キョン「おい、持ってきたぞ」
 
ハルヒ「遅いわよ!どうせタラタラ歩いてきたんでしょう!」
 
キョン「この重量を持ってダッシュできるとでも思ってか」
 
古泉「ふぅ、腰が痛いです」
 
ハルヒ「二人とも情けないわね。まぁいいわ!さっそく組み立てよ!」
 
キョン「頑張ってくれ」
 
ハルヒ「なにいってんの、あんたがやるのよ」
 
キョン「…お前こそなに言ってんだ。俺と古泉はもうクタクタなんだ」
 
古泉「さすがに今すぐというわけには…」
 
ハルヒ「これだけ部品があるんだから、今すぐにでもやらないと
完成するの夜になっちゃうじゃないの!」
 
みくる「すみません遅れま…ひゃ、なんですかコレ!」
 
ハルヒ「アンテナよ!」
 
キョン「正確にはその部品です」
 
みくる「こんなにたくさん…いったいどうしたんですか?」
 
ハルヒ「有希が見つけてきたのよ。
へんな宗教団体の建物の跡地から」
 
長門「……」ペラッ
 
キョン「(長門のことだから何かしらの意味があってのことなんだろうが…)」
 
古泉「(いったい何なんでしょうか、コレ…)」
 
長門「(…何なんだろうコレ)」ペラッ
 
ハルヒ「で、今からさっそく組み立てようってトコ」
 
キョン「頼むから少し休ませてくれよ」
 
ハルヒ「やっぱり屋上の上かしらね、
あ、でも屋根の方が教師たちに見つかりにくいかしら」
 
キョン「話を聞け、頼むから」
 
キョン「よいしょ、っと。
この部品で最後だ」
 
ハルヒ「もう陽が傾いてるじゃないの!」
 
キョン「仕方ないだろう、この量だ」
 
古泉「組み立ては明日にした方がよさそうですね」
 
みくる「今からじゃ夜までかかりそうですもんね」
 
ハルヒ「さ、さっそく組み立てましょ!」
 
キョン「…あのな、話をだな」
 
ハルヒ「何事も勢いが大事なの!思い立ったが吉日よ!」
 
キョン「お前はいいとしてもだがな、
朝比奈さんや長門を夜遅くまで残すのは良くないだろ」
 
ハルヒ「…む」
 
古泉「…すみませんバイトが入ったので失礼します」
キョン「(すまん、古泉)」
 
ハルヒ「わかったわよ!みくるちゃんと有希は帰っていいわ!
ただしキョン、テメーは駄目だ!」
 
キョン「…わかりましたよーっと」
 
ハルヒ「それでいいのよ(あれ、いつのまにか2人きりってことになってね?
これチャンスじゃね?え、しかも夜の学校+星の見える屋上とか
ふいんきバッチコイじゃね?マジパネェくね?あれ?)」
 
長門「……私は平気。アンテナも気になる」
 
ハルヒ「黙れ小僧ッ!」
 
キョン長門みくる「!?」
 
ハルヒ「夜道は危ないから気を付けて帰りなさい!」
 
キョン「(…気のせいか?)」
 
 
ハルヒ「……まだできないの?」
 
キョン「急かすな、足場が悪いんだから」
 
ハルヒ「少しは急ごうとしなさいよ!もう真っ暗よ!」
 
キョン「だからこそ慎重にやってるんじゃないか」
 
ハルヒ「……もうっ!」プイッ
 
キョン「おい、どこにいくんだ」
 
ハルヒ「屋上探険!」
 
キョン「はぁ…気を付けろよ」
 
ハルヒ「…キョン、頑張ってくれてるな…。
ぶつくさいいながら、なんだかんだて付き合ってくれてるわよね…。
今日だって、帰ったっていいのにこんな時間まで…」
 
ハルヒ「……っ!何、考えてるのよっ!
やつがそんなっ…」
 
キョン「あー寒い」
 
ハルヒ「暗いなぁ…
…この街の光一つ一つに人がいて、生活があって、人生があって…
…楽しんだり、苦しんだり、泣いたり、笑ったり…
 
こんなにたくさんの人たちが、それぞれ生きていて、死んで…
世界は続いたとしても、その人の命はそこで途切れて…
こんな世界に、意味なんてあるのかな…?
こんな気持ちに、人を…す…っ………に、なることに、
意味なんて……」
 
意味などない。
この世界は繰り返す。
ただそれだけだ。
もはや無意味であることも無意味だ。
空であって、空で、ない。
 
ハルヒ「…え?」
 
キョン「おーいハルヒ。もうすぐ完成だぞー」
 
ハルヒ「あっ……うん………
おっ、遅いのよ!」
 
キョン「うっし、この部品で最後だ」ガチッ
 
バチィッ!
 
キョン「うおっ!眩しっ!」ズルッ
 
キョン「しまった…!」
 
ハルヒ「キョン!
どうしようどうしよう、受け止めなきゃ…!」
 
 
ドン。
 
ハルヒ「あれっ?」
 
キョン「痛いじゃないか」
 
ハルヒ「えっ、あっごめん…」
 
キョン「早くどいてくれ、じゃないと間に合わない」
 
ハルヒ「そうね」
 
キョン「見ろハルヒ、看板が見えてきた」
 
ハルヒ「私、ドキドキしてきた!」
 
キョン「ほら、小人がプラカードを持って案内しているぞ」
 
(^q^)「我がwwwwwwサーカス団をwwwwww是非wwwwwww
ご覧wwwwww下さいwwwwwwwwワニ女もwwwww
お見せwwwwwwwwしましょうwwwwwwww」(^p^)
 
ハルヒ「小人はみんな同じ顔をしているのね」
 
キョン「人生楽しそうだな」
 
ハルヒ「はやくいきましょう」
 
キョン「入場料はいくらだ」
 
ハルヒ「あんたのおごりね」
 
キョン「――――か。意外と安いな」
 
ハルヒ「え、いくらだって?」
 
キョン「だから、――――」
 
ハルヒ「うーん、まぁいいわ」
 
キョン「ほら、早く入るぞ」
 
ハルヒ「あ、待って」
 
キョン「どうした、早く」
ハルヒ「ちょっ…待っ……て」タッタッタッ
 
キョン「先に行くぞ」
 
ハルヒ「待ってってば……
ん……暗幕が邪魔…で……追い付けない……」タッタッタッ
 
ハルヒ「待ってってば」バサッ
 
「ようこそいらっしゃいました我がサーカス団へ!
今宵もどっきり不思議をどっさり持ってきたよ!
こいつを見逃しちゃ、残りの人生後悔しかない!それこそ生きてる意味がない!
どうぞ最後までご覧あそばせ!」
 
ワアァァァァッ!!
 
ハルヒ「キョン……どこにいったのかしら」
 
「おい、もう始まるだろうが!うろうろ立ってないで早く座れ!見えねえじゃねえか!」
 
ハルヒ「すみません…」
 
ハルヒ「このサーカスは自由席しかないのね」
 
キョン「そう、早い者勝ちなんだ。遅れたやつに誰も席なんて譲ってくれないし、
譲ったって席をなくすだけで褒められなんかしないんだ」
 
ハルヒ「ふーん」
 
「さぁさぁみなさんお待ちかね!
まずはワニ女の解体ショーだよ!」
 
キョン「あ、朝比奈さんだ」
 
ハルヒ「本当。舞台用の衣装、似合ってるわね」
 
「今からこの巨乳なワニ女を箱の中に入れて、このチェーンソーでバラバラにしてしまいます!
皆さん、これからはまばたき禁止ですよ!」
 
キョン「ほう」
 
ハルヒ「みくるちゃん大丈夫かしら」
 
「それでは、さぁ刮目!」
 
 
ギュイイィィィィッ、ギィィィィィィンッ
 
 
バリバリバリバリバリバリビチビチビチゴリゴリゴリゴリバリバリバリバリギューーン
 
 
ガーバリバリバリバリギリギリギリギリギリキューン
 
「はいっ!」
 
 
ワァァァァァッ
 
ハルヒ「あれっ」
 
キョン「これで終わりか」
 
ハルヒ「手品かと思ったら、違うのね」
 
「お客様の前で失礼、私、マスクを着けさせていただきます。
というのも、次にお見せするショーは少々危険でして。
 
続いては世にも珍しい、人に寄生するキノコの苗床にされてしまった少女、キノコ人間をご紹介―――」
 
キョン「なんだこれ、見世物小屋か?」
 
ハルヒ「サーカスって感じじゃないわね」
 
ハルヒ「あ、あれ有希だ」
 
「さぁ、続いては奇跡の業をお見せいたしましょう!」
 
…………ざわ………ざわ…………ざわ…………ざわ………ざわ…ざわ………
 
 
キョン「なんだあのじいさん」
 
ハルヒ「中国のテレビ用の仙人みたい」
 
「何を隠そう、これは我々が捕まえた件なのです!
今日の今日まで猿ぐつわをつけ、予言をさせないようにしてきたのです!
今、たった今、その猿ぐつわを外します!
さぁ、件の予言に耳を傾けて下さい!」
 
 
件「――――。」
 
 
キョン「………。」
ハルヒ「………。」
 
 
件「――焼け焦げる臭いをたどって歩くとそれはオーブンに並べられた胎児が溢れんばかりの脳味噌を滴らせて
その上に吊るされた母親の母乳と血と髪の毛によって風味付けをされていて涙がないのは
渇れたからではなくすでに絶命しているからでへその緒は首に絡まった。子供の父親たちは
各々の首を切り落としそれを使って互いを慰めあっていたまだ勃起したままだったが塗り
込められた糞と尿はその辺にありふれていて、臭いよりも味が強烈で散歩していた犬は珍味
ありがたくいただく柔らかいところは大抵腐り落ちてまた腐りはじめ。
 
瓶詰めの単眼児がゴミクズ自我を持っていない証明に必死になれるのはうらやましくて
きらきらした眼を象みたいな鼻が眉間に瞳は二つなのにね楽しい。本日お集まりいただいた
ぐちゃぐちゃ諸々はたとえば煙草屋のばばあが肺癌で死んだ。真っ黒だからまるで
まずそう重油みたいな血を発電に使えたらいいくらい吐いて悉く破裂しそうな膿を針で指す
けど電柱にぶら下がったそれには届かないなぜなら美しすぎるから。武器は戦車じゃなくて
言葉ごめんなさいあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてるあいしてる
あいしてるあいしてるあいしてるごめんなさいごめんなさいごめんなさいでも戦車も
素敵押し潰されたいし押し花みたいなのを作りたい子どもを記念に。殴りかかった右手は
頭蓋骨と一緒に砕けて釘が刺さったから一緒に二、三人首が回って笑ってるお腹の
なかみはないからむこうがわに咲いた人がよくみえたよ筋肉が遺憾なく美しいよ皮膚は
いっかしょにまとめられて処分が楽だし間違ったところがよくわかる、脳みそがない人が
たくさんいるけどみんなわかるよ幸せなら手を叩こうと顎がないのに言うんだ。子供の子供は
かわいそうだね親の親が不甲斐ないばかりに頑なに堅くなった脳は言葉さえ産み出さない
誰も救えない戯れ言を垂れ流す口は穿たれたら代わりに血ががががががががががががががががが」
 
キョン「詩人だなぁ」
 
ハルヒ「あ、血を吐き出したわ」
 
件「がががががががががががががががががががががががががががががががががかががが
かがががががががが学がないからでなく才能がないからだわかれそのくらいわかるだろうと
ソドムの街のひゃくにじゅうにちも知らないのか悪徳しかないそれはそれは美しかった
いってもきかないから愛してやまないのにね仕方ないとニガヨモギをおとそうそうしよう
そのせいでほとんどのみずは苦くなるが知らん、どうせイナゴだらけで何も残らないんだ
ラッパの号令を待つのちつかれたと
 
 
パーーン
 
 
キョン「あ、頭が」
 
ハルヒ「破裂したわね」
 
キョン「でも口から血はずっと出てるぞ」
 
ハルヒ「すごいすごい、噴水みたい」
 
…………ざわ………ざわ…ざわ…………ざわ…………ざわ……ざわ…………
 
「えー、失礼いたしました、少々お待ちください」
 
キョン「大変そうだな」
 
ハルヒ「血がまだ止まらないみたいね」
 
キョン「団員が押しても引いても動かないし、どうなってるんだ?」
 
ハルヒ「ちょっと、血の量多すぎない?床一面に……」
 
 
 
 
 
 
 
 
件「ひ、ひとつがいだけゆるしてや、る、あとはだめだ、と、のたまう」
 
ぐっ
 
 
キョン「あ」
ハルヒ「あ」
 
 
どばっしゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 
 
ハルヒ「すごい、津波みたい」
 
キョン「あ、こっちにも来た」
 
ハルヒ「ていうか、流され…」
 
ざざーん
 
ハルヒ「わ、キョン!助けて」
 
ざざざざざーん
 
キョン「無理だ、俺も流されてるんだぞ」
 
 
ざざざざざーんざばぁぁぁん
 
ハルヒ「がぼぼぼぼぼぼぼぼ」ぶくぶくぶく
 
 
 
ざざーん
 
 
ハルヒ「うーん」
 
ハルヒ「……ここは、川原?」
 
ハルヒ「キョンは……?どこ?」
 
ハルヒ「………………しょうがないわ、一人でもいかなきゃ」
 
ハルヒ「じっとしててもはじまらないものね」
 
ハルヒ「…………」てくてくてくて
 
ハルヒ「川原の道沿いに、ずっと赤い花が咲いてる」てくてくてくて
 
ハルヒ「………気持ち悪い」てくてくてくて
 
てくてくてくて
 
てくてくてくて
 
てくてくてくて
 
てくてくてくて
 
てくてくてくて
 
てくてくてくて
 
ハルヒ「…どこまで歩けばいいのかしら」てくてくてくて
 
ハルヒ「あ、あれは」
 
古泉「痛い!痛い!」
 
すばらしい日本の戦争「………」バシィッ!バシィッ!
 
古泉「やめてください!もう、血が!痛い!痛い!」
 
すばらしい日本の戦争「…………グスン」バシィッ!バシィッ!
 
古泉「痛い!痛い!…ぐえっ」
 
すばらしい日本の戦争「…………グス、ううっ…」バシィッ!バシィッ!ドカッ!ゴキン!
 
ハルヒ「豚がいじめられてるわ」
 
ハルヒ「ちょっとあなた、なんで豚をいじめているの?」
 
すばらしい日本の戦争「……グスン、いじめてるんじゃ…………ないんだ………」バシィッ!ボグゥッ!
 
ハルヒ「でもこんなにボロボロになるまで殴って、
いじめじゃなかったらなんなのよ」
 
すばらしい日本の戦争「…………罰を………与えてるんだ………」ガッ!ガッ!
古泉「ヒィン!痛い!」
 
ハルヒ「罰を?いったい何の罰?」
 
すばらしい日本の戦争「…………生きること………生きることは、罪だから……グスン…」バシィッ!バシィッ!
 
すばらしい日本の戦争「………しかも………
………豚に生まれるなんて………」バシィッ!バシィッ!バシィッ!バシィッ!
 
古泉「痛い……、ッ……」
 
ハルヒ「へーそうなんだー。確かに豚は薄汚いしね」
 
すばらしい日本の戦争「………ううっ………グスン……」ボグゥッ!ドガッ!ガギッ!
 
古泉「………痛い、よぉ……」
 
ハルヒ「ねぇ、私もてつだっていい?」
 
古泉「……!涼宮さん………」
 
すばらしい日本の戦争「………駄目だよ……、汚れちゃうから………グスン」バシィッ!ボグゥッ!
 
ハルヒ「ヘーキよ、ヘーキ!汚れなんて気にしないわ」
 
すばらしい日本の戦争「……で、でも……これは、僕の仕事だから………」ガギッ!ゲシッ!
 
すばらしい日本の戦争「………とられたら……困る………グスッ」バキン!ボグゥッ!
 
ハルヒ「しーらない」フアッ!
 
 
すばらしい日本の戦争「やめてくれわかってくれないと困る」ギロリ
 
 
ハルヒ「ッ!」
 
ハルヒ「……っ、そうだ!キョンを探さなきゃ!じゃあね!」
 
すばらしい日本の戦争「………ごめんよ、わかってもらわないと困るんだ……
………グスン」バシィッ!ボグゥ!
 
古泉「痛い…うぅぅぅ……」
 
ハルヒ「気持ち悪いなぁ………豚!」
 
ハルヒ「………………」てくてくてくて
 
ハルヒ「…やっぱり、あの豚もらえばよかった」てくてくてくて
 
キョン「あれに乗っていけば楽だったろうし、
いざとなったら食材にもなるしな」てくてくてくて
 
ハルヒ「ね。なんで私がいじめるのは駄目で
あいつがいじめるのは仕事だから、って許されるのよ!」
 
キョン「まぁ、そんなに怒るなって」
 
ハルヒ「そういえば、この道どこまで続くのかしら。
ずいぶん進んだのに、景色が全然変わらないわ」
 
キョン「仕方ないさ。
俺たちなんて、車の中でカラカラ回るネズミみたいなもんさ」
 
ハルヒ「…横にそれたらどうなるのかしら」
 
キョン「ん?」
 
ハルヒ「ほら、河原のあっち側はどうなってるのかしら?
あっちには赤い花は咲いてないし、気持ちも晴れると思うの!」
 
キョン「おいハルヒ」
 
ハルヒ「ねぇキョン、いきましょう!」
 
キョン「ハルヒ」
 
キョン「お前がなんと言おうと、俺はこっちの道を逝く」
 
ハルヒ「え?」
 
キョン「お前も見ただろう?
生きることとは、苦しみだ。
生きることとは、罪を重ねることだ。
生きることとは、無に帰ることだ。
無から生まれた俺たちは、いつか無に帰る。
現世には、なにも残らない。
 
泡沫のごとく生まれ、川の流れに従うように生き、泡沫のように消える。
ただそれだけのことだ。
それが、何度も、何度も、気が狂うようなほど、何度も繰り返される、それが生きることだ」
 
ハルヒ「キョン?」
 
キョン「俺は、この果てしない流れから、巡りめぐる輪の中から飛び出す。
そう決めたんだ。じゃあなハルヒ」
 
ハルヒ「いやだ、私はキョンと一緒にいきたい!
生きたいよ!」
 
キョン「…手を離してくれ」
 
ハルヒ「嫌よ!絶対に連れていく!来なさい!」ぐいっ!
 
キョン「……わかってくれ、ハルヒ」
 
ハルヒ「さぁ、さっさとこの川を渡りましょう!
きっと向こう側でみんな待ってるわ!」ザバザバザバッ
 
キョン「わかってくれ、頼む」ザバザバザバ
 
ハルヒ「団長命令よ!生きましょう!」ザバザバザバ
キョン「あぁ、ハルヒ」
 
 
 
すばらしい日本の戦争「わかってくれないとこまるんだ」
 
ハルヒ「!」びくっ
 
ハルヒ「あっ…」ずるっ
 
バシャン
 
キョン「じゃあな、ハルヒ」
 
ハルヒ「やだ……がぼっ……溺れっ………」ぶくぶくぶく
 
 
 
ハルヒ「キョン!」
 
 
 
みくる「あっ!」
 
長門「……意識が」
 
古泉「い、今先生を呼んできます!」
 
ハルヒ「……ここは、……私は、……キョンは?」
 
みくる「えっと……その……」
 
長門「ここは病院。あなたは学校の屋根から落ちてここに運ばれた。それが昨晩」
 
ハルヒ「あ……あぁ………、キョンは……?……私がちゃんと、受け止めて……」
 
みくる「…………」
 
長門「…………彼は」
 
みくる「涼宮さんの、下敷になって……」
 
ハルヒ「…………」
 
ハルヒ「………から」
 
みくる「え?」
 
ハルヒ「釈迦はイイ人だったから、キョンを生きる苦しみから救ってくれたのよ!」
 
長門「……!」
 
ハルヒ「そりゃそうよね!生きるのって苦しみでしかないもの!
生きていたって、しかたがないもの!」
 
みくる「す、涼宮さん!」
 
古泉「…先生、早く!」
 
医者「いったいどうしたんだ!意識が戻ったと聞いたが」
 
みくる「わからないんです、いきなり……」
 
ハルヒ「キョン、やっとわかったわ!
生きることは苦しみね、本当に!
だってせっかく生きているのに、あんたがいないんだもの!
私が生き残る代わりにあんたが死んだなんて、苦しみでしかないわ!」
 
長門「……落ち着いて」
 
医者「おい、患者が暴れだした!何人か連れてこい!
あとCTの準備を、速くしてくれ!」
 
ハルヒ「あぁ、キョン、私死ねない!
私あんたのせいで、私死ねなくなったじゃない!
あんたの罪を背負って生きなきゃならないじゃない!
苦しんで、後悔しながら生き続けなけりゃいけないじゃないのよぉ!」
 
古泉「涼宮さんっ!いったいどうしたんです!」
 
長門「………うっ」
 
みくる「ど、どうしたんですかぁ?」
 
長門「………今、涼宮ハルヒは異常な電波情報を受信している」
 
古泉「どこからです!?」
 
みくる「異常って……どんな………?」
 
長門「……………死」
 
長門「…………死体、……………おびただしい量の、…………死体のイメージ…………」
 
古泉「……え?」
 
みくる「どういう…?」
 
長門「………………電波は、学校、屋上から出ている………」カクン
 
古泉「なっ、長門さん!」
 
長門「……首から下を横取りされた胎児は自分達の体が鍋でとろけてゆく様を棚の上に
一列に並んでみているけれど寂しくないのはそこには兄弟もたくさんいたからだって人
類は皆兄弟そりゃ背骨だけでも逆に背骨がなくったってみんな仲間さ死んじまえばみん
な同じ鍋の中でじっくりじっくりじっくりじわじわ窓の外から恨めしそうに髪の毛たち
が見ているだって体は土だらけで洗ってもらってないし虫食いだらけだから鍋には入れ
ないんだかわいそうにかわいそうに石灰のせいで体がボロ雑巾のようだね」ガタガタガタガタ
 
みくる「ひぃ!」
 
医者「おい、その子は大丈夫か!?」
 
古泉「くっ……あのアンテナか…」
 
古泉「……もしもし新川さん、緊急です!
北高校の屋上にあるアンテナを通信不能に、………破壊してください!
……えぇ、全部で構いません!一刻も早くお願いします!」
 
みくる「だ、大丈夫なんですかぁ?」
 
古泉「……他に手はないでしょう」
 
長門「……この期に及んでもニヤニヤと僕を笑うので眼窩をステアするとエスカルゴみた
いに出てくる出てくるさっき押し込んだ眼球とそのとき砕けた骨と大脳新皮質人差し指で
くるくるかきまぜてみるよきっと植物がよく育つ」
 
 
森『古泉!今北高校に到着した!すぐに対象の破壊に移るわ!』
 
古泉「ありがとうございます!」
 
森『……発破で構わないわよね』
 
古泉「お任せします」
 
みくる「ば、爆弾ですか?」
 
森『設置作業終わり、起爆する!』
 
森『3!』
 
森『2!』
 
森『1!』
 
森『発破!』
 
『ボコン』
 
 
ハルヒ「きゃうんっ!」びくんっ
 
古泉「え?」
 
長門「かはっ…」びくんっ
 
みくる「ひゃっ!」
 
医者「心拍数低下!やばいぞ!おい!」
 
看護師「なんでこんなにいきなり……!」
 
古泉「………なんてことに……」
 
森『…古泉!どうしたの!答えなさい!古泉!』
 
 
 
すばらしい日本の戦争「………ぐすん…………ぐすん……」バキッ!バシィッ!
 
ハルヒ「痛いぃぃぃッ……」
 
すばらしい日本の戦争「……うぅっ……ぐすん」ボグォ!バキッ!
 
ハルヒ「……もぉ……やめて………」
 
すばらしい日本の戦争「………言ったじゃないか……
い、生きることは………罪だって……」バシィッ!バシィッ!
 
ハルヒ「……私…もぅ………死んだじゃないの………」
 
すばらしい日本の戦争「生きることは死ぬこと死ぬことは生きることどちらもかわらない
どちらも罪なんだわかれわかってもらえないと困る」バキッ!バキッ!ゴキッ!グシャ!
グシャ!グチャ!グチャ!グチャ!
 
ハルヒ「痛い痛いいたぁぁいぃぃぃっ!本当に痛いのぉぉぉぉ!」
 
すばらしい日本の戦争「……ううっ…………うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!
あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」バキッ!ガンッ!ガンッガンガンガンガンガンガンガンガン!
 
ハルヒ「…………にぇぼぉっ……ぅ……ぁあ…ぁあ」
 
すばらしい日本の戦争「あぁぁぁ!
何故、何故こんなにも悲しくならなければならないのだろうかぁ!!
誰も彼も、ほんの一秒でも長く生きようと思えばそれだけ罪も増える!
それを嘆いて身を投げてもまたそれは罪!断罪されて然るべき!」ガンガンガンガンガン
ガンボグッガンガンガンガンッ!
 
すばらしい日本の戦争「ああぁぁぁぁ悲しいのは何故かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………あ?」スカッ スカッ
 
すばらしい日本の戦争「…………………?」
 
すばらしい日本の戦争「………グスッ……またあいつ………こ、子どもに………甘い……」
 
 
 
ハルヒ「………痛く、ない?助かった?」
 
ハルヒ「背負われてる……キョン……?じゃないわね、あなた、誰?
助けてくれて、ありがとう」
 
地蔵「なあたは、本来ここに来るべきではなかった」
 
ハルヒ「えっ?」
 
地蔵「あなたには道が二つある」
 
ハルヒ「…………」
 
地蔵「このまま、数多なる魂の流の中に戻り、浄化を待つか」
 
地蔵「現世にて、彼の人を弔い、悼み、生きるか」
 
ハルヒ「……………どういうこと?」
 
地蔵「あなたにはチャンスが与えられた。
時々人はそれを試練だとか言うがね」
 
ハルヒ「………私に……どうして?」
 
地蔵「あなたは、特別なのだよ。きっと、たくさんの人に愛されている」
 
ハルヒ「……………わからない」
 
地蔵「選びなさい」
 
ハルヒ「…わからないわ!
生きるのも辛い、死ぬのも苦しい、
いったい、どうすればいいのよ!………ううっ……」
 
地蔵「選びなさい」
 
ハルヒ「……………うぅ……ひぐっ……」
 
地蔵「皆を救いたい」
 
ハルヒ「……?」
 
地蔵「それが、お釈迦様の願い
でも、浮き世でそれは叶わない。
生きることは、罪であり、苦しみに満ちているから」
 
ハルヒ「…………グスッ」
 
地蔵「…でも、あなたは知っているはず。
生きることは、決して苦しみだけではない、と。
いつか消えてしまう儚いものだからこそ、愛しく感じることを」
 
ハルヒ「………!」
 
地蔵「人間は醜く、不格好。器用で不器用な存在。
でも、それが全てではない。時々、まばゆいほどに美しい」
 
地蔵「それは、いつか死んでしまう存在だから。
生きているから」
 
ハルヒ「あぁ……あぁ…!」
 
地蔵「さぁ、選びなさい。
ゴールは同じだとしても、ひとつとして同じ道程などないのだよ」
 
ハルヒ「…………私は……私は……!」
 
ハルヒ「……生きていたい」
 
ハルヒ「何度でも、生まれ変わりたい!」
 
ハルヒ「生きることが辛くても……きっと……愛する人のことを思えば……!」
 
ハルヒ「地蔵「そうかい、では頑張って生きるがいいだろう」」
 
ハルヒ「ハルヒ「えぇ、ありがとう!本当に、ありがとう」」
 
古泉「……あれからずっとこの調子ですか」
 
みくる「……いったい、どうして…………ぐすっ」
 
古泉「……彼を…」
 
古泉「……鍵をなくしてしまったら、もう、どうにもならないんでしょうか」
 
みくる「……………(この期に及んでうまいことを言おうと)………」
 
ハルヒ「ハルヒ「あ、キョン!…ようやく巡り会えたわね……、
私、もう一度あなんに会ったら言おうと思ってたことがあったの………」」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
すばらしい日本の戦争「………………おわり………グスッ、
………おわりは………繰り返すこと………」
 

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最終更新:2021年09月26日 01:12