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  さっと報告書に目を通した後、まずお茶を一口含んでからわたしは質問に答えた。
「最初の週は予想の範囲内です。ただ、涼宮さんと古泉くんサイドはちょっとずれすぎているかもしれません」
「機関より最初に提示された計画と、実際の計画の差異は内部にスパイが居たためと考えられる」
「情報統合思念体は、それを誤差の範囲と判断しこのまま計画を続行する」
「わかりました。わたし達もそれでかまいません」
 報告書は計画の最初の週の観察結果。
 
 公舎に戻ってから、報告書を詳しく読むことにしました。
 まるで三流作家の恋愛小説に登場する主人公二人の交際を見ていると、口元が緩んできます。
 当時のわたしの立場であれば、キョンくんと交際するということは禁則事項でした。しかも涼宮さんとキョンくんの絆は、彼女にとっては羨ましくもあり理想でもあります。
 わたし自身がヒロインになれる話、うまくその役割を演じて王子様とハッピーエンドになれるのだろうか。
 そんなことを思って、報告書を棚にしまいました。

 

「み、み、みらくる~みっくるんるん♪」
 携帯の専用着信音が夢の中の俺を至急叩き起こし、電話に出ると今日も多少ぎこちない感じで声が聞こえてくる。

「お、おはようございます。マイ、ダ、ダーリン」
 エンジェルボイスのモーニングコール、これを聞いたらどんな男でも死んでいたとしても目を覚ましてしまうだろう。
 毎回ながら鶴屋さんのアレンジを聞いて、そのたびに戸惑っているみくるの姿が頭に浮かんでくるのですけど。
 さて、朝から妄想するのは止めて相応しい返答をしないと。
「おはようございます、マイハニー」

 お互い照れてなんともいえない沈黙の挨拶の後に、鶴屋さんに話し相手が代わり
「おはよー、キョン君。みくるが会いたがってるんで早くご飯を食べて迎えにくるさっ」
と元気な声が聞こえてくる。俺の予想ではハルヒと鶴屋さんは体に原子炉でも入っているんだろう、そうに違いない。
 朝から常時元気で、朝がつらい俺にはまったくもって羨ましい。
「早寝早起き・・・・・・後、愛が元気の秘訣さっ!」
 一部、違う気がするがまともな返事が返ってきた。どうせ俺は遅くまで起きてますよ・・・・・・。

 着替えて準備をすませて、颯爽と自転車の速度を上げていく。
 毎度のことだが、普段通る道もみくるを迎えに行くというだけで新鮮に感じられる。そんなことを考えつつ鶴屋邸に到着した。

 いつみても桁外れの大きさの屋敷である。
 インターフォンを押すと「そこでまってて」と返事、しかし普段はお二方一緒に出てくるのに今日はなぜか鶴屋さんしか居ない。
「おはようございます、鶴屋さん。あれ?みくるは?」
「はっはっは。みくるはまだだよ」
となぜか笑顔で返される。頭に?マークを思い浮かべたその時、誰かに後ろから抱きつかれ目隠しをされた。

「ふふふっ、だ~れだ?(大人の女性の声)」

 ふっ!この声は朝比奈(大)さんの声と同じ、俺が忘れるはずがない。
 しばらく背中にあたる柔らかい感触を楽しんでいたいが、ここは正解を答えないと俺の信用と評価が下がりかねないのでやむなく答えることにする。

「朝比奈さんですね」
「うふっ、正解。結構自信があったのに。あれ?なんでわかったの?」
「あたしでもすぐにはわからなかったのに、さすが彼氏だねっ」
「それと、えっと、胸があたってますよ」
「これは、あ、あててるんです」
「もう一回言ってもらって良いですか?」
「だ~れだ?」
「それはもう良いです」
「胸を当てて・・・やっぱりだめですぅ」

 鶴屋さん、今回はかなり難易度の高い芸を仕込んでいるのですか・・・・・・。
「どうだい、これでキョン君も朝から元気になっただろ。」
「ええ、まあ。」
 そいや、鶴屋さんが作ったオリジナル交際にこのイベントは書いてあった気がする。

「そういえば、あの時なぜあたしを『朝比奈さん』と呼んだのかな?」
「あれ?なんででしょうか」
「付き合ってからは名前で呼んでって言ったのに・・・・・・キョン君はいじわるですぅ」

 ごめんなさい。貴女は怒っているつもりでも、その表情も可愛いだけですよ。
 朝比奈(大)さんのイメージでとっさに「朝比奈さん」と呼んだだけです、とはさすがに言えないので適当に誤魔化しておく。

 

 


 受験勉強の息抜きのためか、事前予告だと今日の家庭科は自由に料理を作ってよいとのこと。
 あたしと鶴屋さん、そして男子2名の班はお菓子をつくることにしました。

 ふふっ、実は何度かみんなとお菓子作りをしたりしてちょっとだけお菓子作りには自信があります。
 すこし大目に作って、放課後差し入れしよう。キョンくん、おいしいって言ってくれるかなぁ。
 
 まず、バターを崩して、泡立て気で練り混ぜます。(朝比奈さん、真剣な表情でつくってる)
 次にグラニュー糖、解きほぐした卵の順で入れます。たしかキョンくんは甘さ控えめが好みのはずだから砂糖は少なめに。
 (砂糖の分量なんて大体で良いのに・・・・・・なんでみくるは0.1の単位まで真剣に計ってるんだい)
 ふるっておいた 薄力粉、コーンスターチ、ココアを加えてて 粉っぽさがなくなる程度に 軽く混ぜます。
 (なあ、鶴屋さん。朝比奈さんはやっぱりあれ、最近できたという後輩の彼氏のために作ってるんだろうか)
 好みの形をした口金をつけた絞り袋に生地を入れて、オーブンシートを敷いた天板に絞りだします。
 (んふふふふ。あのハート型。すでにみくるは重度の恋の精神病患者にょろ)
 適温のオーブンで12、3分程度焼きます。待っている間、ついついハミングなんかしたりして。
 (すでにみくるの頭の中ではおかしの感想を聞いているシーンになっていると思うさっ)
 (表情がころころ変わっているもんな。両手をほほに当てていやいや、とかあの朝比奈さんがねぇ・・・・・・羨ましい)

 調理中に誰もあたしに話しかけずに、そっと生暖かい視線で見守っていることに気が付いてなかったのです。


「キョン、鶴屋さんと朝比奈さんがお前に用だとさ」
「なんでお前ばかり・・・神様は不公平だよな」

 休み時間。谷口が声かけてきたので教室の入り口を見ると、そこに鶴屋さんとみくるが見えた。

「やあ、キョン君。さっき調理実習でクッキーを作ったから。ほいっ」
 そう言って、鶴屋さんが俺の手にまだほんのり暖かい袋を握らせてきた。

「これは義理だからね。君への本命はこっちさっ」
 そういって、みくるを俺の前に差し出してきた。
  差し出された当人は戸惑いながらもさらに同じような袋を差し出してきたので、礼を述べありがたく受け取る。

「えっと。班の人には甘すぎると言われたので、キョンくんの口に合わなかったらごめんなさい」
「俺、甘めのお菓子は好きですよ」
「ははは。大丈夫、キョン君なら美味しいと言ってくれるさっ」

「今日は用事があって放課後は部活には行けれませんから」との言付けと手製クッキーをもらい席に戻る。
 今まではこういうイベントには全く縁のない俺だったが、やはりうれしいものだな。

 さて、本来俺はこのクッキーを独占する権利はあるのだが、ジャイアン流の考え方で俺の所有物を自分の物と堂々と主張する人間が後ろの席に居て、残念ながらハルヒと目が合ってしまった。

「いいご身分ね。それクッキーかしら。もちろん、あたしにも分けてくれるわよね」

 鶴屋さんとみくるさんの俺へのクッキーを取り上げるのはやめてくれ、と主張したいのをここはぐっと堪えてる。
 分けるのは真に心苦しいが、ここで揉めてクッキーが砕けるのは惜しいのでハルヒの机の上に鶴屋さんの袋を置く。

「涼宮、それならこっちを預けておくから両方部室で食べよう。あと、今日はみくるは欠席とのことだ」
「せっかくのクッキーなのにあんたのお茶のお茶受けか、非常に残念だわ。」

「おいおい、俺がお茶係なのは確定かよ」
 そう突っ込みたいところだが、放課後までクッキーを死守するほうが優先。今回は無視だ。

 結局放課後、鶴屋さん4個、みくるさん8個、計12個の小柄なクッキーは4人のメンバーに俺が淹れた紅茶のお供になった。
 「甘すぎるかも」という予想は、俺も他の誰も指摘しなかったから、単に気にしすぎだったようだ。

 次の日の昼休み、食事中のことである。
「昨日のクッキー、とても美味しかったですよ。」
「そうですか、それはよかったです」
 甘いクッキーと聞いてたのですけど、砂糖でも入れすぎたのですか?
 そう聞くと、鶴屋さんが軽く笑ったあと解説してくれた。
「えっ、甘くなかったのかいっ?作っているときのみくるの様子はもう楽しそうでさっ」
「あれ見てたら『いつも甘いですね、ご馳走様』と言われるに決まってるんじゃないかい?」
「ふぇ?なんでそれが甘いんですか?キョンくん、どういうことなんですか?」

 ああ、そういうことか。俺はその意味を未だに理解できていない彼女を見つめながら苦笑していた。
 


 学校が終わったあと、僕は涼宮さんをいつもの車で病院に送る。そして2時間程度の検査。
 この検査が何をやっているのかは僕は判らない。ただ、森さんが認めているのなら非人道的なことはやっていないのだろう。
 そのあと、彼女を自宅に送る。彼女の両親は普段帰宅が遅く(恐らく機関が手を回しているのも原因だろうが)彼女はいつも一人。「じゃあね、古泉くん。おやすみなさい」
 そう言って車を降りる彼女。家の門を入った時にこの数時間の記憶は・・・・・・
 
「ひとり家に帰ったあと。涼宮さんは両親が帰宅するまで、いや寝るまでなんらかの時間を潰している」
 彼女に用意された数時間の記憶、独り言を呟く。これには僕と長電話というのも含まれているそうだ。
 現実は・・・・・・僕は彼女と長電話なぞ一度もやったことがない。

 そういえば、今日。眠そうな彼が僕にぼやいた。
「なあ、涼宮から夜遅くに電話があったんだが。おまえからも近所迷惑という言葉を教えてやってくれ」
「あなたは僕がそれを彼女に提案できると思いますか」
「彼氏としてやれ・・・・・・俺の睡眠時間のために」
 たぶん、それは彼女なりのあなたへの救援信号ですよ。朝比奈さんが居るとしても、涼宮さんはあなたを頼っているのです。
 
 あとは直進のみで宿舎に向かう車、その道が僕には誰かの用意したレールに見えた。
 
 

 情報統合思念体は、今回の計画についてわたしに補佐をつけるといっていた。
 そして同時にわたしには釘もさしてきた。
 その両方をわたしは受け入れることにした。
 
 蓄積したバグへの対策としてはもっとも適切な方法だと思われる。
 そして今回の計画。情報統合思念体から聞いている目的は、この世界の未来の改変を促すもの。
 現在、同期のできないわたしは未来もわからない。
 ただ、みんなの理想が作り出すならわたしも満足するものになると信じている。
 
 


 放課後、暇を持て余していたハルヒは長門の本の返却に無理やりついていき、この部屋にはチェスを一戦終えた俺と古泉、それを眺めるみくるが残っている。

「やっぱり、貴方はクイーンの扱いが上手ですね。僕にはあんな使い方できません」
古泉、何が言いたい?お前の手元にも同じ駒はあるし、それだけが敗因でもあるまい。
「いえ、単なる感想ですよ」

 感想戦の途中、雑用を終わらせ隣に座っていたみくるが何かに気がついたようで俺のシャツの首元にそっと触れる。
「キョン君、洋服のボタンが取れかけてますよ」
 そういや、毎度毎度ネクタイだのシャツだの引っ張られたらボタンも取れかかるよな。

「私ソーイングセットもっているので縫いますよ」
 じゃあ、ぜひお願いします。
「じゃあ、洋服貸してくださいね」

 その後彼女は俺の隣で針子になり、相変わらず俺と古泉はチェスをやっている。
「そういえば。貴方は昔から朝比奈さんに対してだけは素直でしたね」
「なんだ、唐突に」

 俺が素直じゃないとでも言いたいのか?
「ええ。貴方は朝比奈さんに対してだけは、自然にほめ言葉を口に出していました。」
「そして、たぶん交際していなくても朝比奈さんも貴方を気にかけているでしょう」
「つまりお二人が交際の有無関係なく、日常の風景は変わらないものになっていました」

 確かに、周りへの気遣いを忘れない人だから今が特別というわけでもない

「朝比奈さんは、どじっ子属性が消えていきお姉さん属性になっています」
「貴方は能動的な性格になり、考えを素直に話すようになってきていますよ」

 俺やみくるさんの性質が変わっているなんて当人には実感できないが、そう見えているのだろうか。

「お互いに好影響を与え合って、周りにもそれを与えている。そう思ったんですよ」

 


 待ち合わせ場所の駅前には、天界より女神が2柱舞い降りていて。きっと絵心のある人なら必ず絵画の中に閉じ込めてしまいたくなる、華やかな会話の様子。
 俺はそれを遮るという罪を犯すことを躊躇し、しばらく近くでぼっと見惚れている。
 ひとりは赤のギンガムチェックのチュニックにデニムをブーツインして、薄紫のダウンジャケットでカジュアルに纏めている。
 もうひとりはベージュのタートルセーターにツイードのハーフパンツを併せ、クラシックに淡いピンクのポンチョを纏い、おそらく履きなれているのであろうブーチで上品に纏めている。
 俺のような平凡な人間は、これからこの女神達をエスコートするという栄誉のために人生の残りの運を使い切っているのだろう。
 いや、運だけでは足りていないのかもしれない。
 
 
「えっと・・・・・・えっと・・・・・・」
 目の前にはキョンくんが打ちのめされたあげくに燃え尽きて机に伏しています。
 部室にはもう5分はおなかを抱えて大笑いしている鶴屋さんと目頭に涙をにじませて息を詰まらせながら爆笑している涼宮さん。
 古泉くんは表情を変えずに彼の文章を読んでいる最中で、長門さんはいつもと変わらない様子。この二人はさすがプロです。


 当初、参考書などを買いに鶴屋さんと2人でデパートや本屋に行く予定だったのを
「どうせだし、キョンくんも誘わないかいっ」
と鶴の一声で結果3人で日曜日を過ごすことになりました。

 楽しいひと時が終わって、お茶を飲んで談笑しているときのお話。
「そういえば、あのハードカバーの本ってどんな小説なのですか」
 あれ?あたしは本屋で小説を買った覚えはないけど。かばんの中を見てもやはり入ってないですね。
「あ、たぶん日記帳のことじゃないのかい」
「えっと、もしかしてキョンくんの言っているのはこれのことですか」
 あたしの取り出した本の中をみて、キョンくんは納得してくれました。
「もっと可愛い感じの日記をつけているというイメージがあったんですよ」
「あたしもめがっさ可愛いものを予想してたんだけど、ところが。実際にはみくるのイメージには合わないものだったのさっ」
 鶴屋さん、あたしのイメージって。
 
 そのあとは3人で日記の話で華を咲かせていました。
 日記をつけるのはいろいろな理由があると思ってます。習慣だったり、その日を整理して振り返るためだったりと。
 ただ、仕事のため報告書を書くから日々の整理はそっちで済んでしまうんです。
 過去の自分の心情を振り返るため、あたしの行動をあたしが褒めてあげるため・・・・・・。
 
「どうだい、キョンくんもこの機会に書いたら」
「いまいちコツがわからないので俺には無理ですよ」
「その日にあった出来事、そして思ったことを簡単に書くだけでも違いますよ」
「まあ、そういうなら」
 回想終了。
 
「とりあえず書いてきました。読んでもらって良いですか」
 お茶を出し終え、椅子で待機していたあたしにキョンくんは1枚のルーズリーフを渡してきて。
「なにそれ。あたしにも読ませなさい」
 そのままそれを涼宮さんが奪い取り、鶴屋さんがちょうど現れてそれを読んで。
 現状の説明終了。
 
 結局、長門さんが本を閉じて解散の合図をするまでこの状況が続いていました。
 
 TPDDを用いた時間移動、未来から来たわたしはパラパラ漫画の途中に書かれた余計な絵のような存在。
 わたしがいなくなった時、みんなはわたしの存在を普通よりも早く忘れ始める。
 仕事だからとあきらめないといけない、でもわたしは身近な人にだけでも覚えていて欲しい。
 だから内容はどうであれ、キョンくんが日記をつけてくれたことがうれしかった。
 二人の時間をずっと大切にしたいと思っているということだから。
 

 放課後、部室に向かうとドアの前に彼が居ます。恐らく朝比奈さんが着替えているのでしょう。軽く挨拶を交わしたあと
「そうそう、涼宮はいま教室に居るはずだがあいつが来たらカラオケに行くぞ。涼宮には俺から提案するから話を合わせてくれ。既に中の二人には話している」
と、提案してきました。どういった心境の変化でしょうか、とりあえず機関にその旨を連絡します。

 涼宮さんに対して「割引券が入ったし、たまにはいいだろう」そう彼は提案し、僕と朝比奈さんはそれに同調しました。
 いろいろ言いながらも彼女が彼の提案を断ることはありません。(彼に全額奢るように宣言した時、朝比奈さんが驚いた表情をしていましたが)
 2時間の間、そこは涼宮さんの独擅場でした。彼女の知っている曲、みんなが彼女を誘いとソロ、デュエット、トリオと楽しそうに歌っていました。
 その後は、街中を5人でぶらぶらと歩いていました。
 
「なんか、久々に遊んだって気分だわ。じゃあまた明日」
 涼宮さんが改札口に入っていったあと、僕は彼に真意を尋ねました。彼はそんな僕の態度をみて溜息をつき。
「やれやれ。あいつがずっと苛苛気味だから気分転換だ。本来はそっちの仕事なんだから次回からはお前が俺らに奢ってくれ」
 そういうと自転車を取りに行き、待たせていた朝比奈さんを自転車の後部座席に乗せて家路に消えました。

 先日から閉鎖空間は発生していません。学校の中と外では別人格のように振舞うようになってしまいました。
 診察後の涼宮さんは、瞳に輝きのなく時間が過ぎるのを待っているだけ。
 逆に、彼といる時間は以前以上に生き生きとしています。あの朝比奈さんが恐らく嫉妬でたまに涼宮さんへ冷たい視線を投げるくらいに、そしてそれを平然と受け止めていられるくらいに。
  彼は朝比奈さんしかみえていないので涼宮さんの態度の変化には関心がないようで、それが唯一の救いです。
 
「長門さん。さっきの彼の言葉、朝比奈さんの表情を見ましたか」
「・・・・・・」
「この計画は本当に必要なのでしょうか。僕たちの上の人はなにがやりたいのでしょうか。あなたなら真相を知っているのではないですか」
「・・・・・・」
 冷たい風が二人の間を吹き抜ける。
「僕は舞台から降りることにします。機会が出来次第、彼女にすべてを告げてこの茶番劇に幕を下ろします」
「そう」
「長門さん、彼女への暗示を解いてもらえませんか」
 長門さんは確認を取って、そして
「わかった」
 それだけを僕に告げると用が終わったとばかりにその場を去っていきました。
 

 

 

その3に続く

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