倉のような急進派だったら長門が助けてくれると信じるさ。
恐る恐る俺はドアを開けた。
春喜はニッコリ笑ってこっちを見ている。
「早かったね。ケータイって凄いね。こんなに早く伝言できるんだもん」
「何のつもりだ?」
「え?もう気づいてるんでしょ?私の正体」
長門たちのような奴か朝倉のような奴かもしくは、橘京子のような奴か。
「まだ気づいてないの?私は…」
「魔女か?それとも俺を殺しに来たのか」
「殺す?それは黒魔除のほうよ!失礼しちゃうわ」
黒魔除?それは…一体
なんだといいかけて俺は息を飲んだ。
「危ない!!」
俺は何が起きたのかわからなかった。
「!?」
驚きすぎて声も出なかった。
まさか、剣がふっとんでくるなんて想定外だ。
それを春喜が謎の丸い物体を振り回していた。
「来たわね!悪者共!!」
「ふん。何、気づいてたの」
「魔除既定対メイド型よ!あたりまえじゃない」
魔除だと?今はそんなこと考えてる暇なんてねぇ。なんだこの状況は。
こいつ等俺のこと殺そうとしてんのか。
「優菜、そこを退け。ターゲットをうてんだろ!」
「打たせるわけないでしょ!そのためにきたんだから!」
「お前が退かないのなら、あたいが退かせてやろう!いでよ!炎の魔人!ファイヤークロス!!」
「そんなの逆効果よ!あんた達をびっくりさせるわよ!」
いきなりだ。春喜は光を放つと、黒魔除Aは「この光は…!?」といって撤収していった。
「いったぁい」
「なぁ、あいつらは何だ。お前は誰だ」
それとさっきの光。
「ほとんどは知っての通り。私たち魔除既定対メイド型はハルヒちゃんについてて、黒魔除は佐々木さんよ」
その魔除既定対メイド型ってなんだ?
「メイドっていうのは、私たちの星でいう人間ってことなの」
少し間が空いて春喜は深呼吸し
「ちょっと有希ちゃんみたくなっちゃうけどいうよ。この銀河を統括する情報統合思念対の片割れの粒子から生まれた、それが魔除となったの。この地球から雲仙億光年離れた場所に魔除星があるの。そこでも2つのチームがあるの。それが、黒魔除と魔除の差なの。でも私たちは違う。魔除は魔除でも由緒ある魔除。それが魔除既定対メイド型なの」
なあさっきから魔除っていってるが、魔女じゃないのか?
「ああ。それはね。魔物を排除するって意味なの。それでね、黒魔除はあなたを殺してハルヒちゃんにそれをいってあなたを生き返らせる代わりに、力を横取りし、佐々木さんに渡そうっていう魂胆よ。まあそれを阻止するためにここに来たのよ。ちなみに、魔除既定対メイド型は、有希ちゃんと呼び方が違うだけで、私も実をいうと対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースなの。ただ、生まれた場所も生まれ方も違うから、2つに分裂したってわけ」
そういい終えると、春喜は溜息をして、すぐ笑顔に戻った。
「今日はごめんね。ホントはこれをいうだけのはずがとんだ邪魔者が来たわね」
笑顔を絶やさずにそういうと、「じゃあ、また明日、教室で」といって別れた。

俺は家に帰ってすぐにある奴に電話をした。
聞きたいことがあったからだ。
「………」
「長門、俺だ」
いつものように無言に電話に出たのに俺は安心感を覚えた。
「お前、春喜のこと知ってたのか?」
「知っている」
そういうと長門は予想外の発言をした。
「私と春喜優菜は姉妹。物質と物質の間に生まれたのが私。彼女は物質と違う物質の間に生まれた」
ちょっと待て。魔除と有機生命体とじゃ生まれ方が違うって言ってたぞ。
「確かに魔除と私のような有機生命体とじゃ生まれ方が違う。だが、間違って魔除の星に送るはずの物質を誤って使ってしまい、あげくに私と姉妹となっているが、別々の場所へ送られた。普通なら姉妹や兄弟のようなことになれば、私と朝倉良子のように同じマンションの別の部屋という風に生活するが、生まれたところが一緒でも、監視する場所が違う魔除とは暮らすことは認められていなかった」
いなかったっていうのは過去形だな。
「そう。今はこういった間違いが多数出現してしまう。なので、認められた」
「じゃあアイツはお前と住んでるのか?」
「まだわからない。それは彼女が決めること。私は別にいい」
じゃあ暮らすことになったら仲良くしろよな。
「了解した」
「じゃあな」と、俺が言うと電話を切った。

今日は雨が降っていて気分が重苦しい。
明日は土曜だというのに、市内探索をせないかんのだ。
気分が乗らないまま夜は更けていく。
突然俺のケータイがうなった。
「もしもし」
「もしもしキョンくん?私。春喜優菜。ちょっと今暇?」
用件を簡潔にいおう。長門の家に来いといわれた。

今ちょうど長門と電話したというのに何故そのときに言わなかったのだ?

いや、待てよ。電話の中の音に電車の音が混ざっていた。

つまりアイツも今向かっているということか。
俺は暇と時間は有り余っているから自転車をつっとばして長門のマンションへと足を運んだ。
いつものようにインターホンを押すと
「はい、長門ですが、どちら様でしょうか」
珍しく、違う人がでた。
「俺だ」
「あ、キョンくんかぁ、入って」
その声はまさしく春喜の声だった。
長門の部屋の前に差し掛かるとドアの前に長門が立っていた。一体どうゆう風邪に吹き回しだ?
「入って」

部屋に入ると朝比奈さんと古泉も来ていた。
「どうしたんですか?朝比奈さんも古泉もいるなんて」
はっきりと驚きを伝えると
「見ての通りミーティングですよ。僕たちと彼等の」
そういう古泉の目線の先には、信じられない光景があった。
「なんでお前等がこんなとこにいるんだ?」
「別にいいだろ。僕だって新人さんが見たかったのさ。橘さんに教えてもらって、見に来ただけだよ」
こいつは見せもんじゃねぇぞ。
「大体、この前も言ったがハルヒの力を渡すなんてことはもういわんといっただろ」
「確かに言ったわ。けど、諦めろとは言われてないもの」
「それに俺はお前らの顔を金輪際見たくないんだ」
「そんな冷たいこというなよキョン」
俺は佐々木と話してて気づかなかったが、橘京子も九曜も藤原も春喜の方を見ている。
ついに、見られてるのが嫌になったのか
「あのー、なんですか?」
と、切り出した。
すると、九曜が今日はじめて口を開いた。
「あなたの―――瞳は―――とても―――綺麗ね」
俺にも言ったことのある、パーフェクトなまでに無意味な発言をもう一度言いやがった。
「あ、ありがとう…ございます」
超恐々している。
「それより、今度はなんの用だ」
「いいだろ。僕はここに着たかっただけだ」
なんだそりゃ。さっきと言ってることが違わないか?
「私はただ、あなたたちのもうひとつのお仲間の団を拝見しようとしただけです」
仲間?もうひとつの?団?なんの話だ?
「え?お気づきじゃなかったんですか?」
そんなの知らん。ん?待てよ…そういえばこの前、変な奴と会ったな。
あれは1週間くらい前。
・・・・
・・・
・・
「ただいまぁ」
これは妹の声だが、足音がたくさんするような気がする。
「キョンく~ん。お友達連れて来た~」
友達?アイツが友達連れてくる?
俺はどんな奴か気になり、ドアを開けて確かめた。
「いらっしゃい」
精一杯の笑顔で小6の子にいった。
「………」
そこにいたのは、妹より背の低く、髪が長く、二つの小さなおだんごを髪でつくっている。
「こんにちは。えっと」
「長門美知花」
長門?
「そう。よろしく」
そいつは温度を感じさせない無表情となかなか口を開こうとしない無言さ。
そして長門という苗字。
しかし、その感情を覆すことをされた。
「この人がお兄さん?」
美知花は満面の笑みでそう尋ねて来た。
「そうだよ」
いままでの無表情と無口は何処へやら。
「あたしの部屋はこっちだよ」
「うん」
妹たちは部屋に入った。
10分くらいして廊下が騒がしくなってきた。俺は耳をドアにつけた。
「私、トイレ行きたい。何処?」
「えっと、あっち行ってそっち行くとあるよ」
我が妹ながら意味不明な教え方だ。
「わかった」
「じゃあ、いってらっしゃーい!」
すると足音がどんどん近づいて、俺の部屋の前で止まった。
するとドアがいきなり開いた。
「いっつぅ」
「すまない」
先ほどあった無表情&無口が蘇っていた。
「なんかようか?」
「ある」
なんだ、この懐かしい感覚は…
「あなたは私のコピー台をみているから」
「私のコピー…って長門のことか」
「そう、私たちはコピー」
私たちってことはほかの連中もか?
「そう、あなたと涼宮ハルヒ以外は」
「じゃあ朝比奈さんと古泉が」
「そう。古泉一樹のコピーは古泉くるみ、朝比奈みくるのコピーは朝比奈祐樹」
なんで古泉が女で朝比奈さんは男何だ?
「それは2人が望んだから」
朝比奈さんが男になりたい気持ちはなんとなくわかる。
だが、古泉が女になりたいと思ったとしたら気持ち悪いぞ。
「詳しく言えば朝比奈みくるがそう願った。それを受け、何も考えていなかった古泉一樹に影響が及んだ。なのでこのような性転換を行ってしまった」
「お前は?」
「私も長門有希の思いが込められている。私は周囲の人から二重人格と言われる。それは長門有希の思いが曖昧だったから。長門有希は普通の人間のようになりたいと願うことがたまにある。それがそのときに出てしまい、このような性格になってしまった」
「というか、俺は妹がコピーのようなことになっているのはわかる。だが、ハルヒのコピーは誰だ?」
「涼宮ハルヒの従妹。涼宮コハル」
従妹か…詳しく説明しろ、長門。
「了解した。涼宮コハルは涼宮ハルヒの近くに住んでいる。そのせいか性格が似てしまった。そして涼宮コハルは小さな閉鎖空間を造りだしうまくいかない怒りを小さな≪新人≫を暴れさせている。それを止められるのは古泉くるみ。彼女は『機関』の一員のような存在。だからできる。そして小学校にはプチSOS団ができた」
涼宮コハル、プチSOS団か…。
・・・・
・・・
・・
そういわれればいたな。
「それがあなた達のもうひとつの仲間です」
「それは思い出したがそいつらがどうかしたのか?」
「その話は今度ゆっくり2人でしてくれるかい?もう夜中の1時だ。長門さんにご迷惑になるだろ」
「…それもそうね。じゃあここまでは覚えておいてくださいね」
そのあとすぐ、お開きした。俺と長門以外はな。
「長門」
「なに」
「なんで俺にあのこといわなかったんだ?」
「あなたに心配かけたくなかったから」
そんな心配しなくてもいいんだぞ。
「そう」
その言葉を最後に俺も変えることにした。
「じゃあな、長門」
「待って」
そういうと長門は近寄ってきた。
「なんだ?」
「腕、出して」
腕?何でだ?
「いいから」
俺は大人しく腕を出した。
すると長門は俺の腕に噛み付いた。
「なっ?!」
とても間抜けな声を出してしまった。
「何やってんだ?」
「ナノマシンを注入した」
なんでだ?
「統合思念対の指令」
なぜだ?
「秘密」
そういうと長門は「明日、学校で」といい去り俺は出て行った。


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