高校を卒業し、はれて社会人になった俺はポルシェを手に入れ、いつしか『湾岸の帝王』とまで言われるようになった。そして走り屋から、ブラックバードと言われていた。しかし、そんな俺も一昔前、こんな奴と走っていた・・・・・・・・・・・・・
俺「珍しいな、お前が電話よこすなんて、雨でも降るのか?」
古泉「いえ、降りませんよ。ひとつ、話がありまして・・・・・・・」
俺「何だ?ここ(首都高)から降りるのか?」
古泉「ええ、もうだめです。僕は所詮こんな男です。有希さんをひとりぼっちにさせたくない、彼女は僕を好きなんです。それに気付かず、ただひたすらにあなたと湾岸を走っていた、最近です、この気持ちに気付いたのも。」
俺「そうか・・・幸せにな、ところでそのZはどうするんだ?スクラップにするのか?」
古泉「そうします、いつまでもこれと一緒にいたら、本当に有希さんを一人ぼっちにさせてしまいます。僕には彼女を一人ぼっちにはできません。」
俺「そうか、結婚はいつするんだ?」
古泉「来週、ロンドンで」
俺「もう、会えなくなるな。」
古泉「仕方ありません、すべて忘れるつもりです。このZのことすべてを。」
俺「じゃあな、古泉、そして『悪魔のZ』。」
こんなことがあっても、俺はただひたすら湾岸を走る、なぜこんなことになったのか分からない。でも、俺は走る。自分のために。
ん?あの青い車体、まさか、Zなのか?スクラップにされたと思っていたが・・・
こっちに気付いてスピードを上げた、やる気のようだ、だが、今のドライバーと話がしたい。大井までついてきてもらおう。話はそれからだ。