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~土曜日~
 
佐々木「やぁ、キョン。待たせたかい?」
 
キョン「少しだけな。人を待ったのなんか久しぶりだな」
 
佐々木「キョン。そこは嘘でも、待ってない、と言うのが男じゃないのかい?」
 
キョン「ん、そうだな。佐々木、実は待ってないぞ?」
 
佐々木「君には呆れるね」
 
キョン「悪いな、褒めてくれて」
 
キョン「しかし、久しぶりだな」
 
佐々木「そうだね。高校進学以来まさに一年ぶりだよ?」
 
キョン「そんなに経つのか」
 
佐々木「そうさ。キョンがいつ連絡をくれるかと気長に待ってみたけど……」
 
キョン「みたけど?」
 
佐々木「ついには一年間も音沙汰無し」
 
キョン「悪いな、部活で忙しかったんだ」
 
佐々木「丸々一年間もかい?」
 
キョン「だから悪いって。でもお前のこと忘れたことなんて一度もないぞ?」
 
佐々木「……そう、そうか」
 
キョン「ん?どうした、俯いて?」
 
佐々木「そうやって女の子顔を覗くのは、デリカシーがないとは思わないかな?」コツ
 
キョン「おっと、すまん」
 
佐々木「まったく」
 
キョン「そういやお前こそ、俺に連絡の一つでもくれればよかったんじゃないのか?」
 
佐々木「そこは我慢比べだよ、キョン」
 
キョン「我慢比べ?」
 
佐々木「少なくとも中学時代はまがりなりにも僕たちは親友だった」
 
キョン「今は違うのか?」
 
佐々木「一年も連絡を寄越さないやつなんて、果たして親友と呼べるかな?」
 
キョン「ごもっともで」
 
佐々木「それで先に連絡をするのは、なんだか君に負けた気がして嫌だったのさ」
 
キョン「それで結局、お前から電話を寄越したから、今こうしているわけだ」
 
佐々木「……何が言いたいんだい?」
 
キョン「残念だ、佐々木。お前の負けだ」
 
佐々木「君には一度お説教が必要のようだね?」
 
キョン「それで一年ぶりに会ったわけだが、なんかあったのか?」
 
佐々木「キョン。僕たちが会うのに理由なんかいるのかな?」
 
キョン「そういや、そうだな。お前と一緒にいるのはむしろスタンダードだ」
 
佐々木「くつくつ。そういうことさ、キョン。会いたくなったんだよ、君に」
 
キョン「それはなによりだ」
 
佐々木「……鈍感」ボソ
 
キョン「なんか言ったか?」
 
佐々木「言ってないよ」
 
キョン「でもなんか機嫌が悪い」
 
佐々木「悪くない」
 
キョン「そうか?俺はもっと笑ってる方が似合うと思うけどな」
 
佐々木(……この卑怯者)
 
キョン「まあとりあえず、そこの喫茶店でも入るか。積もる話もあるだろう?」
 
佐々木「そうだね」
 
~喫茶店にて~
 
佐々木「すると君はそのSOS団なるものに入ってるんだね?」
 
キョン「ああ。改めて人に説明すると恥ずかしいな」
 
佐々木「部長の女の子がキョンを無理やり」
 
キョン「まぁそんなとこだ」
 
佐々木「何故?」
 
キョン「なにがだ?」
 
佐々木「だって君は断ることも出来ただろ?」
 
キョン「何でだろうな?当時のクラス委員だったやつにも頼まれてたし」
 
佐々木「君は随分軽いね」
 
キョン「特に入りたい部活もなかったしな」
 
佐々木「そういうものかい?」
 
キョン「表向きはボランティア団体だしな。学校ではともかく、世間体はいいんじゃないか?」
 
佐々木「ふーん、でその部長の」
 
キョン「ハルヒか?」
 
佐々木「……」
 
キョン「どうした?」
 
佐々木「……なんでもないよ」
 
キョン「?」
 
佐々木「……キョン。君は僕が知らない異性の話を始めたらどうだい?それも楽しそうに」
 
キョン「……面白くないな」
 
佐々木「つまりそういうことだよ」
 
キョン「俺が軽率だった」
 
佐々木「くつくつ。今に始まったことじゃないけどね」
 
キョン「返す言葉もない」
 
佐々木「まぁ、いいさ。それより今日は何処かに連れてってくれないかい?」
 
キョン「なんだ?お前が誘ったから、てっきり行きたいとこでもあるんだと」
 
佐々木「僕は本来キョンに会うのが目的だったんだよ」
 
キョン「なんだそりゃ」
 
佐々木「つまり、今は用事が終って暇なんだ。もう一度言うよ?」
 
キョン「ん?」
 
佐々木「僕を何処かに連れてってくれないか?」
 
キョン「そうだな、つまらなくても文句言うなよ?」
 
佐々木「大丈夫さ」
 
キョン「よし、少し待ってろ」
 
佐々木「あぁ」
 
prrr  ピッ
 
古泉「どうかしましたか?」
 
キョン「普通はもしもしだろうが」
 
古泉「気をつけます。ところで何の用です?」
 
キョン「数少ない友人を、そう邪険に扱うなよな」
 
古泉「友人?はて?」
 
キョン「切る」
 
古泉「んふ。冗談ですよ」
 
キョン「ったく。この間お前が聞かせてくれたCDあったろ?」
 
古泉「どれのことですか?」
 
キョン「とら、なんとか」
 
古泉「ふむ。Tra○isでしょうか?」
 
キョン「それだそれ。大阪公演って今日だったか?」
 
古泉「いえ、来週ですよ。行かれるんですか?」
 
キョン「分からん。とりあえずプランが折れた」
 
古泉「は?」
 
キョン「悪かったな。また学校でな」
 
古泉「?分かりました」
 
ピッ
 
佐々木「誰だい?」
 
キョン「同じ部活の男友達だ。この間聞いたCDが良くってな、確か今日が来日公演だと思ったんだが来週だった」
 
佐々木「なんていうバンド?」
 
キョン「Tr○vis」
 
佐々木「聞かない名だね」
 
キョン「俺もそいつに聞かされるまで知らなかった」
 
佐々木「へぇ」
 
キョン「知らないといったらすごい呆れられたよ。普通に生きてて知るかって」
 
佐々木「確かに、そうだね」
 
キョン「さて、とっさで立てた計画も頓挫したわけだが」
 
佐々木「お手並み拝見だね?」
 
キョン「そうだな……」
 
佐々木(私は君といるだけでいいんだけどなぁ)
 
キョン「さすがにポンポン出てこないな」
 
佐々木「大丈夫さ。今は十五時を回ったところだ。公園でも行ってのんびりしないかい?」
 
キョン「佐々木がいいなら一向に構わんぞ」
 
佐々木「なら行こうか」
 
キョン「ああ」
 
~移動中~
 
佐々木「……」
 
キョン「さすがに休日だけあって人が多いな」
 
佐々木(今しかない)ギュ
 
キョン「さ、佐々木!?」
 
佐々木「キョンは歩くのが早いね。つ、つかまってていいかい?」
 
キョン「あ、あぁ、いいぞ」ギュ
 
佐々木「ありがとう」ギュ
 
キョン(佐々木の手ってこんなに小さかったけか)
 
佐々木(キョンの手ってこんなに大きかったんだ)
 
キョン「……」
 
佐々木「……」
 
~公園にて~
 
佐々木「ちょうどいい木陰がある。あそこにしないかい?」グイ
 
キョン「そうだな、上手いことにベンチもあるし」
 
ストン
 
佐々木「ふぅー、風が気持いいね」
 
キョン「歩き回るにはキツイがこうしてるぶんには助かるよ」
 
佐々木「そういえば君は何もないのかい?」
 
キョン「なにがだ?」
 
佐々木「せっかくこうやって着飾ってきたのに、こうも反応がないと」
 
キョン「……そうゆうことか」
 
佐々木「何度も言うけど一年ぶりなんだ。少しは、その、そうゆうこと言って欲しいもんだよ」
 
キョン「すまんな。俺の無神経ぶりは知ってるだろ?」
 
佐々木「よく知ってるさ。でもやっぱり、そこはキョンに言って欲しかったんだ」
 
キョン「しばらく会わないうちに、ぐっと魅力的になったな。周りの男共がほっとかないんじゃないのか?」
 
佐々木「くつくつ。そうでもないさ。ほら、僕は変な女だからね」
 
キョン「国木田の言ってたのは冗談だぞ」
 
佐々木「わかってるよ。でも心当たりがありすぎてね」
 
キョン「まったく」
 
佐々木「まぁいいさ。しかし、キョンに素直に褒めてもらうと、なんだかくすぐったいよ」
 
キョン「悪かったな、語呂が貧相で」
 
佐々木「くつくつ」
 
キョン「佐々木は最近どうなんだ?」
 
佐々木「どうとは?」
 
キョン「それこそ色々だ」
 
佐々木「そうだね。勉強に関しては君に心配されるのは心外だね」
 
キョン「あぁ、そうかい」
 
佐々木「くつくつ。冗談だよ」
 
キョン「事実がたっぷり含まれてる分、安心して笑えないね」
 
佐々木「とりあえず学校生活は充実しているよ」
 
キョン「そりゃなによりだ」
 
佐々木「ただ」
 
キョン「ん?」
 
佐々木「そこにキョンがいないのは少し寂しいかな」ニコ
 
キョン(そこで笑顔は反則だろ。ヤバイ手が汗ばむ)
 
キョン「ち、ちょっと飲み物買ってくる。何がいい?」
 
佐々木「そうだね。冷たいココアが欲しいな」
 
キョン「わかった。あ、佐々木?」
 
佐々木「なんだい?」
 
キョン「手を放してもらっていいか?」
 
佐々木「え?あ、う、すまない」パッ
 
キョン「いや、いいさ。俺としては惜しいくらいだ。じゃあ行ってくる」
 
佐々木(なんで平気でああいう事言えるの?顔が熱くなってきたよ)カァァ
 
キョン「ほら、ココアだ」
 
佐々木「ありがとう、キョン」
 
キョン「……」ゴクゴク
 
佐々木「……」ゴクゴク
 
キョン「こうやって座ってるだけってのもいいもんだな」
 
佐々木「そうなのかい?」
 
キョン「そうさ。土曜になれば、やれ不思議探索だ、やれ野球大会だ、で毎週大忙しだ」
 
佐々木「……いやなら辞めてもいいんじゃ」
 
キョン「う~ん。それが案外苦痛でもないんだよ。なんというか、楽しいとか、このままこのメンバーで遊んでたいとか」
 
佐々木「……」
 
キョン「って最近思えるんだよな。まあ具合がいいってことだ」
 
佐々木「……そう」
 
キョン「そうなんだな。……ただな」
 
佐々木「?」
 
キョン「さっきのお前じゃないが、この輪の中に佐々木もいたら、もっと楽しかっただろうなぁ、とは思う」
 
佐々木「……うん、ありがとう」
 
キョン「なに、本心さ」
 
キョン「今は何時だ?」
 
佐々木「五時半だね。……もう帰るかい?」
 
キョン「ん?別に中学生でもないんだし大丈夫だろ。それとも門限とかあるのか?」
 
佐々木「いや、母さんには、キョンに会ってくる、って言ってあるから平気だよ」
 
キョン「ならいいか。……ちょっとCDを見に行かないか?」
 
佐々木「構わないけど、何か欲しい物でもあるのかい?」
 
キョン「ああ。これまた紹介してもらったバンドなんだけどな」
 
佐々木「一応聞こうか。なんていうやつだい?」
 
キョン「The Tell○rs」
 
佐々木「また知らないな」
 
キョン「これは逆に、一般人が知っていたら驚くようなアーティストらしいぞ?」
 
佐々木「へぇ。それじゃ探しに行こうよ」
 
キョン「そうだな」
 
~移動中~
 
佐々木「……」ジー
 
キョン「それでな、その古泉ってやつがな」
 
佐々木「……」スッ
 
キョン「話をする度に顔を寄せてくるんだ」サッ
 
佐々木「……」スッ
 
キョン「弱冠、アッチのけがあるんじゃないかと思っちまうよ」サッ
 
佐々木「……」スッ
 
キョン「まぁ、悪いやつじゃないんだがな」サッ
 
佐々木「……」イラ
 
キョン「さっきから何やってるんだ」
 
佐々木「君はわざとやってるのかな?」
 
キョン「何の話だ?」
 
佐々木「隙アリ!」ガシ
 
キョン「……なんだ、手を繋ぎたかったのか?」
 
佐々木「そ、そういうわけじゃないだが、あまりに無防備だったんで、つい」
 
キョン「ふ~ん。そういうことにしておくよ」ギュ
 
佐々木「くつくつ。よろしく頼むよ」ギュ
 
キョン(これじゃ、恋人みたいだな。……誰にも会いませんように)
 
佐々木「~♪」
 
~駅前にて~
 
キョン「悪いな、探すの手伝わせて」
 
佐々木「構わないよ。見つかって良かったじゃないか。今度聴かせてもらっていいかい?」
 
キョン「もちろんだ」
 
佐々木(やった、また会う約束が出来た♪)
 
キョン「もうこんな時間か。ついでだしどっかで飯でも食ってくか?」
 
佐々木「そうだね。家の人に夕飯はいらないと連絡しておくよ。しかしついでとは失礼じゃないかい?」
 
キョン「ん?そうか?次は気をつけるよ」
 
佐々木「全く君ってやつは」
 
佐々木「くつくつ。ところで美味しい店をちゃんと知ってるんだろうね、キョン?僕の舌は以外にグルメだよ?」
 
キョン「そういわれてもなあ。自称グルメの佐々木と違って、俺の舌はあくまで一般のものなんだが」
 
佐々木「まあいいよ。きっとキョンと一緒ならどこでも美味しく感じる」
 
キョン「またそうやってプレッシャーを」
 
佐々木「くつくつ」
 
~食事後~
 
佐々木「それでだ、キョン」
 
キョン「ん?美味しかっただろ?」
 
佐々木「確かに美味しかったよ」
 
キョン「ならいいだろ」
 
佐々木「いや、雰囲気の問題だよ」
 
キョン「?」
 
佐々木「なんでラーメン屋?」
 
キョン「佐々木が美味しいもの食べたいって言うから」
 
佐々木「僕のせいなのかな?」
 
キョン「待て待て、何をそんなに不機嫌なんだ?」
 
佐々木「……しいて言えば、過大評価をしてしまった自分にかな?」
 
キョン「?」
 
佐々木「……はぁ、もういいよ。僕の負けだよ」
 
キョン「?なんだか知らんが俺が勝ったのか?」
 
佐々木「……やっぱり一回叩かせてくれないかな?」バシ
 
キョン「背中が痛い」ヒリヒリ
 
佐々木「自業自得だね」
 
キョン「納得いかん」
 
佐々木「君はもう少し自分以外の人にも、感情があるのを学んだ方がいいよ」
 
キョン「む、気をつけてみるさ」
 
佐々木「まったく」
 
キョン「もう八時か」
 
佐々木「そうだね。さすがに帰らないとまずいよ」
 
キョン「送ってくぞ」
 
佐々木「悪いね」
 
キョン「……」テクテク
 
佐々木「……」トテトテ
 
佐々木「……次はいつ会えるかな?」
 
キョン「さぁな。でも連絡くれればいつでも会いに行くぞ?」
 
佐々木「キョン……」
 
キョン「この辺りも懐かしいな。佐々木の家が近いってことだな」
 
佐々木「……」
 
キョン「どうした?」
 
佐々木「さっき、いつでも会いに来てくれるって言ったよね?」
 
キョン「言ったな」
 
佐々木「何故だい?」
 
キョン「親友の頼みは断れないだろ?」
 
佐々木「……親友か」
 
キョン「不満か?」
 
佐々木「……不満だね。僕はね、もう君との友情は終わりにしたいんだ」
 
キョン「佐々木?」
 
佐々木「今回連絡を取って、今こうやって会ってるのもそのためさ」
 
キョン「どういうことだ?なにか嫌われるようなことしたか?」
 
佐々木「……一年間会わないうち色々考えたよ。今日、僕の答えを出したいんだ」
 
キョン「……」
 
佐々木「僕がキョンを嫌うと思う?逆だよ、好きなんだ」
 
キョン「佐々木」
 
佐々木「もちろん親友としてではなく。異性として。キョンという男の子を」
 
キョン「……」
 
佐々木「この一年間ずっと悩んだよ。でも言わないままは、これから先、辛すぎる」
 
キョン「そうか」
 
佐々木「僕でも一年悩んだんだ。キョンには一週間の猶予をあげるよ」
 
キョン「一週間?」
 
佐々木「うん。だから来週の土曜日にまた……会ってくれないかな?そして……答えはその時に」
 
キョン「……あぁ、分かったよ」
 
佐々木「それじゃあ、もう家まで目と鼻の先だ。もうここまででいいよ」
 
キョン「あぁ」
 
佐々木「またねキョン」
 
キョン「またな」
 
タタッ
 
キョン「……」
 
~月曜~
 
ガラ
 
キョン「おぉ珍しく早いな。どうした?」
 
ハルヒ「べ、べ、別にどうしよもないわよ」
 
キョン「?そうか」
 
キョン「土曜は長門と一緒だったんだろ?どこ行ったんだ?」
 
ハルヒ「……」
 
キョン「なに、お前と長門の組み合わせでなにをやってるのか、気になってな」
 
ハルヒ「……」
 
キョン「お~い。聞いてるのか?」
 
ハルヒ「キョ、キョン!?」
 
キョン「ん、なんだ?」
 
ハルヒ「一昨日、有希と一緒に歩いてたら……駅前で……」
 
キョン「駅前で?」
 
ハルヒ「あ、あんたが……その、女の子と歩いてるの見たんだけど……」
 
キョン「ん?あーその、見られたか」
 
ハルヒ「そりゃ、あんな地元ならね」
 
キョン「だよな」
 
ハルヒ「……彼女?」
 
キョン「いや、ただの腐れ縁の友達だったんだ」
 
ハルヒ「だった?」
 
キョン「あの時点まではな。あの後帰り道でな、まあ、恥ずかしい話だが告られたんだ」
 
ハルヒ「!!!」
 
ハルヒ「そ、それで?」
 
キョン「で、一週間後にまた会おうって。その時に答えがほしいって、言われた」
 
ハルヒ「……それで、どうするの?」
 
キョン「さぁな、せっかく一週間も猶予もらったんだ。ゆっくり考えるさ」
 
ハルヒ「あんた、そのコのこと……好きなの?」
 
キョン「あぁ、大事な友達だからな。嫌いになれるはずがない」
 
ハルヒ「……そう」
 
キョン「?」
 
~帰り道にて~
 
国木田「どうしたの?」
 
キョン「ん?いや今日、ハルヒのやつが変だったんだ。それでな……」
 
谷口「おいおい、涼宮が普通の時なんかあんのか?」
 
キョン「そいつは言いすぎだぞ」
 
キョン(まぁ考えすぎかな。明日になれば直ってるだろ)
 
~次の日の昼休み~
 
ハルヒ「キョン!!」
 
キョン「おう。どうした?」
 
ハルヒ「後で話しがあるのよ。だから放課後、部室行く前に屋上に来なさい!」
 
キョン「ここじゃ言えんのか」
 
ハルヒ「放課後ったら放課後なのよ!いい?必ず……必ず来るのよ」
 
キョン「あぁ?わかった」
 
ハルヒ「じゃああたし行くとこあるから」ダッ
 
キョン「行っちまった」
 
キョン(なんだか思いつめてたみたいだけど……気のせいか?)
 
~放課後の屋上にて~
 
キョン「待たせたな。なんか谷口のやつに絡まれてな」
 
ハルヒ「そ、そう」
 
キョン「それで、話ってなんだ?」
 
ハルヒ「……」
 
キョン「他の連中に聞かれたくない話なんだろ?」
 
ハルヒ「……」
 
キョン「まあ、これで案外口が堅い方なんだ」
 
ハルヒ「……」
 
キョン「だから信用してくれていいぞ?」
 
ハルヒ「……」
 
キョン「……そんなに言いづらいことか」
 
ハルヒ「……」
 
キョン「大丈夫か?」
 
ハルヒ「……」
 
キョン「おい、顔真っ赤じゃないか?熱でもあるのか」
 
ハルヒ「……」
 
キョン「別に無理しなくていいぞ?」
 
ハルヒ「無理なんかじゃない!!!」
 
キョン「うぉ!いきなり大声出すなよ」
 
ハルヒ「キョン!聞いて!」
 
キョン「さっきから聞いてるって」
 
ハルヒ「最初はそんなことなかった」
 
キョン「?」
 
ハルヒ「あんたの提案でSOS団を作って、今のみんなが集まった」
 
キョン「……」
 
ハルヒ「あたしがわがまま言ったときも、あんたは口では文句言いながらも着いてきてくれた」
 
キョン「わがままな自覚はあったんだな」
 
ハルヒ「お願いだから、今は変な横槍いれないで」
 
キョン「すまん」
 
ハルヒ「みんなと、あんたと出会って一年。色んなことがあった」
 
キョン「……」
 
ハルヒ「昨日あんたが昔の友達に告白されたって言ったわよね?」
 
キョン「あぁ」
 
ハルヒ「それを聞いて、あたしは、生きた心地がしなかった」
 
キョン(そういうことかよ)
 
ハルヒ「あたしは、あたしは……」
 
キョン「……」
 
ハルヒ「……」
 
キョン「……」
 
ハルヒ「あたしは、あんたのことが好きなの。好きになっちゃったのよ」
 
キョン「……そうか」
 
ハルヒ「……」
 
キョン「……」
 
ハルヒ「……もう覚悟は出来てるわ。なんか言ってよ」
 
キョン「……スマン」
 
ハルヒ「……そっか」
 
キョン「……」
 
ハルヒ「この間のコ?」
 
キョン「あぁ、俺はあいつが……」
 
ハルヒ「好き?」
 
キョン「……」コク
 
ハルヒ「……」
 
キョン「……」
 
ハルヒ「……もしよ?」
 
キョン「あ、あぁ」
 
ハルヒ「もし、そのコの前にあたしがあんたに告白したら、どうした?」
 
キョン「……」
 
ハルヒ「……」
 
キョン「……それでも断ってた」
 
ハルヒ「そのコのことが好きだから?」
 
キョン「そうだ」
 
ハルヒ「……わかったわ、ありがとね」
 
キョン「ハルヒ……その」
 
ハルヒ「今は!ごめん、今は一人にしてくれない?」
 
キョン「……わかった」
 
ハルヒ「ごめんね」
 
キョン「先に……部室戻ってるぞ」
 
ガチャ
 
ハルヒ「……戻れるわけ、ないじゃない」
 
~部室にて~
 
キョン「遅くなったな」
 
古泉「今日は随分遅かったですね」
 
キョン「あぁ。野暮用があってな」
 
長門「……」
 
古泉「そうでしたか。ご苦労様です」
 
キョン「男からの労いの言葉はないな」
 
古泉「それはすいません」
 
みくる「あのぉ~」
 
キョン「なんですか?」
 
みくる「涼宮さんは一緒じゃないんですかぁ?」
 
長門「……」
 
古泉「……」
 
キョン「……あいつは。……長門」
 
長門「何?」
 
キョン「ちょっと廊下にいいか?」
 
長門「……」コク
 
~廊下にて~
 
ガチャ
 
キョン「あのよ、あいつ今屋上にいるんだ」
 
長門「……」
 
キョン「あいつのそばに行ってやってくれないか?」
 
長門「何故」
 
キョン「ん?」
 
長門「何故、彼女ではダメだったの?」
 
キョン「なんだ、知ってたのか」
 
長門「何故?」
 
キョン「先に好きになっちまったやつがいるんだ。ほんとに、ただそれだけだ」
 
長門「そう。行ってくる」タタッ
 
キョン(悪いな)
 
~部室にて~
 
ガチャ
 
古泉「随分お疲れのようですね」
 
キョン「ちょっと精神的にな」
 
古泉「そうですか」
 
キョン(……あいつの方が辛いよな)
 
みくる「大丈夫ですかぁ?」
 
キョン「俺は平気ですよ。俺は」
 
みくる「でも辛そうですよ?」
 
キョン「大丈夫ですよ。朝比奈さんのお茶を頂ければすぐ良くなります」
 
みくる「キョン君がそういうならぁ」トテトテ
 
古泉「……」
 
キョン「……」
 
みくる「どうぞ、キョン君」
 
キョン「ありがとうございます」ズズ
 
みくる「……なんだかよく分かりませんけど、元気出してくださいね?」
 
キョン「……えぇ」
 
キョン(俺が言われるべき台詞じゃないよな)
 
古泉「……朝比奈さん、たまには一緒にオセロでもいかがです?」
 
みくる「いいですよぉ」
 
古泉「では早速」カタ
 
みくる「手加減してくださいねぇ」
 
古泉「ふふ。盤面には男も女も関係ありませんよ」
 
~一時間後~
 
古泉「……」
 
みくる「やった♪また勝ちましたぁ♪」
 
ガチャ
 
古泉「……おかえりなさい、長門さん」
 
長門「……」
 
キョン「長門……」
 
長門「大丈夫。でも今日はもう帰る」
 
キョン「そうか。わかった。よろしくな」
 
長門「……」コク
 
ガチャ
 
みくる「え?あのぉ~、どういうことですかぁ?」
 
古泉「ふむ。朝比奈さんがご存知ないということは、今回のことは未来で想定の範囲内ということですか」
 
みくる「ふぇ?」
 
キョン「おい、古泉。お前もしかして」
 
古泉「いったいどうしました?」ニコ
 
キョン「……なんでもねぇよ」
 
みくる「わ、わたしにも教えてくださいよぉ~」
 
キョン「今回はいくら朝比奈さんでもちょっと」
 
みくる「仲間はずれですかぁ?」
 
キョン「禁則事項です」
 
みくる「……そう言われると言い返せませんよぉ」
 
キョン「はは、スイマセンね。来たばっかで悪いですけど、俺帰ります」ガタ
 
古泉「一つだけいいですか?」
 
キョン「なんだ?」
 
古泉「長門さんに感謝してくださいね?」
 
キョン「分かってる。じゃあな」
 
ガチャ
 
~次の日の朝~
 
キョン(昨日の今日だし顔合わすのは辛いな)
 
ガラガラ
 
ハルヒ「……おはよ」
 
キョン「お、おう」
 
ハルヒ「……」
 
キョン「……」
 
 
キョン(ダメだ、耐えられん)
 
ハルヒ(……今言わないと)
 
ハルヒ・キョン『き、昨日のことだけど』
 
キョン「あ」
 
ハルヒ「な」
 
キョン「あ、あぁっと。先いいぞ」
 
ハルヒ「う、うん」
 
ハルヒ「昨日のことだけどね、やっぱり忘れてなんて言えない。言いたくない。でもね、気にしないでほしいのよ」
 
キョン「……」
 
ハルヒ「あたしたちがギクシャクしたら、SOS団にも迷惑かかる」
 
キョン「そうだな」
 
ハルヒ「だから今まで通りでいてほしいの。あたしが馬鹿やったら、あんたがそれを止めて、有希や古泉君に助けてもらって、みくるちゃんは……よくわかんない」
 
キョン「それは朝比奈さんに失礼だろ?」
 
ハルヒ「冗談よ」
 
キョン「ったく、とはいえそれには賛成だ」
 
ハルヒ「……」
 
キョン「虫のいい話だが、俺も同じ事を言おうと思っていた」
 
ハルヒ「うん」
 
キョン「そういうわけだ。これからもよろしくな。団長さん?」
 
ハルヒ「よろしく。今まで以上に引っ張りまわしてやるわ」ニコ
 
キョン「それは勘弁してくれ」
 
~放課後・部室にて~
 
ハルヒ「昨日は来れなくって悪かったわね!」
 
古泉「いえいえ。団長にも休みは必要ですよ」
 
みくる「はい、涼宮さん。お茶です」
 
ハルヒ「ありがと。そうだ、みくるちゃん!」
 
みくる「ふぇ?なんですかぁ?」
 
ハルヒ「昨日、ネットで面白いもの見つけたのよ!」
 
みくる「面白いものですかぁ?」
 
ハルヒ「ふふ、そのうち届くから楽しみにしといてね」ニヤ
 
みくる「なんだか、笑い顔が怖いですよぉ~」アセ
 
ハルヒ「それと今週末も団活は中止」
 
古泉「おや?」
 
ハルヒ「キョンが用事あるんだって。でしょ?」
 
キョン「あぁ、悪いな」
 
ハルヒ「悪いと思ってるなら今すぐにみんなにジュース買って来なさい。あたしは百パーセントのオレンジね」
 
キョン「な!」
 
古泉「ぼくはコーヒーを。微糖がいいですね」
 
キョン「おい」
 
長門「カルピス」
 
キョン「長門まで」
 
みくる「わ、わたしは何でもいいですよぉ」
 
キョン「はぁ、分かったよ」
 
ガチャ
 
~廊下にて~
 
キョン「全く人使いが荒いな」
 
キョン(……今日は火曜日か、佐々木は俺の返事を土曜まで、どんな気持ちで待ってんのかな)
 
キョン(俺の腹は決まってるのにな)
 
キョン「……」
 
キョン「よし!」
 
prrrrrprrr……  ピッ
 
佐々木「も、もしもし」
 
キョン「よう」
 
佐々木「……やあ」
 
キョン「お前に電話かけるのがこんなに緊張したのは初めてだ」
 
佐々木「僕も電話に出るのをためらったのは初めてだよ」
 
キョン「そうか」
 
佐々木「うん」
 
キョン「昨日な」
 
佐々木「え?」
 
キョン「昨日な俺、学校で告白された」
 
佐々木「……」
 
キョン「でも、無理だって言ったよ」
 
佐々木「……」
 
キョン「俺は他に好きなやつがいる、ってな」
 
佐々木「……」ポロ
 
キョン「そしたら、もし自分が先に告白したらどうだったか聞かれた」
 
佐々木「……」ポロ
 
キョン「そう言われてやっと気付いたよ。……ずっとお前がいたんだな、って」
 
佐々木「……」ポロポロ
 
キョン「俺の横に、俺の自転車の後ろに、俺の今までの思い出に、いつもな」
 
佐々木「……」グス
 
キョン「電話なんかですまない。どうしても今すぐ言いたかったんだ」
 
佐々木「……」ポロポロ
 
キョン「俺と付き合ってくれないか?」
 
佐々木「な、何年、何年待ったと、おも、ってるんだい?」グス
 
キョン「恋は精神病なんだろ?お前を病気にするのは気が引けてな」
 
佐々木「……ほんとに馬鹿だよ」
 
キョン「どうだ?なかなか頭の回転も早くなっただろ?」
 
佐々木「……キョン?」
 
キョン「なんだ?」
 
佐々木「会えなかった一年分、甘えさせてくれるかい?」
 
キョン「喜んで」
 
佐々木「……待っててよかった」
 
キョン「光栄だ」
 
佐々木「大好きだよ。キョン」
 
キョン「俺もだ」
 
~Fin~
 
 

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