OPテーマ『EASY GO』加藤和樹
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夏休みが入ってから9日後の7月29日のこと。

(キョンサイド)
夏休みに入ってから何もする事が無く、暇を持て余していた俺は、ただテレビを見たり寝たり食ったりと、
それはまあ誰もが行うであろう普通な行為を
一日中続けるだけの堕落した生活を送っていた。その日も例外ではなく、
午前11時という平日に起きたら親に殺されるであろう時間帯に目を覚まし、
また一日中暇を持て余すだけなのだろうかと寝ぼけた思考回路で考えながらテレビのリモコンを手に取った。その時だった。
唐突に、携帯の着信音が鳴り響いた。
携帯を開き、発信者の名前を確かめる。
液晶ディスプレイに映し出される名前を見た時、俺は思わずため息をついた。
無視しようか。一瞬そんな考えが頭を過ぎったが、その反応の後の己の身の処遇を按じ、意を決して俺はその電話を取った。
キョン「もしもし?」
ハルヒ「何してるのよ、キョン!!」
思わず携帯端末を耳元から1メートル離した。
俺の耳の中に不快な耳鳴りが響く。声の主はもちろん涼宮ハルヒ。
鈍くなっていた頭が一気にたたき起こされた。
それにしても俺とこいつはサッカー場のゴールポストとゴールポストをはさんで話さなきゃいけないほどの距離があるのだろうか。
キョン「いちいち怒鳴らないと気が済まないのか。
それで、どうしたんだ?ハルヒ」
ハルヒ「早く学校に来なさい!大事な知らせがあるの!!有希やみくるちゃん、古泉君も
来てるから!!言い訳は無用、却下!!意見、抗議は後から文章で提出する事!!反論は認めない!!以上!!」ガチャ
キョン「お、おい、お前(おま)っ…!!…切っちまった」
普通の人間ならブチ切れているであろうが、悲しいかな、日常茶飯事だ。
いや、この頃はおとなしかったが。
携帯を閉じて、ポケットに仕舞いこんだ。
階段を上って、自分の部屋に戻って、身支度を整える。
着替えた後、階段を降りて玄関に向かっている途中妹に呼び止められる。
妹「あれ? キョン君どこいくの?」
キョン「学校だ。ハルヒに呼び出されてな」
口にすると何だか惨めというか何と言うか…そんな気がするのは俺のきのせいだろうか?
妹「ふ~ん」
キョン「とりあえず、カギ閉めとけよ」
靴を履き、玄関の扉を開けようとしたとき、俺は妹に言った。
妹「うん。わかった。行ってらっしゃい」
キョン「行ってくる」
そう言って俺は外を出て玄関の扉閉めた。


ハルヒに何を言われるかわからないので、とりあえず、全速力で、
走って学校に向かった。

校門に、ハルヒや古泉、朝比奈さん、長門の4人がいた。
ハルヒ「遅いじゃないの!!今度何かあたしたちに奢りなさい!!」
俺に拒否権は…無いようだ。
キョン「それで?今度は何だ?超能力者にでも会ったか?それとも時空の捻れでも探そうってか?」
ハルヒ「私ニュースを掴んだの!!」
みくる「一体何のニュースですか?」
ハルヒ「並盛町っていう町に、小さな赤ちゃんが、殺し屋をやってるっていうことを
聞いたの!!それを実際に、探して確かめてみようと思うの!!」
古泉「あっ、並盛町は聞いたことはあるのですが、まだ行ったことはありません」
みくる「あっ、私もです。」
長門「私も」
ハルヒ「なら、決まり!!」
…突っ込み所は山程ある。情報源、信憑性、まあ、こんなの俺が聞いてもまともに返された例はないのだが。
キョン「おい、なにが決まりなんだよ」
ハルヒ「31日から、みんなで並盛町に行くわよ!!」
キョン「おいおい、そんな勝手に…」
ハルヒ「いいじゃない、どうせあんたも暇でしょ?」
キョン「…ま、まあ、そうだけど」
たしかにすることは…無い。悲しい事に。
ハルヒ「決定!! 25日間、SOS団みんなで並盛町へいくわよ。
みんな急いで準備しときなさい!!当日は駅で待ちあわs」
キョン「待て待て待て待て!! 25日間って長くないか!?それに、
夏休みの宿題とかはどうするんだ」
ハルヒ「そんなのもうとっくに終わらせたわ!!
だって不思議探索したいんだもの!!」
やれやれ、そんなわけ分からん事のために宿題終わらせる奴は
この目の前にいる馬k(ryだけだろう。
ハルヒ「とにかく、当日は、駅に9時に待ち合わせよ。いいわね?」
古泉・みくる・長門「わかりました(わかった)」
そう返事すると3人は、そそくさと立ち去ってしまった。
結局俺もこの日はそのまま家に帰らざるを得なかった。

当日
普段通りの服装で、荷物を持って駅に向かう俺。
俺が駅にたどり着いたときには、長門、朝比奈さん、
古泉がいたが、ハルヒはまだ来ていなかった。

しかし、ハルヒよりも先に来たのにも関わらず、
俺はこの後、結局おごらされる羽目になった。
自分より先に来たという理由でだ。なんて理不尽な。
この時の悔しさや切なさといったら
もう溜まったもんじゃないが、今それをここで語れば原稿用紙50枚はゆうに越すと思うので割愛させていただく。
俺たちは荷物を持って駅の中に入って切符を買い、その後、電車に乗って、
30分も経たないうちに、並盛町に着いた。
この町には、大きな建物やビルが並び、人が多い。
ハルヒはとてもうれしそうにはしゃいでいる。
ハルヒ「さあ、みんな行くわよ!!」
キョン「おいおい、待てよハルヒ」
ハルヒは駅に着いて早々、歩き出した。
俺はハルヒの後について行く。残りの3人もハルヒの後を追いかけていく。

俺たちは細い道を歩いている。
ハルヒ「なんかすっごくワクワクするわ!!赤ちゃんヒットマンって一体
どんな子かしら」
ハルヒは背中の方を前にして、後ろ向きで道を歩きながら、俺に話し掛ける。
それを俺は注意する。こいつは平気なのだろうが。
キョン「おい、ハルヒ危ないぞ。ていうか少しはおちつけ」
みくる「そうですよ。涼宮さん」
便乗して朝比奈さんも注意する。しかし、ハルヒはその注意を受け入れないまま、
満面の笑みを浮かべて笑いながらうしろ向き歩きを続ける。

(ツナサイド)
俺、沢田綱吉。
通称ツナ。
並盛中に通っている中学生。
一体なんで俺が走っているのかというと、
リボーンがうるさいからだ。練習に遅れると何されるかわからない。
だから、急いで自分の家に向かって走っている。
「はあ、はあ…、早く急がないとリボーンうるさいからなぁ……」
そろそろ、次の角にさしかかる。この角を曲がらずにまっすぐ行ったら、
自分の家だ。
その時。角を通り過ぎようとしたとき、左から
俺の目の前に黄色いカチューシャを着けた女性が!!


(キョンサイド)
後ろ向きに歩いていたハルヒが、急に向きを変え、走り出す。
車も人もいない、住宅街でだ。
そろそろ角にさしかかる。
止まれの標識がある。
車や人が飛び出すかもしれないから、止まらないとあぶないぞ。ハルヒ。
と思っていたのも束の間。いきなり、中学生ぐらいの少年が、
右の角から飛び出し、走っていたハルヒも止まる事が出来ず、
ハルヒ「うわっ!!」
ツナ「あっ!!」
ドンッ!!
ハルヒは角から走って出てきた少年と思いっきりぶつかり、2人とも転んだ。
ハルヒ「痛てて…。」
少年は立ち上がって、ハルヒに何度も頭を下げて謝っていた。
ツナ「すいません!!すいません!!大丈夫ですか?すいません!!」

(ツナサイド)
いけない。人とぶつかっちゃった。
俺はただその女性に、謝ることしかできなかった。
みくる「涼宮さ~ん」
キョン「ハルヒ、大丈夫か~」
女性の連れの人たちが女性の方に駆け寄る。
ハルヒ「大丈夫なわけないでしょ。…痛った~い。ちょっとあんた、
いきなり飛び出しちゃあぶないでしょ。」
ツナ「ごめんなさい」
俺は何度も謝った。

(キョンサイド)
ハルヒは長門の手をつかみ、なんとか立ち上がった。
俺はぶつかった相手の少年に視線を向け、そいつに話しかける。
キョン「それで、君の方は大丈夫か? 怪我はないか」
ツナ「はい、大丈夫です。」
キョン「そうか」
相手の方も怪我はなくてよかった。安心した。
まあ、両方悪いんだけどな。

(ツナサイド)
女性は、スカートに付いた砂埃を掃い、俺に言った。
ハルヒ「まあ、いいわ。わざとじゃないから許すけど、今後は気をつけなさいよね?」
ツナ「は、はい!!」
ハルヒ「うん、よろしい。ところで、一つ聞きたいんだけど」
ツナ「・・・はい、何ですか?」
次の瞬間、女性から出た質問に俺は耳を疑った。
ハルヒ「この並盛町に、黒い服をつけた赤ちゃんヒットマンがいるって聞いたんだけど知らない?」
え、黒い服?赤ちゃんヒットマン? もしかしてリボーンのこと?
なんでリボーンの事を知ってるんだろう。

心臓の音がドクン、ドクンと強い音が。なんだろう。ただ聞かれてるだけなのに。
このそわそわする気持ち。何が何なのかわからなかった。
そんな気持ちの中、とりあえず俺は答えた。
ツナ「…し、知りません。失礼しました!!」
そう答えると、俺は女性とは目を合わさず、そのまま走って逃げた。

(キョンサイド)
ハルヒ「ん~、なんか怪しいわね。あの子なんかそわそわしてたわ」
キョン「何が怪しいんだ。ハルヒ」
ハルヒは何も答えないまま、ただ黙って、何か考えごとをしていた。

突然、ハルヒはジェット機とほぼ同レベルのうるささの大声を上げた。
ハルヒ「よし決めた!!」
キョン「何をだ」
ハルヒ「あの子を追いかけるわよ」
キョン「おいおい、やめとけって」
ハルヒ「何言ってるの。あの子だったら、
赤ちゃんヒットマンのことを知ってるはずよ。
行くわよ、みんな」
ハルヒの一言に朝比奈さん、古泉、長門が後に付く。
好きにしてくれよ。もう。
俺たちは、走る少年を追いかけた。気付かれないように、こっそり前に進む。
気が付けば、もう辺りがオレンジ色の光一色で、そろそろ夜を告げることを意味していた。

(ツナサイド)
ツナ「ただいま!」
俺は急いで玄関の鍵を閉めた。
奈々「おかえり、ツっ君。」
息を切らしながら、俺は、台所にいる母さんに話しかけた。
ツナ「母さん、リボーンは?」
奈々「リボーンちゃんなら、ツっ君の部屋にいるわよ。」
ツナ「ありがとう!」
俺は急いで2階の自分の部屋に向かった。

(キョンサイド)
家の中に入ったことを確認したハルヒは、少年の家の玄関前に立った。
ハルヒ「ここね。その少年の家は」
怯えるように俺はハルヒに話しかける。
キョン「おい、ハルヒ。やめろって。通報されたらどうする」
ハルヒ「静かにして。これから行くわよ。みんな」
俺の忠告を無視し、ハルヒは少年の家の庭に入った。
キョン「勝手に入るな。マジで通報されたらどうする」
ハルヒ「いいからいいから。え~っとはしごはっと」
偶然庭に置かれている長い折りたたみ梯子がハルヒの目に映った。
ハルヒ「キョン、梯子を取りなさい」
キョン「人の物を勝手に取るな」
ハルヒ「いいから取りなさい。団長命令よ。」
キョン「…」
俺は、無言のまま梯子をとって、それをハルヒに渡す。
家の人に気付かれぬように、梯子を屋根の方に静かにくっつける。
ハルヒ「いい?みくるちゃんは、家の玄関を見張ってて。古泉君と有希は家の人が来ないように見といてちょうだい」
みくる「わかりました。」
長門「わかった」
古泉「はい」
ハルヒは梯子を伝って屋根を上り、気付かれぬようひっそりと窓の方を見た。

(ハルヒサイド)
窓を見ると、部屋の中は結構散らかっていた。
その中に黒い服を着た赤ん坊らしい子供がいる。その子の肩には、
カメレオンがいる。
もしかして、あの黒い服の子が赤ちゃんヒットマン? まさかね。
“ガチャ”
とここで、さっき私とぶつかった少年が中に入ってくる。私は、家の人に
気付かれないように、こっそりと窓にくぎづけている。

(ツナサイド)
ガチャ
ツナ「ただいま」
リボーン「遅せぇぞ。ツナ」
ドアを開けた途端、リボーンに後ろからとび蹴りを食らわされる。
ツナ「痛っ!!」
ツナ「何するんだよ。リボーン」
リボーン「特訓の時間はとっくに過ぎてるぞ。どこをほつき歩いてるんだ」
ツナ「ごめんごめん。悪かったよ。」
リボーン「謝り方がなってねぇ。殺すか。」
そういうと、リボーンの肩に乗っていたカメレオンのレオンが拳銃にかわり、
その銃口が俺の方に向けられる。
ツナ「ひぃぃ~、許して~~っ!!」

突然、リボーンは俺に銃口を突きつけるのを止めた。
ツナ「どうしたんだ? リボーン」
リボーン「さっきから、誰かに見られてる見てぇだ」
ツナ「え?」

(ハルヒサイド)
私はびっくりした。
まさか、赤ん坊がしゃべるなんて!!
本当に驚きだわ!!
さらに見ていくと、
赤ん坊の肩に乗っていたカメレオンが銃に変わったり、
こんなことありえるのかしら!!
正しく、これは奇跡よ。
そう思いながら、2人のやりとりを見ていたとき、

(リボーン『さっきから、誰かに見られてる見てぇだ』)
まずい、バレた。
急いで私は屋根から降りて逃げようとした瞬間、足をすべらせて、
ハルヒ「う、うわっ!!」
キョン「お、おい、ハルヒ!!」
そのまま屋根から落ち、下にいたキョンの方に落ちた。
“ドシャ――――――ンッ!!”
何とか、私は助かったけど、キョンは大丈夫かしら。
ハルヒ「キョン、大丈夫?」
キョン「…俺は、平気だから…、さっさと、降りてくれ…」
ハルヒ「ご、ごめん」
私は急いでキョンから離れる。
物音を聞いた有希や古泉君、みくるちゃんがあたしの方に駆け寄ってくる。


(ツナサイド)
リボーン「さっきから、誰かに見られてる見てぇだ」
俺はリボーンの言葉は冗談だと思った。
ツナ「そ、そんなことあるわけないだろう。何かの気のせいだよ。」
リボーン「俺はそのようには思えねぇ」
リボーンがそう言ったその時だ。
“ドシャ―――――――ンッ!!”
庭から大きな音が聞こえた。
この音を聞いた俺とリボーンは庭の方に走っていった。

(キョンサイド)
屋根から落ちたハルヒの下敷きになった俺。
痛ぇし、重い。
さっさとどけよ。ハルヒ。
物音を聞いた朝比奈さんや長門、古泉が俺達の方に駆け寄る。
みくる「キョン君、涼宮さん、大丈夫ですか?」
ハルヒ「私は大丈夫。それよりキョンが」
キョン「俺は大丈夫だ」
体を庇いながら、何とか俺は立ち上がった。
その時だ。
ツナ「ああっ、あなた達はさっきの!!」
家の中から、さっきハルヒとぶつかった少年と、小さな子供が現れた。

(ツナサイド)
物音を聞いた俺たちは、急いで階段を降りて、
玄関を開けて、飛び出した。
すると、
ツナ「ああっ、あなた達はさっきの!!」
リボーン「知ってるのか?ツナ」
ツナ「うん。それで、あなたたちは誰なんですか!!俺たちに何の用ですか」
すると、黄色いカチューシャをした女性は言った。
ハルヒ「私の名前はSOS団団長、涼宮ハルヒ!! こっちはキョン。
ここにいるのは朝比奈みくるちゃん!! そして長門有希に、副団長の古泉一樹君よ!!」
涼宮ハルヒと名乗る女性は、一人ひとり、指をさして人を紹介している。
ツナ「SOS団?」
ハルヒ「そうよ」
今度は、リボーンが女性に話しかける。
リボーン「おい、涼宮ハルヒとかって言ったな」
ハルヒ「ええ、そうよ」
リボーン「それで、俺たちに何のようだ。」
ハルヒ「あたしの通う高校の近くで、並盛町で、黒い服をつけた小さな赤ん坊が、
ヒットマンをやってるっていう情報を聞きつけて、実際それを調べるために、ここにやってきたの。」
リボーン「ああ、本当だ。やってるぞ。赤ちゃんヒットマンは俺だ。俺の名はリボーン。
普通にリボーンで呼んでくれてもかまわない。」
騒ぎを聞きつけた母さんが出てきた。
奈々「どうしたの? 一体何の騒ぎ?」
リボーン「あっ、ママン」
俺はSOS団と名乗る人たちに指をさして、
ツナ「母さん、あの人たちは!!」
リボーン「俺の知り合いだ。はるばる遠い所から来たみたいだ。」
リボーンが俺の話を滞らせた。
ツナ「リボーン!!」
リボーン「いいんだ。」
奈々「あら、そうなの。いらっしゃい。」
リボーン「さ、中に入れ。」
ハルヒ・みくる・古泉「いいんですか?」
奈々「ええ、いいわよ。もうすぐ夕ご飯が出来るから、一緒に食べない?
あと、もし泊まるところがなかったら、この家でよかったら泊まりなさい。」
全員「あ、ありがとうございます!!」
ツナ「ちょっと母さん!!」
リボーン「いいじゃねぇか。さ、入れ。ママンの料理はおいしいからな。」
全員「お邪魔します!!」
奈々「はい、どうぞ」
母さんがそういうと、SOS団の人たちはそのまま家の中に入っていった。
ああ、どうなるんだよ。この家。
そんなことを考えているうちに、
なんだか、疲れて眠くなってきた。とりあえず俺は自分の部屋のベッドで横になることにした。

(キョンサイド)
少年の家に入った途端、緊張がほぐれた。
おそらく、ハルヒや朝比奈さん、古泉もそうだろう。
ああ、びびった。
少年の母親が出てきたときは、マジ通報されると思ったね。
ハルヒも朝比奈さんも泣き顔だったし、古泉にしてはめずらしく落ち着きがなかった。
長門は無表情のままだったがな。
でも黒い服を着けたリボーンっていう小僧が、
『俺の知り合いだ。はるばる遠い所から来たみたいだ。』って言ったことが、正直驚いた。
同時に本当助かった。
あの時そう言ってくれなかったら、
俺たちは、今頃警察の世話になってたかもしれないしな。
あとで礼をしなきゃな。
そして、この少年の母親は、なんてやさしい人なんだ。
ご飯も泊まる場所も提供してくれて、本当いい人だ。
ハルヒと朝比奈さん、長門は、お礼の意をこめて早速その人の手伝いをする。
奈々「あら、そんなことしなくてもいいわよ。」
ハルヒ・みくる「いえ、お礼なんです!!」
そういうと、ハルヒや長門、朝比奈さんも一生懸命
その人のために働いていた。

それを見た俺は、ほくそ笑んだ。
さて、俺も手伝うか。
キョン「ハルヒ、俺も手伝うぞ」
古泉「僕もやります。」


(ツナサイド)
暗い部屋の中、ベッドに横たわっていたとき、
奈々「ツっ君、ご飯できたわよ~」
ツナ「は~い」
やっぱ寝起きはきつい。まだまだ眠い。
そんな体を立たせて、俺は1階に降りた。
居間に入ると、テーブルに所狭しといろいろな料理が並べられている。
突然、俺の前に、リボーンが現れ、こう言った。
リボーン「この料理はママンとSOS団のみんなが作ったんだ。」
俺はSOS団の方に視線を寄せる。
ツナ「この料理、みなさんが作ったんですか!?」
ハルヒ「ええ、そうよ!!」
みくる「私も作りました。」
長門「私も手伝ったが、私はカレーしか作っていない」
奈々「本当にこの子たちが手伝ってくれて、助かったわ」
ハルヒ「いいえ、私たちは当然のことをしたまでよ。」
俺は頭を下げてお礼をした。
ツナ「あ、ありがとうございます!!」
ハルヒ「いいのよ。お礼は。さ、ご飯食べましょ。動きすぎておなかが減ったわ」
キョン「そうだな」
リボーン「俺も腹ペコだ。」

ツナ「う、うん」
SOS団のみんなは、テーブルを取り囲み、好きなところに座っている。
ハルヒ「さてと、じゃ、みんな行くわよ」
全員「よし!!」
ハルヒ「せ~のっ」
全員「いただきます!!」

みんなワイワイガヤガヤ話しをしながら食べてる。
そういう姿を見て俺はなぜか安心した。
そう思っていたとき、
「こんばんわ」
「やっほーい!!ランボさん来たもんね!!」
聞き慣れた声だ。
一体誰だろう。
俺は声のしている方向に視線を向けた。
声の主は、

イーピンとランボだ。
ランボは何食わぬ顔で、テーブルの上の料理を食べる。
イーピンはというと、見慣れない客に驚いているのだろうか。
とても怯えている。
無理はない。初めて見た客だし。
突然、イーピンは、俺の方に近寄ってきて、
「ツナさん、あの人たちは誰ですか?」と尋ねてきた。
俺は答えた。
「あの人たちは、SOS団っていうんだ。」
「SOS団?」
そう言われてもまだ分からない顔をするイーピン。
しかし、積極的に友達になろうと思ったのか、
イーピンは涼宮さんのところに座る。
気付いた涼宮さんは、イーピンに挨拶をした。
ハルヒ「こんばんわ」
イーピン「・・・こ、こんばんわ」
怯えながらもイーピンは彼女に挨拶をした。
ハルヒ「別に怖がらなくてもいいのよ。あたし達、怪しい人たちじゃないから。
よかったら、これ食べる?」
涼宮さんは、フライドチキンを、器に乗せそれをイーピンに渡した。
イーピン「あ、ありがとうございますっ!!」
イーピンは満面の笑みを浮かべながら、涼宮さんにお礼をした。

「ツナ兄、来たよ」
俺は視線をイーピンの方から、別の方向に変えた。
この声は。
フゥ太だ。
ツナ「フゥ太!!」
フゥ太「今日お客さんが来てるってママンから聞いたから、来ちゃった。
それで、あの人たちは?」
いちいち説明するのが、面倒臭くなってきた。
ツナ「あ、後で説明するから、とりあえずご飯食べよう?ね?」
フゥ太「うん。わかった。」
フゥ太は古泉さんの隣に座り、テーブルにある料理をリボーンや朝比奈さんとも
気軽に話しながら一緒に食べている。
俺はその姿を見て安心した。

でも、これからも、どんどん客が居間の方に入ってきている。
ドタドタと物音を立てながら、居間に入ってくるのは、
了平「よう、沢田!!」
今度は京子ちゃんのお兄さんがやってきた。
ツナ「お、お兄さん!!」
京子「ツナ君。」
ハル「ツナさん!!」
ツナ「京子ちゃんやハルまで」
京子「今日は、ツナ君の家にお客さんが来てるってツナ君のお母さんから聞いたから」
ハル「とびっきりおいしいケーキを2人で買って来ました!!」
リボーン「おっ、京子やハルも来たのか 」
ツナ「別にそんなことしなくていいのに。」
ハル「いいえ、やっぱりお客さんがきたからには、積極的におもてなしをしなきゃ
ダメです!!」
ハルの目はいつの間にか輝きを帯びていた。
そんなやる気まんまんにならなくても。
今度もまたさらに客がやってきた。
クローム「ボス」
ツナ「クローム!!どうして…」
理由を聞こうとした時だった。
獄寺「10代目!!」
山本「よっ、ツナ」
ツナ「獄寺君、それに、山本!!」
山本「実は俺のオヤジも来てんだ。」
ツナ「えっ!!!?」
剛「ちわっす!!竹寿司です!!」
そうだった。山本のうちは、寿司屋だったっけ。
奈々「あら、いらっしゃい。ぜひお願いしますわ。」
ツナ「ちょっと母さん。そんなことしなくてもいいのに。」
山本のお父さんは、いつの間にか、寿司を作る専用テーブルを立て、
寿司を作り始める。
剛「今日は俺のおごりだいっ!!好きなだけ食べやがれってんだぃっ!!」
全員「ありがとうございま――――すっ!!」
ハルヒ「キョン、寿司よ寿司!!」
キョン「よし、俺はえびでも取るかな」
キョンさんが皿から盛られた寿司のえびを箸で取ろうとした瞬間。
ハルヒ「頂きっ!!」
それを涼宮さんがよこどりした。
それをキョンさんが怒っている。
キョン「おい、ハルヒっ!!よくも俺の寿司をっ!!」
ハルヒ「いいじゃない。減るもんじゃないし。」
悪びれる様子を見せない涼宮さん
キョン「なんだとっ!!」
それを見ていた朝比奈さんが、2人の喧嘩を止めさせる。
みくる「ちょっと2人とも、喧嘩はダメです。」
キョン・ハルヒ「…はーい。」
剛「まだまだあるからジャンジャン食べな!!」
山本のお父さんは休むことなく寿司を握っている。
長門さんや古泉さん、京子ちゃんやハルも、寿司やカレーなどいろいろなものを食べている。

とそこに、また客が現れた。
ビアンキ「こんばんわ。」
奈々「いらっしゃーい。」
ビアンキが現れた。ビアンキは獄寺君の隣にズカっと座り、そのまま料理を食べた。
何も知らずただ黙々と食べていた獄寺君だったけど、偶然にビアンキと目が合った瞬間。
獄寺「あ、姉貴っ!!がっ、あぁぁっ!!・・・」
お腹を押さえて泡を吐きながら倒れてしまった獄寺君。
それに気付いた山本は、背中に獄寺君を乗せて、俺に言った。
山本「なあ、ツナ?獄寺をお前の部屋に寝かしていいか?」
ツナ「う、うん。いいよ」
俺がそう言うと山本はその場を後にした。

よく見ると、みんな結構打ち解けてるみたい。
楽しそうに見える。

でも、さすがに人が来すぎだろ。
俺は手を休め、台所で作業をしている母さんに言った。
ツナ「母さんっ!!」
奈々「な~に~?」
ツナ「いちいち俺の友達を呼ばなくていいのに」
奈々「あら、いいじゃない。大勢で食べたほうがおいしいでしょう?」
まあ、言われてみればそうだけど。

そんなことを思っているうちに、涼宮さんが食器を重ねて、母さんの方へ持ってきた。
ハルヒ「おばさん、ごちそうさま。食器ここに置いときますね。」
奈々「あら、ありがとう。」
さらに、キョンさんや朝比奈さんが母さんの方にやってきて、
キョン「おばさん。食器洗いは俺と朝比奈さんでやりますから、
おばさんは居間の方でご飯食べてきてください」
奈々「あら、いいのよ。そんなことしなくても。」
みくる「お願いします。ぜひ休んでください」
その言葉に母さんは。優しく微笑みこういった。
奈々「仕方ないわね。じゃ、お願いしちゃおうかしら。」
キョン・みくる「はい!!任せてください!!」
2人は、母さんが居間に行ったのを確認すると、手早く食器洗いを始めた。
それを見て俺は、なぜか言葉を失った。
同時に自分にやるせなさを感じた。
リボーン「自分にやるせなさを感じただろ」
リボーンには読まれてたみたいだ。
ツナ「うん。」
リボーン「そう思うんだったら、さっさと、キョンとみくるの手伝いをしろ。」
俺はリボーンに尻を叩かれながらも、2人の方に向かい、話しかけた。
ツナ「あの~・・・」
キョン「どうした?」
キョンさんが手を止める。
ツナ「僕にも手伝わせてください!!」

朝比奈さんは俺の方を向いて笑みを浮かべながら言った。
みくる「ええ、大歓迎ですよ。」
そうして俺は、2人の手伝いをした。
テーブルにあった皿を全部洗いのけた俺とキョンさんと朝比奈さん。
居間にあったテーブルは片付けられて、そこにみんな集まっていた。
ここで、これから自己紹介を行う。
リボーン「おい、ツナ。これからお前が仕切れ。」
みんなが拍手をする。

ツナ「えっ、そんなこと言われても。」
獄寺「よっ、待ってました!! 10代目!!」
せかさないでよ、獄寺君。
でもみんなは俺の方に視線を向けている。
何だか緊張するけど、え~い、一かバチか。
ツナ「ええ、…これからSOS団とみんなの自己紹介を始めたいと思います。」
パチパチパチパチ…
拍手される俺。はぁ…。
ツナ「と、とりあえず、SOS団のメンバー紹介を涼宮ハルヒさん、お願いします。」


(キョンサイド)
まあ、これから、ツナの友達とSOS団の初の顔あわせになるんだが、
ツナは、SOS団のメンバー紹介を涼宮ハルヒに任せたが、団長であるハルヒときたらまともな自己紹介をした試しが一度もない。あと、こいつに任すと何いうかわからない。
頼むからまともにやってくれ。ハルヒ。
ツナ「と、とりあえず、SOS団のメンバー紹介を涼宮ハルヒさん、お願いします。」
ハルヒ「任せて」
ハルヒ「ええ、本日は私たちのためにお越しくださりありがとうございます。
じゃ、自己紹介始めようかしら。
まず、私から。SOS団団長涼宮ハルヒ!!」
パチパチパチパチ…
自然と拍手が起こっている。
ハルヒ「時間ないから、早くやるわよ。あたしが紹介するわね。」
おい、ハルヒそれはいかん。
しかし、俺の心の叫びを聞かないハルヒは黙々と勝手に自己紹介を続ける。
「あたしの隣にいるのが、キョン、次に、朝比奈みくるちゃんに、長門有希。
そして、副団長の古泉一樹君よ!!」
はは。本名で紹介されない、俺たちに紹介させないのは屈辱に感じるのは俺だけか。
SOS団のメンバー紹介が終わった後、みんなから、自然と拍手が沸いている。

今度はリボーンが俺たちSOS団の方向を向いて立ち上がり、自己紹介を始める。
リボーン「改めて、自己紹介するが、俺の名はリボーンっていうんだ。
ツナをマフィアのボスにするのが俺の仕事だ。俺の肩の上に乗っているのは
レオンっていうんだ。いろいろなものになることが出来るんだ。」
そういうと、リボーンはカメレオンを使って実演し始めた。
コップや空き缶、ネクタイなどいろいろなものに変化する。
それを見たハルヒは、「すごいじゃない!!」と関心そうにリボーンを見つめていた。
全員がリボーンの実演に惜しみない拍手をしていた。

次は、ツナの番だ。
ツナは緊張してるのか、体を強張らせていた。
ツナ「ぼ、僕は、沢田綱吉っていいます。みんなから『ツナ』って呼ばれてます。
よろしくお願いします!!」
彼は深くお辞儀をした。
俺たち全員、ツナに拍手を送った。

とここで、リボーンはこういうことを言った。
リボーン「時間ねぇから、名前だけな。やる奴はいねぇか」
獄寺「はい、リボーンさん!俺やります!!」
そうして手を上に上げたのは、銀色の髪の少年だった。
リボーン「じゃあ、頼むぞ獄寺」
獄寺「はい、任せてください!! えぇ、10代目の右腕、獄寺隼人っていいます。
よろしくお願いします!!」
リボーン「うん。ありがとな。じゃあ次」

山本「山本武っていいます。よろしくお願いします。」
了平「笹川了平だ!! よろしくな!!」
ランボ「俺っちは、ランボさんだもんね!!好きなものは、え~っと・・・」
リボーン「うぜぇ」
リボーンはレオンをダンベルに変化させ、それをそいつに投げた。
ランボ「んぎゃっ!!!が・ま・ん~」
ランボは泣きべそをかいている。
俺はただあ然と見ていた。言葉が出そうで、でなかった。

リボーン「さて、あんなやつは放っといて、次。」
ハル「はい!!三浦ハルって言います!!よろしくお願いします!!」
京子「笹川京子っていいます。京子って呼んでね。」
ビアンキ「隼人の姉のビアンキっていうわ。よろしく」
ビアンキっていう人は、結構怪しいオーラを放っていた。

イーピン「私イーピン。よろしくね」
フゥ太「ぼく、フゥ太。」

リボーン「もう全員おわったか。」
リボーンは辺りを見渡して、にやりと笑いいった。
リボーン「まだだな。最後に呼ばれてないのは、クローム」
緑色の服とスカートを着けて三叉槍を持ってた少女がそこにはいた。
かなりおとなしい子みたいだ。

リボーンはそいつに話しかけた。
リボーン「クローム。出来るか。」
クローム「は、はい。」
少女は立ち上がって、言葉を詰まらせながら自分の自己紹介をした。
クローム「…く、クロームって言います。よろしくお願いします。」

全員の紹介が終わったみたいだ。俺たちは自己紹介をしてくれたみんなに、
拍手を贈った。
結局、この日の1日は、全て終了した。
しかし、この後俺たちの身に大変な災いが降りかかることは、
まだ誰も知らなかったのである。


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