「立場(沼男)」は長編です。

 

時系列的には、連作短編【立場(理解)】の続きとなっています。

連作短編・立場を合わせて見てくださると、わかりやすくなると思います。

プロローグ


 「自分は何者だろうか」と考えたことはあるだろうか。

 

こういう事をくどくど考えるのが俗に中二病患者と言うことらしいが、病気と言うよりは、誰でも通る道に過ぎないと俺は思う。


「神」様とやらでさえそうなのだから、至って普通人を自称する俺だって考えたことぐらいはあり、ごちゃごちゃ考えた結論凡庸たる俺は凡庸に過ごすのが一番だという結論に至った…はずだったが、偽神様パワーをもろに受けて世界を守らざるを得なくなってからというもの、またまたそのような哲学的考察をせざるを 得なくなった訳だ。別に嫌ではないけどな。

「さあ、今日もこの世の不思議をさがすわよ!」

 さて、今の状況を説明しよう。俺は恒例のSOS団不思議探索の為、SOS団一同普段の喫茶店にいる。

春の暖かさのおかげで寝過ぎて集合時刻にかなり遅れた事以外、変わったことはない。しかし春眠暁を覚えずとはよく言ったものだ。

 騒がしい店内で一番騒がしいSOS団団長様はきょうもにこやかだ。

「今日の課題は、こんなんでどう?」

おい、無茶苦茶だ。

「実によろしいかと」

古泉さすがになにかつっこんでくれ。何ゆえあのくじが復活しているのだ。

そういえば、ハルヒは世の中で自分が至って普通な事を悩んでたんだっけな。
自分が特別な何かになりたいと必死に願ってたんだよな。現に特別な何かで、俺はこうして振り回されているわけだが。 

「……」

それを考えれば、長門は自分が特別な何かであることに悩んでたんだよな。
それで自分が普通の人間になりたいと必死に願ってたんだよな。だが、「神」の目から見れば無口キャラの「普通の」人間で、それ以前にSOS団の大切な仲間だ。

「ちょっと、キョン、聞いてる?」

ああ、聞いていますとも。くじを引けば良いんだろ?

「あんた、やる気ある?そんなんじゃ、この世の不思議が逃げ出すわよ」

この世で一番の不思議がそれを言うのはおかしくないか。

「なんか言った?」

やれやれ。せめて周りを振り回してくれるなよ。
(私の…名前…は?)

気のせいか、この長門にほんの少しの違和感を感じた。

 

そう、このときだった。 俺の記憶が壊れていなければ。

そして、その時は全く気にしなかった。その時は。

 



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