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このSSはニコニコ動画のボーカロイドオリジナル曲「この想い伝えたくて~ココロノ花ビラ~」を勝手にハルヒSS化したものです。
そういうのが嫌いな方やニコニコ動画が嫌いな方は無理して読まないでいいです

 


「思ったんだけど、涼宮さんてキョン君のこと好きなんじゃないかと思うんだけど」
「「…はっ?」」
いつもの日常の何気ない休み時間。唐突な坂中の発言に、俺とハルヒの声がはもる。
「そっそんなわk」
「いきなりなにを言い出すんだ坂中、そんなわけないだろ」
何か言おうとしたハルヒの声を遮りつつ、坂中の発言を否定する。
「実際に涼宮さんに聞いてみたらいいのね」
まぁ、論より証拠ってことか。
「ハルヒ、どうなんだ?」
「えっ?あっ…」
なぜそこで言葉につまる。だいたい坂中、なにをそんなにニヤニヤしてるんだ。
「どうなんだよ」
「っ…すっ好きなわけないじゃない!」
「あんたなんか、だいっきらいよ!」
 
 
桜舞う、ある春の日の出来事だった。
 
 
 
この想い伝えたくて
 
「はぁ…なんであんなこと言っちゃったのかしら」
昨日はついパニクってキョンにだいっきらいだなんて言ってしまった。
当然嫌いなわけがない、むしろその逆だ。
しかしあんなことを言ってしまっては、前からなかなか出来なかった告白が余計にしづらくなってしまった。
学校行きたくないな、会ったら間違いなく気まずいじゃない。
「なんであんな馬鹿なことしたのかしらあたし…はぁ」
憂鬱な気分で歩いていたら、後ろから名前を呼ばれた。
「おーいハルヒー」
誰よ朝っぱらからあたしを呼び捨てにするのは…そういえばあたしをハルヒって呼ぶのは学校じゃキョンだけね。
まさか…。
 
振り返ったら、キョンがこちらに走ってきた。
「よっ、珍しいな。朝からハルヒにあうなんて」
…史上最悪についてないわ。よりにもよってキョンに会うなんて。
「いくら俺でもそこまで言われたらへこむぞ、まじで」
「っへ?」
「確かに嫌いな奴に朝っぱらからあったらついてないだろうけどな」
声に出ていたらしい、またやっちゃった…。
そういえばキョンはなんで話しかけてくれたんだろう。今の発言からして昨日のことを忘れた訳じゃないだろうし。
「なんで話しかけてきたのよ」
…なんであたしはこう素っ気ない言い方しか出来ないのかしら。
嬉しいのに…昨日あんなこと言われたのに話しかけてくれたキョンにもう心臓がドキドキ言ってる。聞かれてないか心配だわ。
 
「いや、なんとなく。
朝っぱらからハルヒを見るなんてなかなかないからな。
悪かったよ、んじゃ先行くぞ」
「あっ…」
行ってしまった…もっといろいろ話したかったな。あのこともちゃんと誤解を解いて謝りたかった。
あたしってなんでこう意気地なしなのかしら、自分にイライラするわ。
それでもキョンの前では素直になれず、憎まれ口ばかり叩いてしまう。
いざ素直になって、拒絶されたらと思うと、怖くて出来なくなってしまう。
大嫌いと言われた人にまで声をかける、そんな優しいキョンのことだからそんなことはないんだろうけど、やっぱり怖い。
 
教室に入ると、キョンはもう自分の席に座っていた。
「よっ、さっきぶり」
「………」
律儀に挨拶してくれるキョンに何も言えないまま、あたしは自分の席に座り机に顔を伏せた。
どうやって誤解を解こうかしら、なんかどんどん泥沼にはまってる気分だわ。
「おーいハルヒー」
キョンがまだ声をかけてきてくれるけど、やっぱりあたしは返事を出来ず、ただ机に突っ伏し続ける。
「…寝ちまったか。あーあ、好きとまではいかずとも嫌われてはいないと思ってたんだがな」
キョンが椅子を動かし前を向く音がする。
違うのよキョン、あたしはあんたのことが好き。
頭の中で言うのはこんなに簡単なのに、なぜ口で言えないのだろうか。
そんなことを考えているうちに、夜寝れず寝不足のあたしの意識は闇におちた。
 
「…がさ…だよ…」
キョンが誰かと会話をしている声で目が覚める。
「キョンなんか今日眠そうだよな」
「最近深夜のドラマを見てるんだよ。これがなかなか面白いんだ」
谷口と国木田と話してるとこから考えて、今は昼休みかしら。
それにしてもキョン、深夜ドラマなんか見るんだ。
なんとなく顔をあげることが出来ず、三人の会話を盗み聞きする。
「へぇー、どんな話なんだい?」
「至って単純なラブストーリーだ」
「なんだよそれ、面白いのかよ」
「ラブストーリーはいちいちひねりを入れるより王道のが面白いんだよ」
へぇー…キョンってラブストーリーとかが好きなんだ、意外ね。
それにしてもどうしようかしら、早く起きて学食いかなきゃいけないのに起きるタイミングが掴めないわ。
どうしようか悩んでいるとあたしの方に誰かが歩いてくる音がした。
「おいハルヒ、起きろ」
きょっキョン!?どっどうしようかしら。
「なによ…」
「もう昼休みだ、早く起きないと飯食いっぱぐれるぞ」
「はぁっ!?さっさと起こしなさいよ!」
よし、いつも通り出来たと思う。いつもより素直になれたらいいんだけど、さすがにこれが精一杯。
「そういうと思ってな。ほら、パン買っといてやったぞ」
「っへ?」
あたしの机にサンドイッチが置かれる。
…キョンの優しさに涙がこぼれそうになった。
 
「………」
「ん?どうした?まさかたまごサンドはお気に召さなかったか?」
「…ありがと」
小さい声だけど、言えた。
それだけ言ってサンドイッチの封を開け食べ始める。
キョンが買ってくれたと思うと、いつもよりずっとおいしく感じられた。
「…おう」
キョンは少し驚いた顔していたけど、優しい声でそれだけ言って自分の食事に戻っていった。
本当はもっといろいろ話したいし、謝りたいけど、今はこれでいいんだと。不思議とそう思えた。
 
学校も終わり家に帰ってきて時間はもう深夜2時。
なんでこんな時間まで起きていたのかと言うと、キョンが話していた深夜ドラマが気になったからだ。
月~金で2時からやってる情報を得たから、見てみることにした。
「あのキョンが面白いだなんて言うドラマ…どんな話なのかしら」
あたしはおもむろにテレビの電源をつけた。
 
 
 
 
結果は散々だった。
話は単調どころかグダグダ、明らかに視聴者に媚びた登場人物達。
S~Gでランク付けするなら文句なしでGだった。
 
ただ、ヒロインの女の子をみていて、不思議と共感した。
好きな人に素直になりたい、なのになれずに頭の内で葛藤してる。まるで自分をみてる気分だった。
 
キョンはどんな気持ちでこのドラマをみていたんだろう。
 
次の日、昨日よりはましな気分で学校に登校した。
しかし今日こそは誤解を解こう、そう意気込んできたはいいけどどう切り出したらいいかがわからない。
昨日は通学途中であったのに今日は会わないし。
教室につくとまだキョンは来てなかった…早くこないかしら。
 
「よーっす」
机に突っ伏してたらキョンが来た…けどいざこうなるとまたどのタイミングで起きあがったらいいかがわからない。
どうしようか迷ってると、キョンはクラスの女子と会話を始めた、あたしの心臓がどくんとなる。
「キョン君て誰とも付き合ってないの?」
「ああ、残念ながらな」
「ふーん…キョン君て持てそうなのにね」
「そうか?」
…いやだ。女子とはなしてるだけでも嫌なのに、会話の内容が恋バナだなんて。
 
「だったらさー…あたしt」
バンっ!
我慢出来ずに机を叩いて起き上がってしまう。
みなが唖然としてみてるなか、割と冷静にキョンが話しかけてきた。
「よお、ハルヒ。嫌な夢でもみたか?」
「…いやよ」
「ん?」
「キョン!ちょっとついてきなさい!」
とにかくキョンをクラスの女子から引き離したくて無理やり連れ出す。クラスのみんなは依然唖然とした表情でこちらをみていた。
 
 
「おい、おいハルヒ。どこにいくんだよ」
「いいからついてきなさい!」
当然勢いでやったことだから行き先なんてなかった。
どうせだから誤解を解こう、そう思ってあたしはキョンを中庭まで連れて行った。
 
「ふぅ、どこにいくのかと思ったら中庭か。
んで、いきなりどうしたんだハルヒ」
桜が散り始めた4月中旬、中庭は桜の花びらが舞ってロマンチックな空気を作り出していた。
「えーと…」
連れてきたはいいけど、やはり切り出せない。
どうしたらいいのだろう。どうしても、自分のなかの臆病が顔をだして邪魔をする。
あたしが何も言えずうつむいていると、キョンがポツリと独り言のように呟いた。
「まるで昨日のドラマのワンシーンみたいだな」
そう言われて思い出した。
昨日の深夜ドラマでも、主人公に酷いことを言ってしまったヒロインが、桜の木の下まで連れ出した。
そのときなかなか話が切り出せなくてヒロインは…そう、こう心の中で呟いたんだわ。
「お願い…あたしに少しの勇気を」
 
(お願い…今だけ、あたしに勇気をください)
風があたしの髪を撫でたとき、そう心の中で呟き顔をあげた。
「ん?やっと言う気になったか?」
髪を風に靡かせて、優しげに微笑むキョンは、いつもより少し幻想的で…あたしの胸は高鳴った。
今なら…言える気がする。
「キョン…一昨日のことだけど」
「一昨日?」
「あたし…あんたのこと嫌いじゃないから!」
「…そうなのか?」
「いっいい?一度だけしか言わないわよ?」
「…ああ」
 
 
 
 
 
 
 
「あんたのことが、大好き!」
 
 
 
 
fin
 

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