クリスマス。ここは、大学病院。


ピアノには佐々木さん。わたしにはフルート。沢山の子供達がわたしの周りを囲んでいる。

対面に座る、ダンディな指揮者と、年齢不詳のライブラリアン(司書)。
ツインテールのコンサートマスターと、日本人形のようなフルート・ピッコロパートリーダー。

この発表会…クリスマスに合いそうな曲だけを演奏するささやかなコンサート…はオケ・ナチョナル・ド・ジロンドへの審査を兼ねている。

「知ってる?この国立オケって、音楽を管理するって意味で、ル・オーガニゼーション(機関)って呼ばれてるんだって」
車いすに乗った子供の話し声。

「…本当に聞けるなんて」
点滴を付けた少年が目を輝かせる。

「わたし、もう、死んでも良いわ」
蒼白の少女が絶望のような期待をわたしに向ける。

病院という、白く希望が無い場所のクリスマス。

「いきましょう」


始まる

 


 

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We feel happy if you enjoy this Concert

By Concert Master,Kyoko Tachibana

 

guest: Suzumiya Orch Session's members

 


 

曲目「カノン」  作曲者:パッヘルベル 審査対象曲

 暁の星のいと美しきかな。
神よ、われらに汝の言葉を守らせたまえ。

佐々木さんがピアノを叩き、世界を作る。
その中で、わたしはフルートを手に、輝光を放つ。

8つのコードを28回繰り返す。数学的に調和された美しい音。
3つの声部を持つこの曲には、郷愁と秩序と希望が見える。

終わりがない、美しさ。
単調で、重々しく響く。

同じコードを、また繰り返す。
追い駆けてく、旋律は変化してく。

祈る。皆幸せになるように。
演奏が終わる。

佐々木さんはピアノから立ち上がると、礼。それに会わせ、わたしも頭を下げる。
彼女はつかつかと小さな舞台を横切り、演奏者席へ戻る。 

 


 

 幕間

 


「キョン、気づいてる?佐々木、最近あなたのことをキョンって呼んでる」
「…気づいてはいたけど、なぜなんだ?」
「あたしの口からは言いづらいけど、たぶん…あ、始まるわ」

 

 


 

「無伴奏フルートのためのソナタ イ短調 BWV1013」 作曲者:バッハ 審査対象曲

 

この曲は、ライバルとしての佐々木さんがわたしに課した十分強の難曲。

 

フルートが使われる曲の中で最上級の難易度…知られているクラシック曲の中では間違いなく一番…を誇る舞曲である。


例えばこの曲、冒頭部分以外に全く休止符がない。すなわち、十分間ずっと吹きっぱなし。

循環呼吸(口で吹きながら鼻で吸う)を使わなくてはならず、その際、音を揺らしてはいけない。


絶え間ない跳躍、旋律と分散された和音の同時表現。その全てが人間如(ごと)きには無理だとせせら笑う。
技術的に最上級の要求を課せられ、一級の名手のみが演奏できる超難曲。わたしは試されている。

一。息を吸い。
二。吹き出す。

 

 


 

『第1楽章 アルマンド イ短調、4分の4拍子』

 

アルマンドはフランス語で『ドイツ風舞曲』の意味。
目の前で、優雅に踊る婦人をイメージする。

平穏における重大でよく落ち着いた円満さ。
アルペッジョ・スタイル(和音分散形式)。

心の中で和音を分散させていく。
それは、無意識に観客の心の中で組み合わされ、再び美しく響く。

優雅に、優しく、激しさを秘めて。
荘重(そうちょう)に、強く、月のように。


「…くっくっ」

 


 

『第2楽章 クーラント イ短調、4分の3拍子』

 

クーラント、宮廷舞曲。
王者の威厳。厳粛な音楽。

明確に希望を顕示している音楽。
甘い情熱がそれを包み込む。

何か心からのものであること。
何か切望しているものであること。

厳粛で甘いリズム。
愛を、希望を。


「ねぇキョン、有希、今こっち向いてたわ」

 


 

『第3楽章 サラバンド イ短調、4分の3拍子』

 

サラバンド、三拍子のスペイン風舞曲。
本来ならカスタネットが欲しい。

カンターピレ(歌うように)
楽しく明るく、可愛らしく。

どんな辛いことでも、笑い飛ばせばいい。
幸せなんてこころの持ちようでしかない。

踊れ、おどって。
幸せがつられてやってくる。


「わぁ、長門さん、笑ってくれましたぁ」

 


 

『第4楽章 ブーレ・アングレーズ イ短調、4分の2拍子』

 

ブーレ(舞曲)・アングレーズ(イギリス)
フランス語でイギリス舞曲の意味。

第一主題は輝くラッパのように力づよく。※
第二主題は優雅なバイオリンのように雅やかに。

イメージしているのは無論、あの男子二人組。
二つの主題はこれ以上ないほどよく調和する。

輝くように、広がるように。
お二人で是非お幸せに。


「なんか、なんとなくだが、怒られてる気分なのだが…」

 


※主題:クラシック音楽において、旋律の塊みたいなもの。

特にソナタ形式では最初にいくつかのまとまった小節で提示される第一主題と、それを展開させた第二主題がある。

 


休憩(15分)


曲目「バイオリンソロのためのパルティータ第3番ホ長調 BWV 1006」 作曲者:バッハ

休憩時間だというのに、橘がバイオリンを弾いている。


ただでさえ速度的にきつい曲だが、それを1.5倍速でやるあたりさすがコンマス、自信が垣間見える。…いや、自信とか以前に、腕さばきが人間に見えないんだが。

子供たちの歓声を横目に、俺はハルヒに話しかける。

「第一の選択肢はそのまま佐々木をやめさせること、だよな」
「そのとおり。佐々木さんの言う引退はこっちのほう」

クラリネットの手入れをするハルヒ。冬場はちゃんと手入れをしなければ、乾燥して割れてしまう。
手入れの仕方はハルヒのクラスで隣の席だった管弦楽部クラリネットの人に教えてもらったらしい。

「んで、第二の選択肢はオケの一般団員として残ること。まあ、あれじゃあコンマスは無理だから、ね…」
佐々木の体は多すぎる向精神薬に悲鳴を上げている。そもそもリタリン製剤であれだけ敏感な反応を示したのだから、今までの方に無理があったのだ。

「どの選択にしろ、復帰はだめかも…ね…」
本格的な治療のため、ショック療法…要するに病院のベットに縛り付けて薬を切る…みたいなことをしなければならないだろう。
…考えたくもないが、直らないかもしれない。天才音楽家の最期にありがちな、精神病院たらいまわしの絶望的で悲惨な…

「って、なにあなたが真っ青になる必要があるのよ。苦しいのはその、佐々木、本人なのよ!」
そういうお前も顔が青いぞ。

 


 

演奏再開時間

 

橘さんが輪の中に入り、礼をする。
「本日はオケ・ナチョナル・ド・ジロンド・メンバーによるクリスマスコンサートへ、ようこそおいで頂きました。わたしは当オケの通常構成時のコンサートマスター、橘京子と申します」

ごほん、と息をつき、ブラウンがかった佐々木さんの髪と、その黒い瞳を見る。
「そして、こちらメンバーで、吹奏楽構成時のコンサートマスター…いわゆるバンドマスターですね、神童と名高い佐々木さんです。一応フランス語の名前もありますが、佐々木さんのほうが親しみがわくでしょう。彼女はパリ音楽院にて、若くして特に実力を認められた特別聴講生でした」

そしてわたしの方を向く。

「そしてこちら同じくメンバー、フルートの長門さんです」
ウインク。どうやら審査に通ったらしい。

「佐々木さんが日本に長期来日した際に、共にドリーム・オケ(実力のある人をかき集めて作ったオケ)に参加していた実力派です」
 
待ち続けた。やっと、始まる。

「次の曲は『「歌の翼」による幻想曲』です。こちらの長門さんがフルートと、ゲストの朝比奈みくるさんがピアノを担当します」

「歌の翼」による幻想曲 作曲者:メンデルスゾーン  審査非対象曲

 

サンタクロースにコスプレしつつピアノをたたく朝比奈さんはとてもかわいらしい。
ああ、お持ち帰りしたい。 

ただ、ハルヒや佐々木とは違い、演奏がどうしても黒くなるのが玉に瑕なのだが。
そのなんでも黒色化症候群は…

「pi~」 

フルートが何とか押しとどめる。

「なんというか、これならお前のほうが向いてたと思うんだが…」
「…わたしのピアノはちょっと勢いがあるだけ。全然下手っぴよ」

世界的演奏家はそれを『すばらしい』と形容したけどな。真ん中とってまあまあくらいってどうだ?
しかしお前が謙遜するとは。明日は大雪だろう。

「pi~…ッ」 

しかし、なんというか、長門、人選ミスったな。佐々木だったならもう少し…

あれ?

「ハルヒ、佐々木の様子がちょっとおかしくないか」
「確かに。次の曲まで、佐々木の出番はないわね。少し抜けてもらわなきゃ」

演奏者席から佐々木を引っ張り出す。長門の演奏に引き込まれ、気づくものはいない。
声もなく、抵抗なく引っぱられる佐々木。虚ろな目。
こいつはもしかすると…

「キョン、佐々木さんのバッグから薬持ってきて。あたしは看護士呼んでくる」
長門、すまない。俺たちはしばらく『発表会』から離脱しなければならない。


 ウィンター・ワンダーランド・弦楽編集 作曲者:F.BERNARD 審査非対象曲

病院内の小さな楽器準備室、兼、控え室。
病んだ人を慰めるために来る、音楽家のための部屋。 
 
看護士が布団を敷く。現在使用している向精神薬を飲ませ、同時に医者の許可を得てブドウ糖の点滴を行う。

「もう大丈夫だ、キョン」
佐々木はゆっくり立ち上がる。だが、目は虚ろなままだ。

「…演奏には戻れる?」
「うん、ジョンって呼ぶと、あなたみたいに仲よくなれない気がするの」
虚ろな目のまま、ハルヒのほうを見る。

「う~ん、でも、もうちゃんと仲良くなっているんじゃないかしら。親友って言ってもいいぐらいよ」
「…テンポが合わせられないから、『神の能力』じゃ、ないんでしょ?」

ハルヒの横のクラリネットがかたり、と音をたてる。こいつは音楽に魂を売り払ってしまった。

「佐々木さん、無理、しないで」
「中を覗かないで!みんなわたしの値段をつけるために、音をだすんだわ。フルートの音が、役立たずってわたしをののしるの」
全く会話がかみ合わず、困惑の中、佐々木は叫ぶ。

「ノン・ヴァルール(無価値)、クナード(脳無し)、ケス・トア(消えてしまえ)…」

フランス語でありったけの罵り言葉を叫ぶ。
言葉がなければ落ち着いているように見える佐々木の、その、全く理解できない言葉が、異常な状況を叫ぶ。

ハルヒの声に嗚咽(おえつ)が混じってくる。希望が打ち壊れる音がする。

「有希は、そんな、こと、しない」
今なら眼鏡を壊したときの佐々木の気分にもなれるな。こんなブツ、今すぐぶっ壊したくなる。

 

「ううん、わたしはもう死んでるの。キョン、涼宮さん。あれはかんおけ」
巨大なコントラバスのケースを指さす佐々木。

俺をその場所に閉じ込めたときの佐々木は、こうじゃなかったはずだ。

「どうしてだ…」
どうしてだ。どうしてこうなってしまったんだ。
佐々木はそれを聞いて、小さく返事をする。

「そう、僕と復習だ、ってことで、次だ次を考えようキョン」
…次なんて、もういい。もう何もしなくていい。お願いだ。もう休んでくれ。

俺は佐々木を強く抱く。追い討ちをかけるように、佐々木はつぶやく。
「こいずみくんにあくまがついた」

俺の腕の中で、次第に佐々木の目に正気が戻ってくる。


 Love Is The Message 作曲バンド:MSFB   審査非対象曲


この曲で出演する演奏者は新川さんを除く全員。

佐々木は俺を無理矢理押しのけて復活、橘の音を聞いてサックスの音あわせをしている。
…あれ?橘はともかく、佐々木は絶対音感でチューニングできないのか?そう思ってチューナー(電子音叉/周波数計)のスイッチを押してみる…
なるほど、こいつらわざと微妙に音を外してるんだ。そうすれば和音がエキサイティングになる、という計算なのだ。

定位置につくと、橘のバイオリンが合図。

まずはバイオリン・チェロ・ベースから。
E6E♭7sus4~』

踊りだしたくなるようなコード。

佐々木のサックス。九曜のピッコロ。長門のフルート。
ファ♯~』ッ

もう踊っている単音。

ドラム。強力な四つ打ち。安定したベース。
朝比奈さんの暗黒のキーボード。



この曲は、とりあえず踊りたくなる旋律を持っている。

『次は審査曲ですね。長門さんをどこか遠くへ連れて行く、曲です』
…ただ、古泉の様子が少しおかしい気がする。音がこの曲に向いていないというか。

 


第三の選択肢

立てるものは皆踊っている。そんな気分じゃない俺たちと、藤原を除いて。

「ったく、現地人はしゃぎすぎだろ…」
お前もな。チェロ重くて悔しそうだなおい。

ほんと、楽しそうだ。ったく、病人なのに無理すんなよ。
そら、お前点滴抜けてるぞ。いわんこっちゃない。とっととそこの看護婦さんに直してもらえ。

「で、第三の選択肢はなんなんだ。ハルヒ」
「今そこで演奏している有希以外の機関メンバー全員がオケ辞めること」

なんだそりゃ。特に橘なぞ、曲がりなりにも国立オケの幹部になったばっかりだぞ。
あの『機関』の幹部なぞ、なかなかなれるものじゃないだろ…

「でも、橘さんたち一同が言う引退はこっちのことよ」
冗談じゃない。万一コンマスが二人抜けるような事態になったら、オケは解体途中の建物のように、まこと速やかに崩壊するだろう。

『…違う人達が必要だったの。やっと、そろったのです』

…こちとて国立オケ。治療のため不在に近くなるであろう佐々木は、どの道にしろ幹部を下ろされる。

『アイデンティティの崩壊を…』

だが、佐々木を慕っていた彼らには、佐々木が辞めることも、一般楽団員になり下がることも受け入れられない。 なら、佐々木団(仮)みたいなものを作って佐々木中心の室内楽団でも作ってしまえばいい、とそんなところか。

持ち替えピアノと、クラリネット、フルート、チェロ、バイオリン。
この四人の楽器構成なら、演奏できる室内楽は数多くある。

確かにオケからは引退である。が、佐々木にとっては変わらず『騎馬戦の上』。
佐々木とその他で、考えていることが違ってたわけで…だが、『とりあえずやめる』点では意見が一致を見ているのか。

…あれ…?

こいつら全員移籍組、ぶっちゃけ会ったばっかりだろう。それなのに早速そこまで慕われてるのか…?
そもそもこのオケだってなんだか知らんが佐々木のために動いていたようだし、こいつが辞めたらオケの人間全員消えるんじゃないか…

恐ろしや、佐々木。そりゃ神と言われるわけだ。佐々木の音は一発でオケまでぶっ壊す。 



「で、もう決まったのか」
「ふん、あなたも子供みたいね。そうやってそれなーにばっかり訊いてくるところ。いい年なんだから、あたしのすることぐらい自分の頭で考えなさい」

ハルヒは立ち上がり、群集を掻き分け、クラリネットを取りに再び器楽準備室へと進む。
俺はあわてて立ち上がる。

次で最後の曲。

 無題 作曲者:長門有希 審査対象曲

スタート。これも本来は審査対象曲。
作曲という作業を通じて、わたしの音楽の知識と才能を見るためのもの。

審査する側はおそらく驚いただろう、ここでわたしはビッグバンド・ジャズを選んだ。
涼宮ハルヒの要請と、何よりわたしがやりたかったのである。

今までわたしがやってきたこと。
揺れる心、迷っていた自分。人間をあきらめていた自分。

バースは続く。皆への感謝。
再び音楽の道へ進めるチャンスをくれたことに感謝。

ビッグバンドだけど、幻想的に作るために、ギターは使わず、代わりにバイオリンが二つ。
あまり元気にしないために、トランペットは導入せず、佐々木さんのサックスで代わりを行う。

暗く幻想的に、でも心なしか弾みだす音。
クリスマスにぴったりの、弾んだ夜の雰囲気。

どう?と目で問いかける。新川さんがうなる。


 

古泉の答え


典型的なソロパート。最初は…古泉一樹。

神様、何故ですか?僕は離ればなれになりたくはないんです

フォルテシモの、バイオリンらしからぬ澄んでいない怒りそのもののような音がいきなり大きく響いた。
赤く、火の玉のように、虚空をにらみつけながら。殴るような弓。

運命よ、あなたが望むのですか?
ピン。A線が切れる。

ならば叫びましょう。叫んで、呪いましょう。
ピン。E線が切れる。彼の手が赤く染まる。

長門有希の曲が壊れていく。あまりに荒々しい演奏。人の心を踏みにじり、えぐりまわすような音。
強く張りすぎた弦の張力と、殴るような弓が次々と弦を切っていく。

古泉一樹はバイオリンのまだ切れていないG線で歌う。
右足を前に踏み出し、ちょっと曲げて。

斑点のついたG線が泣く。

 

誰かを踏まなければ、誰かを幸せにすることができないのですか。


D線を血色の弓で殴る。

 

なんで、あなたは僕を踏みつけるのですか。


G線上でうめき、D線上で叫ぶ。

 

あなたは叫ぶための僕の声まで、無視してしまうおつもりなのですか。

 

そしてついに、古泉一樹のつめがD線を切る。

大きく、最低音弦のG線だけで叫ぶ。


それでも絆は壊せません。そんなの、長門さんであっても、僕は認めない。

わたしのほうを見る。コーラスへ。楽譜上ではトゥッティ(全楽器参加)。 


 

「ノックしないでもしも~し…あれ?」
音を立てないように入った俺たちは

「キョン…これはどういうこと?有希の幻想ジャズが、なんでホラーになってるの?」
クラリネットのケースを持ったハルヒともども、文字通り驚愕していた。

…誰も音を出していなかったのだ。長門とG線のみの古泉を除いて。

 


 

男がG線上の、低い声で笑った。

「発表会はまだ始まっていません」

あなたは舞台の上で動かない。 
「まだ、時間はあるはずです」

『発表会』

そして、私は思い出そうとする。私はここで何を発表できるのだろう。焦る。思い出せない。
「時間はあるのです」

  あなたは言う。私に微笑んでいる。


「待ちましょう。あなたにお返事いただけるまで」

 

一つだけ、私は目的を覚えていた。

私の居場所は棺桶の中だ。私はそこから出て、再びそこに戻るために帰ってきたのだ。
棺桶にはあなたが腰掛けている。あなたが立ち退かないと、私はそこには入れない。
しかし私には発表することがない。発表会に参加する資格がないのだ。

 
壊れてしまったセッションを正すため、橘が弓を指揮棒にして、最初からと指示する。
従うものは、いない。少なくとも、演奏者のなかにはいなかった。

皆まるで古泉の不合理な怒りそのものとも言える音に、固まってしまったようだった。

『発表会』・終

To Coda

    ハルヒ&キョン/闇・常識エンド
    古泉 &長門/矛盾・光エンド 

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最終更新:2009年11月15日 14:53