俺は町を歩いていた。
「二人、いや、三人か」
つけられているのは判っていた。俺は鍛え上げられている。
例え、五百メートル離れていようと危険な気配は判る。
俺は、自分が重要人物である事を感じていた。
いつから?
そう、生まれた瞬間から。
世界は、俺のために生れ、俺と同時に生れた。
それが事実だった。
証拠?
俺が、そう感じるから。
「世界最重要人物」
それが俺の真実の名前なのだ。
だが、それは、機密であり誰にも知られてはならない。
あたかも、あたかも!
核ミサイルのように。
その事実が知られれば、世界の人類社会は破壊されるだろうからだ。
そう、俺は聖母マリアにも等しい存在。
だが、それを誰にも知られるわけにはいかない。
しかし、それをはじめからしっている存在がいるのだ。
それが今、俺をつけていた。
怪しい動きが、俺を追っている。
俺は交差点の角を曲がった。
世の中の九割の人間は雑魚だ。
そう生きている資格もない。
お前も、お前も、お前も、お前も!
そう、ほぼ全員がザコなのだ。
そのような相手が、どんなに追い詰められ
悲惨な運命をたどろうと、それは問題ない。
何故なら、それは、そいつの価値に見合った
正当な報いだからだ。
だが、間違っている!
俺が、つけられ、平穏な日常を失うことなど
あってはならないのだ!
それは、ねらーが全員カスである、というのと
おんなじくらい確実な事実だった。
たとえば、そこらをあるているガキ。
そのガキのあたまに、今、俺がケリを入れたとしても
母親は頭をさげ、俺に感謝する。
それが道理ということのなのだ。

        「俺は世界の主役なのだ」

その無限の事実を、俺は今、感じていた。
コンビニに入り、菓子パンを買う。
そして、その場で開き、雑誌を立ち読みながら
通りを見つめる。
読んでいるザッシは下らないマンガで、
俺は、怒りを覚えていた。
くだらない内容のものを売り、三億も
もうける。

            「これは犯罪行為だ」

良心が告げる。
だが、漫画化はしょせん犯罪者集団。
良心などはないのだ。
胸の動悸が激しくなる。
俺のX感覚が、尾行者の接近を告げていたのだ!
例えば、一日、2chにはりつき。
意味もない煽り合戦をする。
ろくでもない書き込みをする。

         「それは死刑にあたい行為」

VIPなど論外である。
俺は、VIPという言葉の意味すらしらない。
2ch? 砂嵐チャンネルか?
VIP? 重要人物?
それくらい、俺は真白だった。
要するに、俺のいいたい事は、世の中には
処刑すべき、命の軽すぎる人間が多すぎるということなのだった。
俺のC感覚がビクンとうずいた。
今、目の前を通っている、ポロシャツの男
間違いない、尾行者の一人だ!
さえないサラリーマンのフリをしているが。
俺のV感覚には、鍛え上げられているのが判る!
俺は携帯を取り出した。
ピイイイン
俺の頭に響き渡る。
俺は、まくしたてた。
ピイイン
まくしたてつづける。
それで、理解は広がる。
俺は携帯を切った。
瞬間。
目の前のサラリーマンをよそおった男の頭が、はじけとぶ
そうそれは、スイカが割れ、新たな食欲への期待を開くような
そんな光景。

             「全仏感覚」

それは、理解される。
俺は、さりげなく携帯の角度を変える。
別の追跡者に備えるのだ。

           「世界が敵」

俺の戦いが、今、始っていた。
宇宙が呼んでいる。
俺は、常にそう思っている。
もし、まかり間違って、俺が死ぬなどという事があった場合

           「宇宙は、叫びをあげながら滅びていくだろう」

俺はそうと知っている。
すべての追ってを倒した俺は、コンビニを出ると、
町へと歩き出した。

 


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