ハルヒ「東中出身涼宮ハルヒ、この中に魔術師、呪術師がいたら私の所に来なさい!以上」
 
これが俺と涼宮ハルヒとの出会いであり、俺が魔術に翻弄される事になったきっかけである
 
涼宮ハルヒは手品師だ、休み時間は教室にはいないが朝のホームルームが始まるまでのちょっとした時間で、まるで魔術のような手品を披露する
確かにどれもすごいのだが、どうも物足りない気がするのは俺だけらしい
中学から涼宮ハルヒと同じクラスの谷口曰く
谷口「気のせい気のせい、あいつの手品は一級品だぜ。プロからも誘いを受けてるらしいぜ」だそうだ
まぁ確かにすごい、それは認めよう。だが俺一人がつまらなさそうにしていたのが気に入らない涼宮ハルヒは俺に話し掛けてきた
ハルヒ「あんた、あたしの手品じゃ満足できないみたいね」
キョン「あぁ」
ハルヒ「本気で言ってんの?」
キョン「確かに技術はそうとうなもんだが、何かが物足りないのだから仕方ない」
ハルヒ「何かって何よ」
キョン「俺が知るわけないだろ」
ハルヒ「……っ!」
国木田「相変わらずだねキョン」
キョン「何がだ?」
国木田「そのいつも物足りなさそうな目だよ、やっぱりキョンを満足させられるのは彼女だけだね」
キョン「あいつのを見たらどんな手品も物足りないさ、あいつのは本物の魔術だからな」
そうだ、あいつの親友の手品だけが俺の心に火を灯してくれる
親友曰く、魔導書とやらと契約すれば誰にでもできるらしい
実の所魔導書は俺も持っている、かの死霊秘宝の写本だ。親友に相談したところ俺にはあっていないらしい。
さらに力ある魔導書は必ずしも書の姿をしてるとは限らないとも
 
そんなこんなで1ヶ月が過ぎ涼宮ハルヒは俺を満足させるのに躍起になっていた
すでにこの学校では俺以外の奴は涼宮ハルヒの手品を認めたようである
そしてついこんなことを言ってしまったのだ
キョン「一人で駄目なら他の奴の力を借りたらどうだ?」と
するとどうだ、部活を作るとか言い出しやがった。やれやれ、勝手にしろと言いたかったのだが、休み時間に連行されて新クラブ作りを手伝わされるハメになったわけだ
ハルヒ「あんたにあたしを認めさせるためのクラブだから協力しなさい」だと
で放課後、俺が連行された先は文芸部だった
 
文芸部、部員1名で廃部寸前の部だった
ハルヒ「ここがあたしを認めるまであんたを閉じ込めておく部室よ」
キョン「やれやれ、勘弁してくれ。あぁええっと部長さん?」
長門「長門有希」
キョン「あぁ長門さんとやら、こいつがここを新クラブの部室にするだとか俺を閉じ込めておくだとか言ってるがいいのか?」
長門「構わない」
キョン「追い出されるかもしれんぞ?」
長門「いい」
キョン「……」
ハルヒ「ほらこの子もいいって言ってるんだから。あんたは雑用係兼たった一人の観客よ」
キョン「はぁ仕方ない、わかった。だがこれ以上協力せ…ハルヒ「じゃあ明日の放課後までに手品ができるようにしといてね」……聞く耳を持たないか……」
 
とまぁ俺に有無を言わさず協力させられるハメに……
明日の昼休みでいいか
 
翌日の昼休み、考えてきたレイアウトで部室を整理する。長門は昨日と同じ場所で本を読んでいた
 
キョン「これでよしっと」
長門「……」
長門が無言でこっちを見ている
キョン「どうした?」
長門「……何も」
気になる視線だったがまぁいいだろう
 
放課後
 
涼宮ハルヒは協力者と称して女子を一人連行してきた。その女子は2年で先輩だ、名前は朝比奈みくるさん
みくる「ふぇぇぇ、何ですかここ。何で私連れて来られたんですかぁ」
ハルヒ「みくるちゃん、あんたはあいつを満足させるために連れてこられたの。これからは毎日ここに来なさい」
みくる「そんなぁ、私書道部に入ってるんですよぉ」
ハルヒ「じゃあそこ辞めて」
みくる「えぇぇぇ」
キョン「おい涼宮、それは無茶苦茶だ!」
ハルヒ「あんたのためにやってるんだから黙ってなさい」
長門「……」
みくる「あっ……そっかこれがこの時間平面の……わかりました、書道部は辞めて毎日ここに来ます」
ハルヒ「じゃあ決まりね!キョン、これじゃあ手品できないからやり直しね!」キョン「なん……だと!?」
 
はぁ、やれやれどうなってしまうんだ……俺の高校生活よ……
 
次の日も俺は部室のレイアウトの変更をする
気のせいだろうか、バニー服がかけられているのだが……
 
長門「……これ」
キョン「ん?」
長門「……読んで……貸すから」
キョン「……あぁわかった」
長門「……」
 
なんだろうか、この本どうも不気味だ。しかし俺は似た気配を知っている、そう死霊秘宝の写本に似ているんだ
読まない方が身のためだな
 
そして1週間が経った
毎日毎日ダメ出しばかりで部室の模様替えに飽きてきたころだ
長門「……読んだ?」
キョン「何を?」
長門「……本」
キョン「あぁスマン、まだだ」
長門「……今日読んで」
キョン「わかった、読んでみるよ」
 
キョン「そんなにいいものかね、こんな不気味な本」と呟きながら、パラパラとページをめくると栞が挟んであった
午後7時光陽公園にて待つ
まさか!
 
キョン「すまん待ったか?」
長門「別に」
 
そして俺は長門邸へと招かれた
招かれたのはいいがどんな話しがあるのだろうか
……しかし殺風景な部屋だな、リビングの家具はコタツだけでカーテンすらない
座って待っていると長門がお茶を煎れてくれた。ズズッ……まぁまぁウマイ
キョン「それで何の用だ?」
長門「……涼宮ハルヒのこと、そして私のこと」
キョン「……」
長門「上手く言語化できない、情報にソゴが発生するかもしれない」
キョン「聞いてみないとわからない」
長門「……わかった。まず涼宮ハルヒと私は普通の人間ではない」
キョン「そりゃ普通じゃないだろ」
長門「性格が普遍的という意味ではなく、言葉通りの意味。私はあなた達の言葉を借りて言うなら精霊という事になる」
キョン「……(何か電波話しをおっぱじめやがった)」
長門「私はこの宇宙が創世されたころに書かれた宇宙の書と呼ばれる本の複製。」
キョン「その話しが本当だとして何故人間の姿をしている」
長門「私のような力ある魔導書は必ずしも書と言う形を取る必要性がない」
 
キョン「わかったよ、で涼宮のほうは(これ以上付き合いきれん)」
長門「3年前この辺境の惑星で大きな情報爆発が起こった。それを感知した宇宙の書はこの惑星の調査を始めた。そして一つわかった事がある」
キョン「……」
長門「この情報爆発の中心に涼宮ハルヒがいた……
そして私は涼宮ハルヒを調査するため作られた写本の一つ」
 
キョン「信じられんな」
長門「……信じて」
キョン「聞かせてくれ、仮にお前が魔導書だったとしてもう誰かと契約したのか?それと何故俺ではなく涼宮に話さない」
長門「……私は誰とも契約していない。涼宮ハルヒに話すのは危険であると宇宙の書は判断した」
キョン「では何故俺なんだ?」
長門「涼宮ハルヒがあなたを選んだから」
キョン「なぜ?」
長門「あなたが涼宮ハルヒを認めなかったから」
キョン「つまらんもんはつまらんのだから仕方ないだろ」
長門「……」
キョン「そうかい……スマンが今日のところは帰って少し考えさせてくれ」
長門「わかった」
 
確か親友も言っていたな、魔導書は必ずしも本という形を取っているとは限らないと
しかもある程度魔術の事を知れば知っていて当たり前らしい
という事は、仮に長門が魔導書でなくとも涼宮が望んだ魔術師か呪術師になるわけだ
そしてこの事を話すのは何か危険であるとあいつの親玉は判断したらしい
やれやれ、まぁいいかとりあえず今日はもう寝よう
 
翌日、涼宮が転校生がどうのと騒ぎ始めた
まぁ確かにこの時期に転校ってのも珍しいが、騒ぐほどのことかと
 
で、放課後その転校生とやらを部室に連れてきた
その転校生は古泉一樹と名乗った、無論俺が本名で名乗ろうと思ったら涼宮に邪魔された事は言うまでもない
 
長門「……」
みくる「あっ……」
古泉「なるほど、これは素晴らしいですね。さすが涼宮さんです」
ハルヒ「さぁこれでメンバーが揃ったわね」
キョン「どういう事だ」
ハルヒ「遅くなったけど、我がクラブの名前を発表します!」
S ekaiwotezinade
O oinimoriageru
S uzumiyaharuhino

略してSOS団、活動目的魔術師、呪術師を探して一緒に遊び、技術を高め合う
という事らしい、おい俺にお前を認めさせるという目的はどこにいった……
 
こうして結成されたSOS団その初めての週末、涼宮ハルヒはインスピレーションを高めるため市内散策をすると言い出した
当日待ち合わせ15分前に着いたのに全員揃ってて罰金刑を宣告された
今日1日喫茶店での支払いは全部俺持ちだ……まったくやってられん
午前と午後くじ引きで二手に分かれる事になった、何でも新しい手品を思いついたり不思議な事を探すんだと、ただの市内散策と思ってたのに……。
午前の組み合わせが涼宮、長門、古泉の3人。俺、朝比奈さんの2人だ
なるほどこんないい事が待ち受けていたのか、なら喫茶店の奢りも安いものだ
こんな市内散策真面目にやるのもアレなので、気分転換に河川敷に行くことにした。しかしここでも電波話を聞かされるとは思いもしなかった
 
みくる「キョンくんお話しがあります!」
キョン「……何でしょう」
みくる「……」
キョン「……」
1時間くらい経っただろうか、朝比奈さんはその重い口を開き始めた
みくる「私この時代の人間じゃないんです、うぅん人間というのも違う。私は様々な時間を旅する本なんです!」
宇宙の次は時間ですか……、この手の話はもう腹一杯なんだが
みくる「私は時間の書という魔導書の写本なんです」
キョン「何で俺にそんな事を話すんです?それにその姿で人間じゃないと言われても信用できませんよ」
みくる「……禁則事項です、この姿でいられるのは私が力を持った魔導書だからです」
キョン「では何のためにこの時代に?」
みくる「この時間から3年前、大きな時空振動が観測されたの。その中心にいたのが」
キョン「涼宮ハルヒですか?」
みくる「どうしてわかったんですか!?」
キョン「先日似たような話しを聞きましてね」
みくる「そうですか。続けますね。調査に来て私達は驚いた、力ある契約者がいない私達ではどうやっても3年前から過去に行く事ができなくなったの」
 
その後俺はいくつか朝比奈さんに質問したが、契約者はいるのか?という質問以外すべて禁則事項だった
そして朝比奈さんはこの時代の契約者を探しているのだと言う
あぁ頭が痛い、この自称魔導書の精霊とやらと契約することがない事を祈る
 
その後涼宮からの呼び出しで一旦集合する事になった、やれやれまだ時間じゃないってのにせっかちだねまったく
ハルヒ「何か収穫は?」
キョン「何も」
ハルヒ「……まぁいいわ、そんな簡単にいったらつまんないからね」
 
午後の組み合わせ、涼宮、朝比奈さん、古泉の3人
俺、長門の2人だ
二手に分かれた後長門に少しは信じても良いと伝えた
やることも無いので、図書館へ行き暇をつぶすことにする。道中長門から契約者を探しているという話しを聞いた
だから何故俺にそんな話しをする、そんなに俺をそっちの世界へ引きずり込みたいか!!
集合時間30分前、長門は床に根を生やしたように動かない!必死に説得し貸出カードを作ってやって図書館を出た
勿論、出たのは集合時間ちょうどだ、一回だけ涼宮からの電話に出て俺たちは集合場所へと急いだ
涼宮に特に何も無かったと報告し解散、別れ際に朝比奈さんから
みくる「今日は話しを聞いてくれてありがとう」
とお礼を言われた
さて俺も帰るとするか、気分転換に死霊秘宝写本でも読んでいよう。宇宙の書だとか時間の書だとかワケがわからん
まっ一度整理するかやれやれだ、まったくやれやれだ
 
週明け月曜日の放課後
 
もしもだもし俺の予想が当たっていれば古泉は……
キョン「古泉、お前も俺に話しがあるんじゃないのか?」
 
古泉「お前もと言うからには他の二人からも既にアプローチを受けているようですね」
キョン「単刀直入に聞く、お前は何の写本だ?」
古泉「と言いますと?」
キョン「他の二人はそれぞれ宇宙の書、時間の書という魔導書の写本と俺に言った」
古泉「だから僕も魔導書ではないか、そう思ったわけですか」
キョン「違うのか?」
古泉「いいえ、あっていますよ。ただ今は超能力の書と言う事でお願いします。何の書かはまたいずれ」
キョン「で、お前は涼宮を何だと思ってる?」
古泉「涼宮ハルヒは、我々のような特殊な魔導書の母ですよ」
キョン「どういうことだ?」
古泉「3年前、僕達は突如生み出された。手品、マジックを超えた魔術を行使する力としてね」
キョン「……」
古泉「ですが涼宮ハルヒに我々は選ばれなかった」
キョン「何故だ」
古泉「簡単です、涼宮ハルヒは既に自身の専用魔導書を生み出し契約していたのですよ」
キョン「はぁ?どういうことだ、あいつは魔導書なんか持ってないぞ」
古泉「あなたも分かっているはずです、力ある魔導書は書と言う形を取る必要性がないことを」
キョン「じゃああいつの魔導書はどこにある」
古泉「深層意識です、この話しもまた改めてする機会もあるでしょう。他に何かありますか?」
キョン「あいつの魔導書の力はなんだ?」
古泉「世界改変です」
 
キョン「世界改変?」
古泉「そうです、他にも人を楽しませる力もあります。ですがただ一人魔術の効果が無い事がわかりました」
キョン「それは誰だ?」
古泉「分かってて聞いているのか判断に迷いますがあなたですよ」
キョン「なんで俺なんだ?」
古泉「それはこちらが聞きたいくらいです」
キョン「そうかい、じゃあ世界改変のほうは?」
古泉「それもまた後日という事でお願いします」
キョン「わかったよ、一つ聞いていいか?」
古泉「何でしょう」
キョン「契約ってどうやるんだ?」
古泉「んっふ、接吻です」
キョン「……」
 
俺はこの時全力で思った!こいつとだけは契約したくないと!!
 
次の日一通の呼び出しの手紙を受け取った
 
放課後教室で
 
の一言だけだったが女の字であることはわかった
 
放課後教室にきてみると以外な人物がいた、クラス委員長の朝倉涼子だ。
上がどうたら涼宮がどうたら言いだし、俺を殺して出方を見るとか物騒な事を言い出した
俺の取る行動は一つ!逃げる!!と思い出入口の方に振り向いた刹那風景が変わった
壁は一面鉄の壁になり、出入口も消えていた。机や椅子を投げるなど抵抗を試みるがダメだ、何かの障壁に阻まれ朝倉に届かない
朝倉のナイフを2回3回となんとか躱していたが、終わりは唐突に訪れた
そう動きを封じられたのだ、そして俺は人生を振り返り覚悟を決めたその時
鉄の壁に亀裂がはいった、否厳密には壁ではない空間に亀裂が入った。その亀裂から現れたのは長門だった
俺を殺そうと突進してくる朝倉の前に立ちはだかりそのナイフを掴み朝倉の動きを止めた
長門「一つ一つの術式が甘い、だから私に気付かれる、侵入を許す」
朝倉「もう見付かったんだ、結構苦労して作ったのに残念」
長門「あなたは私のバックアップ、単独行動は許可されていない」
朝倉「バックアップねぇ、契約者のいないあなたに言われても良くわからないな」
長門「……宇宙の書・副題朝倉涼子を敵性と判定、魔術情報連結の解除を申請する」
朝倉「無駄よ、いくらあなたでも今の私には勝てないわ」
長門「……#>&%=@\*###」
朝倉「……#!":;<=%&>@」
キョン「おい長門これは一体!」
長門「動かないであなたは私が守る」
朝倉「契約者がいないままでいつまで持つかな」
長門「……」
 
どうみても長門が不利だろ、朝倉は攻撃に集中できるが長門は俺の前で障壁を作り防御するだけで精一杯だ
朝倉「これで止めね」
長門「……!」
……やっぱり俺の命もここまでか……
長門「○○○○、宇宙の書・副題長門有希は汝と契約する」
キョン「うむっ!」
あぁ接吻だこれは間違いなく接吻だ、てことは何か?俺は長門と契約したってことか……はぁもうどうにでもなれ
 
朝倉「そんな!こんな人間を主にするなんて!え?なに私の空間が……、そっか入って来る前に交換因子を……」
長門「あなたは優秀、だからここに来るのに手間取った」
朝倉「あ~ぁ、もう少しだったのに残念。よかったわね延命出来て、涼宮さんとお幸せに」
 
キョン「長門、説明してくれるんだろうな」
長門「問題ない、契約は正確に執り行われた」
キョン「そういう問題じゃないんむっ!」
ガラッ
谷口「ういーす、WAWAWA忘れもの~うおっ!」
キョン(父さん、言い訳できません……)
谷口「すまん……ごゆっくりぃぃ!!」
キョン「どうするかな」
長門「任せて情報操作は得意、但し私の力を使うときは毎回接吻を要求する」
キョン「……わかった何もしなくていい」
長門「了解した、主の命は絶対」
 
はぁやれやれ、どうすりゃいいんだこれから
 
ハルヒ「……帰る!みくるちゃん明日は撮影するから!!」
みくる「えぇぇ、またバニーさん着るんですか?」
ハルヒ「何のために持ってきたと思ってんのよ」
みくる「わかりましたぁ」
 
古泉「さて、では我々も解散しましょうか」
キョン「そうだな」
長門「……パタン」
みくる「じゃあ私は着替えますので」
キョン「はい、それではまた明日」
みくる「はい」
古泉「そうそう、お見せしたいものがあるんですが、時間ありますか?」
キョン「なんだ?見せたいものって」
古泉「それは着いてからのお楽しみです」
 
そういう古泉にホイホイついて言ったのが全ての間違いだった
まさか、こいつと……
 
車で移動する事になった俺と古泉、なんでも車は古泉が所属する機関とやらのものだと言うことだ
現場に着くまである程度の説明を受けた
古泉が機関で唯一契約者がいない魔導書であること
閉鎖空間とやらが俺に見せたいものだということ
 
古泉「着きましたよ」
キョン「あぁ、でどこにその閉鎖空間とやらがあるんだ?」
古泉「目の前です、早速侵入しますので目を閉じていただけますか?」
キョン「わかった」
目を閉じてじっとしていると、急に手を捕まれた、気持ちわるい放せ
古泉「もう目を明けて頂いて結構です」
キョン「……灰色の空間……」
古泉「ここが閉鎖空間です、もうすぐアレが出てきます」
キョン「さっき言ってた神人とやらか」
古泉「えぇ、戦闘になる前に僕が何の写本かお教えします。僕は涼宮さんが持つ魔導書の写本です」
キョン「どういう事だ」
古泉「涼宮さんの潜在意識が生み出す閉鎖空間と神人、これについて記されたのが僕たち神人断章なのです」
キョン「なるほど」
古泉「僕の力もそろそろ限界でして、契約者が必要なんですよ」
キョン「それはつまりお前とキスしろと?」
古泉「んふ、いいえ接吻です」
キョン「どっちも一緒だろ」
古泉「接吻とは言いましたが唇を重ねる接吻とは言っていませんよ」
キョン「なんにせよ、お前となんてごめんだ」
古泉「仕方ありませんでは、右手を失礼します」
と言うと、古泉はまるで騎士が王国の姫に忠誠を誓うかのような接吻を俺にしやがった
あぁ気持ち悪い忌々しい
 
古泉「これで僕はあなたの魔導書です。間もなく神人が現れますそこで見ていてください」
 
そういうと蒼く発光する巨大な化物が現れた、それを古泉含む5つの赤い球が即座に倒してしまった
閉鎖空間がの崩壊とともに俺達は現実空間に戻ってきた
何度もみたいとは思わないが……これは確かにすごい……親友の魔術よりな!
 
こうして俺と古泉は契約する事になったのだ、もう一度似たような事が起こりそうだが、これはまた別のお話だ
 
自称、宇宙の書の写本
自称、時を駆ける時間の書
自称、変態の書……神人断章
 
どいつもこいつも俺に見せつけてくれたよまったく
そして成行上契約したのが、宇宙の書と神人断章
時間の書とは契約するんだろうか
 
イキナリだが放課後、朝比奈さんにまた呼び出された。なんでも契約して欲しいとのことだ
で、俺はその誘惑に勝てるワケもなく契約しようとしたその時だ
ハルヒ「あらキョンにみくるちゃん、いつの間にそんな仲になったの?ふぅん……」
寸前でハルヒが来た
その後俺は「二度と来るな!」の一言とともに部室を追い出された
まったくワケがわからん
仕方ないので今日は帰る事にする
テレビを見る、晩飯を食う、そして今日も1日ご苦労さんって事で寝る
 
次に目覚める時そこは俺の部屋ではないとは夢にもおもわずに……
 
???「キョン、キョン!起きてよキョン!」
キョン「うぅん」
???「起きろってんでしょうが!」
キョン「はっ!」
目覚めると涼宮が俺を覗きこんでいた
ゆっくり体を起こし辺りを見回すとそこは、灰色の世界、学校、何故か制服……おかしい俺は部屋で寝ていたはずだ
ハルヒ「気がついたらここにいたのよ、ねぇキョンここどこなの?」
キョン「さぁな」
ハルヒ「あんまり驚いてないのね」
驚いてるさ、朝比奈さん(大)が言っていた事が起こってるんだからな
キョン「古泉を見なかったか?」
ハルヒ「え?古泉君?見てないけどどうして?」
キョン「いや、何となくな」
魔導書とその主は常に一つだと親友から聞いた事がある……なのに誰もいないとはな、それだけここがヤバイところって事か
 
涼宮とともに校内を探索していると、以前涼宮が見せた手品とその種が事細かく幻として俺達の目の前にあらわれた
なるほど、一見単純に見えた手品の数々もかなり凝っているのがわかる
そして涼宮が、ハルヒが全ての人を楽しませたいと言う気持ちが俺にも伝わってきた
これがハルヒの持つ魔導書の力なのだろうか、この魔導書の使い方は知らないままの方がいいのかも知れない
そんな事を考えている間に部室に到着した、一息入れるためお茶を煎れいつものパイプ椅子に座る
さすがのハルヒも今回ばかりは相当不安らしい、何も言わなくても部室に入れてくれた
 
ハルヒ「ちょっと探検してくる、他にも面白い事があるかもしれない」
キョン「あぁ」
しかしなんだな、切望していた魔術師が自分だとは考えもしないんだろうなあいつは
古泉「彼女はあぁ見えて常識ある人ですからね」
キョン「おっやっと来たか」
古泉「お待たせして申し訳ありません、今回の閉鎖空間は特別です。仲間の力を借りてやっと侵入できました
  もしあなたと契約していなかったら恐らく誰も侵入できなかったでしょうね」
キョン「ほう」
古泉「自身を認めないあなたに業を煮やしていたタイミングでやってくれましたからね」
キョン「何のことだ?」
古泉「時間の書写本と契約しようとしていましたね?」
キョン「あぁ」
古泉「それが今回の閉鎖空間のトリガーになってしまったんですよ」
キョン「何でだ?」
古泉「まったく僕の主は何故こうも鈍感なのでしょう」
キョン「何か言ったか?」古泉「いいえ、なにも。それはそうと長門有希、朝比奈みくるからの伝言です
  朝比奈みくるからは、私のせいですごめんなさい。長門有希からは魔術行使の許可を……。以上です」
キョン「二人にわかったと伝えてくれ」
古泉「わかりました、僕もそろそろ限界のようです。あなた方が戻ってくる事を願っていますよ」
キョン「あぁすまんな」
 
古泉もいなくなったか
さてどうする?とりあえず俺があいつを認めている事を伝えないとな
 
ハルヒ「キョン!見てよアレ!!」
神人か、古泉もいない状態でどうする?逃げるしかないか!
キョン「逃げるぞハルヒ!」
ハルヒ「ちょっとキョン!」
こうして俺はハルヒを連れて校舎から出た、その間ハルヒのマジックショーを見せつけられるとは思わなかったが
キョン「ハルヒ」
ハルヒ「なによ」
キョン「聞いてくれ、俺はお前の手品が凄いと思いながらも、つまらんと思ってきた。何でかわかるか?」
ハルヒ「わかんない」
キョン「俺はな本物の魔術をこの目で見たことがあったからだ」
ハルヒ「あんた知り合いに魔術師がいるの?」
キョン「まぁな、でも俺はいつの間にかお前の手品に魅了され始めてた。いや違うな、実はお前が手品やってる時の髪型、つまりポニーテールに魅了されてたんだ!」
ハルヒ「はぁ?」
キョン「だから、俺はポニーテール萌えなんだよ!」
ハルヒ「だったらみくるちゃんにやってもらえばいいじゃない!」
キョン「あぁもう!お前のポニーテールじゃなきゃ萌えないんだよ!!」
勢いに身を任せ、ハルヒを黙らせるためキスした、何故だかハルヒは抵抗しなかった。それどころかその身を俺に預けているような気がした
 
……っ!
……、……、……、なんつう夢を見たんだ俺は!フロイト先生も爆笑だっぜ!
 
その後寝る事ができずいつもの時間まで悶え苦しむ事にした
学校に行くとハルヒが髪をバッサリ切っていた。何と……ポニーテールが惜しい……
が、よく見たらポニーテールだった。明らかに髪の長さが足りてないぞハルヒ
キョン「でもまぁ、似合ってるぞハルヒ」
ハルヒ「……」
そっぽを向いたままだんまりを決め込んでいたが、まぁいいさ
 
放課後部室へ行くと
長門「お帰りなさい主、私が魔術を使う前に脱出するとは思わなかった。接吻が……」
黙りなさい、そうおいそれとやられてはかなわん
長門「……そう……はぁ」
 
みくる「あっキョンくん無事だったんだ!!」
キョン「えぇ何とか帰ってこれましたよ、それより朝比奈さん。胸の谷間の辺りに星形のほくろがあるでしょ?」
みくる「へ?……ふえぇ何で知ってるんですか!何で何で何でですかぁ!」
キョン「あははは」
ハルヒ「ふふん、みくるちゃん。今日はバニー服に着替えましょうか」
みくる「またあの恥ずかしいのを着るんですかぁ」
ハルヒ「当然!」
やれやれ何が当然なんだか……
 
古泉「よく帰ってきてくれましたね。機関も僕も感謝しています」
鬱陶しい営業スマイルめ!
古泉「どうやら、僕たち神人断章の母たる彼女はこの世界であなたを認めさせる事にしたようです」
キョン「俺はハルヒを一応は認めたつもりなんだが?」
古泉「そうでした、でなければこちらに回帰できなかったでしょうし。しかし一つだけ問題があります、朝比奈みくるとの関係です」
キョン「あぁそれか」
古泉「彼女とは必要があるまで契約しない事を勧めますよ」
キョン「そうだな、またあんな世界に引きずり込まれたらかなわん」
古泉「なら早く涼宮さんに一言言ってあげてはどうです?」
キョン「……しかし、今日のコーヒーはうまいなぁ」
とまぁ魔導書と契約しちまったわけだが、俺自身が魔術を行使するのはまだ先の話しだと言う事は伝えておく
そして朝比奈さんと契約する日もまた、もう少しだけ先だと伝えておく
これが俺が巻き込まれた事件だ、そしてここでは語られなかった事柄はまた別の日に話すとしよう
 

 

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最終更新:2009年05月19日 22:43