夏。
何をするにしても『暑い』という言葉が無限ループを繰り返すこの季節。
正味な話、俺はこの季節が好ましくない。


大汗かく事が嬉しいなんてヤツ、きっとそれは相当なスポーツバカなんてのもんだろうと俺は思っている。
いや、他の理由でもなんでも汗かきたいなんてやつがいたら俺は今度からそいつを『Mr.M』と呼ぶことにする。


そんなのはどうでもいい話。


今日は夏休みも残りわずか2週間とそろそろ名残惜しくもあり、本腰を入れて魔物と、そう。学生にとっての最大の魔物『夏季課題』と対峙しなければならない時期だ。


そんな現実すら逃避し、なぁ~に、まだ時間はあるさと昼のうたうたlifeを涼しい快適な部屋で過ごしていると、魔の鐘の音がいきなりの爆音でなりだした。
俺はかなりびっくりしつつ、携帯の画面を見た。
…前々から思ってたんだがこの携帯の着信音は大きすぎる…まぁそれは単に俺が設定をいじってないだけなんだが。
携帯の画面には俺の平和の秩序を毎度の如くぶち破る悪魔の使者の名…まぁ言わずとしれずってとこだ。
嫌々俺がその電話に出ると、
「今から5分以内に駅前集合!5分以上かかったら罰金だからね!」

本当に毎回要件だけ言って切りやがる…
コイツの電話代って相当安いな。俺も見習おうか。少しぐらいは親の負担を和らげないとな。


まぁ今からどんなに早く準備しても結果はたかが知れてる。のんびり準備…とも考えたが辞めた。本当にのんびりすると罰金だけでは済まなそうだ。


俺は自転車を全速力で駅へ向かって必死に漕いだ。…だから俺は汗をかくことは嫌いだと。あまり『努力』という言葉もキレイ事っぽくてあまり好きではない。そして俺の意識の中では《努力=スポーツバカ=汗かくことを歓迎》みたいな方程式が完成してるのだ。
あくまで独断と偏見。実際そうではないとしても、自分の意識だ。誰にも文句を言われる筋合いはない。

それなのに行くだけでこんなに大汗かくのだ。コイツに関わると何かと無駄な労力が使われるからな…。俺もある意味スポーツバカなのかな…などと自己嫌悪に陥りながら必死で自転車を漕ぎ、自転車を停め、駅前のいつもの場所まで走った。


…いや意外に意外。そんなに急いで召集するからみんな集合済みで待たせてるとでも思ったが、古泉も長門もMYAngelの朝比奈さんもいない。
「遅い!5分以内って言ったでしょ!?罰金!」
…ここから家までの距離をわかってるか?どう考えても物理的に5分なんて無理だ。それより長門や朝比奈さんはどうした?

「有希達は来ないわよ。呼んでないもの。」
んじゃあすると俺はなんのために呼ばれたんだ?
「なっ、なんでもいいじゃないそんなコト!ほら、罰金なんだから!行くわよ!」
?なんだこりゃ…なんか変な感じがしたぞ?なんか…ハルヒにはとても想像出来ない感じがしたのだが…気のせいだろう。


とりあえず俺は素直にハルヒの命令に従いいつもの喫茶店。店員達はハルヒの姿を見るやいなやヒソヒソと店員同士で話し始めた。
大方いつもウルサく迷惑かけているので、今回はどんな疫病をばらまいてくれるのだろうと不安と興味心での会話だろう。いや、店員の皆様すいません。このバカに代わって謝ります。


俺は自分の財布が可愛いのでアイスコーヒーのみ。一方ハルヒはというと…あれ?何故かミルクティだけだった。
いつもなら「パフェが食べたいわ!」「今日はお腹が空いているからステーキお願いね!団長命令よ!」などとぬかすクセに今日は結局これだけだった。


何故?遠慮なんて知るはずもないはずなのに…まぁ粗方ダイエットか?いや十分過ぎるほど痩せているな…結構素晴らしいプロポーションだからなコイツは。夏だから夏バテか?コイツに限ってそれはないな。と自問自答を繰り返した。

もうここに呼び出された時点で返事はNoではなくYes以外になんと答えることが出来よう。それなら電話でどうか聞いて欲しかったね全く…。まぁ電話で言われた所で俺は渋々行ってただろうがね。
Okわかった。んでどこなんだ行きたいところって?
「えっ?いいの?」
俺は本当にさっき思った事をそのまま言おうかとも考えたが…
まぁ俺も暇だし。団長様の行きたいところというのも気になるからな。
と言っておいた。
ハルヒは自分で誘っといて意外…とばかり言いたそうなぽかんと口を開けバカっつらをしていた。
「なにがバカっつらですって!?」
っと…バカっつらってのが無意識に言葉に出てたか。


さぁて。それじゃあそろそろ行きたい所に連れてってくれよ、マドロワゼル?
不慣れな本当にこれで合ってるのか?という言葉を使って場所の移動を促し喫茶店を後にした。もちろん俺のおごりだ。会計するとき、ハルヒはなんか俺の方と手持ちの財布を交互して何か言いたげだったが。

何か違う…まぁ深くは考えないことにした。今日はこの団長様々と言った感じにさせてやろう。


ハルヒが連れてきたのはゲーセン。…こんなとこが行きたかったところなのか?そう思いながらも聞かないことにした。スゴく目が輝いてますもん。暗闇から急に明るい場所に出て感じる明るさぐらいに。…わかりにくいか。まぁあの輝き具合は裸眼で太陽を見るようなものだ。
「キョン!あれやるわよ!」
そう指指したのは拳銃のゲーム。どんな小さなゲーセンにも必ず一台はあるだろう。いや主観だが。
へいへいと俺はアイツに金を払わす余裕を見せずに2人分の料金を入れた。
なんかあっ…という感じでこっちを見たが、始まるぞ?と催促するとうん…と気まずそうにゲームの位置に着いた。


これは2人が協力して進めるゲームなのだが、俺はしばらく頑張ったが結局ライフがなくなりゲームオーバー。ハルヒは後を継ぐように一人でやらせといた。ハルヒが頑張ってる姿を後ろで見ていた。
結局一人でも最後までクリアしてしまった。天は二物を与えないんじゃなかったっけ?まぁいい。そこで悲観的になるほどこの涼宮ハルヒの天才っぷりは今に始まった事ではないし、俺自身が落胆的になったわけではない。なにせ俺は普通の男子高校生と自負してるからな。

谷口辺りはまた否定するだろうけどな。関わってる人間がまともじゃないだけで、俺自身は普通の一般的な男子高校生なのだ。
超能力なんてのは、人間が使うものではない。せめて超能力をつかうとしたら、スプーンを曲げるぐらいの可愛いもんにしとけ。おい。聞こえてるか古泉。


「あぁ~面白かった!じゃあ…次はあれね!」


今度はエアホッケー。ふふふ…エアホッケーにはいささか自信があるぜ。ハルヒを負かせてちょっと意地悪してやるのもいいか。そう考えてたが!
……結果は検討虚しく敗退。神様ってのは相当なSっ気だな。そうでなきゃ俺をこんなに虐めようとは考えないだろ。
そのあと何度かハルヒと勝負の激闘を繰り広げた。体術なら完璧に負けるが、ゲームとなればいささか自信がある。俺とハルヒとの激闘はギャラリーが出来た事もあった。……まぁ結果は言わずと知れた事ではない。


ある程度勝負にも疲れてきた頃、ハルヒは俺の意見を聞かずに手を取り引っ張ってった。「いいからっ!」と凄んでいるので反論せずに行くところ………


…なんだこれは…プリクラってやつか?カップルなら撮っておこうなあれか?俺とハルヒはカップルではないぞ?
…やっぱりハルヒはなんとなくいつもと様子がおかしい。

なんでまたプリクラとやらなんだ?
と尋ねると、
「いっ、いいい、いいでしょっ!別にぃっ!?拒否ったら罰金よ罰金!!」
あぁそうかい。


…と言ってみたが、何やらツンデレみたいなことを言い出した。コイツはツンツンだと思ってたばっかりに結構驚く。
なんだコイツは?今日はおかしい。俺はツンデレ属性ないぞ。朝比奈さんみたいなドジっこ属性は多少はあるが。


「へぇ~。壁紙が選べるんだ…。光を調整?スゴいわねぇ~。」
などとそっちのほうで一人でやっている。俺はプリクラなど撮ったこと皆無なのだが、もしかしたらハルヒもないのかもな。だからさらにどうしてと思う。そう考えてるうち、
「ちょっとキョン!撮るわよ!さいっこうな笑顔で笑いなさいよ!」
まぁコイツの奇行ぶりは今にも始まった事ではないと思いつつプリクラのシャッター音と光が飛び込んできた。


「ちょっと私が落書き書いてるからあんたは外出てなさい!」
へいへい。どうぞご自由にお姫様。
と外で待ってることにした。


数分後に出てきたハルヒは既に出てきた写真に手を加え、それの4分の1ぐらいのを俺に渡した。ん?待てよ…俺らが撮ったのは確か4枚。そのうち俺が受け取ったのは2枚分。

それには落書きと呼ばれるものの加工は何も書いていなかった。


おい。あと2枚分はどうした?
とまた尋ねたところ、
「ちょっ、ちょっと失敗しちゃったから捨てちゃったの!それより、私とのツーショットなんてめったにないわよ?永久保存しときなさい!」
だそうだ。まぁ深くを考えたら負けだ。いや、そもそももう負けまくってたか。


外に出ると、いかにも大満足したような満面の笑みを浮かべるハルヒの姿。さてそろそろ解放かな?と思ったが…
「ちょうどいい頃合いね!次は映画行くわよ!」
今からか?順番が逆じゃないのか?
「時間が会わなかったのよ!いやなら別にいいわよ…」
何故か急に悲しそうな顔をしだした。なぜ映画の時間に呼び出さなかったのかなど考えるが、いくらハルヒとはいえ、女の子を悲しませるような真似はしてはいけないと思った。いや、そんな真似したつもりはないのだが。それに、断る理由もないので、
いや行こうぜ。今日はお前の行きたい所に付き合ってるんだ。最後までついていきますよ団長様。
「えっ…あっ、わ、わかってるじゃない!それでこそSOS団の団員よ!」
急に顔が明るくなった。本当にわけわからんヤツだ。ある意味良いところとも言える。

まぁハルヒが選ぶ映画だ。普通の映画なんかじゃなく、きっと面白いSF映画かなんかなんだろう。


映画館にたどり着き、「席を取っときなさいよ。」とのハルヒ嬢の命令により、ハルヒがチケット売り場の所でなにかしてるうちに、先にハルヒの分と俺の分のジュースを両手に抱えながら、映画館の真ん中あたりに席を確保した。
自分では映画館では好ポジションだと思ってる場所だ。
そのうち、ハルヒが来て俺が手招きをして席に誘導し、ハルヒの分のジュースを手渡した。
「あっ…ありがとう」
といつもと違う雰囲気で礼をのべ、席に座った。考えたら負けだ。俺は自分にまたそう言い聞かせた。


始まる前にどんな映画なのか尋ねたのだが、「見てからのお楽しみよ!」と答えを流された。
なんか看板みたいのを探したのだが、特には見当たらなかったため、どんな映画かわからない。まぁ楽しみにしますよ。俺らが作ったあのとんでも映画よりましなのは確かだろう。朝比奈さんの可愛さに勝てる映画はないだろうが。
来年は次回作とか言ってたな…少しはましにするために参考にさせてもらいましょうか。
そんな事を考えてるうちに舞台が暗くなり、映画が始まった。

……また俺は驚愕した。コイツが見そうにないジャンルを選んできやがった。
コイツが見そうにないジャンル……恋愛ものである。


途中ハルヒにまたなんで恋愛ものなんかと尋ねたのだが、「チケットが余ってたのよ!」となんとも古臭い言い訳を言っていた。今更じゃないが今日のハルヒは変なんだ。構うことはない。
映画の内容としては、出逢い、純愛、そして男の方の死で終わるというものであった。ありがちといえばありがちだ。俺はぼーっとしながら映画を見ていた。
クライマックス、男性の突然の死の場面だ。周りからはすすり泣く声が聞こえた。
当方俺は一切泣くこともなく淡々と見ている。俺に感動の感覚がなくなったのはいつからだ?いや、元からないのかもな。
……俺が今日驚いたのは何回目だ?誰か暇なら数えて欲しい。こんなベタな展開にハルヒが声をあげないようにして涙を流して真剣な眼差しで見ている。
ハルヒ。お前は普通なのが嫌いなんじゃないのか?そんなこと言えるはずもなし。
だけど…涙を流している姿はとても綺麗だった。泣いている手前、こんなことを考えるのはアレなのだが、俺はハルヒに魅了されていた。

そもそも、喋らなければコイツは美少女なんだ。それは谷口でさえ認めてたんだ。喋ればその感覚はぶち壊しになるが。


俺は映画の内容より、ハルヒの姿に見とれていた。


映画も終わり、ハルヒはトイレに向かったようだ。俺には泣いてる姿なんて情けなくて見せられないんだろう。十分見ていたがな。
そのときのハルヒは本当に可愛いというか…いいもの見れた気がする。まんざら損した訳ではなさそうだ。


しばらくするとハルヒが帰ってきた。感想を聞いてみたら、
「なんかあんまり面白くなかったわね。あんなベタな展開、なんも面白くなかったわ。」
泣いていたくせに。それは言わないことにした。後で面白がってからかってやろう。なんとなく今言っちゃ面白くない。言ったらどんな反応を見せるのだろう。
怒りが頂点に達して閉鎖空間ぐらい簡単に出来てしまうかもしれない。それは古泉に任せよう。それが仕事だ、アイツの。
もっとも、俺が巻き込まれるのはゴメンだ。もう俺は白馬に乗った王子様などできんぞ。恥ずかしくて何度も出来たものじゃない。

さて、次は小腹が空いてきたのでファミレスに来た。
もっとも、この提案はハルヒによるものではなく、俺の提案だ。ハルヒも腹減っているだろう。最初の喫茶店で珍しくなにも食わなかったからな。


俺は簡単にコーヒーと適当なパスタを頼んどいた。ハルヒに注文を促したら、やっぱりミルクティだけだそうだ。


…お前昼間からおかしいぞ?なんか体の調子でもおかしいのか?
ちょっと本気で心配になってきたため真顔で尋ねてみた。
「えっ、だっ、大丈夫よ!なんでもないわよ!そんな心配そうにしないでよ…」
そんなこと言ったってだな。お前がなにか食べないなんておかしいじゃないか?あんなに食欲旺盛なお前が?
「なんでもないって言ってるでしょう!!」
机を叩いて大きな声で言った。


その後何度かハルヒに問いかけてみたが終始無視といった感じ。怒らせちゃったか。俺にとっては体調を伺っての事だったんだが。
閉鎖空間が出来てるかもな。頑張れ古泉。俺も今回は応援するぞ。ご褒美にケツをさしだすのは御免被りたいがな。


結局食えるもんもまともに食った気になれず、さっさとファミレスの外に出た。

「今日はありがとう。付き合ってもらって悪かったわね。それじゃ。」
そう言ってハルヒはファミレスから歩き出した。
かなり心が痛むところで、呼び止めようともしたが、気の利いた言葉が見つからず、呼び止めることなんて出来なかった。
なんて神様とやらは不便な言葉なんてものを創ったんたんだ。自分がこんなに恨めしいことはなかった。


帰路の途中、古泉から電話がかかってきた。今はお前みたいなゲイ人のことなんぞ構う気になれないのだが。
いっそ出ないことも本気で考えたのだが、あとで襲われたらいやだしな。一応に電話に出てみた。
「出るのが遅かったですねぇ。今大丈夫ですか?」
本当は出たくなかったぐらいだよ。
今回は正直に言ってみた。たまには清々しいものがあるかもしれん。
「それはヒドいことを言いますねぇ。少し僕もへこみますよ。」
んなのどうでもいい。お前のことだ。ろくでもない知らせなんだろう?
「さすがですね。…ご察しの通り、あまりよい知らせではありません。」
…閉鎖空間か。
「御名答です。しかし、今回のはいつもと違います。規模自体はそんなに大きくありません。しかし、神人が大量に発生しており、なかなか強力なのですよ。」

あんな青白くてデカい生き物…そもそも生き物かどうかもいかがわしい物体が大量に…考えただけで古泉に襲われるぐらいぞっとする…。
「結構……いや、我々もかなり苦戦してましてね。このままでは本当に現実世界に現れることになるかもしれません。」
本当に閉鎖空間が出来るとはな…スマン。古泉。今回は素直に謝恩の気持ちを込めよう。俺が何したか解らんがな。


「今回の涼宮さんの心理状況としては、苛立ちとモヤモヤとしている。そして自分の情けなさにも参っている、というような状態でしょうか。さらにかなり強い想いを秘めているようですね。」
なんだ?その強い想いというのは。
「あなた…何も気付きませんでしたか。あなたらしいといえばらしいですが、そこまでいくとご病気の域に達していますね。」
なんだそれは。なんか知らんが凄く腹立つぞ、お前。
「これは失礼。でもこの件に関してはあなたに気づいて貰い、判断して頂かないと何も始まらないことなので。とにかく此方としては大体の理由の見当はついています。それに対する対策というのは此方では何も出来ませんので。それは、あなたに一存する次第です。」

俺に?俺は超能力者ではないぞ。
「そんなことはわかっています。まぁ…でもある意味それに属するものといっても過言ではないでしょう。今までの経験上、あなたの行動によって何度か世界は救われたのは事実。」
俺はそれはなるべく夢だとして終わりたいんだ。お前はまた白馬に乗った王子様をやれというのか?
「……まぁそれに近いかも知れませんね。僕からのアドバイスは、自分の考えをハッキリさせ、決断すると言うことです。綺麗事みたいですいませんが。もしその結果がどうなろうと、僕はあなたを信じます。」
さすがゲイだ。俺を神扱いときた。信じれば救われるか。間違っても俺にときめくなよ。頼むから。
「それじゃ、僕も仲間のもとにいかなきゃなりません。それと、最後に。僕だって出来ればずっとマッガーレといってスプーンを曲げていたいのです。それ以外の事をさせているのはあなただということをちょっと自覚して欲しいものです。それじゃ。」
そう言って古泉は電話を切った。


なんかイヤミ度が三割増しぐらいだな。ええい、忌々しい。


強い想い?俺が何に気づけばいい?そして何を決断すればいい?自分のなかでクエスチョンが大量発生した。


ハルヒ。今日お前がなにを思って俺を呼び出した?奇妙な行動。奇妙な言動。その行為の脳裏にはなにがあるんだ?


……やはり俺の足りない頭ではこれ以上考えるのはムリというものがある。だが考え抜いて決断をしなければいけないのだろう。なぁ古泉、そうなんだろ?

長門…そうか。長門がいた。古泉は俺の問題みたいなことを言っていたが、せめてヒントみたいなのを貰ってもいいだろう。俺は長門宅の電話番号を呼び出し、電話してみた。


長門はワンコールいくかいかないかぐらいで電話に出て、逆にこっちが驚いた。


「待っていた。」
閉鎖空間のこと気づいてたのか?
「そう。それであなたが必要。」
古泉にも言われたよ。俺は何に気付き、さらに決断しなければならない?
「それは後で説明する。家に来て。」
わかった。すぐ近くにいるから、すぐ着くと思う。
「そう。」


俺はすぐに長門宅に向かった。幸い、ファミレスからの家までの帰路に長門宅を通るため、帰っていた俺は長門宅までそんなに距離がなかったため早く着いた。


マンションの入り口で長門を呼び出す。ここはオートロックだ。簡単にマンション内に侵入は出来ないのだ。
これは便利だが、知人が入るのに凄く厄介な作りだな。近代社会はいろいろ大変だねぇ。
朝比奈さんあたりがターゲットになるのだろうか?ロリコン親父達の好みには正にピッタリ当てはまるのがあの人だ。
…そう思うとなんか心配になってきたな…大丈夫かなあの人…。呼ばれたらのこのこ付いていきそうだ…。

長門に「どうぞ。」と言われ、俺はやっとの思いでマンションに入ることに許され、それからエレベーターを使い、長門宅の階まで上がってった。


長門宅に着き、インターホンを鳴らし、長門がドアを開けて俺を見上げた。


「待っていた。上がって。」


長門の話というのは電波話にしか聞こえないとき以外というのは本当に短い。
作文用紙をいっぱいにするのにどんだけかかるのだろう。
…いや、鶴屋さん並みに話す長門というのも…。
朝比奈さん並みにではどうか…それこそロリコン親父達のハートをガッと鷲掴みだ。
低身長、幼い顔、そして朝比奈さんみたいな怯え方ときたら…もうロリコン親父達は神業的に長門を持ち帰るだろう。
そんなことをしたら、その親父達の行方は知らずものになるだろうが。


っと…今はそんな事考えている暇はないんだった。俺は言われたように上がり、部屋で待っていた。


長門はお茶を煎れて前みたいに俺に勧めた。前の教訓を生かし、そんなに飲みすぎないようにした。
…それにしても長門が煎れるお茶というのもなかなかのものだ。朝比奈さんの煎れたお茶に負けないぐらいおいしい。今度部室でみんなに振る舞わせてみよう。

お茶を飲みすぎない内に本題に入ろう。ここで漏らしたりなんかしたら…小学校五年ぐらい以来か。そんなことはどうでもいい。


長門。お前の知っていることを教えて欲しい。
「全部。だけどあなたに全てを話す訳にはいかない。」
そうはしようとはしてない。さすがに俺も責任感じているからな。少しは自分で考えてるさ。
「そう。大体の事は理解してると思われる。だから私はヒントとして、あなたを涼宮ハルヒの心の奥底に連れていこうと思う。」
ハルヒの心…。
「あなたが今日涼宮ハルヒに誘われる時間の三十分手前の涼宮ハルヒの心へ連れて行く。」


今日のハルヒの心…俺には全く理解出来なかった今日のハルヒの行動、言動。その中か…。今日のハルヒの心に答えが隠されているわけか。


「あなたが嫌だというなら私は強制はしない。全てはあなたの意志。」
俺の行動で世界がどうなるかがかかっているらしいもんな。
全く持って俺は神様がどんな御方か知りたいね。なんでこんな平凡極まりない俺を人類の救世主みたいにするのかね。本当に全く持って迷惑極まりない。


俺は行くよ。団長様をご立腹させたのは俺らしいし、そもそもハルヒの今日の行動について興味があったんだ。
「…そう。」

そういうと長門は「目を瞑って。」と言いそれに俺が従うといつもの高速呪文を唱えだした。


目を開けると…ここは…ハルヒの部屋か。何度か訪れたことがあるのでわかる。ハルヒの心の中と言っていたから、これはハルヒ視点となるのか。おっ。声が聞こえてくる。


「あぁ~どうしよう!これじゃ映画遅れるわ!でも今から呼び出したところでアイツがそんなに早く来るわけないし…」
「とりあえず準備はしたものの、アイツ映画なんて見たがるのかしら…とりあえず呼び出して、強引な展開でアイツを映画に誘い込みましょう。」
「でもそれでウザがられたらどうしよう…うん!意識しないでいつもの私でやればいいのよ!そうよ!」


コイツ、化粧までして気合い入れてたのか。スマンなハルヒ。俺は気づかなかったよ。


「今から5分以内に駅前集合!5分以上かかったら罰金だからね!」


これは俺に電話した時のか。なるほど。威勢がいい具合に言ってるわ。


そのあとハルヒは急いで駅前に向かった。ハルヒの家から駅はなかなか近いので、着くのも早かった。


「アイツ来るかな…でもなんだかんだいって今まで来なかったことないし、大丈夫でしょう…多分…。」

なんかハルヒに似合わぬ弱気だな。やっぱり何かおかしいかもな。


ハルヒが駅に着いて数十分後、俺が駅前に到着した。


「来てくれた…よかった。」
ん?コイツそんなこと思う奴なのか?
「遅い!5分以内って言ったでしょ!?罰金!」
「アイツにしては結構早く来たじゃない。罰金って言ったけど、喫茶店では私が奢ってあげよう!無理やり誘ったしね…」
っ!アイツそれで喫茶店でなにか物言いたそうにしてたのか!


アイツに思いやり精神というものが存在していたということに驚いた。パソ研からパソコンを強奪したときも実は罪悪感を感じていたのかも知れない。


喫茶店にて。俺とハルヒはそれぞれのものを頼んでいた。
「今日はSOS団としてではなく、私が行きたいところに付き合ってもらうわ!」
「ってキョン聞いてない…コイツ私と二人だけだから興味なしって感じなのかしら…みくるちゃんに会いたいからきたのかも…。それじゃいやに決まってるわよね…。」
コイツこんなことを…
「キョン!ちょっとキョン!聞いてるの!?」
ん?
「だから!私はっ…今日は私の行くところに付き合ってもらおうと…」
「これで断られたら…なんだか胸がいたいわ…。」

Okわかった。んでどこなんだ行きたいところって?
「えっ?いいの?」


「よかった…本当によかった…。ヤバい。少し泣きそうだわ。これぐらいで泣くもんか!もしここで泣いたらキョンが心配しちゃう…」
なんだなんださっきから?俺を敬うような言葉が出てくるな。
なに?俺をそんなに大事にしてたのか。そりゃあ有り難いよ。いつか大どんでん返しがきそうで怖いが。


喫茶店での支払い。ハルヒが奢る気満々だったのを知りもせず、俺は料金を払っていた。


「えっ…ここは私が…あぁ~キョンってなんでそんな優しいことするのよ!このバカキョン!」
親切でやったのにバカキョン扱いか。俺は約束をきちんと守るしっかり者なのさ。俺以上のしっかり者がいたら教えてくれ。俺と交換してやるから。これ以上ややこしいことに巻き込まれるのはごめんなんだ。


「映画までまだ時間あるのよね…キョンどこなら飽きそうにないかしら…あっ、キョンゲーム好きだったわね。それじゃあ…」


俺とハルヒはゲーセンに来ていた。


「キョン!あれやるわよ!」
ハルヒは昼間やった拳銃のゲームを指指した。俺はへいへいといった感じでゲームに金を入れる。確かに思ってたがそう見えるんだな。
少し自分の感情を出しすぎないように努力しよう。そう決心してみた。

「あっ…なんでまたお金先に入れちゃうのよ…今回ぐらいは自分で…」
?どうした?始まるぞ?
「あっ、うん…。」


「せめてありがとうぐらい言わせなさいよ!なんでいつも…だから~っ!」
ん?何か言ったらしいが聞こえなかったな?心の声だからはっきり聞こえるはずなんだけどな…


その後俺はゲームオーバー。ハルヒが一人でやる形に。
「コイツ私がやってるの見てるだけじゃ飽きちゃうわよね…でも終わらせたくないし…。さっさとゲームを終わらせましょう。」
いやいや、俺はハルヒのゲーム姿はとても面白かったんだがな。爽快にクリアしてくれるからな。見てても飽きないってもんだ。


ある程度勝負も疲れてきたころ、
「次は何やろうかしらねぇ~?キョンが好きそうなの何かしら…っ!?あれは…でも一緒に撮るなんて私とじゃあイヤだもんねぇ…でも…。」


ハルヒは強引に俺の手を引っ張りプリクラの場所へ引き連れた。
なんでまたプリクラとやらなんだ?
「やっぱりイヤなのかしら…」
「いっ、いいい、いいでしょっ!別にぃっ!?拒否ったら罰金よ罰金!!」
あぁそうかい。
「え?これって、OKってこと?よ、よかった…。でもいやいやかも…。」

なんなんだコイツは?さっきから俺のことを気配りばっかしやがって。
いや、まんざらいやな訳ではないが、それがハルヒとなると逆に怖いものがあるんだが。


「へぇ~。壁紙が選べるんだ…。光を調整?スゴいわねぇ~。」
これはハルヒが一人でなんかしてた時だな?


「あっ、落書きなんて出来るんだ…キョンにバレないようにいっぱい書いちゃお!」
ん?やっぱ書いてたのか?…もしや俺の額に肉とか眉毛を太くしたりとかしてたんじゃないだろうな?
そうだとしたら、俺はハルヒが寝てる間に仕返しとして、顔を真っ白に染めてやる。
起きたらさりげにライトを当ててやるんだ。…このネタがわかるやつはいるのだろうか?今や時の人だもんな。


「ちょっとキョン!撮るわよ!さいっこうな笑顔で笑いなさいよ!」
「これは私の素直な気持ち。嫌な顔して撮りたくなんてないもの…」


プリクラが撮り終わり、ハルヒに「ちょっと私が落書き書いてるからあんたは外出てなさい!」とのことなんで俺は素直に外に出てった。


「さすがにキョンに見せるわけにはいかないものね…キョンに渡す分も考えて、全部落書きするわけにはいかないわね。」

おっ…なんだ?急に場面が変わったぞ?


「ちょっ、ちょっと失敗しちゃったから捨てちゃったの!それより、私とのツーショットなんてめったにないわよ?永久保存しときなさい!」


急にプリクラを渡される所に場面が飛んでいた。何故だ?
「あんなの見せられる訳ないじゃない…これはムリよ…。」


やっぱ持ってるのかコイツ。なにかいたんだ…本当に俺の顔に落書きだったら俺はあの作戦を実行するぞ。
その顔でうちのシャミセンでも持たせとけば雰囲気バッチリだ。


「ちょうどいい頃合いね!次は映画行くわよ!」
「言ってみたけど…本当に来てくれるかしら。」
今からか?順番が逆じゃないのか?
「えっ…やっぱり迷惑かしら…なんでその時間に呼ばなかったとか思ってるわよね…」


御名答。さすが涼宮さんですねぇ。げっ。古泉がうつったか。やばいやばい。俺も古泉に惹かれつつあるのか?いやそんなはずはない!
もしそうだったら俺は躊躇わずに速攻で古泉を殺すかも知れない。
さすがにそれは冗談だ。閉鎖空間をどうにか出来るのはお前だけだもんな。なんども言うが、ご褒美にケツは差し出さんぞ。
「でも早く会いたかったんだからしょうがないじゃないの!」

…はい?俺に早く会いたいから?ハルヒがどっかの純情少女みたいなことを言ったぞ?コイツの心までおかしいのか今日は?


「時間が会わなかったのよ!いやなら別にいいわよ…」
「私にキョンを縛る事なんて出来ないし…」
いや行こうぜ。今日はお前の行きたい所に付き合ってるんだ。最後までついていきますよ団長様。
「えっ…あっ、わ、わかってるじゃない!それでこそSOS団の団員よ!」
「本当にっ!?キョン…ありがとう!だから私が~っ!」


また言葉が飛んだ。なんなんだ?感覚的には一言だな?これが古泉の言う俺の気づくべきことなのか?…俺にはまだわからん。もう少しヒントを与えてくれよ、長門よ。


映画館につき、ハルヒはチケット売り場の辺りでなにかやっている。俺は先に映画館の中へ入っていった。


やがてハルヒも映画館の中に入っていき、俺が手招きして席に誘導した。そこで俺がハルヒにジュースを渡した。
「あっ…ありがとう」
「なんでキョンってこんな時ばっか気が利くの…私が申し訳なさすぎるじゃない…」
うんうん。ハルヒに申し訳ないという感情があったのか。実はいい奴なんじゃないか?
…コンピ研の奴らはそうは思えないだろうが。

そして舞台が暗くなり映画が始まった。


ここで俺は驚愕したものだ。恋愛ものだったんだからな。


なんで恋愛ものなんか?と俺が尋ねた。
「チケットが余ってたのよ!」
「やっぱり私が恋愛ものなんてみるなんて想ってなかったみたいね…。チケットはちゃんと買ったんだから!私の~。」


おい、またか。なんでそう隠したがるんだ?少しは露出してみたらどうだ?性的な意味で。
…もちろん冗談だ。ここら辺は誤解しないように。俺が変態扱いされると、それに乗じて喜んで古泉が襲ってくるかもしれん。
…こういうのを被害妄想っていうのかも知れない。でも古泉はゲイだ。十分に有り得る。


アイツ、チケットが余ったなんてやっぱり嘘か。嘘ついてまで俺を映画に誘う理由ってなんだ?
…もしかしたら?いいや!それは絶対ない!相手は常識を超越して、時には神にまで崇められた超変人、いや、スーパーヘン人涼宮ハルヒだ。
いくら一時期とっかえひっかえだったとしても、アイツから望んで付き合ったことなんてない!
アイツの求めるのは宇宙人、超能力者、未来からきた使者など常識的に考えたらいない奴ばかりだ。…実際居たのだが。古泉が超能力者だって気づいたら速攻くっつきそうなもんだ。
古泉は断りそうだけどな。僕の趣味じゃないんで。とか言って。

それなのに、この超凡人、スーパーボン人キョンがハルヒに好かれる?まず有り得ない、絶対に。


自分で考えたのがバカバカしくなるほど自分の考えを一蹴した。実際にそうなのだから仕方がない。


その後、場面はクライマックス、男性の死の場面だ。


その場面の前は都合よく飛んでいた。まぁ飛んだ理由は他にあるのだろうが、一回見た映画をもう一度見るのはちょっと厳しい。
それもつまらないと俺が感じてしまったものなのだから、生き地獄と言えるかもしれない。…スマン、映画の作者よ。それはいくらなんでも大げさ過ぎた。


ここでまた驚いたな。ハルヒが泣いていたのだ。
あっ…何回驚いたか数えておくんだったな…。まぁ過ぎたことは仕方がないのさ、この世の中は。


「これがもしキョンだったら…私はどうするのだろう…?」
おいおい。死ぬ人に俺を照らし会わせるな。俺はしばらくは生きて、極々フツーに生きていくつもりなんだ。勝手に殺すのは頂けないねぇ。


「本当にキョンが死んだら…私…私…。」
それで泣いてたのか!?コイツは?俺が死んでなぜ悲しむ?…まぁ無関心なのはそれはそれでムカつくが。だけどそれに照らし会わせるのが俺?なぜ俺なんだ?

…もしかしたら俺だから悲しむのか?
いや、さっきその考えは一蹴した筈だ。だがまた新たな謎の要素が出てきたのだ。
だが…そうだとしたら妙に今までの行動などに納得がいく…
だがまだ確定したわけじゃない。たまたまかも知れない。きっとそうだ。もう少し長門のヒントを探ってからもう一度考えることにする。

映画が終わり、ハルヒはすぐにトイレに向かった。俺が見てたとき、結構泣いてたからな。最初は気づかなかった化粧も取れているかもな。


それにしても化粧して女は変わるものだが、それに気づかないのは元がよっぽどいいからなんだろうな。
…俺がよっぽど鈍感って線もある。自分としては勘はいいほうだと思うのだが、実際としてはわからんね、俺には。


『うわ…私かなり泣いてたのね…目が真っ赤に腫れて充血してる…こんなんじゃキョンに顔見せられないじゃない…とりあえず顔洗わないと…』
『私なんでこんな泣いたのかしら…こんな映画ありきたりじゃない。それなのに…キョンなんかと重ねるんじゃなかった…』
『でももし本当にこのままの状況でキョンが死んだら…私は間違えなく凄く後悔する。でも…そう簡単に~伝えられる訳ないじゃない!』


また飛んだか。…もうなんとなく飛んでいる部分の言葉が分かってきた気がする…


だが解せない部分が沢山あり過ぎる。何故俺?ハルヒは普通な事が嫌いなのになぜ?


これが古泉の言っていた、自分の考えをハッキリさせ、決断する、って奴なのか。なかなか難しい事を言うな?俺に好意があるなら素直に答えを教えて欲しかったぜ。

しばらくしてハルヒは俺のところへ戻って来た。結構待たされたものだったな。
目の腫れなどを落ち着かせるためとは大体分かっていたから、そのことには何も言わずに感想を尋ねたんだったな。


「なんかあんまり面白くなかったわね。あんなベタな展開、なんも面白くなかったわ。」
『アイツ、私が泣いてたなんて気づいてないわよね?』
いいえ、それはトムで…じゃなかった。気付いてたさ。その姿に見とれてた事も気づかないんだもんな。


『私が泣いてたなんて知ったらどう思うのかしら?…変な奴ぐらいに思われるのかしら…
でも、それはあんたが悪いんだからね!妄想でも勝手に死んだりするから…また泣きそう。忘れよう!忘れたい…。』
勝手に妄想されて、勝手に悪者にされて、それで死んだら泣きそうときたか。本当に忙しい奴だわ。


でもそれは俺のことが…それとも団員が減るから?古泉でも泣くのか?
だけど…俺は…?ハルヒがそうだと仮定して、俺はどう決断する?
…これか。古泉が言ってた決断ってのは…。


だんだん謎が解けてきた。さすが長門だ。俺一人じゃ一生かかってもわからないようなことだった。

古泉は結果がどうなろうと俺を信じるって言ってたな。最初はゲイ人の戯言かと思ったが実際は違ったな。スマンな古泉。


だが世界に最善なのが、有無を言わずにハルヒの気持ちに従うことだ。きっとそうなんだろう。
ここでハルヒをふってでもみろ。世界は瞬く間にあの気持ちの悪い神人だらけの世界になる。
あるいは世界という概念が無くなるな。
それは避けなければならない。俺もまだスーパーボン人キョンとして生きていきたいからな。


だが…俺の本当の気持ちは?ハルヒをふることが出来るのか?…わからない。
俺にとってのハルヒとはなんだ?後ろの席の女?友達?団長?…本当にそれだけなのか?なんで俺にもわからない?自分のことの筈なのだが…何故?


今回は自問自答という訳にはいかず、自分に沢山の問をぶつけていくだけだった。今までの問いに何一つ答えられていない俺は…自分が恨めしい。モヤモヤが積み重なっていく。それが辛い。そして自分に対して苛立ってくる。


…これがハルヒの今の心境。それが閉鎖空間を生み出した理由。ハルヒが相当悩んでいるのだなと、自分の身をもって実感できている。クソっ、俺は本当にちっぽけな人間だ。

俺はファミレスに誘っていた。ハルヒが何も食わなかったのが不思議でしょうがなく、心配してたためと、自分自身の腹の虫が秋の田舎の鈴虫ぐらいうるさかったためである。
この提案にハルヒも同意したため、少しは何か食べるだろうと安心しきっていたのだが…


俺は普通に食料を注文したのだが、ハルヒはミルクティだけ。そら心配もしたさ。アイツは長門と勝負をはれるほどの食欲の持ち主と知っていたからな。それが何も食わないんだ。知っていたら心配しないバカはいない。



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