シクシク…
グスッ…
…すすり泣きの響く部屋…線香の匂い…
私、涼宮ハルヒは今、お葬式に出ている。キョンの…お葬式に…
…なんで…なんでこんな事になってしまったのだろうか…。
~昨日~
「今日も何にも不思議は見つからなかったわね。」
私は不機嫌だった。せっかく隣街まで来て不思議探索したのに何も見つからないだなんて…
キョン「…んな簡単に見つかるかよ。」
ハルヒ「…あんたしっかり探したの?」
キョン「簡単に見つからないから不思議なんだろ?」
…ったく、ああ言えばこ~言う。
古泉「まあまあ、これはこれで楽しかったから良いじゃないですか。」
ミクル「そうですよ。いつもと違う所を回れて楽しかったです。」
長門「…コクン。」
…まぁ…楽しかったのは否定しないわよ…でも目的は…。
キョン「おいハルヒ、ふらふらするな。前見て歩け。」
…うるさいわね、子供扱いしないでよ…
その時だった。

ミクル「涼宮さん!」
長門「…駄目!」
ゴー
キョン「ハルヒ!!」
ドン…
ガン…
…痛たたた…誰よ!私を突き飛ばしたのは………血?……
ミクル「キョン君!!」
古泉「…なんて事だ…。」
長門「…い…嫌…。」

…私は一生忘れる事が無いだろう…
…私の目の前に…血だらけのキョンが…倒れていた…。
…居眠り運転だったそうだ。車は一直線に私に向かっていた。
その私を突き飛ばし…キョンが…死んだ…私の身代わりに…
…キョンが死んだ…
…死んだ…
…ちがう…
…私が…
……殺した……

…シクシク
…グス
妹「キョン君…なんで…起きてよ~。」
谷口「…馬鹿野郎…。」
国木田「…なんで…。」
…ごめんなさい…ごめんなさい…私が殺したの…私が…。
…誰も私を責めなかった…何で?何で?
…私が殺したのに…
それから私は家に籠もりひたすら寝続けた。
早く…悪夢が…覚めるように…。
でも何度目が覚めても悪夢は続いている…何時になったら覚めるの?

古泉「…まだ涼宮さんは…」
ミクル「…ええ…受け入れられないのでしょう…キョン君の死が…。」
長門「…。」
古泉「…ところで気づいていますか?涼宮さんの力が完全に消えているのを…。」
ミクル「はい…完全に消えました。もう戻る事は無いでしょう…。」
長門「…コクン。」
…もう私たちがここに居る理由は無い…
古泉「…ですが…。」
ミクル「はい…帰る前に…。」
長門「…やらなければ成らない事がある。」

ピンポーン
ガチャ
ハルヒの母「…ああ…あなた達…は…」
古泉「どうも。」
ミクル「涼宮さんは…まだ…?」
ハルヒの母「…ええ…ご飯も食べないで…このまま死んでしまうんじゃないかと…」
古泉「僕達に涼宮さんの事任せていただけませんか?」
ハルヒの母「…でも…あの子…誰にも会わないと…」
長門「…お願い。」
ハルヒの母はしばらく考えた後…
ハルヒの母「…よろしく…お願いします。」

いくつの夜が明けただろうか?
でも私の夜は明けない…明けない…キョン…はやく…。
コンコン
ガチャ
「こんにちは。」
…何…あなた達…。

ハルヒ「…何しに来たの?…帰って!誰にも…誰にも会いたくない!」
ミクル「…涼宮さん。」
ハルヒ「帰って!キョン以外に会いたくない!!」
バシッ
…叩かれた…有希?
長門「…何やってるの…涼宮ハルヒ…」
バシッ
…!?…みくるちゃん?
ミクル「…あなたは…」
古泉「…失礼します。」
バシッ
…!?…古泉君?…ハルヒ「…そうだよね…みんなキョンの事好きだったもんね…なのに私が殺しちゃったもんね…良いよ、好きなだけ殴っても…」
長門「…いい加減にして!…あなた忘れたの!?彼の最後の言葉を!」
ミクル「…彼の最後の顔を!?」
…最後の言葉?
…最後の顔?



ハルヒ「…あ…あ…」
キョン「…ハルヒ…怪我は…?」
ハルヒ「……な…無い。」
キョン「…そうか…良かった…」
…これが最後の言葉。
笑っていた。
心から安堵した顔。
…これが最後の顔。
古泉「彼は笑って死んだ…あなたに、涼宮ハルヒに怪我がなかったと安心して…なのに…なのに…あなたは!」
古泉君は私の胸ぐらを掴んだ。
古泉「あなたは何をやってるんだ!こんな…こんな涼宮ハルヒを見て彼が喜ぶと思うのか!?」
ミクル「あなたは忘れたの?キョン君のやさしさを?」
長門「…あなたは包まれていた…彼に…羨ましいくらいに…」
長門「…生きて…彼の分も」
…三人とも泣いている。

私は泣いた。
多分一生で一番泣いた。
…泣いた後お腹が空いた。
いっぱい食べた。
…生きなきゃ…キョンの分も…。
古泉君、みくるちゃん、有希、ありがとう。
ようやく私はキョンの死を受け入れられた…。
…あれから8年…私は古泉ハルヒとして生きている。
ハルヒ「キョン…今年も来たよ。」
私はキョンのお墓に話
しかけた。
古泉「…お久しぶりです。そちらではお元気ですか?」
私は夫と…古泉一樹と一緒にお墓参りに来ていた。
古泉「…さて、少し外しますね。…妬けてしまいますので。」
夫は散歩に行った…これも毎年恒例。
ハルヒ「ねぇキョン。赤ちゃん出来たんだ。名前何にしようかな?」
…本当か?…おまえが母親ねぇ
ハルヒ「何それ…」
…おめでとう
ハルヒ「…ありがとう。」
…幸せそうだな
ハルヒ「…幸せだよ。」
…良かった。
ハルヒ「…うん。」
キョンとの会話。
私が心の中で言ってるんだけどきっとキョンならこう言ってくれる。
…ありがとう。キョン。

~XX年後~
「ひいひいおばあちゃん、続きは?」
ハルヒ「…これでおしまい。後はあなたが作って行くの。」
…あれから何十年たったかな…夫も先に行ってしまった…私にもそろそろお迎の時が来たかな。
一杯生きたな…もういいよね?
私は静かに目を瞑った…
ああ…光…光が…
あれ?この姿…昔の…あの時の私?
「…たしかに一杯生きろと願ったが…まさかここまで生きるとはな…。」
…彼は苦笑いしながら言った。
「あなたの思いを守って精一杯生きたのですよ…彼女は。」
…このニヤケ顔
「…まさか私より長生きするなんて…お疲れ様でした。」
…ふふっ…メイド服
「……待ってた。」
…相変わらず無表情なんだから

…涙が…涙が止まらない…

キョン「たしか最後の奴は罰金だったよな?」
古泉「そういえばそうでしたよね?」
ミクル「涼宮さんが最後って…初めてじゃないですか?」
長門「……罰金。」
…ふっ
ハルヒ「あなた達だれに言ってんの?私はSOS団団長涼宮ハルヒよ!」
キョン「…やれやれ、また賑やかな日々がはじまるか。」
古泉「ここは不思議だらけですよ。」
ミクル「まぁ時間は一杯ありますし。」
長門「……コクン」
ハルヒ「さぁ、SOS団第二期の始まりよ!!」
…私はもう…絶対放さない。
みんな…
みんな大好き!!

…おしまい。

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