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 宇宙暦2003年、SOS帝国暦一年、十一月二十九日、十四時三十分。
SOS団員およびSOS帝国軍首脳部は総旗艦ブリュンヒルトの会議室に顔をそろえた。戦闘は開始されていなかったが、星系内に布陣した無数の無人偵察艇により敵艦隊の大まかな位置は判明しており、事前に散布した宇宙機雷による妨害も成功している。まずはSOS帝国に有利な状況が作られているように見えていた。
しかし、敵艦隊による電子妨害は刻々と強化されていて、偵察艇も発見され次第破壊されており、状況が不利に傾かないうちに戦端を開くことが好ましく思われたが、それに先立って新人類連邦軍時代からの恒例になっている戦前スピーチが行われることとなった。部下達に無茶な作戦を理解してもらう目的で始まった戦前スピーチだが、最近ではキョンに言わせると誇大妄想的とんでも演説を聞かせることで、全軍の士気を無理やりにでも高揚させることが目的となっていた。兵士達の中にも崇拝する英雄をモニター越しに見て、言葉を拝聴するだけで、感動のあまり泣き出す者が続出する有様だったので、ハルヒも演説のやりがいがあるというものだった。
「本日、天気晴朗なれども波高し。皇国の興廃この一戦にあり。この戦いは始まりに過ぎないの。あらゆる邪魔者を蹴散らして、SOS帝国の名を宇宙の果てまで轟かせるわよ!」
演説は古代の戦場で発せられた文言を引用して始まった。絶対零度の宇宙では天気など関係ないし、目に見える波など存在しなかったが、疑問を呈する者など誰もいなかった。
戦艦の砲列のごとく並べられたマイクとカメラを通して、ウィンダーズ星系だけでなく全銀河に向けて仲間を激励する皇帝の雄姿が発信された。士官学校時代から続くハルヒ常勝神話の最新版のプロローグがこの場で作られていた。エピローグをもっての完成もそう遠くない未来に達成されるはずである。口角泡を伴いながらひとしきり熱弁を振るうと、キョンの脳内比較で興奮状態からやや真面目へと表情を改めた。
「昔の人は言いました、個人の自由と権利に比べれば、国家の存亡などたいした価値のあるものじゃない、と。まったくもってその通りよ。不思議探索をして楽しむ自由を取り上げて、自らの存続を優先させる国家なんて存在するに値しない。だから……だからこそね、あたしは個人の自由と権利を行使してこの戦場に立ってくれた全ての人に感謝する。あたしの我がままに付き合ってくれてありがとう。皆の熱い思いは絶対に無駄にはしない。必ずや期待に応えてみせるわ。この戦いの相手は頭の中が年中満開のお花畑になってる教皇率いるコンピケン連合よ。向かうところ敵なし、常勝不敗のあたしが指揮をするんだから勝って当然の戦いとはいえ、手抜きは絶対に禁止。各員の最上の努力を期待するわよ。以上!」
「ジーク・カイザーハルヒ!」
「ああ、我らが勝利の女神よ!」
「SOS帝国万歳!」
「くたばれコンピケン!」
ハルヒが演説を終えると、ウィンダーズ星系に展開するSOS帝国宇宙軍の全ての艦艇で、無秩序な賞賛の嵐と、意味を成さない絶叫が吹き荒れた。聴衆の理性はどこかへ吹き飛び、狂熱の怒涛が彼らの身体を押し上げ、奥歯までむき出しにして英雄を称えた。彼らは英雄に酔いしれ、甘美なひと時を思う存分味わった。
この手の狂想曲を好まないキョンは、あからさまにハルヒ熱にかかることはなかったが、かといって調和を乱す発言をして場に水を差すようなことはしなかった。その代わりに彼はこれまた恒例になっているぼやきを、わざわざマイクが拾うように発しただけだった。歴史に残ることとなったこのぼやきを、彼は一生後悔することになる。
「この自信の原材料は何なのだろう。二ミリグラムでいいから俺にも分けて欲しいね」
兵士達との精神の共鳴を妨げる不埒者が後背にいることを知ったハルヒは、軽く眉をしかめて振り向いた。何事かを言おうとして思いとどまり、すぐにとっておきの悪戯をひらめいたおてんば少女の微笑でキョンに近づいた。カメラは英雄の後を追う。
「そう?ちょっぴり注入してあげようか?」
返答は必要とされていなかった。ハルヒはさらに顔を接近させ、そのまま動揺しているキョンと唇を重ねた。列席者は突然のことに唖然とし、会議室は宇宙空間と同じ無音の世界と化した。唯一、カメラとマイクだけは職務を放棄することなく、会議室内の出来事を淡々と配信し続ける。濃厚なキスシーンは見る者に稀代の英雄も血の通った人間であることを思い出させた。
一瞬の空白の後、全艦隊を怒涛の喝采とそれと同数の冷やかしが満たした。会議室でも列席者達がそれぞれの方法で二人を祝福する。ようやく唇を離したハルヒは、全軍の男どもを魅了する勝ち誇った笑顔を作り、ただ一人の男に向けた。
「どう、少しは効いたでしょう?エネルギーを送ってあげたから、身体がポカポカしてくるとか、発汗作用が促進されるとか、そんなのを感じたでしょ?」
「知らん。うるさい。黙れ。俺に近づくな」
全銀河のさらし者にされた男は、顔を真っ赤にして適温に保たれているはずの艦内で汗をかきながらそっぽを向いた。その滑稽さが新たな笑いをを誘い、彼の傷口を広げ、塩を塗りこむ。
「あーあ、見ちゃいられねえな」
英雄とその腹心による夫婦漫才が繰り広げられるのを横目で見ながら、SOS団の腐れ縁と称されるタニグチがわざとらしくため息をついた。キョンの士官学校時代からの友人だった彼は、SOS帝国の理念に共感したのか、単に昔のよしみなのか、いつの間にか帝国に参加していたのだ。SOS団員のような華々しい戦歴や光る才能はなく、どこか抜けているところもあるが、それゆえに周囲や部下からは好かれるタイプなのかもしれない。
「最近のバカップルは恥って言葉を忘れちまったのかねえ。しかも、あいつらが俺達の皇帝様だっていうんだから。新人類連邦の爺どもはお先真っ暗だと感じていたから飛び出したが、こりゃ付いて行く相手を間違えたかもしれんな。どうだ、クニキダ。一緒にあてもなく銀河を行く流浪の旅にでも出ないか?」
「タニグチ、僕にはキョンとスズミヤさんの仲がむつまじいことに嫉妬しているようにしか見えないよ。SOS帝国の撃墜王の名が泣くとは思わないのかい?たとえ自称であってもそれなりの誇りはあるだろうに」
「んなっ!?」
こちらは堅実な用兵と温和な性格で部下から慕われているクニキダが、友人のナンパ癖をやけに黒く笑って見せた。普段は穏やかで優しい彼がタニグチと組むと黒い性格に一変すのは、キョンなどに言わせてみれば、
「無害な化学物質でも、有害なのと化合させると、やはり有害になることが多いだろう。あいつらはそういった類さ」
ということになる。
「おいおい、あんな年中発情しているウサギみたいなやつらに誰が嫉妬するか。俺はこう見えても所かまわずイチャイチャ馬鹿騒ぎをするよりは、礼節を守った真面目な恋愛の方を好んでいるんだぜ。ナンパこそするが、それからの付き合いは実にまっとうで清く正しいものなんだぞ。無駄に禁欲的だと噂のコンピケンの神様が降臨しても、文句の言いようがないような付き合いだと自負しているくらいだ」
「と、ご高説のわりには、首都星を進発する時、君の見送りで宇宙港へ来たのはご家族だけだった気がするけど。ちゃんとした理由があるなら別だけど、死地へ行く恋人を見送らないことをまっとうだと考えている女性とは、悪いけど別れた方が君のためだよ」
クニキダの毒舌は戦闘直前で精神が高揚しているのか絶好調大回転中であり、長年攻撃にさらされ続けているタニグチも思わず鼻白んだ。タニグチは恋愛方面に関しては歴戦の勇者ではあるが、ここまで毒舌の生贄にされるのには理由があった。連敗を重ねても歴戦は歴戦だからだ。目下のところ連敗記録を更新中である。
「俺、戦争が終わったら故郷に帰ってナンパするんだぜ……いやいや、知ってるか?俺の副官、結構美人なんだが、どうも俺に気があるらしいんだ。うまくいけばこの戦いが終わった頃には…」
うわごとのようにつぶやくタニグチを友人の手が静止した。
「タニグチ、それ以上言うと死亡フラグになりかねないよ。同じ艦隊に所属する身としては、その手の妄言は出来れば副艦隊の指揮権を誰かにゆだねてから言って欲しいな。そうすれば皆に降りかかる被害がまだしも少ない」
「……このところ悪意の表現に磨きがかかったのと違うか、クニキダさん」
「いやいや、もてない男の嫉妬にすぎないよ。気にしないでください、タニグチさん」
とどめを刺されたタニグチは机に突っ伏した。クニキダがさる女性士官と恋愛中であることを思い出したからである。どちらがもてて、どちらがもてていないかは明白であった。こちらの毒舌戦争も、夫婦漫才を中継しているものとは別のカメラによって撮られ、将兵の腹筋を大いに刺激していた。
これから続く英雄の我がままを実現させるための戦争により、彼らの内の少なからぬ人数が二度と笑うことが出来なくなる。だが、それは彼らが平和な時代を!と叫ぶ少女に心を奪われ、その少女と共に戦場に立つことを自ら望んだ結果であった。少女が戦場に立たなくなるか敗北を重ねない限り彼らの夢は覚めないだろう。救いがたいことに、大多数は自分だけは死ぬことはないとも思い込んでいた。少女がまとう伝説がそう思わせるのだ。対戦国を含む他の国々の将兵との違いをあげるなら以上の点であり、これがSOS帝国の強みにも弱みにもなる部分だった。





「全軍前進!」
十六時00分。
皇帝の号令の元にSOS帝国宇宙軍は動き出した。後世の歴史家もこの時間が、十一月の末に行われたことから射手座の会戦と名づけられたこの戦いの開始時間だとの見解で一致している。
ナガトの第三艦隊を先鋒に、右翼後方にキョンの第四艦隊、左翼後方にコイズミの第二艦隊を配置した、矢じりにも似た魚鱗陣形で前進。全方向からの敵襲に備えて密集しているコンピケン連合艦隊群と交戦して、五対三と劣勢であることを見せ付けて後退、敵艦隊が追いすがって来たところを、魚鱗陣形の後方を進んでいたハルヒの第一艦隊が突撃を敢行して敵艦隊の密集部を中央突破する。突破後、第一艦隊は反転して第二、第三、第四艦隊と連携して敵を包囲しつつ、隙を狙っては中央突破を繰り返す。これが当初の作戦であった。ミクルの補給艦隊はさらに後方の安全地帯とされた宙域で全艦隊への補給を統括している。
練度面での不安は拭うことが出来なかったものの、最優先目標に教皇の捕縛または殺害を置くことで、心理的動揺による速やかな戦闘の終結を目論んでいた。SOS帝国において皇帝の死が国の滅亡に直結しているように、結束力に難のあるコンピケン連合も教皇の死が兵士の反乱や逃亡に直結していた。また、戦闘が長引けばそれに比して損害が増し、余剰戦力に乏しい上に周囲を敵対国に囲まれているSOS帝国が不利になる、という恐れもあった。
十七時十五分。
ナガト艦隊所属の索敵艇が惑星ウィンダーズへ向けて進撃する敵艦隊群を発見した。三十分後に最大戦速で突進してきた帝国の三個艦隊が奇襲に近い形でコンピケン艦隊に、この戦いにおいて始めてとなる砲火を浴びせた。
「撃て」
「撃てぇっ!」
片や絶対零度の、片や闘志は盛んだが生気は薄い指令の叫びが飛んだ。数万の光の矢が虚無の暗闇を直進して、敵艦を引き裂こうとする。矢に喰らいつかれた艦艇は光芒を炸裂させて、乗員の命を宇宙に咲く白いエネルギーの華に変えた。
第一撃の応酬はSOS帝国軍が機会を最大限に生かそうと苛烈だったのに対して、反撃体勢の整っていなかったコンピケン連合軍は教皇の指令にもかかわらず散発的だった。それでも十八時○五分頃には数の差にものを言わせた反撃が激しくなり、それを察知した帝国軍は後退を始めた。
「敵は鶴翼陣形のまま前進して我々を包み込もうとしています。どうやら第一段階は成功のようですね」
キョン艦隊の旗艦ヒューベリオンの通信スクリーンに現れたコイズミの表情には、安堵の色が濃く出ていた。コンピケン艦隊を射程圏外まで引き離していて戦闘は行われておらず、まずは一息ついた状況だった。
「次はハルヒお得意の突撃の出番か。作戦が順調なのは喜ぶべきことだが、俺は少々嫌な感じがするな」
「何故です?」
「一つ目は敵の電子妨害が強すぎる。戦闘が始まってただでさえ索敵が困難になっているのに、これだと向こうだって攻撃する際に支障が出るくらいだ。二つ目は敵のDとE艦隊の位置が約十分前から確認できなくなっている。ナガトの報告だと、こいつらはあのブ・イン兄弟が指揮している艦隊だろ。敵にとっては主戦力だ。電子妨害はD、E艦隊の姿を隠しているようで、どうも怪しくないか?」
「なるほど。では、スズミヤさんに進言を?」
「いや、まだ様子を…」
「右翼方向より未確認艦隊が急速接近中!」
二人の秘匿回線を通じての会話は幕僚の一人があげた叫びによって遮られた。この宙域で連絡の取れていない味方艦隊はいない。単純な計算により、未確認艦隊は敵の艦隊を意味していた。司令室を驚愕と緊張が貫いた。
「くそっ、迎撃準備を。敵の増援艦隊か!?」
「待ってください。艦影照合を行います」
作業は間に合わなかった。艦隊の右翼に位置していたタニグチ分艦隊が側面を敵の遠距離射撃にさらされた。瞬く間に戦闘スクリーンが味方艦の爆発で埋まる。
「やられた。タニグチへ連絡!タニグチ分艦隊は最大戦速で反時計回りに艦隊の後方へ逃げろ。演習の時みたいに敵前回頭して滅多打ちにされるなよ。本隊とクニキダ分艦隊は右舷九十度回頭、陣形を再編したらタニグチ艦隊が退きしだい全力射撃だ」
指令が矢継ぎ早に飛び、艦隊は猛訓練の成果を発揮して迅速に行動した。タニグチ艦隊は本隊とクニキダ分艦隊が反撃準備を整えている間に敵の攻撃を一身に引き受けたが、逃げることと敵の攻撃を回避することに集中したので最小限の被害ですんだ。
ただ、不幸な例外として分艦隊旗艦ユリシーズに中性子ビーム砲が命中して“軽微だが深刻な”被害が発生した。
「損害は!?」
艦長のニルソン中佐が被弾の衝撃で転倒したタニグチに手を貸しながら怒鳴った。ユリシーズは元々標準型戦艦であったが、おりからの艦艇不足により通信機器などを増設して分艦隊旗艦として改修された。なので艦の指揮を執る艦橋と、艦隊の指揮を執る司令室が同じ部屋にされるという弊害も出ていた。
「軽傷者が三名いますが、死者はいません。ただ……」
「どうした。早く報告せんか!」
「ただ、排水処理システムを破壊されました。トイレから汚水が逆流しています!」
報告が終わると同時に、指揮室専用トイレの扉が負担に耐え切れずに開き、中から汚水が形容しがたい臭いを放ちながら流れ出てきた。その場にいた全員が息を飲み、そのまま吐き出せなくなった。
「WAWAWA忘れ物~」
「提督!タニグチ提督!お気を確かに!」
多くの者は無駄な抵抗をあきらめて、足と嗅覚を汚水に侵されながら生き残るために戦闘を続けるはめになった。生還すれば笑い話になるに違いないが、このまま死におもむくとすれば悲惨で不名誉なかぎりだった。しかし、タニグチは敵襲に次ぐ新たな衝撃により放心状態になってしまったようであった。
「提督……失礼いたします!」
軍医を呼ぼうとする艦長の隣で、クニキダとの会話の中にも出てきたタニグチの副官は意を決したように叫ぶと、上官の頬を思い切り殴った。それは彼女が士官学校で教わった医療行為の一つであり、講義の内容と教官は正しかった。タニグチは汚水へとダイブする直前に殴った当人に支えられ、彼女の胸の中でようやく正気を取り戻したのだ。二人の仲がタニグチの願望通りに進むかは、まだ誰も知らない。
司令官の様態に関係なくタニグチ分艦隊が退却に成功した後、主砲を撃つばかりとなった本隊とクニキダ分艦隊が目にしたものは、急速離脱していく敵艦隊の姿であった。すでに主砲の射程圏外に達しており、一方的な攻撃を許してしまっただけでなく仲間の敵討ちも出来ず、彼らは悔しさに身を震わせた。
「キョン、追撃は?」
「無理だ。ただでさえ帝国軍は劣勢なのに、ここで俺達が単独行動を取ったら各個撃破の手本みたいになっちまう。くそ、さっきのはどこの艦隊だったんだ?」
「それが……敵艦隊旗艦の艦影と艦番号を照合した結果、敵E艦隊旗艦コダイと確認。先の艦隊はE艦隊かと思われます」
「何だと?」
「へえ、それは本当かい?」
情報参謀の報告にキョンもクニキダも耳を疑った。E艦隊を最後に確認したのはキョン艦隊の前方のナガト艦隊よりもさらに先であったからだ。とても十分やそこらで索敵網をかいくぐってキョン艦隊の側面を奇襲できる距離ではない。
「そんな馬鹿な。やつらは足にローラースケートでもつけたっていうのか?」
「私も信じられませんでしたよ!ですが、いくつかの敵艦を確かめても、全てE艦隊であるムスペルヘイムのマークをつけた艦でした」
「敵のカモフラージュである可能性は?」
「その可能性はなくはないですが…」
冷たい汗を流しながら抗弁した情報参謀の語尾に、二度目の奇襲を告げる叫びが続いた。
二十時三十分、SOS帝国軍は深刻な混乱に陥っていた。三個艦隊が魚鱗陣形のまま釘付けにされて、ハルヒ艦隊は突撃するタイミングを失い、味方が攻撃にさらされるのを指をくわえて眺めているだけだった。鶴翼陣形で進んでいたはずのコンピケン艦隊から電子妨害に乗じてD、Eの二個艦隊だけでなく、驚くべきことに教皇が直接指揮を執っているA艦隊までもが消えていた。三個艦隊は巧妙に連携して一撃離脱戦法をとり、物理法則を無視したかのような艦隊運動であらぬ方角から現れてはキョン艦隊とコイズミ艦隊を奇襲していた。ナガト艦隊もB、C艦隊の猛攻を受けて援護が出来ずにいる。二つの艦隊の練度と指揮はいずれも一流のものとは評しがたいしろものだったが、さしものナガト艦隊も倍の相手から間断なく攻撃を受けては身動きが取れなかった。
「これは一本取られましたな」
「何の、まだまだですよ」
アラカワからの通信にコイズミはうそぶいたが、その声には力が欠けている。神出鬼没の三個艦隊に翻弄されてはその対処に追われ、根本的な作戦の見直しをする余裕すらないのだ。索敵艇を出して敵艦隊の探ろうにも、強力な電子妨害と戦闘が激化して一隻か少数で戦場を移動する索敵艇はたちまち飛び交う砲火の餌食となってしまう。艦隊の司令部では敵は五個艦隊だけではなく、奇襲用にカモフラージュを施した増援艦隊が潜んでいたのではないかという懸念が出始めていた。一回の攻撃で大きな損害は出ないものの、コイズミは自分の艦隊がじわじわと出血死へと向かう患者に思えてならなかった。
さらに、コンピケン艦隊は最大の脅威となるハルヒ艦隊にはまったく攻撃を加えていない。突撃はおろか合流さえも出来ず遊兵と化してしまったハルヒ艦隊が動き出す前に、可能な限りコイズミ、ナガト、キョンの艦隊の兵力を消耗させる作戦で、最終的に圧倒的兵力差で恐るべき英雄の艦隊に対抗して確実に仕留めるのだ。仮に兵力が消耗しきる前にハルヒ艦隊が動いても、確実さは欠けるがA、D、E艦隊が一斉に襲い掛かり、他の艦隊が救援に駆けつける前に皇帝をこの世から葬り去る。どちらも用兵上の通念、数が多い方が勝つを証明する絶好の機会になるはずだった。
「ワープは全て成功、帝国軍内の協力者とやらからの情報も正確。信じられないことだが、我々はあの英雄スズミヤ・ハルヒの軍勢に勝っているようだぞ、弟者」
作戦を立案し実行しているブ・イン・エーは喜びと驚きをない交ぜにして、コイズミ艦隊に攻撃をかけてきたばかりの弟に通信を送った。先行きを悲観視していた分、望外の戦果を手に入れた喜びは大きかった。そんな兄とは対照的に弟の表情はなお暗い。
「今のところは勝っているがな、兄者。最終的に勝つ保証はないではないか。確かに敵は混乱している。それでも、さすがはSOSの名がつくもの、というべきか損害は微々たるものだ。致命傷になるにはなお遠いぞ」
「ふむ、その点は弟者の指摘の通りだな」
敵の被害、という点はブ・イン・エーも気づいていた。混乱していても、三艦隊の提督はそれぞれ非凡な手腕を発揮して、コンピケン側が想定していたものを下回る被害しか出していなかった。
「だがしかし、この戦法以外にあの連中にダメージを与えられる方法はあるか?俺は思いつかん。以前は、かすり傷程度の損害しか与えられない会戦もあったんだ。大した進歩だよ、こいつは」
「それはそうだが……一撃離脱を延々と繰り返すことが出来るとは限らない。ワープや内通者はいつ発覚してもおかしくないし、一度でもワープに失敗すれば一つの艦隊が丸ごと亜空間の放浪者となってしまう。そうなれば勝ち目は皆無だ。俺達は細い綱の上で戦って、かろうじて勝っているに過ぎないのだ」
「やれやれ、今日の弟者はやけに悲観的だな。英雄曰く、頭の中が年中満開のお花畑になってる教皇の奮戦を見たら心配になるのも仕方がないが。俺もあいつがまともな用兵を出来る脳みそを持っていたなんて驚きだが、戦場では不思議なことなんぞ良くある。なあ、最悪の状況を想定して計画を立てて楽観的に行動せよ、と言うじゃないか。運がついて回っている間は、何も考えずに戦う。それだけのことさ」
何か言いたげな弟に、英雄に惚れられた腹心を冷やかしてくる、と笑ってブ・イン・エーは通信を切った。自分が教皇の狂気を垣間見て以来なにかと悲観的になっている、ブ・イン・ビーもその自覚はあった。自覚があってもなお、彼の目には兄が彼らしくもなく浮ついているように映ったのだ。どうも兄者は英雄とうたわれた人物に優位に立てたことに喜びすぎて、判断力が麻痺してしまったのではないか。灰色になったスクリーンを見つめながらブ・イン・ビーは憮然としてつぶやいた。
「運がついている、それが誤解だとしたら、我らは破滅へとひた走っているわけではないか…」
敵将の不安をよそにSOS帝国軍は攻撃を受けたら対処する受動的戦闘を続けたが、二十二時を過ぎたところで転機が訪れた。コンピケン連合軍の攻勢がやや鈍くなったのだ。兵士の疲労が蓄積してきたために、襲撃パターンの調整も兼ねて二時間の休息をとらせたのだ。帝国軍が奇襲を恐れて動かないと判断した教皇直々の命令だったが、彼にこのような判断をさせたのは優勢を保っているという心理的優越感からだったかもしれない。
この間隙をぬって帝国軍の首脳部は秘匿回線を使用しての作戦会議が行われた。個々の艦隊同士での通信はあったが、全ての提督が参加して対応を検討する会議を開く余裕がようやく出たのだ。ただし、ナガトは情報を解析する、と称して欠席していた。
「あたしの艦隊が合流しちゃダメってどういうことよ!?」
開口一番、ハルヒは旗下の艦隊の意思を代弁してみせた。彼女は戦闘中の三つの艦隊と合流すると再三主張していたが、コイズミ、ナガト、キョンの反対を受けて果たせずにいたのだ。
「分かっているが、敵の位置も動きもつかめなくてどうにもならないんだ。神出鬼没に右から左から……索敵艇を出してもまったくわからん。やつらは物理の限界を超えた艦隊運動をしやがるか、もしくは俺達の予想以上の艦隊をそろえていたことになる。お前も動き出したら、どこからともなく現れた敵艦隊に蜂の巣にされるぞ。今だって無傷なのが不思議なくらいなんだから…」
「残念ながら彼の言う通りです。敵はスズミヤさんと対決することを恐れています。よって、我々を出血死させた後、兵力差を活かして確実に第一艦隊を包囲、殲滅するつもりではないかと。かといって出血死前に動けば、敵は我々を放置して死に物狂いであなたを亡き者にしようと第一艦隊を攻撃するはずです」
「そのくらいのことはあたしにも理解できるわよ!だからって、何もせずにだらだらと戦い続けてたら、結局全滅しかないじゃない。ならあたしが動くべきよ」
「失礼ながら小官も閣下の意見に賛成です。第一艦隊の火力なら不意に敵に包囲されても突破することは可能でしょう。そうでなくても、第二、第三、第四のいずれかの艦隊が救援に来るまで難なく持ちこたえられます。ならば逆に敵艦隊を挟撃することができ、戦況を有利に運ぶきっかけとなります」
皇帝の背後で直立するイヴァノフ参謀副長がいきり立つハルヒの意見に賛成し、ビッテンフェルトとグエンが異口同音に続いた。彼らもまた、味方の苦戦を前に何も出来ないことを歯痒く思っていたのだ。
「危険すぎる。俺は反対だ」
「危険?元々の作戦じゃ、あたしの艦隊は突撃を繰り返すことになっているわ。同じくらい危険よ」
「当初の作戦で想定していた状況とはまるで違うんだ。敵の参加兵力が不明だし、予測もつかないところから出現している。前進した直後に後背を急襲されることだってあるんだぞ。現に俺は二回も経験した」
「じゃあ、白い悪魔を発進させなさい!」
「行きまーす…って無理だっ!」
宇宙暦が始まって二十世紀ほどが経過したが、巨大人型兵器が戦場で主役となることはついぞなかった。実現性過小、好奇心過多な計画はいくつもあったものの、宇宙戦闘用艦艇を主役の座から蹴り落とす力はなく、現在まで惰性的にその地位は守られている。
「無理なら出しなさいよ!意見の代案を!あんたは作戦主任参謀でしょ!」
通信スクリーンいっぱいにハルヒの顔が広がる。もし、キョンが同じ艦に乗っていたら、間違いなく襟首を締め上げる勢いであった。
「分かった、分かったから落ち着いて話してくれ。そうしないと思いつくものも思いつかなくなる」
「落ち着く?」
瞬間的に気圧が急低下した。
「ねえ、キョン。あたし達は何をしにここへ来たの?ピクニック?それも小川の代わりに人血が流れ、歌声でなく悲鳴が聞こえるやつを?違うでしょ。戦争よ、戦争。しかも、あたしの願望を叶えるための。なのにっ!」
ここで激しくハイヒールが踏み鳴らされ、その音はキョンの胸の奥に深々と突き刺さった。鋭く響き渡った音をハルヒの心がきしむ音だと感じたからだ。
「あたしは安全な場所にいて、やったことといえば弁当を食べるだけ。すぐ手が届くところで仲間が死んでいるのに!あたしのために仲間が死ぬのよ!これで落ち着いていられるわけがないじゃないっ!」
宇宙の深淵と同じ漆黒の瞳には苛烈な眼光が満ちて、目の毛細血管は怒りに耐え切れず爆発していた。その凶器にさえなりうる眼光を一身に受けてなお、キョンはひるまなかった。否、ひるむわけにはいかなかった。
「まずい作戦を立てたこと、それと代案がないこと、これは謝る。が、お前が動くことは絶対に反対だ。気づいてないかもしれんが、現在のところお前の身体は、数え切れないほど多くの人の期待を受けているせいで宇宙で一番大切な身体になっているんだ。そりゃあ、お前は幸運の星の下に生まれたようなやつだし、俺よりもずっと戦上手だ。ちょっとやそっとの逆境は軽々と乗り越えるだろう。それでも、敵の兵力が不明なまま動くのはリスクが高すぎる。勝算のない戦いを挑むのと似たようなもんだ。頼むから、俺が名案を搾り出すまでの少しだけの間、待っててくれないか?」
「あたしは伊達や酔狂で皇帝になったんじゃないわ。権力を手に入れたらそれ相応の義務を果たす。戦争を!と叫んだからには最前線で戦い続ける。リスクが高かろうが高くなかろうが、どんなことがあってもそれは果たされるべきよ。人を死に追いやるんだから、軽すぎるくらい。で、案のあてはあるの?なければ、皇帝の権限をもって我が第一艦隊は第二、第三、第四艦隊と合流を試みるため前進するわよ」
見えざる沈黙のベールが帝国軍の秘匿通信回路を覆った。誰も一言も発しない。胸に階級章と勲章をうならせる提督から、偶然そこへ配属されただけの通信士までの誰もが踊り狂う心臓をなだめながら、自分がもたらしたあまりにも多くの死に傷つき怯える少女と、その少女を護り癒そうとする少年を注視していた。ベールの向こう側に立つ不幸が顔を見せようとしていた。
「代案ならある」
大きすぎず。さりとて無視されるほど小さすぎず。ちょうど、新雪の上を歩くような心地よい響きがベールごと不幸を取り払った。新たにスクリーンに現れたナガト・ユキ上級大将へ全員の視線がすがるように集まった。
「情報解析に手間取ってしまった。会議に遅れてごめんなさい」
「ユキ、砂時計の砂粒はダイアモンドより貴重よ。謝意より代案を」
「了解した」
情報主任参謀でもあるナガトは鮮やかなタッチで操作卓を操り、各艦に彼女が入手して整理した情報を届けた。
「まずは、状況説明を。情報管理局が収集した情報と、捕虜を尋問して引き出した情報を解析した結果、敵の異常な艦隊運動の理由が判明した。コンピケン連合艦隊は星系内で短距離ワープを繰り返している。事前情報以上の兵力を有しているわけではない」
一撃離脱戦法で急速な艦隊運動を行っているコンピケン連合軍は、被弾して航行不能になった艦が取り残される事例が多発していた。督戦兵でもある従軍司祭は神の名において突撃か自爆を主張したが、神の従順な下僕であるはずの将兵はその妄言をことごとく無視して捕虜になる道を選んだ。彼らはコンピケン教による圧制への反発も手伝って、進んで自軍の情報を引き渡して祖国を邪教から解放してくれと嘆願した。彼らの情報から導き出された結論は単純明快だった。それゆえに最初から選択肢からはずされていた答えだったのだが。
「待ってください」
それまで不本意ながらも傍観者に徹せざるを得なかったコイズミが声を上げた。
「僕もその可能性は真っ先に考慮しました。そこで、ワープ時に発生する時空震を観測させてみたのですが、いずれの奇襲前後でも検出されませんでした。それに加えて、星系内や戦闘地域でのワープは質量の関係で慎重な操艦が必要とされ、下手をするとエネルギーサイクロンを起こす危険性もあります。一回だけならともかく、連続して一個艦隊の全艦艇をワープさせるのは自殺行為だと思いますが」
彼の発言は同僚の説明に疑問を呈する形をとってはいたものの、むしろこの場合は論破されることを願っての発言だった。彼自身は緻密な頭脳を持つ読書好きな少女の意見に常に全幅の信頼を置いていた。
「情報管理局が入手した情報の中に、天の川情報共同体で現用ワープとは異なる新たな手法を模索する動きがあるというものがあった。すでに実験艦が建造されていて、その艦一隻だけで一個艦隊分の艦艇をワープさせることが出来、なおかつ時空震も発生しないものだったらしい。ただ、ワープ時のエネルギー消費が膨大だったこと、理論上最長ワープがせいぜい星系内を移動する程度だったことから計画は中止された。この艦が数隻再建造されてコンピケン連合に引き渡されたものだとわたしは結論付けた」 
「なるほど」
「からくりが分かれば怖くないな。お化け屋敷と違って」
「でかしたわ、ユキ!敵の数が事前報告通りの五個艦隊だって分かっただけでもお手柄よ。早速突撃だわ!」
ナガトを良く知らない者、特に彼女の副官が沈黙提督の名にふさわしからざる長い説明に唖然としている間に、理解と納得の声が相次いだ。指揮官の納得の声ほど部下を安心させるものはない。ただ、その中でミクルだけが異なる反応を示した。
「あ、あの、質問なんですけど、どうして向こうの人たちはこちらの艦隊の位置を正確に把握して奇襲してきたんですか?電子妨害が激しくてちょっと難しいな、って思ったんですけど」
「それは……」
ナガトが口ごもる。この稀有な事態に一番驚いたのは、誰よりも質問したミクルだった。
「…現在調査中。されど、可能性として最も高いのは、こちら側の艦隊に工作員か内通者がいること」
ごく簡潔に報告したことは、味方の中に裏切り者がいるという事態に動揺が広がらないよう、さらには会議に参加している数名の過去に配慮したからかもしれない。
「まっ、あれだけ亡命者がいたんだから何人かスパイが紛れ込んでいてもおかしくはないわね。そんなことより、今は敵に勝つことが先決よ。さっき代案があるって言ったけど、敵がまた攻勢をかけてくる前に早く検討しましょ」
「分かった」
ナガトの配慮を知ってか知らずしてか、ハルヒが疑心暗鬼に発展しかねない動揺の根が発芽する前に話題を切った。ナガトはありがとう、とわずかに空気を震わせてからうなずいた。
「おい、こいつは……」
「各個撃破の格好の餌食となります。言うまでもなく大変危険ですが、わざわざこの作戦を提案したということは、ナガトさんには勝算があってのこと。違いますか?」
ナガトが提案した作戦。それは敵の補給艦隊を撃破するものだった。ワープの度に膨大なエネルギーを消費するということは、敵にとっての安全圏、飛び交う通信の量から推測するに、まず間違いなくナガト艦隊と対峙するB、C艦隊の後方に補給艦隊が存在するということだった。それを撃破すれば敵の足を奪うことになり、士気に与える影響も甚大なものになりうる。問題となるのは攻撃の手段であった。ナガトは旗下の艦隊を戦隊ごとの小集団で一斉に分散させて交戦中の敵艦隊を迂回、後方で再集結して補給艦隊を攻撃させようとしていたのだ。
一つの戦隊はそれぞれ数百隻の艦艇を有しており、それ自体は数としてはそれなりのものだが、通常の艦隊が保有する艦艇は一万隻を超えていて、艦隊と数百隻の集団が先頭になった場合、どちらが不利なのかは火を見るよりも明らかである。それゆえに兵力は分散させず極力集結させて戦うのが常識となっているが、ナガトはあえて常識はずれな作戦を立てたのだ。
「SOS帝国宇宙軍は艦隊では現在の段階で練度が十分ではなく、複雑な艦隊運動を滞りなく行うことは出来ない。その原因は異なる国ごとに編成された戦隊間の連携がうまくいっていないから。戦隊だけを見れば十分な練度を保っている。ならば、戦隊を艦隊の枠にはめることなく自由な行動をさせれば、結果的に複雑な艦隊運動に匹敵する。また、B、C艦隊の司令官はブ・イン兄弟のように戦場全体を見渡す戦術眼はない。交戦中の艦隊が突然分散行動をとったとしたら、その意図を理解して対応するまでにタイムラグが生じるはず。教皇が司令官であるA艦隊は、その好戦性からワープの重要性を理解しており、補給艦隊が攻撃されると察知したらそれを守るために行動すると思われる。最大の脅威であるブ・イン兄弟はこちらの意図を全て理解して自軍の作戦が露呈したことを悟った上で、優先目標であるスズミヤ・ハルヒ、あなたが率いる第一艦隊に猛攻をかける。以上を踏まえて、DかE艦隊が奇襲をかけてきた直後に行動を起こして、さらにこちら側の電子妨害も強化して艦隊間の通信を困難にさせれば、敵を分散させて被害を最小限に抑えることが可能」
ナガトが最後の一言を発し終えて副官が用意した水を口に含んだとき、コイズミとミクルは感嘆のため息を漏らし、キョンはどうやらうちの国が滅亡するのは先のことらしいな、と声に出さずつぶやいていた。ハルヒは不敵な笑顔になっていた。それは作戦に勝利への道筋を見出したからであり、仲間への全幅の信頼でもあった。
「各艦隊が連携して動けば見た目ほどの危険性はないわね。ユキは戦隊長達の意見を聞いた?」
「反対意見が出たものの、最終的に全員の了承を得た」
「よろしい。あたしからの修正は一つだけ、行動の開始はDかE艦隊が攻撃してきたときでなく、A艦隊が攻撃してきたらにすること、異論は認めないわ。さあ、この期に及んで作戦に反対する空気の読めない人はいないわね?」
返答はなかった。
「じゃあ決定ね。総員作戦準備!コンピケンの連中にやられた分を倍といわず十倍、百倍にして返すわよ!」
二十三時十七分、SOS帝国軍の反撃が始まろうとしていた。

 

 

 

第五章後編へ

 

 

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