ジョン、あの女の人ってあなたの何?
ジョン(キョン)「何って?」
だーかーらー、彼女かどうかって聞いてんの!
「…それは違う」
ふ~ん、ならさ、あたしと付き合ってくれない?
「……それはできない」
なっ、なんでよっ!?
「…………フッ、大丈夫。いつか、俺みたいな奴が現れる。そいつは、おまえのことを一生大事にしてくれるはずだ…。だから、それまで待っていてくれ。なっ?」
な、何よそれ?あたしは待つことは嫌いなのよ!
「じゃあな」
まっ、待ってよ!また、また逢えるよね?
「さあなっ」

                                               …………
……
あれから、三年か……。
まだ忘れてないよ、あんたのこと…。
今日は高校の入学式か…。さんざん待ったけど、あんたみたいな奴は現れなかったわよっ。
高校に入れば、また逢えるかな?

逢いたいよ…ジョン……。




最悪。
クラスの奴らは見たところ全然普通。しかも、谷口なんかと一緒のクラスぅ?
まっ、あいつは悪い意味で普通じゃないから笑えるんだけどね。
ただ、一人だけ雰囲気がジョンに似ている奴がいる。
そいつは、キョンとか呼ばれてる。
名前までジョンに似ているわ。でも、あたしの自己紹介のとき、あまりにもマヌケ面で振り向いてきた、やっぱりあいつではないみたい…がっかり…。

でも、まだあきらめたりしないわ!だって、九回裏ツーアウトで負けていても、あきらめなければ勝機はあるもの。
待ってなさい、絶対に見つけだしてあげるわ!


とりあえず、他のクラスの連中を見たけど全然ダメ。先輩たちや教師どもは、だいたい中学のときに探したからいないことは分かってるし――――。
まったくっ、いつになったら現れるのよーっ、バカッ!!

私は血眼になって未だ探し続けている。

今日は、前の席のキョンとかいう奴が話しかけてきた。
「なあ。しょっぱなの自己紹介のアレ、どのへんまで本気だったんだ?」
はああ!?ナメてんの?本気に決まってるじゃない!!
あたしは苛立ちを覚えたわ。やっぱり普通ね。
うわ…谷口がこっち見てニヤけてる。息の根を止めてやりたい。
聞いても宇宙人では無いみたいだし…、はぁ。思わずため息が出た。



でも、しばらくしてあたしの髪型の理由に気付いてくれた。正直びっくりしたわ、全然普通ぽかったのに。こいつ、素質あるわね。
そこで思い切って聞いてみたわ、
「あたし、あんたとどこかで会ったことがある? ずっと前に」
するとあいつは、
「いいや」
だってさっ。
やっぱり違うのかな?残念……。

それから、あいつはよく話しかけてくるようになった…。
その会話のなかでも、ジョンに近い話し方や仕草をしていた。あたしは確信した。こいつはジョンだ!
絶対にそうよっ。そうじゃないと許さない!!
「ねぇ、ジョン?」
あたしはそう話しかけてみた…だけど、あいつは、
「何言ってんだ?」
と、まったく覚えが無いようだった。とたんに悲しくなった…。
こいつは、ジョンであってジョンで無かった。



それでも、あたしはあいつが気になって気になってしょうがなくなった…。
なんだろう?この気持ち。このキョンとかいう奴はジョンと同じようにあたしのことを分かってくれる。
…そんな気がした。

そして、あたしは決心した。
やっぱ待ってるだけじゃつまらないじゃない!
あたしは部活をつくった。もちろん、キョンと一緒にねっ。
メンバー集めもうまくに進み、まさに順風満帆!さすがあたしね。
無口キャラ、萌マスコット、謎の転入生、その他。
面白くなってきたわ。

……でも、全然何も起こらない…。どうなってんのよ!!


ジョン……早く逢いたいよ…。
そんな思いも、むなしくかき消された気がして、あたしは涙を流した…。



しばらくして、やっと面白そうなことがやってきた。

謎の転校生、朝倉。カナダにいったなんてデタラメに決まってるわ!
あたしは早速調査に行こうと思い。キョンを連れ出した。



あたしは、キョンと一緒に朝倉の住んでいたところまで行った。
ふふふっ。キョンと並んで歩いているだけでなんだか幸せな気分♪なんでだろ?
…でも結局、朝倉の調査は失敗に終わった。
つまんないっ。
謎が多すぎて何も分からなかいじゃないっ。ヒントとかないの!?


あたしは帰り道で、
「あんたさ、自分がこの地球でどれだけちっぽけな存在なのか自覚したことある?」
と、あいつに問いかけ、あたしの気持ちを吐き出した…。
あいつは、あたしの話を黙って聞いていた…。なんだか困惑した表情を浮かべていて、ちょっと後悔した。 
「そうか」
あいつは答えた。
あたしは、もう全てが嫌になって家に帰った…。

――こんな世界無くなってしまえばいいのに――
そんなことを考えながら、あたしは眠りにおちていった………。



ふと目が覚めた。
目を開けると、いつもとは違う景色が広がっていた。
隣には、男が眠っていた。「…ジョン?」
あたしはそう言いながら、そいつを起こした。
「……?」
そいつは、状況をつかめていないみたいだけど、あたしは話し続けた。

ねえ、ジョン。ジョンなんでしょ?待ってたんだよ…。あたし。
「……ハルヒ?」
ねえ、ジョン。あたし気付いたの…。あたしは、あたしはあなたのことが好きなの!!
「!!……俺もだ」
ジョンは、かなり驚いている様子だったけど、そう返事をしてくれた…。

ねえ…、キスしてくれない?
「……ああ」
ジョンは、そう言って、やさしくキスして抱き締めてくれた…。
その瞬間、世界がねじ曲がるような感覚に襲われて飛び起きた。


………夢?
あたしは、残念だった…。でも、たとえ夢でもあいつとまた逢えたことに変わりはなかった。
だから、その日は嬉しくて眠ることができなかった。

次の日の朝、キョンが話しかけてきた…。
「よう、元気か」
あいつは、机に鞄を置きながらそう聞いてきた。
あたしは、
「ええ、最高に元気よ!!昨日、かなりいい夢を見たからっ」
そう答えてやったわ!
そしたらあいつは、
「そうかい。…あと放課後に話があるんだ」
そう言ってきた…。なんだろう?
でも、昨日の夢に出てきたジョンにそっくりだなぁ…なんて思った。



そして放課後、部室にあいつは一人でいた。
「ハルヒ」
あいつは真剣な面持ちで話しかけてきた。

な、何よ?
「俺、実はおまえのことが好きなんだ」
顔が熱くなるのを感じる。な!?ななな何言ってんのよ?
「付き合ってくれないか?」
あいつの姿がジョンに重なる…。
「べ、別に、いいわよ」
あたしは、キョンのことをまともに見れずにそう言った。


もしかしたら、あたしはキョンのことをジョンと同じくらい好きなのかも。そんなことを思った。




そして、今日は初デートの日。
あたしは、なんだか朝早くに目が覚めちゃって、集合時間の一時間前に、待ち合わせ場所に着いちゃった♪待つことが嫌いなくせに早く来ちゃうんだよね。


そして三十分後、あいつは現われた。
「遅いわよ!罰金ねっ」
あたしは、あいつにいつものように言ってやる。
するとあいつは、文句がありそうな顔をしながらも、
「スマン、じゃあ喫茶店に入るか」
と言ってくれる。
そこの喫茶店に入ってあたしたちは、しばらく話をした。

「なぁ、おまえが話していたことなんだがな…」
あいつはいきなり、有希が宇宙人、みくるちゃんが未来人、古泉君が超能力者だとかいう話をしてきた。

はぁ?そんなわけないじゃない。不思議ってのはそう都合良く転がってないのよ!
「…だよな」
まったく、嘘ばっかついてんじゃないわよ。

あたしはあいつに請求書を渡すと、店を出た。

……宇宙人とか、実はもうどうでもいいんだけどね。ジョン・スミスに逢いたかっただけだったから…。
そんなことを考えていると、あいつが遅れて店から出てきた。

デートといっても、やることは不思議探索と変わりなかった。
ただ…、あいつがいきなり手をつないできてちょっとドキッとした。

い、いきなりどうしたのよ。
「いや、こういうのって、手をつなぐもんだろ?それとも嫌だったか…?」
そんなことないけどさ。なんだか……恥ずかしいじゃない。
「そうだな」

そしてお互い黙ったまま、しばらく歩いていると、あいつが口を開いた。
「……なぁ、おまえが話してたジョンってのは誰なんだ?」
何?気になるの?
あたしは、面白がりながらそう言った。
「…まあな」
あいつは、めずらしく素直にそう言ってきた。
ジョンってのはね、ジョン・スミスっていって不思議な奴だったわ…。
三年前にあたしのことを助けてくれた人よ。
そんな感じで、あたしはキョンにあの日の思い出を少しずつ話し始めた…。

……それでね、そいつったら宇宙人と友達で未来人も超能力者もいるって言ってくれたの。
…その言葉であたしはなぜか救われた気がした。そして、ふらりといなくなっちゃった…。

あたしは一通り説明しおわって、キョンの顔を見ると、キョンは複雑な表情をしていた。

「それだけか?」
そうよ。
「おまえっ、そいつのこと好きなんだろ?」
え?
あたしは、そう言われて歩みを止めた。
「おまえ、今でもそいつのこと好きだろ」
……別にっ。
今はキョンのことが好きだよ。確かにあたしの初恋の人だけど…。
「そうか」
キョンは、あたしがそう言うと安堵の表情を浮かべた。


あたしはジョンとキョン。どっちが一番好きなんだろう?
そんな疑問が浮かんできた……。




そして、あたしの思い出の日。七夕の七月七日がやっつきた…。

あたしが、その日を思い出していると、キョンが話しかけてきた。
「どうした。やけにメランコリーだな?」
「別に。ちょっと七夕の季節には思い出があるのよ。」
そう言うと、あいつはいきなり雰囲気が変わった。
「もしかして、ジョンって奴のことか」
あたしは、図星をつかれて振り向いた。
「またジョンかよ。いい加減にしろよ!俺とそいつのどっちが好きなんだよ!!」
あいつは怒っていた。
「キョン!?違うのよ、あたしは――」
「もういい!今日はもう帰る!!」
そう言ってキョンは部室を出ていってしまった…。
他のみんなもびっくりしていたが、どうしようもなく、あたしを残して帰っていった。


あたしは一人部室で泣き崩れた…。



あたしは一人、とぼとぼと家路についた。
あたしは自分の部屋に入ると、泣き疲れてベットに倒れこんだ。
…どうしよう。嫌われちゃったかな……?
当たり前だよね。こんなあたしのことなんか…。
明日、ちゃんと謝ろう…。そう強く思いながら。眼を閉じた。


……
………
いつのまにか、あたしは暗闇の中に立っていた。
「ハルヒ」

「! ジョン!?」

「ハルヒ、大丈夫だ。誰もおまえを嫌ったりしない」

「ジョンなんでしょ?顔を見せてよ!」

「ハルヒ、俺のことなんかより、もっと今のおまえの大切なものを守るんだ」

「ジョン?……でも、あたしあなたのこと忘れないからね!ジョーン!!」



………
……

そんな夢を見たような気がした…。

翌日の朝。
あたしは、キョンに謝るため、部室にあいつを呼び出した…。

そして、あいつはやってきた…。
「キョン」
「ハルヒ」
・・・・・・
沈黙が時間を支配して、とても長く感じられた。
あたしは、想いをふりしぼって声を出した。
「ごめんなさい」
……すると、キョンも、
「ゴメン、俺が悪かった。おまえは悪くないんだ」
じゃ、じゃあ嫌ってない?あたしのこと。
「嫌いになるわけないだろ、俺は世界で一番おまえのことを愛してるんだから!」
…嬉しかった。嬉しくて嬉しくて涙が溢れた。
ありがとう、大好きっ。キョン!
そう言って、あたしは抱きついた。
そして、
「ハルヒ、俺は一生おまえのそばにいてやる」
そう言って、キョンはキスしてくれた…。

そんな時、ふいにジョンの言葉を思い出した。
『いつか、俺みたいな奴が現れる。そいつは、おまえのことを一生大事にしてくれるはずだ…。だから、それまで待っていてくれ』

…ありがとう。


~END~

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