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言霊というものをご存知だろうか?
自分の言った言葉に精霊が宿るという霊的なアレである
祝詞を奏上する時には絶対に誤読がないようにされるほど、日本古来から伝わるものだ
それほど言葉を発する際には注意しなければならないというのを、改めて実感した


事の発端はいつもの部室でのやりとりである

「コラー! 逃げ回らないでさっさと新作ミニスカメイド服に着替えるのよ!
「ひえぇ~ それはいくらなんでも嫌ですぅ~」

……いつものやりとりである

「ハルヒ、仮にも女子高生なんだからもうちょっとおしとやかにしたらどうなんだ」

あえてコスチュームについては言及しない

「高校生だからなのよ! あんたももっと体動かしたらどうなの
 最近体なまってるんじゃない」

……処置ナシ、言っても無駄か

「小さい子供がはしゃぎまわってたら、少しは可愛いと思うけどな」

ここでスタンドが宿った 多分自動操縦型だろう

「へぇ、そう……」

ん? ちょっと待て何考えてやがる
と、声に出す前に、長門の本が閉じられ、部活が終わり
いつもの道を下って、家で何時間か過ごした後、就寝によって俺の一日は終了した




───のバカ!─さっさと起きな──バカキョン!───

明らかに妹のものではない怒鳴り声で、目が覚めた

「……誰もいない?」

見慣れた部屋を見渡しても、発言元は見当たらなかった
夢にまでズカズカ入り込むなんてどこまで横暴なんだお前は……
と、まだ大分余裕がある時間であることに気づき、再び枕に顔を埋めようと──

「下よ下! 灯台下暗しにもほどがあるわよ!」

……ん? 声のトーンは高くなってるがこの声はいつも俺が聞いているアイツの……

「……って! ハルヒ!? なんでお前がここに!? いやそれよりも何だそりゃ!?」

俺の目に映ったのは枕の横に佇む直径10cmほどのハルヒだった

俺の疑問にハルヒは少し鬱陶しそうに

「知らないわよ! あたしが目覚めたらあんたの枕の横にいたのよ!」
と答えた

しかしこうして親指姫サイズとなったハルヒは少しクルものがあるな……
性格は540度くらいひねくれてるが

「全く、夢にしてもやりすぎよ!
 ほんの少し小さくなりたいと思っただけ…… ってうっさい!!何でもない!」

最近はそういうノリツッコミが流行ってるのか? と思いつつ
不思議現象に詳しい○○大学の名誉教授に……ではなく

「あーもしもし長門か?少し複雑な事が起こってな……」
いつもの仕事人に依頼の電話をかけた

「分かってる」

とだけ返ってきたとなれば、多分もうすでに歩く攻略本と化しているだろう

「涼宮ハルヒの願いが微弱であったため、半日もしないうちに元に戻る」

それを聞いて安心したぜ
ついでに古泉と朝比奈さんに今日の町内探索は中止と言ってくれ

「了解した」

これでまずは、一安心……と思い振り返るといるはずのハルヒがいない

「んー?おかしいわね。 健康的な高校男子生徒はベットの下にアレの一つや二つは……」

ベットの下からそんな声が聞こえてきた
ちょっと待て今日は俺の部屋探索か

「ちょっとキョン!さっさとアレの場所を吐きなさい! どうせ持ってんでしょ!」

ひでえ言われようだ
あいにくそんな俗物で済ませる俺じゃないさ
たまにお前の姿を……ゲフンゲフンッ!
今日は久々に不思議な事が起こったから頭が変になってるだけさ、きっとそうさ

やはり思考中というのは感覚が鈍るらしい
俺が部屋に闖入してきたものに気づかなかったのもそれが原因さ

「あら、シャミじゃない」

と、ここでようやく俺の背後にいたシャミセンに気が付いた
まずい、この頃シャミは少し不機嫌で物に当たりやす───

そう気が付いたのは、俺の脚の間を通り抜けたシャミが一直線にハルヒに向かっているところだった

「えっ?きゃっ、ちょっと!?」

やばい、猫といえど今のハルヒにとってはライオン以上の猛獣だ、下手したら死──!

ぱくっ

……どうやら杞憂に終わったようだ
俺の目に映ってるのは、子猫を運ぶように口で服の襟をくわえられ
目をパチクリさせながらぶら下がっているハルヒだった

「なっ……ちょっと!降ろしなさいシャミ!」

顔を真っ赤にして手足をジタバタさせているハルヒは、どこか微笑ましかった

「キョン!あんたも笑ってないで助けなさい!」

より一層暴れだしたハルヒ出したのが原因なのか、シャミが急に体を振り始めた

きゃあ、とか やああ、 とか今後二度と聞かないだろうハルヒの声を聞きながらも

あれで壁とかに飛んでいったりしたら……ケガどころじゃ済まねぇだろ!

と危機感を感じ、シャミを取り押さえようと手を伸ばした瞬間

ぱっ

俺の目が捉えたものは───

「ハルヒッ!!」

───ハルヒがやや低く弧を描きながら宙を舞った姿だった

───や、ばい! 間に合え!
必死の覚悟で落下地点に両手を伸ばそうとして……
手を止めた


ぼすっ

……よく考えれば、あいつはそんな簡単に死なないよな……

ため息をつきながら、部屋を出て行くシャミを横目で見送った後

(──もがー! キョン!早く助けなさい!)

狙ったように頭からベットの上の枕の下へ潜り込んだハルヒをどうするか考えた

…さてどうしよう、結構深く潜り込んだらしいので自分からは抜け出せないだろう
ここでハルヒが「ぷーさんでーしゅ!ぷーさんでーしゅ!」
「はちみつがたべたいでしゅー!」
「うわあー!穴から頭が抜けなくなっちゃったでしゅー!」
とか言えば何かを見出せるかもしれんな

だがこうしたままでは流石に窒息死の可能性もないとは言えないので
素直に抜いてやることにした コラッ、暴れるなっ

「ぷはっ! ちょっと!団長様が困ってんだから早く助けなさいこのバカキョン!」

原因はお前の些細な願望だろうが

「はぁ……疲れたわ、降ろしてちょうだい」

流石に暴れすぎて少し疲れたようだ
ちょこんと手にハルヒを乗せてゆっくりとベットの上に落としてやった

「ん……眠たいから少しばかり寝る。 変なことしたらぶっとばすわよ……」

この年でお人形ごっこはしねえよ

ハルヒの眠気が俺にも感染したのか、急に眠たくなりベットに顔を埋めた

「次は……みんな……で、来るわ……よ……」

その声を最後に俺の意識は消失した



本日二度目の驚きは目覚めた瞬間やってきた
「ふえぇっ? な、なんでわたしこんなところにいるんですかぁ?」
「やあ、僕は確か街を歩いていたはずなのですか。 何故こんな状況になっているのでしょう」
「……シンプル」

目の前の小人は、俺の部屋を見渡しながら口々に喋っていた

「さあ!今度は皆で探すわよ! 絶対何かの1つや2つは出てくるはずよ!」


……頼むから、勘弁してくれ
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