この世界も楽しい。そう思ったのは12月に入る前だった。
まだ11月だというのに寒さが増す季節。
私は寒さはあまり感じない。ただ、感じるのは季節ごとのイベント。
12月もまたそのイベントがあるらしい。
クリスマス。
私は涼宮ハルヒがやることに無理矢理とは言えちゃんと参加している。
クリスマス会もそのひとつ。
鍋パーティーをするらしい。
でも、この世界にあいそ尽きるのも時間の問題だった。
私は12月に入ってすぐ、あることを考えていた。
世界改変。
私は人の気持ちを理解しかねる。
人の心情は難しい構造でできている。解ろうとしても解らない。
その気持ちを知りたくなった。
すぐにでも世界改変してもいいくらいのシナリオを練った。
どうすれば楽しくなるか。胸がざわつく。
すぐに出てきた存在、彼を利用しよう。
涼宮ハルヒを消そう。いや、消したらめんどくさくなる。違う学校に行った事にしよう。
女学院。そこにしよう。涼宮ハルヒの代わりに朝倉良子を置こう。
古泉一樹はどうしよう。転校しなかったことにすれば良かったが、それもなんだか面白くない。
そうだ、9組共々女学院に入れよう。女学院じゃない学校にすればいい。
朝比奈みくるは?その友達は?そうだ。この際だから全世界の人々の記憶を消し去ろう。
でもおもしろい?もっと面白くしたい。そうだ…彼の記憶だけ残そう。
面白そう。私は?もちろん記憶を消し、普通の人間になる。
いや。そうじゃない。私は人間になりたいんだ。表情を作れる人間。
そう思うと突然鼻の奥がツンとしてきた。何?この気持ち…なんだかわからない。
眼から暖かい液体がポタポタ流れる。息遣いが荒くなる。苦しい。
そうだ。人間になりたい。そう、もう一人の私が呟いた。
シナリオが完成した。

 

涼宮ハルヒと9組は女学院に移動。
涼宮ハルヒの代わりに朝倉良子を置く。
全人類の記憶を塗り替える。
もちろん私も普通の人間。
ただし、彼だけは記憶を塗り替えない。
この世は普通という言葉でいっぱいの世界。
そう。情報統合思念対も対有機生命体もいない。
未来人も超能力者もいない。
普通の世界…
私の理想の世界……

 

いつ変えよう。迷う。
でも…彼だけに嫌な思いはさせたくない。
彼の辛そうな、悲しい顔を見るのは嫌。
そうだ。彼に鍵を…
彼ならきっとわかってくれる…きっと。私はそう信じる。

世界が変わって3日で彼は鍵が解けたらしい。


私のところに処理の知らせが来るのに何時間もかからなかった。
解ってた。無理だって言うのは。こういう運命なのは…
彼入院する病院へ足を運ぶ何故か足が重たくなる。
私が彼に全て打ち明けた。
何故世界改変をしたのか。処理が決まったこと。
私は彼に怒られた。世界改変に怒られたんじゃない。
なぜそうなる前に相談しなかったかに。
それから、処理を考えた統合思念対に…
私は全て聞き終え、心から単語を捧げた。
この単語の意味は知っている。
でも、使ったことがない。
彼が始めての人…
「ありがとう」
Fin


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