私はいつだって面白いものを探してきた。
小学校の時、自分がいかにちっぽけな存在かという事に気付いてから。
中学生になって、色々なことをしたけど面白いものは私の元には現れなかった。
高校。この時が一番楽しかった。私が望んだ面白いものは確かに無かった。
でも、27年間今まで生きてきて一番楽しかった。
北校を卒業して、皆とはバラバラに別れた。連絡はもう取り合っていない。
そして私は適当な大学に入って、適当に過ごして、適当な会社に入社した。
今でもそこで汗水垂らして働いてる。どっちかというと心の汗だけど。
「・・・」
今PCで明日の会議の書類を作成している。
オフィスではまだまだたくさんの人が働いている。
そろそろ終業時間だ。もう、帰ろうかなと書類作成も終わっていないのに有り得ない考えを巡らしていた。
「いいや、もう」
独り言を自分でも聞こえないくらいの音量で呟いて、帰宅の準備に取り掛かる。
明日の朝早く出勤して作成に取り掛かろう。あとちょっとだし。
「お疲れ様でした」誰にも聞こえない声で言う。だって誰も聞いてないもの。


オフィスから出た私は何故かすぐには帰ろうとする気にはならなかった。自分の事ながら意味が分からないわ。
コンビニでビールを一本買って、私は近くの少し位置が高めにある公園へ向かった。
公園に着くと丁度時間はオフィスを出てから30分ほど経っていた。
そこのベンチに座ってビールを開け、ぐいっと飲む。疲れた体に栄養が一気に駆け巡る感覚を覚える。
「ふう・・・」酒臭い息を漏らし、ふと顔を上げる。
そこには今まで気にも止めた事が無い、夕焼けが、綺麗なオレンジ色を描いていた。
私はその、優雅で少しノスタルジーを覚える太陽を見つめていた。
「綺麗ね・・・」
心がさぁっと白く洗浄されていくような不思議な気持ちになれた。
「よぉっし!」私は携帯を鞄から引っ張り出して、懐かしい電話番号にコールした。


「キョン? 次の休みはSOS団全員で飲みに行くわよ! 拒否権は無いんだからね!」
私、まだ頑張っていける。そう思い込みでもなく、自然とそう感じられた。


 終わり

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最終更新:2009年07月05日 03:45